ファイル暗号化とは?仕組みや業務効率化に効くツールを解説!
目次
ファイルの暗号化は、重要なセキュリティ対策の1つです。暗号化の概念自体は理解できても、その具体的な仕組みや実装方法については分かりづらい部分があるかもしれません。ファイル暗号化の知識を深めれば、適切な導入方法が理解できるようになるでしょう。
そこで本記事では、ファイル暗号化の基本的な仕組みや注意点などを解説します。また、ファイル暗号化を実現するためのツールについても紹介します。
ファイルの暗号化とは
ビジネスで利用する情報は、社内のみで利用するものでも暗号化する必要があります。ファイルを暗号化することによって、正規の権限のない第三者がデータを読み取ることを防ぎます。
さまざまな暗号方式の中で、現在主流かつ最も強力とされているものはAESです。まずは基礎知識として暗号化の仕組みと重要性、AESの概要を見ていきましょう。
暗号化とは
暗号化とは、元データ(平文)を第三者が読んでも解読できないように、一定の計算手順(暗号方式)に基づいて意味が分からない文字列に変換することを指します。
暗号化したデータを元の形に戻すことを「復号」と呼び、どちらの処理にも「暗号鍵」と呼ばれる秘密の符号が必要です。つまり、暗号化されたファイルは暗号鍵を持つユーザーしか復号できません。同じ暗号方式でファイルを暗号化しても、異なる暗号鍵を用いて計算することで、異なる暗号文を得られます。
ファイル暗号化の仕組みと必要性
暗号化していないファイルは、アクセスさえできれば誰でも中身を確認できる状態です。ファイルはネットワーク間でやりとりをする機会も多く、暗号化していない状態だと情報が筒抜けになってしまい、セキュリティ上問題があります。
暗号化・復号はPCなどのマシンパワーを用いて行われます。悪意ある第三者が不正に復号しようとした場合も同様です。
そこで暗号化は鍵長(暗号鍵のビット数)を長くし、暗号鍵を推定できないよう複雑な計算方法でファイルを無意味化するなどします。これにより演算能力の理論的限界を超えることで暗号鍵を逆算できなくし、元データを現実的に解読不可能にする仕組みです。
暗号方式はAESが主流
暗号方式にはさまざまなものがあり、現在主流かつ最も安全とされているのはAESです。AESの鍵長は128ビット・192ビット・256ビットの3種類であり、特にAES256ビットで暗号化されたファイルは、現在最も高速なコンピュータでも解読するのは事実上不可能とされています。
AESはWi-FiセキュリティやインターネットのSSL/TLS通信、圧縮ファイルなど、さまざまな場面で採用される暗号方式です。
ファイル暗号化のメリット
ファイルの暗号化は主に以下3つのパターンのリスク軽減に活用されます。
・PCやUSBメモリなどのファイル持ち出し
・マルウェア感染
・ファイル共有時
ここからは、暗号化の必要性をよりクリアにイメージしていきましょう。
PCやファイル持ち出しのリスク軽減
PCやUSBメモリなどの紛失や盗難は、リモートワーク環境の増加に伴い、より起こりやすくなっています。また、ミスで機密ファイルをWebサイトに公開してしまうなどのリスクもあります。
こうした事態でデータを守るためには、ファイルの暗号化が重要な対策となります。PCのファイルを全て暗号化しておけば、端末が盗難にあった場合でも、データが読み取られるリスクは低くなります。ファイルを復号するには、通常は社内の鍵管理サーバにアクセスし、復号鍵を取得する必要があるためです。
マルウェア感染のリスク軽減
ウイルスやランサムウェアなどの悪意あるプログラムを総称してマルウェアと呼びます。マルウェアの主な被害は、ファイルの改変や不正コピー、外部への不正送信などです。ファイルを暗号化しておけばこのような被害を抑えられます。
近年猛威をふるうランサムウェアはファイルを暗号化しますが、先に暗号化しておけば不正な暗号化を防ぎ、復号できない状況を回避できるのもメリットです。
ファイル共有時のリスク軽減
多くの企業は有線または無線のネットワークを経由してファイルを共有します。Wi-Fiやインターネットを経由しファイルを共有することは多く、またメールの添付ファイルを利用する企業も珍しくありません。
しかしネットワーク盗聴による情報窃取の脅威は常にあり、メールを誤送信する場合もあります。こういったケースでもファイルを暗号化しておけば、第三者に内容を盗み見られることを防止できるのもメリットです。
ファイルを暗号化する方法
ファイルを暗号化する主な方法は以下4種類です。
・圧縮ファイル
・Windows EFS
・暗号化ツール
・クラウドストレージ
クラウドストレージなら安全なクラウド上にファイルを退避させ、LANから切り離した場所でファイルを保存・管理できるため、特におすすめの方法です。
圧縮ファイルの暗号化
Zip形式などの圧縮ファイルは元データを組み替えてファイル容量を小さくします。通常は暗号化を伴いませんが、設定次第ではAESなどによる暗号化も可能です。AES256ビット暗号化なら暗号化強度は十分ですが、パスワード付きZipファイルを作成する場合には注意を要します。
類推しやすいパスワードなら容易にセキュリティを突破されてしまい、セキュリティレベルは高くありません。また、メールの宛先間違いでパスワードが漏えいするケースもあります。
Windows EFSによる暗号化
EFSはWindowsのファイルシステムが提供する暗号化機能です。EFSでファイル・フォルダやドライブ全体を暗号化すれば、正当なアクセス権を持たない第三者は復号できません。EFSによるファイル暗号化の方法は以下の通りです。
1.暗号化したいファイルやフォルダを右クリックし[プロパティ]をクリック
2.[全般]タブの[詳細設定]をクリック
3.[内容を暗号化してデータをセキュリティで保護する]にチェックを入れ、[OK]をクリック
暗号化ツールによる暗号化
暗号化ツールを用いて暗号化する方法もあります。無料で利用できるツールもありますが、基本的に信頼性が高いのは有料ツールです。ファイル保存時の自動暗号化や、閲覧・編集履歴の監視など、ツールによってさまざまな機能があります。
ただし1ライセンス当たり月額数万円、買い切りで数十万円など高価なものが多く、費用負担が大きいのは難点です。
ファイル暗号化を利用する際の注意点
セキュリティを高めるファイル暗号化は、使用するためにいくつか注意が必要です。これらを知っていれば、社内で運用ルールを策定したり、慌てず物品などを準備したりできるでしょう。ここでは、ファイル暗号化における注意点を紹介します。
暗号化したzipファイルを受信できない環境もある
社外へファイルを送信する際、暗号化されたZIPファイルはウイルススキャンができないため、注意が必要です。悪意のあるファイルを暗号化したZIPに含めると、受信側ではウイルスを検知できず被害を受ける可能性があります。
一部企業では、そのようなリスクからパスワード付きZIPファイルの受信を拒否しており、取引に支障が出る恐れもあります。
PPAP方式(パスワード付き添付ファイル)は暗号化の効果がない
PPAP方式のファイル共有では、通信経路が盗聴されるとファイルが読み取られるリスクがあります。ファイルと復号パスワードの両方が第三者に渡れば、簡単に復号化されてしまうためです。
代わりにクラウドストレージを利用し、ファイル自体ではなく共有リンクを送ることで、より安全なファイル共有が可能になります。
【関連記事:PPAPはここが危険!禁止の理由や非推奨・有効な代替策を徹底解説】
古いOSではファイル暗号化できない場合がある
Windows標準のファイル暗号化機能であるEFSは、導入が比較的簡単なツールの1つです。しかし、この機能はWindows 10 Proなどのビジネス向けOSでしか利用できません。Windows 10 Homeエディションの場合はビジネス向けOSへ変更が、さらに古いバージョンを利用している場合はOSのアップグレードが必要になります。つまり、環境次第では別途コストが発生する点に注意が必要です。
ファイル暗号化に長時間かかるツールもある
ファイル暗号化ツールの利用時には、使用環境やファイル量によっては、暗号化処理に長時間を要する場合があります。例えば、ストレージがHDDの場合はSSDに比べて処理速度が遅くなります。
PCの全ファイルを暗号化する際は、処理完了までPCが重くなったり操作できなくなったりするリスクがあるため、注意が必要です。計画的な実行を怠ると、他の業務に影響を及ぼすかもしれません。
おすすめ!クラウドストレージによる暗号化
クラウドストレージを利用してファイルを暗号化し、保存・共有することは効率的な方法です。Zipファイルの利用やPPAP方式はセキュリティリスクが高く、安全とはいえません。クラウドストレージなら、共有対象者や期間、操作範囲を制限した上で、ファイルのURLを安全に共有できます
暗号化・復号化には一般に費用がかかりますが、Windows EFSを利用すれば無料で済みます。ただし、対応OSが限られているため、環境によってはOSのアップグレードが必要です。また、既存ファイルの一括暗号化では、処理時間が長くかかり業務に影響が出る恐れがあります。
一方、クラウドストレージならアップロード時のみ暗号化が行われるため、PCの動作には影響しません。セキュリティ性の高いクラウドストレージでは、ファイル保存・共有時に自動で暗号化されます。メール共有の必要がなく、一元管理できるため、コスト削減と業務効率化が期待できます。
ファイル暗号化と業務効率化の両立はイッツコム!
イッツコムが提供する容量無制限のクラウドストレージ「Box」は、通信・保存の両方でファイルを強力に暗号化します。外部へ安全にファイルを共有する機能も備えており、情報漏えいに対し高いセキュリティ効果が期待できるでしょう。さらにファイル暗号化の技術や世代管理機能を用いて、ランサムウェアの感染拡大を阻止できます。
またクラウド型名刺管理・営業支援ツール「ホットプロファイル」は営業支援と個人情報漏えい防止を両立できるツールです。これらのツールを組み合わせれば、ファイルの暗号化・保護と業務効率化を両立させられます。
ランサムウェア感染拡大も防ぐクラウドストレージ「Box」
Boxは通信時にTLS 1.2、保存時にAES256による強力な暗号化を実施し、ファイルの改ざんや漏えいを防止します。「ISO27001」や「FedRAMP」などの国際規格に準拠しており、Box上でのランサムウェア感染拡大リスクも低くなっています。
個別の暗号化ツールは不要で、Boxに保存したファイルは自動的に暗号化されます。ファイルの暗号化処理はクラウド上で行われるため、PCへの負荷はかかりません。
外部へのファイル共有には、共有リンクやフォルダ共有機能を利用できます。ファイル/フォルダごとにアクセス権と有効期限を設定でき、さらにパスワードも付与可能なので、安全な共有が可能です。
さらに、容量無制限で1,500以上のアプリとの連携も可能なため、業務で扱うファイル一式をクラウド上で安全に一元管理できます。
「Box Drive」を利用すれば、デスクトップから直接Box上のファイルを編集することも可能です。PC内でランサムウェアに感染すると不正に暗号化されたファイルが同期される場合もありますが、Boxは50世代以上のバージョンを自動保存するため、簡単な操作で感染前の状態に戻せるのも強みです。
営業支援と個人情報漏えい防止には「ホットプロファイル」
営業部門でデータ活用が進むと、営業担当者はPCやスマホで顧客情報を扱います。ここで注意したいのは、移動中のフリーWi-Fi利用やデバイスの紛失・盗難などによる、個人情報漏えいリスクです。
国際的に信頼性の高いAWSのプラットフォーム上で提供されるクラウド型名刺管理・営業支援ツール「ホットプロファイル」なら、個人情報や営業履歴を保護しつつ、営業組織をスマートに強化できます。スマホで名刺をスキャンするだけで安全なクラウド上に顧客データベースを作成でき、顧客関連情報の取得や営業履歴とのひもづけを自動化、名刺やGPSと連携した営業報告も可能です。
システム間の通信はSSL/TLSで暗号化され、デバイスの紛失や盗難に遭ってもリモートでロックまたはデータ削除でき、第三者による顧客情報閲覧を防止します。
まとめ
リモートワークの普及で、自宅や外出先から仕事をする機会が増えています。ファイル暗号化は、デバイスの盗難・紛失などの情報漏えいリスクに対する、有効な対策の1つです。マルウェア感染のリスクや、ファイル共有時のリスクも軽減できます。
ファイルの暗号化と安全なファイル共有を実現するのであれば、イッツコムのBoxがおすすめです。より詳細な情報をお求めの方はお気軽にご連絡ください。