DX推進のプロセスを6フェーズで整理。DXを支える通信環境の整え方
目次
DXを推進したくても、「何から始めるべきか」「社内の理解が得られない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。DXプロセスを6フェーズに分けて整理し、各段階で意識したいポイントを解説します。 特に注目したいのが通信インフラの整備です。安定したネットワーク環境がなければ、優れたデジタルツールを導入しても効果を得られません。解決策となり得る「かんたんWi-Fi」についても、導入事例や具体的な特長を交えて紹介します。
DX推進のプロセスを始める前に意識したいポイント
近年「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が各業界に浸透してきていますが、実際に推進しようとすると「何から手を付けるべきか」「どこまで取り組むべきか」といった迷いに直面する企業も少なくありません。
DXがうまくいかないケースの多くに、DXの本質を誤解していたり、プロセスの設計が不十分だったりという問題が見られます。DX推進のプロセスを進める前に、押さえておきたい基本的な考え方を整理しましょう。
DXの目的は単なるIT化ではない
DXというと、業務の一部をデジタルツールで効率化することだと考える人も多いかもしれません。しかしDXの目的は本来、単なるIT導入ではなく、企業の競争力を高める「変革」にあります。
顧客体験の向上や業務の再構築・収益モデルの見直しまでを含むのがDXです。これらの目的を明確にせずに始めてしまうと、部分的な効率化だけで終わってしまい、本質的な価値の創出につながりません。
DXはツールを導入すること自体がゴールなのではなく、その先にある経営戦略の実現を支えるための手段として捉える必要があります。
参考:経済産業省『デジタルガバナンス・コード 実践の手引き(要約版)』
「何から始めるか」を間違えると成果につながらない
DXを推進する際に多くの企業が直面する課題が、「何から始めるべきか」の判断です。DXの目的が明確になった状態でも、最初に着手する業務や部門を誤ると、プロジェクト全体の失敗につながる可能性があります。
例えば、重要だからといって複雑な基幹システムから手を付けると、導入のハードルが高く現場の混乱を招きかねません。一方で、あまりに影響の小さい業務だとDXの効果が実感できず、全社的な変革につながらないという問題もあります。
スモールスタートで確実にDXの成果を上げるためには、「比較的シンプルかつ改善効果が見込める業務」からプロセスを始めることが重要です。 効果の「見える化」によって社内の理解と巻き込みが進み、DXのプロセスを次のステップへとつなげやすくなります。
DX推進のプロセスを6フェーズで整理する
DXを成功させるには、思いつきの施策を断片的に実行するのではなく、プロセス全体を見据えて段階的に取り組むことが重要です。まずは目的を明確にし、課題の可視化・業務選定・基盤整備・最適化といった主要フェーズに沿って進めることで、効果的なDX推進が期待できます。
フェーズ1:DX推進の目的を明確化する
DXを成功させるには、まず「なぜDXを進めるのか」という目的を明確にすることが重要 です。目的が曖昧なままでは施策が場当たり的になり、成果につながりにくくなります。
業務効率化による生産性の向上・顧客満足度の向上・新たなビジネスモデルの構築など、DXの目的は企業によって異なります。自社のビジョンや経営戦略と照らし合わせてDXの目的を具体化できていれば、適切なリソース配分や施策の優先順位付けが可能です。
目的が明確であればDX推進の方向性が定まり、全社的な理解と協力も得やすくなるでしょう。これにより、DXの取り組みが組織全体で一貫性を持って進められ、成果を最大化できます。
フェーズ2:現状を把握して課題を可視化する
DX推進のプロセスで次に取り組みたいのが、現状把握と課題の可視化です。現状分析では、業務プロセスや既存のシステム・組織体制・データの活用状況などを多角的に評価しましょう。
業務フローを可視化することで、非効率な手作業や情報の重複入力などの問題点を洗い出せます。部署間の情報連携の不備や、属人化している業務なども明らかになります。これらの課題が可視化されると、改善の優先順位を設定しやすくなるはずです。
フェーズ3:最初にDX推進の対象とする業務を決める
DXを効果的に進めるには、最初に取り組む業務の選定が重要です。全社的な変革を目指す場合でも、まずはスモールスタートで成果を出しやすい業務から着手することで、成功体験を積み重ねてDXのプロセスを進められます。
手作業が多く非効率な業務や情報の共有が不十分な業務などは、デジタル化による改善効果が高い傾向にある業務の例です。業務の重要度や影響範囲・改善の難易度などを総合的に評価し、優先順位を付けましょう。
最初に取り組む業務を適切に選定すれば、DXの効果を早期に実感でき、社内の理解と協力を得やすくなります。対象業務を決めたら、関係する部署や従業員には、DX推進の目的を含めて丁寧に説明しておくことが重要です。
フェーズ4:通信環境を含む業務インフラを整備する
DXを円滑に進めるためには、デジタル化に耐えうる社内インフラの整備が欠かせません。業務を支える基盤が不十分なままツールを導入しても、かえって業務負担が増し、現場の混乱を招く可能性があります。
特に重視したいのが、安定した通信環境の構築です。クラウドシステムやリモートワークの普及により、ネットワークの速度や安定性は業務効率に直結します。通信環境を含む業務インフラの現状を評価し、必要な改善を進めましょう。
業務端末の更新やセキュリティ対策・サーバやストレージといった社内インフラの見直しも、併せて検討したいポイントです。全体を一度に整えるのが難しい場合は、部署や業務内容に応じた段階的な対応でも構いません。
【関連記事:社内インフラとは?構成要素それぞれの設計・構築のポイントを解説】
フェーズ5:業務のデジタル化とワークフロー最適化を進める
業務インフラが整ったら、次に取り組みたいのが業務そのもののデジタル化です。紙ベースの管理や口頭伝達に頼っていた業務を、クラウドツールや業務支援システムへと移行することで、業務のスピードと正確性が向上します。
特に日報や申請書の作成・請求処理・在庫管理などは、デジタル化の恩恵を受けやすい領域です。属人化していた工程や無駄な確認作業を削減することで、現場の負担が大きく軽減されます。単にツールを導入するだけではなく、業務の流れ全体を見直して効率化を図りましょう。
デジタル化によって業務の「見える化」が進めば、ボトルネックや改善点も客観的に把握しやすくなります。業務改善とデジタル活用を並行して進めることが、DXの効果を最大化するポイントです。
フェーズ6:PDCAサイクルを回してDXを深化・定着させていく
DXは、一度の改革で終わるものではありません。導入した仕組みや施策がどれほど目的達成に貢献しているかを検証し、改善を繰り返すことで、ようやくDXの推進が意味をなしてきます。
そこで重要になるのが、PDCAサイクルの実践です。導入したツールや業務フローが実際に効果を上げているかどうかを定期的にチェックし、現場の声を取り入れながら改善を重ねていきましょう。
運用初期にはうまく回っていた仕組みでも、利用者が増えたり業務内容が変わったりすれば、最適な状態ではなくなる可能性は十分に考えられます。変化に柔軟に対応しながら、継続的にアップデートを図る姿勢が欠かせません。
DXに取り組む担当者だけでPDCAを回すのではなく、現場の従業員やマネジメント層に評価と改善を共有できる体制を整えることも大切です。これにより、DXが一過性の取り組みではなく、組織の習慣として根付きやすくなります。
ネットワーク整備はDX推進の土台
クラウドツールの活用やテレワークの定着が進む現在、DX推進のプロセスを進めるには安定したネットワーク環境の整備が必要です。いかに優れたデジタルツールを導入しても、通信が不安定ではその効果は発揮されません。
通信環境の悪さがDX推進のプロセスのネックになる具体的な理由と業務用Wi-Fiの導入効果を、イッツコムのサービス導入事例を交えて解説します。
通信の遅延や切断がDXの障害になる理由
通信環境が不安定な場合、業務に支障を来す可能性があります。例えば共有型回線を使用している場合、ほかの利用者の通信状況により回線が混雑し、特定の時間帯に通信が不安定になるという問題です。これにより、ページの表示やファイルのダウンロードができず、業務に支障が生じる場合があるでしょう。
また、クラウドベースの業務ツールを使う場合、ネットワークの遅延や切断が業務の停滞や情報共有の遅れを引き起こします。リアルタイムでのデータ共有やオンライン会議が日常化している現代では、通信の不安定さが生産性の低下や顧客満足度の減少につながりかねません。
通信環境の悪さによりツール本来の効果が発揮できなければ、DX推進のプロセスが中断されてしまいます。
業務用Wi-Fiがもたらす3つの変化
業務用Wi-Fiの導入は、DX推進において以下のような変化をもたらします。
- 業務効率の向上:高速かつ安定した通信によってクラウドサービスや業務アプリケーションの利用がスムーズになり、作業時間の短縮やエラーの減少が期待できる
- 柔軟な働き方の実現:オフィス内外を問わず安定した接続が可能となれば、テレワークやフリーアドレスなど多様な働き方に対応できるようになる
- セキュリティの強化:業務用に設計されたWi-Fiは一般的な家庭用と比べてセキュリティ機能が充実しており、企業の情報資産を守りやすくなる
これらの変化により、業務の生産性向上や従業員の満足度向上が図られ、DXの推進が加速します。
【導入事例】教育機関におけるネットワーク整備の成果
ある教育機関では、イッツコムが提供する4つのサービスを導入し、ネットワーク環境を整備してファイルをクラウド共有できるようになりました。
導入したサービスは、「専用線インターネットサービス」「かんたんWi-Fi(アクセスポイント)」「ネットワーク総合設計・機器構築サービス」「Box(コンテンツクラウド)」です。
生徒にノートパソコンを配布したものの、既存のネットワーク環境が不十分で、1,500人という多数の生徒に授業をするのに支障がありました。専用回線と82台のかんたんWi-Fiを導入した上で通信配線を抜本的に見直した結果、安定した高速通信により、パソコンを使った授業に集中できる環境を実現しています。
また、教職員間での情報共有の基盤がなく口頭や紙資料・USBでの伝達に頼っていたところを、Boxの導入により情報の一元管理も実現しました。この事例は教育機関に限らず、あらゆる業種においてDX推進の参考になるでしょう。
参考:iTSCOM Business『導入事例のご紹介』P.11
通信環境の見直しにはイッツコムの「かんたんWi-Fi」を
通信環境の整備はDX推進のプロセスの中でも重要ですが、「何を選ぶべきか分からない」「できるだけ手間なく導入したい」と悩む企業も少なくありません。特に中小規模の事業者では、コストや運用体制の観点から、現実的な選択肢が求められます。
このような課題に応えるのが、イッツコムが提供する法人向けのWi-Fiアクセスポイント「かんたんWi-Fi」です。通信品質の高さはもちろん、導入のしやすさやサポート体制も含め、DXの基盤整備を後押しする機能がそろっています。
法人向けのインターネット環境があれば導入が手軽
かんたんWi-Fiの魅力の1つとして、設置の手軽さが挙げられます。必要なのは、既存のインターネット環境と電源だけです。
アクセスポイント機器(かんたんWi-Fi)をLANケーブルで接続し、電源に接続するだけで設置が完了します。専門知識がなくても設置できるのは、IT人材が不足している企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
なお、かんたんWi-Fiの利用には、前提として法人向けのインターネット回線契約とプロバイダ契約が必要になります。ただ、すでに社内ネットワークを整備済みであれば、工事や専門的な知識は必要ありません。
インターネット回線やプロバイダの契約・ルーターの用意がまだという場合は、イッツコムにご相談ください。
ゲストWi-Fiの追加や屋外利用など多様なニーズに対応
かんたんWi-Fiは社内利用だけでなく、来訪者向けのゲストWi-Fiを分離して設定できる機能を備えています。社内の業務ネットワークと外部の利用者が使うネットワークを分けることで、セキュリティを保ちながら「おもてなし」の質を高められる点が特長です。
また、屋外や防塵・防水性能が求められる現場向けのプランも用意されており、屋外イベントや建設現場などでも活用しやすくなっています。設置環境や用途に応じた柔軟な対応が可能なため、さまざまな業種やシーンにフィットしやすいのも、かんたんWi-Fiの強みと言えるでしょう。
年中無休のサポートで導入後も安心
Wi-Fi機器の導入後に意外と多いのが、「つながらない」「設定が分からない」といった運用時のトラブルです。
イッツコムのかんたんWi-Fiは、こうした不安に備えて年中無休(9:00〜21:00)のサポート窓口を用意しています。土日祝日でも相談できるため、休日も営業している店舗や医療機関などにもおすすめです。
さらに月額500円(税抜・アクセスポイント1台当たり)の訪問修理オプション(月額500円/台)を追加すれば、365日24時間対応の有人窓口が利用できます。機器が故障した場合は、専門スタッフが現地まで赴いて機器を交換することも可能です。(※)
※故障の責任がお客さまにある場合は、別途料金を頂いています。
DX推進のプロセスを進める際の注意点と成功のコツ
DXをスムーズに進めるためのプロセスを理解していても、実際の運用では「うまく定着しない」「想定よりも効果が出ない」といった壁に直面することがあります。
その原因が、DXの軸がツール導入に偏りすぎていたり現場との温度差があったりと、プロセス設計以外の部分にあるケースも少なくありません。DXを進める上で陥りやすい落とし穴と、回避するための実践的なポイントを解説します。
「ツールありき」で進めない
DXというと「最新のツールやシステムを導入すること」と考えがちですが、それ自体が目的になってしまうと本来のDXの目的達成にはつながりません。ツール導入はあくまで手段であり、業務課題の解決や企業の目的達成を支えるものであるべきです。
現場の課題が整理されていないまま流行や価格だけを基準にツールを導入すると、結局使われなくなったり、かえって業務が複雑になったりする場合もあります。特に中小企業では、導入後の運用リソースが足りずに失敗するケースも少なくありません。
まずは業務プロセスを見直し、「どこを、なぜ、どう変えたいのか」を明確にした上で、それに適したツールを選ぶことが、DXを成功に導くカギとなります。
現場と経営層の認識をそろえる
DXがうまく進まない理由の1つに、現場と経営層の温度差があります。例えば経営側は「DXで業績を伸ばしたい」と考えていても、現場では「新しいシステムに対応する余裕がない」「今のままでも問題ない」といった反発が起こることも少なくありません。
こうしたギャップを埋めるには、DXの目的や取り組む理由を、現場に対して分かりやすく伝えることが重要です。単なる業務のデジタル化ではなく、働きやすさの向上や業績の向上による給料アップの可能性など、現場にとってのメリットも具体的に共有する必要があります。
一方で経営層にも、現場の実情や負担を理解し、実行可能なペースで進める柔軟さが求められます。両者が同じ方向を向いてこそ、DXは実行力を持ち組織全体に根付いていくのです。
まとめ
DX推進のプロセスは、単にツールを導入すれば完了するものではありません。目的の明確化から業務の見直し・通信環境の整備・目的達成や定着に向けた継続的な改善まで、一つひとつのフェーズを丁寧に進める意識が求められます。
中でも通信環境を含む業務インフラの整備は、全ての取り組みの土台となる部分です。安定したネットワークがなければ、せっかくクラウドツールのように業務を効率化できるツールを導入しても十分に機能しません。
イッツコムの「かんたんWi-Fi」は、ネットワーク環境の整備に課題を抱える企業にとって、導入のしやすさと運用の安心感を両立できる現実的な選択肢です。今後DXを進めたい企業は、まず社内の通信環境を見直すことから始めてみましょう。