1. コラム
  2. コラム
  3. トランクルーム開業の基礎知識・準備・資金や経営成功のポイント

トランクルーム開業の基礎知識・準備・資金や経営成功のポイント

遊休不動産の活用方法を模索しており、トランクルームの開業について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。トランクルームは都市部を中心にニーズが高い割に、参入障壁は低く、空き物件や不採算店舗の有効活用に最適な事業の1つです。

ただしエリアによっては競合との差別化が必須となるため、ターゲット層にとって魅力的なサービスを提供できる施設環境を整えなければなりません。そこでこの記事では、トランクルーム開業の基礎知識や準備と経営成功のポイントを紹介します。

トランクルームの開業に必須の基礎知識

トランクルームは空き地・空き倉庫・空きビル・空きアパートなど、遊休不動産を有効活用できる方法の1つです。非倉庫業として営むレンタル収納スペースなら特別な免許・資格不要で開業でき、マンションやオフィスビルを所有していれば比較的低コストで1棟型トランクルームをオープンできます。

「保管用倉庫(倉庫業)」と「レンタル収納スペース(非倉庫業)」との違い

トランクルームは、倉庫業として営む保管用倉庫と、非倉庫業として営むレンタル収納スペースの2種類に分かれます。

【保管用倉庫(倉庫業)】
寄託契約によって物品の保管を請け負うもので、保管用倉庫を開業するには国土交通省へ登録が必要です。保管用倉庫の事業内容は「顧客の物品を保管すること」で、利用者が荷物の出し入れをする際に、都度事業者の立ち会いが求められます。

【レンタル収納スペース(非倉庫業)】
一般的に利用者との不動産賃貸借契約によって物品を預けるスペースを貸すもので、国土交通省の認可は不要です。事業内容は「収納スペースを貸し出すこと」で、利用者は24時間好きなときに、事業者の立ち会いなしで荷物の出し入れができます。

「屋外型」と「屋内型」との違い

トランクルームは、設置場所によって屋外型と屋内型に大別されます。

【屋外型】
土地の上に設置したコンテナに荷物を保管するもので、郊外に多いタイプです。一般的に車両で搬入出がしやすい道路沿いで展開され、広めのスペースにバイク・アウトドア用品や大型の家具・家電などを収納します。温度・湿気の影響を受けやすいため、物品によっては収納を考えにくいことが注意点です。

【屋内型】
マンションやオフィスビルのフロアを細かく区分けして収納スペースを貸し出すもので、都市部に多いタイプです。基本的に徒歩や台車を使った搬入出が前提で、比較的小さい物品の収納に活用されます。屋外型より割高にはなるものの、温度・湿気やセキュリティを管理しやすく、書籍・衣類やPCなど電子機器の収納にも便利です。

トランクルームの開業に免許や資格は不要

非倉庫業として営むレンタル収納スペースを開業するなら、倉庫事業者としての認可は不要です。特別な資格も必要ありません。レンタル収納スペースは開業のハードルが低い事業といえるでしょう。

しかし、トランクルーム経営は不動産投資の一種です。資産運用に関する知識を吸収する意味で「宅地建物取引士(宅建士)」や「ファイナンシャル・プランニング技能士」のような国家資格の合格を目指すのもよいでしょう。

トランクルームの開業に必要な資金

トランクルーム開業に必要な資金は一般的に、土地の取得費を除き300〜500万円程度です。費用はスペースの規模や設備が新品・中古どちらかなどの条件次第で変わりますが、屋内型の場合、おおよそ以下のような費用がかかります。

・パーティション設備の購入・設置費用:200〜300万円
・水道・電気工事費:30万円
・看板設置費:20万円
・監視カメラ設置費:20万円

運営方法によっては、広告宣伝費や警備員・管理人の人件費などもかかります。

トランクルームの運営方法は?

トランクルームの開業・経営に当たり、何らかの形で既存のトランクルーム事業者と提携する運営方式も選択できますが、完全に自営することもできます。提携する場合の運営方式は、管理委託方式・一括借り上げ(サブリース)・事業用定期借地方式などです。ここでは、それぞれの運営方式の特徴やメリット・デメリットを解説します。

自営方式

自営方式はオーナー自身で工事完了済みのトランクルームを用意し、集客・契約・集金など各種管理業務も含め、開設から経営まで全て自前で行うものです。満室にするには積極的な募集が必要で、運営の負担が大きい経営方法ですが、満室時の収益性は最も高くなります。

高度な経営ノウハウが求められるものの、自社独自サービスとして業界に参入し、多店舗展開を目指す場合などに向いているでしょう。

管理委託方式

管理委託方式は、工事完了済みのトランクルームを用意し、運営に必要な集客・契約・集金などの管理業務をトランクルーム事業者に委託するものです。事業者によって管理内容は異なりますが、フランチャイズ方式を採用する場合、事業者と加盟契約・売買契約などを締結します。

管理委託方式の利点は、自営方式よりも運営の手間を大幅に削減できることです。管理業務の委託費として一定割合の賃料を差し引かれるものの、売上が高いほど多くの賃料収入を得られます。ただし売上がゼロでも管理手数料を支払うため、利用者が少ないと赤字になるリスクもあることは注意点です。

一括借り上げ(サブリース)

一括借り上げ方式は、工事完了済みのトランクルームをフランチャイズ本部に1棟丸ごと借り上げてもらい、運営を任せるものです。フランチャイズ運営の一形態であり、トランクルーム事業者とは加盟契約及びサブリース(賃料保証)契約を締結します。

賃料保証のおかげで、トランクルームの売上にかかわらず、一定の賃料収入を得ることができます。空室リスクが低減されますが、トランクルームが満室になっても賃料収入は増えないため、最大収益は限定されます。

事業用定期借地方式

事業用定期借地方式は、商業活動専用として、土地のみをトランクルーム事業者に一定期間貸し出す方式です。トランクルーム事業者とは賃貸借契約を結び、土地の賃料を収益源とします。この方式では、上物を用意せずに更地の状態で貸し出すことができます。

直接的な収益性は限られるものの、トランクルームの建築や運営は事業者が担当するため、土地所有者にとっては手間がかかりません。ただし、賃料の見直しは契約更新時に市場状況に応じて行うことがあります。

トランクルームの施解錠に必須の「鍵」の種類

トランクルームの重要な機能として、鍵(施解錠方法)の形態が挙げられます。鍵の施解錠の方法(サムターンの回し方)は、大きく分けて「物理鍵」か「スマートロック」の2パターンです。

物理鍵

都市部の1棟型トランクルームなどでは、施解錠に使う鍵を利用者自身で管理するスタイルが一般的です。最もオーソドックスな鍵は物理鍵ですが、24時間無人営業の店舗だと郵送での受け渡しが必要になり、即日には使い始められません。

また物理鍵は錠前とセットであることも注意点です。鍵の紛失や合鍵の作成による不正利用などのリスクがあり、セキュリティ面だけでなく、シリンダーの交換費用の懸念もあります。

スマートロック

スマートロックとは、鍵の施解錠を電気的に制御するセキュリティシステムを指します。キーパッド(暗証番号)・ICカード・QRコード・顔認証などを解錠用のツールとして、ドアに取り付けた機器本体を駆動させてサムターンを回す仕組みです。

例えば、ネットワーク経由で利用者のスマホに時限キーを送信できるシステムなら、即日利用に対応できるだけでなくセキュリティ向上にも役立ち、利用者・オーナー双方にとっての利便性を高められます。

トランクルーム経営は儲かる?

トランクルームは都市部を中心にニーズが高く、大きなビジネスチャンスを期待できる業態です。住居系賃貸物件として活用する場合に比べ、立地条件に左右されにくく経営コストを抑えられることも利点ですが、集客性の低さなどの注意点もあります。

トランクルーム経営は大きなビジネスチャンスを期待できる

業界大手キュラーズの統計によると、2023年のトランクルーム市場規模は2008年比2.8倍増となる750億円に成長し、2030年には5倍増となる1,300億円規模へ市場拡大すると見込まれています。

近年はコロナ禍によるテレワークや「おうち時間」の増加により、自宅の整理整頓や荷物の一時保管場所としてトランクルームの需要が高まりました。またコロナ禍前から続く地価高騰の影響で、都市部を中心に居住スペースは縮小傾向にあります。

収納ニーズの高まりを受け、東京23区におけるトランクルーム専用の1棟型店舗は2008年比6.7倍に増加しました。都市部を中心に高品質なトランクルームの需要が高まる中、利用世帯数はまだ少なく、大きなビジネスチャンスを期待できる分野です。

(参考:『トランクルーム市場規模|株式会社キュラーズ』

トランクルーム経営のメリット

トランクルーム経営は参入障壁が低く、空き物件や不採算店舗などの有効活用に最適な事業の1つです。主なメリットとして以下のようなものを挙げられます。

・人件費があまりかからない:住居系賃貸物件に比べ清掃頻度が少なく済み、管理人の常駐も不要
・立地条件にあまり左右されない:駅・コンビニ・学校などの近隣である必要はなく、狭い・日当たりが悪い土地など、住居に向かない場所でも経営しやすい
・修繕費・管理費があまりかからない:アパート・マンションに比べ設備が少なく、低コストで運用できる

トランクルーム経営のデメリット

トランクルーム経営には以下のような注意点もあります。

・集客性が低い:住宅や駐車場とは異なり、住む上で必要ではないため、住居系賃貸物件に比べると集客性は低い
・節税効果が低い:アパート・マンション経営と異なり、固定資産税・相続税の減税措置が受けられない

他にも温度・湿度の影響で品質管理が難しいことや、盗難・破損・災害のリスクがあることも注意点です。

トランクルームの開業準備と注意点

トランクルーム経営で利益を上げるには、注意点やリスクを理解した上で、慎重に事業計画を立てることが必要です。商圏内の想定利用者や競合を調査し、ターゲット層に応じた宣伝広告を検討しましょう。また盗難・破損・災害のトラブル対策を検討することも大切です。

商圏内の想定利用者や競合を調査する

トランクルーム開業を成功させるには、まず立地が重要です。頻繁に物品を出し入れしたい利用者にとって、「居住地の近隣にあること」は必須といえます。

一般的にトランクルームの商圏は1〜2km程度とされ、この商圏内の想定利用者や競合を調査することは必須です。近隣の住宅事情・人口動態や大手トランクルームの物件数・予約状況などを調査し、利用者を確保しやすい立地を精査しましょう。

ターゲット層に応じた宣伝広告を検討する

フランチャイズ方式の場合は大手トランクルーム事業者の集客力を活用できますが、自営方式の場合は顧客を確保するための戦略が重要です。価格・セキュリティ・空調管理など、大手事業者との差別化を図り、効果的に魅力をアピールすることが求められます。

例えば単身世帯が多いエリアなら、書籍・洋服などの収納に十分な小型スペースを安くスムーズに利用できるとよいでしょう。オフィスが多いエリアなら、在庫・備品を安全に長期保管できることが求められます。

盗難・破損・災害のトラブル対策を検討する

トランクルームの経営者は物品の保管・保全に責任を持つことが必要です。盗難・破損・災害などの対策を講じ、利用者に向けた注意喚起を行いましょう。

警備員を置かずに盗難リスクを抑える方法として、監視カメラの設置を強調することの他、ワンタイムパスワード方式のスマートロックや入退室管理システムの活用などを挙げられます。

空調設備を完備することは、競合との差別化という意味でも重要です。またハザードマップから地震や水害のリスクを分析し、商圏内でなるべく災害リスクの低い場所に出店することも検討しましょう。

トランクルームの管理システムを一本化できる「Connected Portal(コネクティッドポータル)」

都市部の1棟型トランクルームなどは、フロアを1帖未満の区画に小分けにすることも多く、多数の鍵・利用者・入退室を管理する必要があります。スマートロックは有用ですが、各種管理システムと組み合わせた運用は難しいかもしれません。

イッツコムが提供する「Connected Portal(コネクティッドポータル)」は、スマートロックと各種管理システムの運用を一本化できる、トランクルーム経営に最適なサービスです。

利用者に期間限定の時限キーを配布して物理鍵の受け渡しが不要になる他、スマートロックに加えてIPカメラやエアコンも一元管理・遠隔操作でき、セキュリティや空調品質の向上に役立ちます。APIにより施設予約システムなど各種管理システムとダイレクトに連携することもでき、無人営業店舗の他拠点展開とも非常に相性のよいシステムです。

まとめ

トランクルームは都市部を中心にニーズが高く、空き物件や不採算店舗の有効活用に最適な事業の1つです。非倉庫業として営むレンタル収納スペースなら、特別な免許や資格は必要ありません。参入障壁は低い一方、エリアによっては競合との差別化が必須です。価格・セキュリティ・空調管理など、自社独自の価値をアピールできる環境を整えましょう。

イッツコムは「Connected Portal(コネクティッドポータル)」により、低価格かつ高品質なトランクルームの運営をサポートできます。トランクルームの開業をお考えなら、セキュリティや空調管理も安心な24時間無人営業店舗を実現できるイッツコムにご相談ください。