インバウンド対策を成功させるポイント・ツールと具体的な成功事例
目次
2024年は過去最高の訪日外国人客数を達成する見込みで、日本全国の自治体や店舗はコロナ禍からのインバウンド急回復に対応することが急がれます。インバウンド対策に着手するに当たり、成功事例から学びたい方もいるのではないでしょうか。
プロモーションにはSNSとハッシュタグ、多言語対応にはAI通訳機を活用するなど、IT・デジタル技術を計画的に使いこなすことが成功のポイントです。そこでこの記事では、インバウンド対策を成功させるための準備とツール、具体的な成功事例について紹介します。
インバウンド観光が生む経済効果の重要性
2022年10月に新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅緩和されてから、インバウンド消費はV字回復を果たし、世界的な物価高騰や歴史的な円安を背景に拡大基調にあります。観光ニーズの多様化も見られ、全国的に幅広い業界で経済波及効果が生まれる見込みです。
2024年暦年のインバウンド客数は過去最高を更新する見込み
JNTO(日本政府観光局)の統計情報によると、2024年3月の訪日外国人旅行客数は308万1,600人(前年同月比69.5%増)で、単月で初めて300万人を上回り過去最多となりました。続く4月は304万2,900人(前年同月比56.1%増)となり、2か月連続で300万人を突破しています。
中国からの訪日外国人旅行客数はコロナ禍前の水準まで戻っていないものの、フランス・イタリア・中東地域で単月過去最高を更新するなど、近隣アジア諸国・欧米豪・中東地域からの大幅増加が押し上げ要因となりました。
政府は年間の訪日外国人旅行客数が過去最多だった2019年(3,188万人)を2025年までに上回る目標を掲げていますが、2024年4月までに累計で1,000万人を超えており、目標達成の前倒しも見込まれるほどインバウンド観光は盛況です。
(参考: 『訪日外客数(2024年4月推計値)|JNTO 日本政府観光局』)
全国的に幅広い業界で経済波及効果が見込まれる
観光庁が発表した統計情報によると、2024年1〜3月期のインバウンド消費額は四半期ベースで過去最高の1兆7,505億円(2023年同期比73.3%増、2019年同期比52.0%増)となりました。
2023年暦年のインバウンド消費額は5兆2,923億円でコロナ禍前を超えて初の5兆円突破となりましたが、2024年はさらなる消費額増加が見込まれます。
1人当たり旅行支出は欧米豪の伸びが大きく、費目別で見ると「買物代」の支出額が大きい中国とは対照的に、欧米豪は「宿泊費」「飲食費」「交通費」「娯楽等サービス費」の支出額が大きいことも特徴です。
また近隣アジア諸国のリピーターを中心に地方訪問率は高く、都市部だけでなく地方部におけるインバウンド交流人口・消費額の拡大が見込まれます。全国的に幅広い業界で経済波及効果が生まれることで、地域活性化・地方創生につながることも期待できるでしょう。
(参考:『【訪日外国人消費動向調査】2024年1-3月期の調査結果(1次速報)の概要|観光庁』)
(参考:『【訪日外国人消費動向調査】2023年暦年 全国調査結果(速報)の概要』)
インバウンド集客における自治体・企業の課題
自治体や企業がインバウンド集客を成功させるには、さまざまな課題を解決する必要があります。全国的に「コロナ禍からの急激なインバウンドの回復に観光地が対応できていない」というケースは少なくないでしょう。
多くの自治体や観光地域づくり法人(DMO)は、インバウンドの課題として「受け入れ体制整備」「人手不足」「誘客プロモーション」などを挙げています。解決すべき課題は以下のようなものです。
・交通インフラの整備・強化
・フリーWi-Fiなど通信環境の整備
・キャッシュレス決済への対応
・多言語での観光案内表示やWeb活用による情報発信
・デジタル技術を活用した人手不足の解消
・過剰な混雑やマナー違反などのオーバーツーリズム対策
インバウンド集客を成功させるための3ステップ
インバウンド集客の準備として、まず訪日外国人旅行客の分析とターゲティングが必要です。観光資源を生かしてターゲットに刺さる商品・サービスを開発し、Webを活用して多言語で情報発信しましょう。ここでは、インバウンド集客の手順を3ステップで解説します。
1.訪日外国人旅行客の分析とターゲティング
インバウンド集客を成功させるには、訪日外国人旅行客の文化的な多様性を考慮し、どの層に向けてどのようなアプローチをかけるかを計画する必要があります。そのためには分析とターゲティングが重要です。
訪日外国人旅行客は出身地・年齢・性別・社会的地位などによって文化や価値観が異なり、「日本観光に求めるもの」にも違いが生まれます。個人旅行客か団体ツアー客かによっても最適なコンテンツは異なるため、活用できる観光資源に合わせて、メインとなるターゲットを明確化することが大切です。
2.観光資源を生かした商品・サービスの開発
「日本人にとって当たり前のことが外国人にとっては特別」ということはよくあります。いまだ十分に活用されていない観光資源を発掘し、ターゲットの心をつかむ商品・サービスを開発することが重要です。
インバウンド消費が「爆買い」に象徴される買い物ツアー(モノ消費)から、地方の日本文化に触れる旅(コト消費)へシフトしていることにも着目し、体験型アクティビティを開発するのもよいでしょう。活用したい観光資源の例は以下のようなものです。
・地域ならではの食や酒
・四季の風景(花見・紅葉・雪など)
・神社仏閣や庭園
・城郭や史跡
・能や歌舞伎などの伝統芸能
・茶道や着物などの伝統文化
・陶芸や染織などの伝統工芸
・歴史ある町並み
・美術館や博物館
・アニメや漫画の聖地
3.Web活用で多言語対応の情報発信
観光資源を生かした商品・サービスの魅力を伝え「ぜひ訪問したい」と思ってもらえるように、ターゲット層を意識して情報発信することが必要です。訪日外国人客は訪日する前にWebで情報収集し訪問地を決め、移動中にもスマホなどから観光情報にアクセスします。
観光案内所やホテルに観光ガイドブックを設置することも重要ですが、Webサイトを多言語化し、多言語対応の観光サイトやSNSなども活用しましょう。
例えばJNTOは、15言語のWebサイトや各種SNSを通じて外国人目線で旅行に役立つ幅広い情報を提供し、訪日誘客に取り組む自治体・企業のプロモーション活動をサポートしています。ターゲット層によっては、外国人インフルエンサーを起用し、SNSや個人ブログなどを通じて誘客することも考えられるでしょう。
【関連記事:インバウンド対策とは?飲食店の売上アップを成功させる施策8選】
インバウンド対策に活用したいツール4選
インバウンド集客にはSNSとハッシュタグによるプロモーション、Googleビジネスプロフィールによるビジネス情報の発信が重要です。訪日外国人旅行客の受け入れ体制強化のために、キャッシュレス決済端末やAI通訳機も導入しましょう。
SNSとハッシュタグ
Facebook・Instagram・X(旧Twitter)といった世界的にユーザー数の多いSNSを活用した観光プロモーションは重要です。ユーザー層や機能はサービスによって異なるため、ターゲットや観光資源に合ったSNSを運用しましょう。
Facebookページはユーザー同士で情報をシェアしやすく、コミュニティ内で口コミを拡散させやすい特徴があります。Xは文字情報が主体ですが、Instagramは画像や動画が主体のため、多言語対応が不十分でもインパクトのある訴求がしやすいでしょう。
SNSを活用する場合、投稿にハッシュタグを付けることも重要です。例えば「#japantrip」「#tokyotravel」などのハッシュタグを付けることで外国人が観光情報を検索する際にヒットしやすくなり、コンテンツの魅力を認知・理解してもらえる可能性が高まります。
Googleビジネスプロフィール
無料のGoogleビジネスプロフィールを利用すると、Google検索やGoogleマップで表示される観光施設や飲食店などのビジネス情報を管理できます。ビジネス情報から経路案内や予約受付も可能です。Google検索・マップは観光情報の検索によく使用されるツールであるため、訪日外国人観光客の目線で重要なビジネス情報を発信しましょう。
住所・連絡先・営業時間や衛生・安全対策など基本情報の他、料理メニューやサービス内容も設定できます。基本情報は自動翻訳されますが、自動翻訳されない箇所は手動で多言語化しましょう。
管理画面からはユーザーのアクセスデータを分析することもでき、プロモーション施策の改善にも役立ちます。
キャッシュレス決済端末
インバウンドのボリュームゾーンはキャッシュレス決済比率の高い国も多いため、現金払いのみ対応だと機会損失の恐れがあります。キャッシュレス決済端末を導入し、クレジットカードや電子マネーによる決済にも対応しましょう。
キャッシュレス決済端末は据え置き型・モバイル型、対応する決済方法などで複数の選択肢があります。iPadやiPhoneで利用できるキャッシュレス決済対応のPOSレジアプリ、専用端末不要でiPhoneにクレジットカードをタッチするだけで決済できるサービスなどもあるため、施設・来客両方にとって利便性の高い機種・サービスを選定しましょう。
AI通訳機
訪日外国人旅行客の受け入れ体制として観光施設や店舗の多言語対応は必須です。「言語の壁」があると訪日外国人旅行客の回遊や施設利用に支障をきたす他、施設・店舗のスタッフの負担も大きくなるでしょう。
「POCKETALK(ポケトーク)」に代表されるハンディ型のAI通訳機を導入すると、外国語人材の確保が難しいマイナー言語での接客にもスムーズに対応できます。体験型アクティビティの案内などにも活用しやすく、顧客体験の向上やリピーター獲得、良質な口コミの拡散にもつながるでしょう。
【関連記事:AI翻訳とは?RBMT・SMT・NMTの違いやサービスの選び方】
インバウンド対策の成功事例3選
インバウンド対策の成功事例として注目を集める自治体のひとつは、計画的なPRと受け入れ体制強化で外国人観光客が殺到する岐阜県です。他にも主要な観光資源である温泉をフル活用する群馬県草津市、AI通訳機で多言語対応の精度を向上した京都伝統産業ミュージアムなど、さまざまな事例から成功のポイントを学べます。
岐阜県:計画的なPRと受け入れ体制強化で外国人観光客が殺到
岐阜県は「飛騨の小京都」として知られる高山市の古い町並みや、世界遺産白川郷・五箇山の合掌造り集落など、豊富な観光資源があります。世界的にヒットしたアニメ映画「君の名は。」の聖地巡礼が一巡し、コロナ禍を迎えてからも、YouTubeでPR動画を配信するなどプロモーション活動を続けてきました。
観光ルートの整備や海外旅行博への出展、観光ガイドブックの多言語対応などさまざまな施策を展開し、2024年春には訪日外国人旅行客が殺到する賑わいを見せています。
Instagramでは「#hidatakayama」「#takayama」といったハッシュタグで多数の写真が投稿され、旅館やホテルは連日ほぼ満室という状態です。米国やオーストラリアの高付加価値旅行者を誘致するプロモーション施策などにも余念がなく、サステナブルな観光への取り組みを続けています。
群馬県草津市:主要な観光資源をフル活用したインバウンド集客
全国有数の温泉地を主要な観光資源とする群馬県草津市は、2023年、フランス・スペイン・イタリアなどから訪日外国人旅行客が急増しました。温泉に入るという文化が受け入れられつつあり、浴衣を着る非日常の体験などへの関心が高まっていると考えられます。
草津市ではさらなるインバウンド需要の取り込みを目指し、外国人インフルエンサーを通じて温泉や湯畑の魅力を外国語で発信するなどプロモーション活動に注力しています。また創業110年の老舗ホテルが10以上の言語で大浴場やレストランの案内を表示できるようにするなど、受け入れ体制の強化も進んでいる状況です。
京都伝統産業ミュージアム:AI通訳機で多言語対応の精度を向上
来場客の7〜8割を訪日外国人旅行客が占める京都伝統産業ミュージアムは、英語やフランス語など外国語対応可能なスタッフは在籍していますが、AI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」を導入して多言語対応の接客力をさらに向上しました。
伝統産業の歴史や伝統的な技術・技法について質問を受けたときや、「スタッフが英語対応できても来場客はスムーズに英語を話せない」といったとき、サッと取り出して使えることで精神的な支えになっています。
お土産コーナーでは工芸品の豆知識を交えて外国語対応できるようになり、売上アップへの貢献も実感しているようです。
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観光コンテンツを整備してプロモーション施策を展開したら、訪日外国人旅行客の受け入れ体制として多言語対応が必要です。必要なときに素早く取り出せるAI通訳機を導入し、接客力を向上させましょう。
80以上の言語に対応するAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」は、言語ごとに最も高精度な翻訳エンジンを採用することで、ネイティブの語学講師も認める翻訳精度を実現しています。
「ボタンを押して話すだけ」の使いやすさや自然な読み上げ音声、騒がしい環境の中での聞き取りやすさなど、総合的な完成度の高さも魅力です。
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まとめ
2024年は過去最高のインバウンド客数を達成する見込みで、日本全国のさまざまな地域が観光客で賑わっています。一方でコロナ禍からのインバウンド急回復に対応できていない自治体・店舗も多く、ターゲティングや観光資源を生かした商品・サービス開発、Webを活用したプロモーションや多言語対応が急がれる状況です。
成功事例に学び、インバウンド対策を成功させましょう。イッツコムは法人向けに、接客時などの外国語対応をスムーズにするAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」を提供しています。インバウンド対策をお考えなら、多言語対応の悩みをスマートに解決できるイッツコムにご相談ください。