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Wi-Fiルーターの寿命は4~5年?買い替えタイミングと機種選び

「Wi-Fiルーターの寿命は4~5年」という考え方が一般的です。ハードウェアとしての寿命の他に、対応するWi-Fi通信規格やセキュリティ規格という意味での寿命もあります。

Wi-Fi接続やインターネット接続に不調を感じており、Wi-Fiルーターの寿命について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。本記事では、Wi-Fiルーターの寿命の考え方や買い替えタイミング、機種の選び方についてご紹介します。

Wi-Fiルーターの寿命は何年?3パターンの買い替えタイミング

Wi-Fiルーターは経年劣化します。また対応するWi-Fi通信規格およびWi-Fiセキュリティ規格は開発年数に依存するため、古い機種は対応規格も古いままです。古い機種の通信品質やセキュリティレベルが、デバイスやネットワーク技術の高度化から取り残されることを考えると、実用上はいずれ寿命を迎えるといえます。

1.Wi-Fiルーター本体の寿命は4~5年

Wi-Fiルーターのハードウェアとしての寿命は4~5年といわれます。Wi-Fiルーターは熱・湿気・ほこりなどの影響を受け経年劣化するため、次第に不調を起こすリスクが高くなるのは避けられません。

環境によっては10年程度使用できる場合もありますが、夏場の熱や雷サージなどの影響を受け、想定より早く故障する場合もあります。以上から、Wi-Fiルーター本体の寿命は4~5年程度と考えるのが一般的です。

2.Wi-Fi通信規格の寿命は2~6年

Wi-Fiルーターの通信規格(IEEE 802.11)の寿命は2~6年といわれています。これは新しいWi-Fi通信規格が制定されるスパンです。Wi-Fi通信規格は、デバイスの高度化やインターネット回線の高速化およびデータ通信量の増大に伴い、数年置きに改定されています。

Wi-Fi通信規格の主な違いは、Wi-Fi区間の最大通信速度および対応周波数帯です。古い規格だとインターネット接続時の遅さが問題になりやすく、逆に新しい規格は高速回線に余裕で対応できる最大通信速度を実現しています。

・IEEE 802.11:1997年制定。2.4GHz帯、最高2Mbps
・IEEE 802.11a:1999年制定。5GHz帯、最高54Mbps
・IEEE 802.11b:1999年制定。2.4GHz帯、最高11Mbps
・IEEE 802.11g:2003年制定。2.4GHz帯、最高54Mbps
・IEEE 802.11n(Wi-Fi4):2009年制定。2.4GHz/5GHz帯、最高600Mbps
・IEEE 802.11ac(Wi-Fi5):2014年制定。5GHz帯、最高6.9Gbps
・IEEE 802.11ax(Wi-Fi6):2019年制定。2.4GHz/5GHz帯、最高9.6Gbps
・IEEE 802.11ax(Wi-Fi6E):2022年制定。2.4GHz/5GHz/6GHz帯、最高9.6Gbps
・IEEE 802.11be(Wi-Fi7):2024年制定(未定)。2.4GHz/5GHz/6GHz帯、最高46Gbps

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3.Wi-Fiセキュリティ規格の寿命は2~5年

Wi-Fiセキュリティ規格の寿命は2~5年といわれています。Wi-Fiの電波は360°方向に広く拡散するため、正規ユーザーのみ接続できる「認証」と、通信傍受されてもデータ本文を解読できなくする「暗号化」の仕組みが必要です。

・WEP:1999年制定。非推奨
・WPA:2002年制定。非推奨
・WPA2:2004年制定。WPA2-TKIPは非推奨。WPA2-AESは可
・WPA3:2018年制定。推奨
・WPA4:2024年(仮)にWi-Fi7に実装予定

2023年9月時点では、WPA3による認証とAESによる暗号化の組み合わせが最も安全です。Wi-Fi5はWPA2対応、Wi-Fi6はWPA3標準対応、Wi-Fi7はWPA4に対応することが予定されています。WPA2はAESとの組み合わせのみ推奨され、TKIPとの組み合わせは非推奨です。

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「通信が遅い」「電源が切れる」はWi-Fiルーターの寿命?

「Wi-Fi接続・インターネット接続が頻繁に途切れる」「通信速度が遅い」といった症状が出ることもあります。原因として、Wi-Fiルーター本体の寿命や、対応Wi-Fi通信規格の古さも考えられるでしょう。

ただし通信事業者やプロバイダの障害・メンテナンス時、回線を共有するユーザー数およびデータ通信量が多過ぎる時間帯などにも、同様の症状が出ます。近隣のWi-Fi通信機器の増加により、電波干渉を起こしやすくなっているケースも珍しくありません。

「突然電源が切れる」「電源が入らない」という症状が出る場合、原因としてハードウェアの故障が考えられます。

故障箇所の候補は、Wi-Fiルーター本体(内部回路のショートなど)の他、ACアダプタや電源コネクタなどです。使用環境や機種の特性によっては、頻繁に熱暴走を起こすなどしてWi-Fiルーター本体が故障する場合もあります。

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「Wi-Fiルーターが寿命かも?」と思ったときに試したい方法

Wi-Fiルーターに不調を感じたら、まずはできる範囲で症状が改善しないか試してみましょう。簡単な方法は、同時接続するデバイス数を減らすことや、Wi-Fiルーターを再起動することです。ファームウェアの存在を意識してこなかったなら、アップデートも試してみましょう。

同時接続するデバイス数を減らす

Wi-Fiルーターに同時接続するデバイス数が多過ぎると、Wi-Fi区間の通信で渋滞が起こり、通信速度の低下を起こしやすくなります。Wi-Fi5以前の通信規格は同時接続時に通信の順番待ちが起こるため、同時接続台数が多くなるほど通信の途切れも起こりやすくなる仕組みです。

また、通信データを処理する負担が大きくなることで、熱暴走も起こしやすくなります。不要なWi-Fi通信機器の接続を解除し、通信が安定するか試してみましょう。

Wi-Fiルーターを再起動する

Wi-Fiルーターの起動時間が長くなると、本体内部に熱がこもり、熱暴走および不具合を起こしやすくなります。また電波干渉やチャネルの重複を起こしたままWi-Fi接続を続けることで、通信の速度低下や途切れを起こしやすい状態になることも珍しくありません。

Wi-Fiルーターの電源を落として再起動すると、熱を放出するとともに電波干渉やチャネル重複の解消が可能です。

なお、デバイスとONU(光回線終端装置)も再起動する場合、デバイス→Wi-Fiルーター→ONUの順に電源を落とし、ONU→Wi-Fiルーター→デバイスの順に電源を入れます。

ファームウェアをアップデートする

Wi-Fiルーターには「ファームウェア」と呼ばれる、本体を制御するためのソフトウェアが組み込まれています。ファームウェアが古いままだと不具合を起こす場合もあるため、取扱説明書に従ってアップデートしましょう。Webブラウザから管理画面にアクセスする機種の他、専用アプリで操作するものもあります。

ファームウェアは脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を解消するために新バージョンが公開されることも多く、アップデートはセキュリティを確保するという意味でも重要です。可能であれば自動アップデートの設定をしておきましょう。

ただし、古い機種はメーカーが新しいファームウェアの提供を終了している場合もあります。そのままではセキュリティ上の懸念があるため、買い替えの検討をおすすめします。

寿命でなくともWi-Fiルーターを買い替えたいタイミング

Wi-Fiルーターが寿命と呼べるほどの状態でなくとも、買い替えを検討したいタイミングがあります。例えばWi-Fi接続するPC・スマホなどを買い替えたときや、同時接続するデバイス数が増えたときです。Wi-Fi接続時、インターネット通信速度はWi-Fi区間の通信速度が最大値となるため、光回線のスペックを生かしたいときにも買い替えを検討しましょう。

新しいデバイスに買い替えたとき

Wi-Fiルーターが対応する通信規格は機種に依存するため、古い機種は新しい通信規格に対応していません。

スマホやPCなどのデバイスをWi-Fi6やWi-Fi6Eに対応した新しい機種に買い替えた場合、Wi-Fiルーターの対応通信規格がWi-Fi5以前だと、引き続きWi-Fi5以前でWi-Fi通信することになります。

Wi-Fi6以降の高速通信やセキュリティの恩恵を受けるには、対応Wi-Fiルーターへの買い替えが必要です。なおiPhoneであれば、iPhone 11以降の全機種がWi-Fi6に対応しています。

同時接続するデバイス数が増えたとき

古いWi-Fiルーターのまま同時接続台数を増やすと、通信の速度低下や途切れを起こしやすくなります。PC・スマホに加えてタブレットを購入するなど同時接続台数が増えたら、安定してWi-Fi接続できる機種への買い替えがおすすめです。

ただし、新しい機種でも多台数接続に対応できるとは限りません。機種によって推奨同時接続台数は異なるため、Wi-Fi接続が必要なデバイス数と、機種の推奨同時接続台数をよく検討しましょう。

光回線のスペックを生かしたいとき

インターネット回線のスペックを生かすために、Wi-Fiルーターの買い替えが必要になる場合もあります。例えばADSLから光回線に乗り換えた場合、Wi-FiルーターがIEEE 802.11g(Wi-Fi区間最大54Mbps)までしか対応していなければ、1Gbpsクラスの光回線のスペックを生かせません。

インターネット回線の強化による通信速度向上の恩恵を受けるには、Wi-Fi区間の通信速度も向上させるために、Wi-Fiルーターの買い替えが必要です。

寿命で買い替えるWi-Fiルーターの選び方

Wi-Fiルーターを買い替える際は、機種のスペックが十分であることをしっかりとチェックしましょう。重視したいのは、Wi-Fi6やIPv6 IPoEに対応していること、推奨同時接続台数に余裕があることです。施設の広さや構造などによっては、AP(Wi-Fiアクセスポイント)の増設が必要なケースもあるでしょう。

Wi-Fi6以上に対応していること

Wi-Fiルーターを買い替えるなら、Wi-Fi6以上に対応した機種がおすすめです。新しいデバイスの多くはWi-Fi6に標準対応しているため、通信速度やセキュリティの恩恵を享受するならWi-Fi6モデルを選びましょう。

Wi-Fi5モデルでも比較的安全なWPA2-AESを使用できますが、最も安全なWPA3に対応する機種は一部のみです。Wi-Fi6モデルはWPA3標準対応の上、OFDMA(直交周波数分割多元接続)対応で通信の順番待ちも起こさないため、光回線のスペックを生かした快適かつ安全なWi-Fi通信ができます。

【関連記事:Wi-Fi6とは?5Gとの違いやメリット、おすすめ機器をわかりやすく解説

IPv6 IPoEに対応していること

従来のインターネット通信方式である「IPv4 PPPoE」は、NTE(網終端装置)と呼ばれる接続装置を経由し、プロバイダの設備でユーザー認証が必要です。このため夜間や休日など接続ユーザーが多い時間帯は、通信の渋滞により通信速度が低下します。

現在は「IPv6 IPoE」に置き換えが進んでおり、大容量なGWR(ゲートウェイルーター)を経由し、ユーザー認証不要です。IPv4 PPPoEよりも安定したインターネット通信ができます。

IPv6 IPoEでインターネット接続するには、日本方式のIPv6 IPoEに対応したWi-Fiルーターが必要です。インターネット通信方式による速度改善の恩恵を享受するなら、利用中の回線のIPv6 IPoE方式に対応するモデルを選びましょう。

【関連記事:Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説

推奨同時接続台数に余裕があること

Wi-Fiルーターの推奨同時接続台数は、家庭用と業務用とでは大きく異なります。家庭用は推奨10台前後の機種が多い一方、業務用は50台や100台以上の同時接続も可能です。次の買い替えまでの数年間に増える接続デバイス数も想定し、推奨同時接続台数に余裕のある機種を選びましょう。

なお、業務用Wi-Fiルーターは家庭用機種に比べて耐久性やセキュリティ機能にも優れます。メーカーによっては保証期間が5年以上でサポートも充実しており、長期間にわたって安心して運用できるのも利点です。

買い替えよりAPの増設が必要なケースも

Wi-Fiルーターとデバイスの間にRC・コンクリートの壁があると、距離が近くても電波強度は大きく低下します。施設内の構造や空間の広さによっては、Wi-Fiルーターを買い替えただけでは、全面的なWi-Fi環境の改善につながらない場合も珍しくありません。

こういったケースには、Wi-Fiアクセスポイント(AP)の増設がおすすめです。既存のWi-FiルーターとLANケーブルで接続し、電源ケーブルを差すだけで、同じLAN内にWi-Fi基地局を増設できます。APは基本的に業務用(法人向け)ですが、製品によって搭載機能や性能などに大きな違いがあるため、スペックを精査することが大切です。

【関連記事:Wi-Fiのアクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説

イッツコムの高性能APと高速光回線でWi-Fiの悩みを一挙解決!


イッツコムは初期費用0円でWi-Fi6対応の高性能APを増設できる「かんたんWi-Fi」、2Gbpsクラスの独自回線でWi-Fiの多台数接続に最適な「イッツコム光接続サービス」を提供しています。ビジネスユースならAP増設および光回線のアップグレードを検討しましょう。

初期費用0円でWi-Fi6対応の高性能APを増設「かんたんWi-Fi」

オフィスで家庭用Wi-Fiルーターを導入すると、「遅い」「つながらない」問題が起こりがちです。オフィス空間が広かったり、障害物・壁に電波が遮られたりする場合、APの増設を検討しましょう。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」なら、安価な月額料金のみ(初期費用0円)で、業務利用に必要な機能がそろった高性能APを増設できます。プロによる年中無休(365日9時~21時)のサポート窓口も標準で付帯するため、接続トラブルなどの際も安心です。

「ハイエンド6」プランのAPならWi-Fi6に標準対応し、同時接続台数は1AP当たり100台を誇ります。ゲストWi-Fi機能にも対応するため、従業員用と来客用のWi-FiネットワークをSSIDで分離でき、安全かつ快適なフリーWi-Fiを提供できるのも利点です。

2Gbpsクラスの独自回線でWi-Fiの多台数接続に最適「イッツコム光接続サービス」

Wi-Fi接続するデバイスが増えると、インターネット回線の通信帯域が圧迫されがちです。通信速度に不満があればインターネット回線の強化も検討しましょう。

「イッツコム光接続サービス」は下り最大2Gbpsの高速回線で、IPv6 IPoEにも標準対応します。「ハイエンド6」プランのAPはWi-Fi区間の最大通信速度が2.4Gbpsのため、高速通信の組み合わせとして最適です。プロバイダ・光回線一体型であり、契約・サポートの窓口も1つで済みます。

また、イッツコム独自の光回線網による「独自回線」であることも特徴です。フレッツ光や光コラボといったNTT系の光回線に障害が発生しても継続利用できます。契約期間の縛りもなく、一時利用や2回線目の光回線としても最適です。

【関連記事:インターネット回線の冗長化とは?仕組みや具体的な構成例を一挙解説

まとめ

一般的に、Wi-Fiルーターの寿命は4~5年とされます。ハードウェアとしての寿命の他、対応するWi-Fiの通信規格やセキュリティ規格という意味での寿命もあります。

買い替えの際はWi-Fi6やIPv6 IPoEに対応していること、推奨同時接続台数に余裕のあることなどをチェックしましょう。業務用の機種は全体的にハイスペックで、保証期間が5年以上、サポートも充実しているなどの特徴があります。

イッツコムは「かんたんWi-Fi」と「イッツコム光接続サービス」により、施設内のWi-Fi・インターネット環境を総合的にアップグレードすることが可能です。Wi-Fiルーターの不調を感じたら、Wi-Fiとインターネット回線を一括サポートできるイッツコムにご相談ください。