1. コラム
  2. コラム
  3. 旅館の予約管理を改善!無料ツールからスマートロックまで徹底解説

旅館の予約管理を改善!無料ツールからスマートロックまで徹底解説

小規模な旅館では、現在でもExcelや紙の台帳を使って予約を管理している例が見られます。しかし、ダブルブッキングや入力ミスが発生しやすく、対応に時間を取られてしまうこともあるかもしれません。

そこで本記事では、無料で使えるツールや低コストの仕組みを使って、業務負担を減らしながら効率よく予約を管理する方法を紹介します。

無料で始める予約管理の基本

初期費用をかけずに予約管理を効率化したい場合、GoogleカレンダーやGoogleフォームなどの無料ツールを活用する方法があります。操作が簡単で導入のハードルも低く、小規模な旅館でもすぐに試せる点が魅力です。ここでは、実際の使い方とメリットを紹介します。

Googleカレンダーで部屋ごとの予約状況を見える化

Googleカレンダーは、部屋ごとの予約を色分けして管理できる便利なツールです。例えば「和室A」「洋室B」など部屋ごとにカレンダーを作成し、予約状況に応じて色を変えることで、空室状況を視覚的に把握できます。確定予約は赤、仮予約は黄色、清掃予定はグレーといった具合に設定すれば、一目で状況が分かります。

予定の詳細欄には、顧客名、宿泊人数、電話番号、チェックイン・アウト時間、食事の有無などを記載可能です。こうした情報をカレンダー上で一元的に確認できることで、紙の予約台帳以上に効率よく管理できます。

さらに、Googleアカウントを使ってスタッフと共有すれば、リアルタイムでの情報共有も簡単に実現できます。スマートフォンからの確認・編集にも対応しているため、フロント業務や外出先からでも対応が可能です。

Googleフォームとスプレッドシートでネット予約を自動化

ネット予約を受け付ける仕組みを整えるには、Googleフォームが有効です。名前・連絡先・宿泊希望日・人数・部屋タイプなどを入力してもらうフォームを作成すれば、顧客はスマホやPCから簡単に予約できます。送信された内容は自動でGoogleスプレッドシートに記録され、転記作業が不要になります。

フォームの設計次第で、チェックボックスや日付選択、プルダウンメニューなども活用でき、入力ミスを減らす工夫も可能です。作成したフォームは、自社ホームページやSNSにリンクを貼るだけで公開できます。

さらに発展させる方法:Google Apps Script で自動化と連携を強化

Googleのツールは、基本的な使い方にとどまらず、自動化を取り入れることで実用性が大きく高まります。Google Apps Script(GAS)を活用すれば、簡易な予約管理を一段階レベルアップさせることが可能です。

例えば、Googleフォームの送信と同時に、確認メールを自動送信する機能を組み込めます。「ご予約ありがとうございます」といった返信に加えて、チェックイン前日のリマインダーを設定することもでき、予約忘れや対応漏れのリスクを抑えられます。

また、スプレッドシートとGoogleカレンダーを連携させるスクリプトを使えば、フォームで受け付けた予約内容をカレンダーに自動登録できます。予約の転記作業が不要になり、ダブルブッキングの防止や空室状況の可視化が一層スムーズになります。

さらに、閲覧専用の空室カレンダーを用意して自社サイトに埋め込めば、顧客が自分で空室を確認できるようになります。問い合わせ対応の手間が減り、営業時間外でも予約状況を案内できるようになるため、業務効率も向上するでしょう。

無料ツールの限界?次に考えるべき選択肢

Googleカレンダーやフォームを使った予約管理は、無料で導入できる手軽さが魅力です。
ただし、施設の運営規模や業務の複雑さが増してくると、次第に無料ツールだけでは対応しきれない場面が出てくるかもしれません。

ここでは、実際に現場で起きがちな問題を通して、無料ツールの限界とその先の選択肢について考えてみましょう。

繁忙期や人的ミスが増える要因

閑散期は問題なく回っていた予約管理も、繁忙期に入ると一気に綻びが出ることがあります。問い合わせの数が増え、予約の変更やキャンセルも頻発する中で、都度Googleカレンダーやスプレッドシートを開いて手動で更新する作業は非常に手間がかかります。

スタッフが複数人いる場合、同じ時間に同じカレンダーを開いて編集し、保存が競合することでデータが飛ぶ恐れもあります。また、入力のし忘れや重複入力など、ヒューマンエラーが発生しやすくなるのもこのタイミングです。

特に、小規模施設ではフロント業務と予約対応を兼務しているケースも多く、対応の遅れやミスがそのまま顧客の不満につながるリスクも見逃せません。

施設全体の予約を一元管理できない課題

旅館の予約管理は、単に「部屋が空いているかどうか」だけでは完結しません。例えば、食事処の席数や温泉の利用時間など、部屋以外の設備との調整も必要になります。

Googleカレンダーは部屋ごとの空室管理には向いていますが、食事や温泉などの施設を含めた連動管理には対応していません。複数のツールを使い分けると情報が分散し、確認漏れや対応ミスが起きやすくなります。

また、予約に対する支払い状況、リピーター情報、当日のスタッフ配置などをまとめて把握する機能もないため、管理者が頭の中で状況を整理しながら動かなければならない場面が多くなります。こうした属人的な運用は、運営の安定性を欠く要因にもなりかねません。

低コストで予約管理を拡張する方法

無料ツールの限界を感じ始めたら、次は「できるだけお金をかけずに、少しずつ仕組みを整えていく」段階です。高額なシステムをいきなり導入するのではなく、既存のホームページやExcelを活用しながら、必要な機能だけを追加していく方法なら、小規模な旅館でも無理なく対応できます。

WordPressに予約機能を追加する

すでにWordPressで公式サイトを運営している場合、予約機能を追加できるプラグインの導入がおすすめです。

例えば「Booking Package」や「Pinpoint Booking System」などのプラグインを使えば、部屋ごとの空き状況の確認、予約受付、確認メールの送信などが可能になります。

設定は基本的に管理画面上で完結し、日本語対応のものも多いため、専門知識がなくても始められます。また、プラグインによってはオンライン決済や料金のカスタマイズ機能も搭載されているため、後から機能を追加することも可能です。

公式サイトから直接予約を受け付けることで、OTAの手数料を抑え、自社集客の強化にもつながります。

※WordPressおよび各種プラグインはアップデートにより仕様や機能が変更されることがあります。導入時には各プラグインの公式情報や最新の動作環境を必ずご確認ください。

Excelマクロで予約台帳を自動化する

Excelを使って予約管理をしている場合、マクロ(VBA)を使えば、無料のまま機能を大幅に拡張できます。

例えば、専用の入力フォームを作って予約データを自動記録したり、同じ日付・部屋に重複した予約が入らないようチェックしたりといった処理が可能です。また、宿泊日数や曜日に応じて料金を自動計算したり、キャンセル料を自動で算出することもできます。条件に応じた料金切り替え(平日・土日・繁忙期など)も、VBAの条件分岐を使えば柔軟に対応できます。

Excelマクロの使用に追加費用はかかりませんが、基本的なプログラミング知識が求められる点には注意が必要です。ネット上には無料のテンプレートやサンプルコードも多く、それらを使えば完全なゼロからの開発でなくても対応できます。

外部に委託すれば費用が発生しますが、時間をかけてでも自分で構築したい方にとっては、コストを抑えながら予約管理の自動化を実現できる現実的な方法といえるでしょう。

無人運営や非接触対応を視野に入れる施設もある

スタッフの人手が限られている旅館では、受付やチェックインを省力化できないかと考える場面もあります。特に、夜間のチェックインや早朝のチェックアウトがある場合、毎回スタッフを配置するのは現実的ではありません。

また、来訪者との接触をできるだけ減らしたいという理由で、非対面のチェックイン手段を検討する施設もあります。その対応策として、予約管理とスマートロックを組み合わせた運用が選択肢の1つになるでしょう。

例えば、予約時に入室用のコードや鍵情報を発行し、チェックイン対応を不要にする方法です。 このような仕組みは、民泊や貸し会議室などで使われてきましたが、旅館業でも応用可能です。

専任スタッフを置かずに施設を運営したい、夜間は無人にしたいといったニーズがある場合には、 スマートロックの導入と予約システムの連携を検討する余地があります。

【関連記事:スマートロックとは?導入メリット・注意点やおすすめの選び方を解説

スマートロックと連携した予約管理を導入するならイッツコム!

スマートロックと連携した予約管理システムを検討する際、さまざまな業態・運用スタイルにも対応できるよう設計された選択肢として、「Connected Space Share」と「Connected Portal」があります。どちらもイッツコムが提供する法人向けサービスで、用途に応じて使い分けが可能です。

LINEだけで完結する運用を実現するなら「Connected Space Share」

「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」は、 LINE公式アカウントを活用して予約受付から入室までを完結できるシステムです。

ユーザーはLINE上で空き状況を確認し、予約・支払いを済ませたあと、スマートロックの解錠情報を自動で受け取れます。専用アプリのダウンロードや新たな会員登録は不要で、普段使い慣れたLINE上で完結する点が大きな魅力です。

管理者側はWeb上のダッシュボードで予約状況・売上・入退室履歴などを確認でき、スマートロックの管理や通知設定も一括で行えます。 対面での受付対応を省略したいドロップイン形式のスペースや、無人でのチェックインを実現したい旅館などに適したソリューションです。

【導入事例】本厚木ミロード:LINE予約でワークショップ運営を効率化

神奈川県厚木市の商業施設「本厚木ミロード」では、子ども向けワークショップの予約対応に課題を感じていました。従来は当日受付や電話対応が中心で、イベント当日の受付混雑や、予約なしの飛び込み参加による対応負担が大きく、特に感染症対策が求められる中で事前予約制への移行が急務となっていました。

そこで導入されたのが、LINEを使って予約・決済ができる「Connected Space Share」です。来館者は施設のLINE公式アカウントを友だち登録するだけで、イベントの日程を確認し、希望する時間枠を選んで事前に予約・支払いを行うことができます。施設側では、予約状況をリアルタイムで確認できるダッシュボードを活用して、事前に参加者数を把握し、受付スタッフの配置や会場準備を効率化しました。

さらに、予約時に参加費(100円)を徴収する仕組みを取り入れたことで、無断キャンセルの件数が大幅に減少しました。イベント前にはLINEから自動でリマインドメッセージを配信し、当日の案内や注意事項を事前に共有できるようになったことで、当日のトラブルも最小限に抑えられました。結果、イベントの運営効率は向上し、来館者の満足度も高まる結果となりました。

属性別の入室制御・会員管理が必要なら「Connected Portal」

「Connected Portal(コネクティッドポータル)」は、利用者ごとに入室条件を細かく設定したい場合に適したシステムです。 ICカードや暗証番号による解錠に対応し、曜日・時間帯・客室単位でアクセス権限を個別に制御できます。

例えば、従業員や清掃スタッフの入室を特定の時間帯に限定したり、常連客にだけ利用を許可する離れの客室を設けたりといった運用が可能です。また、家族風呂や貸切風呂など、予約者以外には解錠できないよう制限したい施設にも対応できます。

予約確定時に自動で時限キーを発行し、チェックアウト後に無効化する運用にも対応しているため、人的対応の削減とセキュリティ向上を同時に実現できます。

【関連記事:無人店舗のメリット・デメリットやビジネスモデルの具体例を徹底解説

まとめ

予約管理の効率化を図りたい小規模旅館にとって、まずはGoogleカレンダーやフォームといった無料ツールを活用するのが現実的な第一歩です。そこから、ExcelマクロやWordPressプラグインを取り入れて機能を拡張すれば、業務に合った予約体制を段階的に整えられるでしょう。

ただし、繁忙期の対応や無人チェックイン、施設全体の一元管理までを見据えるなら、より高度なシステムの導入をおすすめします。また、スマートロックと予約管理を連携させることで、受付対応を省力化しながら、セキュリティと顧客満足の両立も可能になります。

イッツコムが提供する「Connected Space Shareコネクティッドスペースシェア」や「Connected Portalコネクティッドポータル」は、LINEを活用した簡便な予約運用や、会員属性に応じた入室制御など、施設ごとの運用に最適化された機能を備えています。予約管理に関する課題を感じているなら、ぜひイッツコムの法人向けサービスをご検討ください。