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「テレワーク」と「リモートワーク」の違いは?メリットや導入ポイントを解説

コアオフィスから離れた拠点で働くスタイルは「テレワーク」や「リモートワーク」と呼ばれます。テレワークとリモートワークの違いが不明瞭で、制度導入のために情報を整理したい方もいるのではないでしょうか。

テレワーク・リモートワークの語義や使われ方、導入効果・注意点や導入方法を知ることで、制度導入のために必要なICT環境を具体的に検討できます。言葉の意味から導入方法まで、情報を整理して把握しましょう。そこでこの記事では、テレワーク・リモートワークの違いや導入メリットと課題、制度導入のために必要な準備についてご紹介します。

テレワークとリモートワークの違いは?

テレワークとリモートワークという言葉はほぼ同義語として使われます。では、なぜ同じような意味の言葉が併用されるのでしょうか。まずはテレワークとリモートワークの語義や使われ方の違い、テレワークの勤務場所による3分類について解説します。

テレワークとは

「テレワーク(telework)」は1970年代にアメリカで生まれ、日本では1980年代に使われるようになった造語です。インターネットの黎明期に、オフィス依存の仕事で生じる問題を解決するために、離れた拠点で仕事をするスタイルが生まれました。

この経緯から、テレワークは基本的に「ICT(情報通信技術)を活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と理解されます。場所だけでなく時間についても定義に含めているのがポイントです。日本では政府機関が採用している表現で、古くから一般的に使われています。

リモートワークとは

「リモートワーク(remotework)」は比較的最近使われるようになった造語です。「遠隔で仕事をする」といった意味で、コアオフィスがあることを前提に、社員が遠隔地で仕事をする働き方を指します。この表現が使われるのは、主にIT業界など、ICT活用を前提とする職場です。

テレワークは働き方の改善にフォーカスして「テレワーク化できる仕事かどうか」の検討から始めますが、リモートワークは「働く場所がオフィスか遠隔地か」にフォーカスします。とはいえ、定義の違いはあまり重視されておらず、「テレワークとリモートワークは同義語」として扱うのが一般的です。

在宅勤務とは

総務省はテレワークの働き方を勤務場所別に3つに大別しており、そのひとつが「在宅勤務」です。在宅勤務はその名の通り、社員の自宅を勤務場所とします。在宅勤務者は自宅の一角をワークスペースとして活用し、デスク・チェアやインターネット回線などは社員による自前調達が一般的です。

ワークライフバランスの向上には向きますが、社員間のコミュニケーション不足やワークスペース整備の難しさなど、在宅勤務ならではの問題もあります。

モバイルワークとは

「モバイルワーク」は総務省によるテレワークの3分類のひとつです。固定的な施設に依存せず、移動中の車内やカフェなどで働きます。外回りの営業職などと親和性が高い働き方で、企業がモバイルワークを認めれば直行直帰も可能です。ただし、ファイル共有システムや通信環境の不備などで、効率的に業務遂行できないケースもあります。

サテライトオフィス勤務とは

「サテライトオフィス勤務」は総務省によるテレワークの3分類のひとつです。コワーキングスペースやレンタルオフィス、コアオフィスに対して衛星的に設置するサテライトオフィスなど、企業が契約・整備したオフィススペースで働きます。

社員が孤立しがちな在宅勤務とは異なり、テレワーカー同士の対面コミュニケーションができるのはメリットです。ICTツールは別途整備する必要はありますが、デスク・チェア・通信環境など最低限のワークスペース環境は完備されているので、在宅勤務の難しい社員もテレワークに移行させられます。

テレワーク・リモートワーク導入による企業のメリット

働き方改革やコロナ禍の影響で全国的にテレワーク移行が進んだ結果、「テレワーク導入は想像以上に効果的」「この仕事はテレワーク化して良かった」と気付く企業も多いでしょう。テレワークの魅力とは何なのでしょうか。ここでは、テレワークの主なメリットを4つに分けて解説します。

多様な人材を確保できる

テレワークを導入する大きなメリットのひとつは、オフィスに依存しないことで多様な人材を確保しやすくなることです。主に以下の採用パターンが考えられます。

・都心の企業が地方の優秀な人材を採用
・地方の企業が都心の優秀な人材を採用
・海外在住の人材も採用できる
・育児や介護で忙しい人材も採用しやすい
・移動の難しい高齢者や障がい者も採用できる

さまざまなコストを削減できる

テレワークを導入するとオフィスや紙資料の依存率が下がるので、さまざまな面でコスト削減が期待できます。主なコスト削減効果は以下の通りです。

・交通費:特に在宅勤務で効果大
・出張宿泊費:Web会議をすれば支社からの人材招集が不要
・オフィスの賃料や光熱費:オフィスの縮小化で維持コストが減少
・ペーパーコスト:ペーパーレスの情報共有・承認プロセスでコスト削減

社員のワークライフバランス向上

テレワークを導入すると通勤時間が減少するかゼロになり、社員は余剰時間を趣味や友人との交流に充てられます。特に在宅勤務の場合は育児や介護との両立もしやすく、仕事と生活の間で板挟みになる状況を回避しやすいのは大きなメリットです。

仕事と生活が両立しやすくなることで、モチベーションやエンゲージメントの向上につながり、生産性向上の効果も生まれます。

BCP対策に有効

災害大国の日本では台風・洪水・地震など、自然災害でオフィス機能が破壊され、事業継続が困難になる企業は珍しくありません。また、コロナ禍で多くの企業が体験したように、長期的に出社が制限されるケースもあります。

コアオフィスに依存しないテレワークであれば、出社不要である上オフィス機能を分散化できるので、BCP(事業継続計画)対策に有効であることもメリットです。

テレワーク・リモートワーク導入の注意点とは

テレワーク制度は適切に導入・運用すればさまざまなメリットを享受できる一方で、導入後に思わぬデメリットに気付く企業も少なくはありません。主な注意点は、セキュリティリスク・コミュニケーション不足・マネジメントの難しさの3点です。それぞれの注意点を解説します。

セキュリティリスクの増大

テレワーク環境では社内情報を社内LAN外に持ち出すケースが増える上、社員が社外で利用する通信環境はコントロールしにくい懸念もあります。特にモバイルワークではフリーWi-Fi経由で機密情報をやり取りするなど、深刻なセキュリティリスクを抱えるケースもあるでしょう。

コミュニケーション不足

テレワークを導入すると社員の勤務場所が分散化し、必然的に対面コミュニケーションの機会が激減します。特に在宅勤務は孤立感を抱きやすい働き方です。同僚との何気ない会話が減る他、「上司が部下の仕事を評価しにくい」「上司に仕事が評価されるか分かりにくい」といった問題も生じます。

マネジメントの難しさ

テレワーカーは始業時間・休憩時間・就業時間の区切りを付けにくい上、企業からすれば勤怠管理が難しいのは懸念点です。また、業務の進捗状況は一元管理が難しくなります。

コアオフィスで構築した業務フロー管理や勤怠管理の仕組みをテレワーカーにそのまま適用できないケースもあり、マネジメントの難しさが問題になりやすいのはデメリットです。

テレワーク・リモートワーク導入に必要な準備

テレワークにはコアオフィス勤務とは異なる特有の難しさがあるので、メリットを享受するには制度導入前に適切な準備が求められます。具体的には、テレワーク勤務規定の策定やICTツールの導入、サポート体制の整備です。制度導入に当たって必要な準備を7つに分けて解説します。

テレワーク勤務規定の策定

コアオフィス勤務とテレワーク勤務の労働条件が異なる場合、就業規則の変更が必要です。テレワーク勤務にのみ適用される労働条件に関しては、就業規則の一部として「テレワーク勤務規定」を新たに設けることで対応できます。

例えば、業務の開始・終了の報告方法やフレックスタイム制の規定などです。テレワーク勤務規定の策定に当たっては、厚生労働省が無料提供するPDFファイル「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」が参考になります。

テレワーク導入前の研修

テレワーク勤務はテレワーク勤務規定の策定と利用者の申請・承認プロセスを経て実施できます。ただし、テレワーク導入前にはテレワーカーとコアオフィス勤務者双方の研修が必要です。

テレワークはコアオフィス勤務とは大きく異なる働き方なので、テレワーカーにはテレワーク勤務規定や新しい業務プロセスの理解が求められます。コアオフィス勤務者もテレワーカーとのコラボレーション方法や、適正な承認プロセス・評価方法についての理解が必要です。

コミュニケーションツールの導入

テレワーク導入に当たってはコミュニケーションツールの導入が必須です。ビジネスチャットツールやWeb会議システムを導入し、利用方法のルールも策定しましょう。

コミュニケーションツールは業務上のやり取りや会議に使える他、部下・上司の定期的な1 on 1ミーティングにも活用できます。テレワーカーが抱えやすい孤立感を払拭したり、適正な評価をしたりする意味でも重要なツールです。

ファイル共有システムの導入

テレワーカーはコアオフィスとは離れた場所で仕事をするので、何らかのファイル共有システムの導入は必須です。社内LAN内でファイルサーバーを運用する方法もありますが、外部ネットワークからアクセスするにはVPNの導入が求められます。

日常的なファイル共有については、インターネット経由で利用できるクラウドストレージの導入が効果的です。ただし、いずれの場合も通信経路のセキュリティ対策や、社員のセキュリティ教育が求められます。

業務フロー管理や勤怠管理

テレワーカーは他の社員の業務進捗を把握しにくく、コアオフィス勤務者もテレワーカーの業務進捗が見えにくいのは懸念点です。そこで業務フロー管理ツールの導入と、運用ルールの策定が求められます。

同様にテレワーカーの始業・休憩・終業は視覚化しにくいため、勤怠管理システムの導入も必須です。高機能なクラウドストレージサービスは業務フロー・勤怠の一元管理に対応できるので、シンプルな仕組み作りに役立ちます。

金銭面のサポート

テレワークを導入すると必要経費の考え方が変わってくるのも注意点です。特に在宅勤務者は業務用のデスク・チェアを購入したり、自宅の電気やインターネット回線を業務利用したりします。

しかし、オフィス家具の「業務に必要/不必要」の線引きはあいまいで、光熱費や回線費用は家事按分が難しいのは懸念点です。そこで多くの企業は、環境整備のために定額の一時金を支給したり、テレワーク手当て(在宅勤務手当て)を毎月支給したりして対応しています。

健康面のサポート

テレワーク勤務はコミュニケーション不足による孤立感や運動不足による筋力低下・体重増加などで、心身に不調をきたしやすい働き方です。健康面のサポート体制が整っていなければ、テレワーカーは想像以上のストレスで心身を病む恐れがあります。そこで、以下のようなサポート体制の整備が大切です。

・産業医による健康診断
・オンライン相談窓口の設置
・運動不足解消のTIPS公開

テレワークの必須ツールを一括導入するならイッツコム!

テレワークを実施するにはファイル共有システム・コミュニケーションツール・VPN接続・業務フロー管理ツール・勤怠管理システムなど、多くのICTツールの導入が求められます。イッツコムなら複数サービスの組み合わせでトータルな環境整備が可能です。

モバイル閉域接続 × イッツコム光接続サービス

外部ネットワークから社内LANにアクセスするにはVPN接続が必須ですが、コアオフィスのVPNサーバーへアクセス集中することによる深刻な接続遅延は懸念点です。また、テレワーカーの通信環境は業務利用レベルに達していないケースがあり、特にモバイルワーク勤務者は通信環境の不備が問題になります。

そこでイッツコムの「モバイル閉域接続」と「イッツコム光接続サービス」の組み合わせが効果的です。モバイル閉域接続はPCやスマホに専用SIMを挿入するだけで、インターネットを経由せずに社内LANへアクセスできます。イッツコム光接続サービスは下り最大2Gbpsの安定した高速回線で、ファイルサーバーの安定運用が可能です。

有料版Zoom × 有料版box

ZoomはWeb会議システムとしてだけでなく、チャットツールとしても活用できます。しかし、無料版Zoomはミーティングに40分制限があるなど、ビジネスユースには向きません。有料版Zoomなら時間無制限で利用できる上、録画のクラウド保存などビジネスに役立つ豊富な機能を活用できます。

これにクラウドストレージサービスの有料版boxを組み合わせれば、容量無制限でファイル共有ができる上、業務フロー・勤怠の一元管理も可能です。有料版boxは世界最高峰のセキュリティ基盤を備えるので、セキュリティ対策にも大いに役立ちます。

まとめ

テレワークは人材不足の解消やコスト削減など多くのメリットがある一方で、セキュリティ面やマネジメント面などの課題があり、ICTツールの導入やサポート体制の整備が求められます。

イッツコムのモバイル閉域接続とイッツコム光接続サービス、有料版Zoomと有料版boxを組み合わせて、テレワーク向きのICT環境を整えましょう。テレワークの導入効果を最大化するなら、ICT環境をトータルアップグレードできるイッツコムにご相談ください。