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多言語対応の基本と成功事例!インバウンド対応に強くなる秘訣とは

訪日外国人の増加と「観光立国」実現に向けて、多言語対応は今や観光業界の必須課題となっています。しかし、どのような手段で言語バリアを解消すべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、多言語対応の基本的な考え方や、現場でのよくある課題、効果的な解決策、そして各地の成功事例を交えながら、導入に向けた具体的なステップを紹介します。観光施設や自治体など、インバウンド対応に取り組むすべての方に役立つ内容です。

インバウンド需要に応える多言語対応の必要性

政府の6,000万人受け入れ目標に対応するためには、体系的な多言語化戦略が不可欠です。訪日外国人の行動や消費パターンの変化、政府のガイドライン整備状況など、インバウンド需要に対応するための現状と課題を正しく理解することが第一歩です。

ここでは、訪日外国人を迎える日本の言語対応の現状と、官民両面での取り組みについて詳しく見ていきます。

訪日外国人4000万人時代に求められる言語バリア解消

観光立国を目指す日本では、訪日外国人の増加に伴い多言語対応の重要性が高まっています。政府は2030年に訪日外国人6,000万人の目標を掲げており、実現には言語バリアの解消が不可欠です。コロナ禍の影響で一時減少したものの、2023年には急速に回復傾向にあります。


こうした中で、「ユニバーサルツーリズム」の考え方が注目を集めています。東京2020大会で掲げられた「ダイバーシティ&インクルージョン」の理念は、インバウンド施策においても欠かせない視点です。言語の壁を取り除くことは、年齢や障がいの有無を問わず、すべての人が安心して旅行を楽しむための基盤となります。

日本の言語対応は欧米諸国と比べて、いまだ発展途上にあります。海外ではバリアフリー化が法律で義務付けられていたり、人的なサポート体制が整っている国も多く、日本ではこうした対応が遅れているのが現状です。訪日外国人4,000万人時代を迎えるにあたり、各観光地や施設が言語バリアの解消に真剣に取り組むことが求められています。

多言語対応における政府ガイドラインの要点

観光庁は、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」を策定し、訪日外国人が快適に移動・滞在できる環境の整備を推進しています。ガイドラインは、2013年に発表された「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」を基に、外国人の視点を重視した多言語対応の方針としてまとめられました。

対象となる分野は、美術館や博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関など多岐にわたります。中でも注目したい点は、単なる翻訳作業にとどまらず、「外国人目線」に立った情報提供を重視していることでしょう。

ガイドラインでは、関係者による積極的な多言語対応の実施、外国人の視点からの点検、そして優良な取り組み事例の共有と発信が、具体的な推進手段として示されています。

多言語対応は一度きりの取り組みではなく、継続的に改善していくべきプロセスとされています。

コロナ後の訪日観光における多言語ニーズの変化

2023年のインバウンド消費総額は、過去最高の5兆2,923億円に達し、コロナ前の2019年を9.9%上回りました。

注目すべきは、消費構造の大きな変化です。訪日外国人数は2019年と比較して約21.4%減少した一方、1人当たりの旅行支出額は約33%増の21万2,000円に達しています。特に欧米豪やアジア諸国からの旅行者による支出が大きく伸び、費目別では「モノ消費」から「コト消費」への移行が明確になっています。2019年には買い物代が最大の支出項目でしたが、2023年は宿泊費が最多となりました。

この変化に対応するには、多言語対応の強化が欠かせません。Webサイトや予約システム、SNSでの多言語プロモーションに加え、Googleマップ上の店舗情報を多言語で整備することも効果的です。

さらに、店内掲示物やメニューの多言語化、タブレット式オーダーシステムの導入、AI自動翻訳ツールの活用など、複合的なアプローチが求められています。とりわけ体験型アクティビティでは、文化的背景に関する丁寧な説明が求められ、「ポケトーク」などのAI通訳機の導入が、旅行者の満足度を高める手段となるでしょう。

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多言語対応の主な手段と特徴を徹底比較

多言語対応は一つの方法だけではなく、複数の手段を組み合わせることで最大の効果を発揮します。ここでは、各手段の詳細と活用事例について解説します。

人的リソースによる対応(通訳スタッフ・電話通訳)

多言語対応において人的リソースを活用する方法としては、通訳スタッフの配置や電話通訳サービスの利用が挙げられます。

これらは、複雑な質問や専門的な内容にも柔軟に対応できる点が大きな利点です。観光業界では、文化的背景に配慮した丁寧な説明が求められる場面が多く、人による臨機応変な対応が強みとして発揮されます。

一方で、人的対応にはコスト面での課題もあります。多言語対応が可能な専門スタッフの採用や育成には相応の時間と費用がかかり、常時配置には人件費の負担が重くのしかかります。電話通訳は導入しやすい反面、利用ごとにサービス料が発生するため、費用対効果の検討が必要です。

こうした課題に対し、人的リソースと翻訳ツールを組み合わせることで、より効率的な対応が可能になります。例えば、簡単な案内は翻訳機で処理し、複雑なやり取りは通訳スタッフが担うといったハイブリッド方式は、実用的な手段として有効です。

技術的ソリューション(翻訳機・アプリ・AI通訳)

技術的ソリューションは、多言語対応を支える心強い存在です。中でもAI通訳アプリは、ディープラーニングによる言語処理技術の進化により、より自然で文脈に即した翻訳を実現しています。従来の翻訳アプリと比べて、専門用語や複雑な表現への対応力も向上しています。

主な機能としては、AI音声認識による高精度な通訳、リアルタイム音声翻訳、カメラを使った画像翻訳の3つが挙げられます。例えば、外国人旅行者がレストランでメニューを撮影するだけで瞬時に翻訳され、注文がスムーズに進むといった場面が典型的です。

代表的なアプリとして、多くの言語に対応する無料の「Google翻訳」、複数言語を同時翻訳できる「Microsoft Translator」、会話に特化した「ポケトーク」などがあります。これらは用途やシーンに合わせて選択することが重要です。


設備・表示物の多言語化(サイン・パンフレット・Webサイト)

観光施設や公共空間における多言語表示は、外国人観光客の満足度に直結します。案内サインやパンフレット、Webサイトを多言語化する際には、単なる直訳ではなく、文化的背景に配慮した表現が重要です。

沖縄県が策定した「多言語観光案内サイン翻訳ルール」は、質の高い翻訳を実現するうえでの優れた参考事例といえるでしょう。このルールでは、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語に対応し、地名や一般名詞の対訳事例集も提供されています。

サイン表示では、視認性と分かりやすさが重要です。ピクトグラムの活用は、言語を問わず直感的に情報を伝える手段として有効です。近年では、QRコードを利用した多言語情報の提供も広がりを見せています。一枚の看板やパンフレットにすべての言語を詰め込むのではなく、QRコードを使って詳細情報に誘導する設計にすることで、限られたスペースでも柔軟な多言語対応が可能になります。

Webサイトにおいては、自動翻訳機能の導入だけでなく、文化的背景を考慮したコンテンツづくりが差別化のカギとなります。

コスト別・用途別の最適な多言語対応選択方法

多言語対応を検討する際は、予算と用途に応じた手段を選ぶことが不可欠です。特にEC事業においては、現在の事業規模と将来的な利益見通しを踏まえ、無理のない構築方法を選定しましょう。ASP、オープンソース、パッケージ、フルスクラッチなど、選択する構築方式によってコストには大きな差が生じます。

小規模事業者であれば、対面接客などにおいて初期投資の少ないポケトークなどの翻訳機器が有効ですが、ECサイトにおける対応言語の拡大を目指す場合は、段階的にWebサイトへの自動翻訳機能の導入へと進めるのが現実的です。中規模事業者では、英語・中国語・韓国語といった主要言語に専門翻訳を導入し、それ以外の言語は機械翻訳を活用するハイブリッド方式が費用対効果の面でも適しています。

多言語ECサイトの制作会社を選ぶ際は、単に制作実績の数に注目するのではなく、実際に売上につながったサイトを手がけた経験があるかを確認することが重要です。また、運営開始後のサポート体制も見逃せません。契約前に相談窓口の有無や対応可能時間、想定されるトラブルへの対応範囲などを確認しておけば、安心して多言語サイトを運用できます。

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観光業界・自治体の多言語対応成功事例

観光業界における多言語対応の成功事例は、具体的な手法と成果から学ぶべき点が数多くあります。ここでは、具体的な成功事例を通して、自社の施設やサービスに応用できるヒントを探っていきましょう。

京都市における多言語観光案内の取り組み

京都市が展開する多言語観光案内は、インバウンド対応の好事例として注目されています。英語、中国語、韓国語といった主要言語に対応した公式観光ガイドサイトでは、訪日観光客の多様なニーズに応える情報提供が実現されています。

このサイトの特徴は、単なる翻訳にとどまらない点にあります。観光スポットやイベント情報を直感的に把握できるデザインを採用し、必要な情報にスムーズにアクセスできる構造となっています。地図や交通アクセスの案内も多言語化されており、外国人観光客が安心して市内を移動できるよう配慮されています。

また、文化や習慣の違いにも目を向け、現地の歴史や文化的背景を踏まえた解説を盛り込むことで、より深い観光体験を促しています。加えて、常に最新情報を更新し、利用者のフィードバックを反映させながら継続的な改善が行われている点も特筆すべきです。

地方旅館のポケトーク活用で接客満足度が大幅向上した事例

兵庫県・城崎温泉の「湯楽Kinosak Spa&Gardens」では、ポケトークの導入により、外国人観光客への接客満足度が大きく向上しました。これまで、語学が堪能なスタッフがいない時間帯の対応に課題がありましたが、ポケトークの活用によって年配スタッフでも簡単に操作でき、コミュニケーションのハードルが大きく下がったといいます。

特に、日本料理の食べ方やアレルギーへの配慮など、細かな説明が必要な場面で効果を発揮し、安心して食事を楽しんでもらえるようになりました。城崎温泉の「伊賀屋」や「いろは」でも同様の効果が確認され、スタッフが以前より積極的に外国人客へ話しかけるようになったと報告されています。

ある欧米系の女性客には、バッグに書かれた日本語メッセージの意味をポケトークで説明したところ、大変喜ばれ、そのまま購入に至ったというエピソードもあります。スタッフからは、「外国人客への恐怖心がなくなった」「一人で売り場にいても安心できるようになった」といった声が寄せられています。

このように、多言語対応ツールの導入は、単なる言語の壁を越えるだけでなく、スタッフの心理的なゆとりを生み出し、より質の高いおもてなしの実現につながっています。

多言語Webサイトリニューアルで予約増加に成功したホテルの戦略

あるリゾートホテルでは、多言語Webサイトのリニューアルをきっかけに、外国人客からの予約が大きく増加しました。成功のポイントは、単なる翻訳にとどまらず、外国人の視点で情報設計を見直したことにあります。

まず、アクセス解析を活用して主要な顧客層の国籍を特定し、英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語の4言語に対応。専門の翻訳会社と連携し、それぞれの文化や検索習慣に合わせたコンテンツを作成しました。

特に効果的だったのは、予約システムの多言語化です。従来は日本語のみだった予約フォームを各言語で利用できるようにし、決済方法も各国で一般的な手段を追加しました。さらに、24時間対応のAIチャットボットを導入したことで、時差を気にせず問い合わせができる環境を整えました。

こうした取り組みにより、公式サイト経由の予約数や売上が大きく伸び、サイトの利用時間も増加。特に、口コミの多言語対応や各国の祝日に合わせたプロモーションが、外国人顧客の利用促進につながりました。多言語Webサイトは、単なる翻訳ではなく、文化やユーザー体験に寄り添った設計が重要であることが改めて示されました。

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多言語対応システム導入の具体的ステップとポイント

多言語対応を効果的に進めるには、導入前の調査、計画的な実装、現場での活用までを一貫して設計することが重要です。ここではその具体的な進め方と留意点を紹介します。

外国人利用者の言語ニーズ調査・分析方法

効果的な多言語対応を実現するには、訪問する外国人の言語ニーズを正確に把握することが不可欠です。

まず、施設の入場者データや宿泊予約情報から国籍別の来訪者数を集計し、主要な対応言語の優先順位を決定します。さらに、Google Search Consoleを活用して、自社Webサイトへの流入がどの国・言語から多いかを分析できます。



アンケート調査も効果的で、QRコード付きの多言語アンケートを設置したり、チェックイン時に簡単な言語ニーズ調査を実施したりすることで、具体的な要望を収集できます。また、地域の観光協会や自治体が公開している外国人観光客の統計データも参考になるでしょう。

対応言語の優先順位付けと段階的導入計画の立て方

限られたリソースで効果的な多言語対応を実現するには、対応言語の優先順位付けが重要です。

まず、前項の調査で特定した主要来訪国の言語から着手しましょう。訪日外国人上位国の言語(英語、中国語、韓国語)を第一優先としつつ、急増している東南アジア諸国の言語も検討する価値があります。


大切なのは、多言語対応は段階的に進めることです。第一段階では安全・緊急情報や基本案内など必須情報の翻訳から始め、次に施設案内や利用方法などの一般情報、最後に地域の文化や歴史などの付加価値情報へと拡張していきます。



各段階で成功指標を設定し、効果測定を行うことも欠かせません。例えば「外国人宿泊者満足度10%向上」などの具体的な目標を定めることで、投資対効果を可視化できます。



ツールの選定も計画的に行い、初期段階では緊急時対応用にポケトークのような翻訳機を導入し、段階的にWebサイトの多言語化や専門スタッフの育成へと展開するのが効果的です。

スタッフ教育と多言語ツール活用の研修ポイント

多言語対応ツールを現場で効果的に活用するには、スタッフへの体系的な研修が欠かせません。一例として、東京都のアドバイザー派遣事業では、店舗や施設のニーズに応じた専門的な研修が行われています。

・調理スタッフ:ムスリム旅行者の食習慣や制限、ベジタリアン・ヴィーガン対応、メニュー開発の基礎知識を提供
・接客スタッフ:文化的背景に配慮したマナーや礼拝対応など、実践的な接遇スキルを指導

研修には、ハラール対応店やヴィーガンスイーツ店での実地体験も含まれ、現場で役立つ知識が身につきます。多言語メニューやピクトグラムの活用法、翻訳機器と人的対応を組み合わせた効率的な伝え方も学べます。

このような研修を通じて、スタッフは外国人旅行者との心理的な壁を取り除き、自信を持って対応できるようになるでしょう。

コスパ良好の多言語対応ならAI通訳機「ポケトーク」

成功事例でも紹介したように、ポケトークは多言語対応の強い味方です。使いやすさ、品質、価格の三拍子をそろえたツールであり、イッツコムでは法人向けに初期費用無料でレンタルサービスを行っています。

翻訳精度が高く多機能

多言語対応ツールとして注目を集めているポケトークは、Sシリーズで85言語(うち74言語が音声とテキスト、11言語がテキストのみ※)に対応する高性能AI通訳機です。インバウンド需要の増加に伴い、多言語スキルを持つ人材確保に苦戦する観光施設や店舗にとって強力な味方となります。



ポケトークが支持される理由は、その優れた翻訳精度と使いやすさにあります。国旗をタップするだけで85言語の中から簡単に言語選択ができ、相手の言葉がわからなくても円滑なコミュニケーションが可能です。また、カメラ翻訳機能を使えば、撮影するだけでメニューや案内表示を即座に翻訳できます。



さらに、オフライン環境でも事前に登録した定型文や過去の翻訳履歴を音声で再生する機能があり、日本語を含む主要8言語に対応しています。リアルタイム翻訳には通信環境が必要ですが、Wi-Fiが使えない場所でも最低限の対応が可能です。

※2025年3月現在

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イッツコムでは、法人向けに初期費用0円・月額1,900円(税抜)で、ポケトークSと法人データSIMのセットをレンタル提供しています。通信料は定額のため、使用頻度の高い施設にも適しています。

翻訳機の初期購入費なしで高性能な多言語対応ツールを導入できる本サービスは、訪日外国人対応に悩む観光施設や宿泊施設にとって、低コストで質の高いコミュニケーションを実現する有力な選択肢です。

他の翻訳機も法人データSIMのシェアプランでお得に利用

ポケトークSは非常に評価の高い翻訳機ですが、「他のSIM対応機器も比較してみたい」と考える方もいるでしょう。そうしたニーズに応える形で、イッツコムでは法人用データSIMのみの契約にも対応しています。

法人向けには「シェアプラン」の選択肢があり、複数枚のSIMを一括契約することで割安な料金で利用できます。契約数が多いほど1回線あたりのコストが下がり、全体でデータ容量を効率よく共有できるのが特長です。加えて、トライアル期間中に実際の通信量を確認できるため、自社に合ったプランを無理なく見極められる点もメリットといえるでしょう。

まとめ

訪日外国人の増加に向けて、多言語対応は観光業界の必須課題となっています。対応手段には人的リソース、技術的ソリューション、設備・表示物の多言語化があり、予算や用途に応じた最適な選択が重要です。地方自治体や観光産業などの成功事例からは、ポケトークなどのAI通訳機の活用が効果的であることが分かります。導入に際しては、利用者の言語ニーズ調査、優先順位付け、スタッフ教育、継続的な品質管理の仕組み作りが成功のカギとなります。

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