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SIMカードとは?基礎知識から企業向け活用術や選び方まで分かりやすく解説

SIMカードは大手キャリアやMVNOが提供する通信サービスを受けるために必要な、小型のICカードです。2021年10月1日の原則SIMフリー義務化により、通信サービスの乗り換えが容易になっています。従業員向けにSIMカードの導入を検討しており、基礎知識や選び方が知りたい方もいるのではないでしょうか。

SIMカードの仕組みや使い分けの方法、企業向けの活用術や選び方を知ることで、自社に最適な通信サービスを選びやすくなります。法人データSIMや閉域網接続、Wi-Fiアクセスポイントに目を向け、どこでも快適な通信環境を整備しましょう。

この記事では、SIMカードの基礎知識やSIMロック・SIMフリーの現状、ビジネスシーンに有利な通信サービスの選び方について紹介します。

SIMカードとは?


SIMカードは通信サービスを受けるために必要な小型のICカードで、スマホやタブレット、Wi-Fi機器、IoT機器などに差し込んで利用します。いわゆる「格安SIMカード」を提供する事業者は「MVNO」です。MVNOに通信インフラを提供する大手キャリアは「MNO」と呼ばれます。まずはSIMカードの基礎知識を見ていきましょう。

SIMカードの基本的な仕組み

SIMカード(Subscriber Identity Module Card)とは、接続先の通信事業者や携帯電話番号・通信プランなどの契約情報などが記録された、小型のICカードです。

通信事業者が発行するSIMカードをスマホなどのSIMカードスロットに挿入することで、契約先キャリアの通信網に接続でき、音声通話、SMS送受信、4G LTE・5Gなどによるインターネット接続が利用可能になります。

契約情報はデバイスではなくSIMカードに紐づくため、デバイスの買い換え時にはSIMカードを差し替えるだけで契約情報の引き継ぎができます。また、海外渡航中のみ、契約内容の異なるSIMカードに差し替える使い方も可能です。

SIMカードの主な対応機器

SIMカードの主な対応機器は、iPhoneやiPadといったApple製モバイルデバイスや、Androidを搭載したスマホ・タブレットなどです。ノートPCでも、SIMカードスロットのある機種は直接SIMカードを挿入でき、スロットがなくてもSIM対応のUSBドングルを接続することで対応できます。

モバイルWi-FiルーターやホームルーターといったWi-Fi機器にSIMカードを挿入し、スマホやノートPCをWi-Fi接続することも可能です。この他、SIMカード対応の各種計測機器や監視カメラといったIoT機器も、SIMカードの挿入により通信機能を持たせられます。

MVNO/MNOと格安SIMカードの関係

日本で無線通信サービスの免許を受ける事業者はNTTドコモやソフトバンクなどの大手携帯キャリアに限られますが、これら自前の無線通信インフラを持つ事業者をMNO(Mobile Network Operator/移動体通信事業者)と呼びます。

MVNO(Mobile Virtual Network Operator/仮想移動体通信事業者)とは、1社または複数社のMNOから無線通信インフラを借り受け、無線通信サービスを提供する事業者です。

多くのMVNOは一般消費者向けに大手キャリアより低価格な「格安SIMカード」を提供しますが、法人向けの公私区分サービスなどの独自サービスを強みとしている事業者もあります。

MNP制度で携帯電話番号の引き継ぎも

MVNOが増えたことで通信事業者の選択幅は広まりました。格安SIMを選択して通信費を抑えることも、法人向けサービスの充実した事業者で業務用デバイスの通信環境を一括整備することも可能です。

契約キャリアを変えると携帯電話番号が変わってしまいますが、MNP(Mobile Number Portability/携帯電話番号ポータビリティ)制度を利用すれば、引き続き同じ電話番号を使用できます。

まず契約中のキャリアに連絡してMNP予約番号を取得し、乗り換え先のキャリアに予約番号を伝えて新規契約することで、電話番号を変えずに新規契約が可能です。

SIMカードの種類と使い分け


機種によって対応するSIMカードのサイズが異なります。SIMカードを流用する場合は注意しましょう。eSIMは内蔵型のため、別のデバイスに差し替えることはできません。キャリア乗り換え時には、3パターンの通信内容から必要なSIMカードを選択できます。

サイズ違いのSIMカードと内蔵型のeSIM

SIMカードは小型化が進んでおり、デバイスによって対応SIMカードのサイズが異なります。古いデバイスに小型SIMカードを挿入する場合、SIMトレイに変換アダプタを乗せ、サイズをそろえることも可能です。

・miniSIMカード(標準SIMカード):25mm×15mmサイズ。主に3G対応モバイルデバイスで使用されていたSIMカード
・microSIMカード:15mm×12mmサイズ。2010年代に主流だったSIMカード
・nanoSIMカード:12.3mm×8.8mmサイズ。現在主流のSIMカード

またSIMカードを機器内部に組み込んだ「eSIM」の対応機器も増えています。eSIMはインターネット経由で契約情報をダウンロードできる利便性があり、ひとつのeSIMに複数社の契約情報を登録したデュアルSIM・トリプルSIMにも対応可能です。

利用目的による契約SIMの違い

格安SIMを提供するMVNOは、利用したい機能によって契約SIMを複数種類用意しているケースがあります。事業者によって対応サービスは異なりますが、利用目的による契約SIMのパターンは基本的に以下3種類です。

・データSIM:データ通信(インターネット接続)のみ可能なSIMカード
・SMS SIM:データ通信とSMS送受信が可能なSIMカード
・音声通話SIM:データ通信とSMS送受信に加え、音声通話が可能なSIMカード

なおSIMを装着していなくても電話回線の必要がない機能は利用できるため、Wi-Fi接続によるインターネット利用は可能です。

SIMロックとSIMフリーの現状


SIMカードの流用やキャリア乗り換え時に覚えておきたいのは、SIMロックやSIMフリーについてです。古い機種はSIMロックがかかっていて、販売元の携帯キャリアのSIMカード以外は反応しない場合があります。現在はSIMフリーが義務化されており、SIMロック解除手続きの無料化も義務化される見通しです。

SIMロックの問題点

SIMロックとは、携帯キャリアが自社販売するモバイルデバイスに対し、他社のSIMカードを挿入しても動作しないように設定することを指します。これは通信契約とセットで販売される新規デバイスに対して度々行われてきた手法です。

SIMロックがかかったデバイスは、キャリアの乗り換えに使用できず、海外渡航時に現地国のSIMカードに差し替えて使用することもできません。

今後は原則SIMフリー

SIMロックがかかったデバイスを販売することは、大手キャリアにとっては顧客離れを防止する効果を望めますが、ユーザーにとっては好ましい施策ではありません。

そこで政府は段階的にSIMロック解除の方向で検討・指導を進め、2021年10月1日以降発売されるモバイルデバイスについては、正当な理由がない限りSIMフリーとすることを義務付けました。

また2023年10月1日から、全てのロック解除手続きを無料で受け付けることが義務化される見通しです。

企業のSIMカード活用術とおすすめの選び方


MVNOを視野に入れると通信サービスの選択肢は膨大です。ビジネスユースなら法人向けSIMカード、特にセキュリティを重視するなら閉域網接続対応SIMカードがおすすめです。環境によっては光回線とWi-Fiの組み合わせが向いており、Wi-Fi機器増設ならWi-Fiアクセスポイントの導入が便利です。

ビジネスユースなら法人向けSIMカード

SIMカードには個人向けと法人向けがあります。個人向けはユーザー個別の契約を前提としますが、法人向けはビジネスシーンでの利用方法を想定し、複数SIMの一括契約にも対応可能です。

IoT機器にも対応する通信プランや、複数SIMでの容量共有など、さまざまな法人向けサービスも利用できます。

セキュリティ重視なら閉域網接続対応SIMカード

法人データSIMと閉域網接続を組み合わせたサービスも利用できます。これは一般的にIP-VPNとして知られるVPNサービスの一種です。

通信事業者の閉域網を経由し、インターネットを経由せずに社内LANへ接続できるため、ファイルサーバなどへの安全なアクセスに活用できます。光回線を設置できない現場事務所やテレワーカーの自宅からも、安全なネットワークを利用可能です。

【関連記事:閉域網の種類について解説!セキュリティ対策もあわせて紹介

環境によっては光回線とWi-Fiの組み合わせ

SIMカードによる通信サービスは無線回線によりインターネット接続などを提供するもので、光回線などの固定回線と対比されます。またWi-Fi(無線LAN)は構内ネットワークにおける無線通信技術で、LANケーブルなどによる有線LANと対比されるものです。

社外でのデータ通信は、法人データSIMを契約すると利便性や安全性が高まります。一方オフィス内で大量のモバイルデバイスをインターネット接続する場合、SIMカードではコストや通信速度がネックになりやすいため、光回線とWi-Fi接続の組み合わせが有利でしょう。

Wi-Fi機器増設ならWi-Fiアクセスポイント

社内のWi-Fi環境を整備する際、小規模なオフィスなら据え置き型のWi-Fiルーターを使うことが一般的です。しかし複数フロアにまたがるWi-Fiネットワークとなると、1台のWi-Fiルーターでは電波の届かないエリアが生じ、同時接続台数も不足します。

こういった環境での増設に向くWi-Fi機器が、Wi-Fiアクセスポイントです。ルーターとLANケーブルで接続し、電源ケーブルを接続するだけで、どこにでもWi-Fi基地局を増設できます。通信エリアや同時接続台数の懸念点を払拭するなら、Wi-Fiアクセスポイントの増設がおすすめです。

【関連記事:Wi-Fiのアクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説

SIMカードやWi-Fi導入による通信環境整備はイッツコム!


イッツコムは、テレワーク・工事現場・IoT機器にも対応可能な「法人データSIM」、モバイルアクセスの安全性強化に効く「モバイル閉域接続」、オフィス内のWi-Fi環境を簡単にグレードアップできる「かんたんWi-Fi」を提供しています。それぞれのサービスの強みを紹介します。

テレワーク・工事現場・IoT機器にも対応可能な「法人データSIM」

SIMカードを提供する事業者はさまざまですが、法人利用ならビジネスの多彩なユースシーンに対応できることが求められます。

そこで導入したいのが、イッツコムの「法人データSIM」です。NTTドコモ回線を使用するため、NTTドコモのサービスエリア内ならどこからでも快適に利用できます。SIMカードとモバイルWi-Fiルーターとのセット契約もでき、チーム利用や複数デバイスの同時接続にも便利です。

「シェアプラン」を選択すれば、複数SIMの通信容量をシェアできるため、ユーザー間で月間使用量に大きな差があってもコストの無駄を抑えられます。

外回りの営業担当者や在宅勤務者のビジネス用モバイル回線として、また工事現場・イベント会場などでの一時利用にも最適です。SIM対応のさまざまな機器に適用できるため、POSレジや監視カメラなどIoT機器からのデータ収集にも活用できます。

モバイルアクセスの安全性強化は「モバイル閉域接続」

テレワーク環境での情報共有には、VPN接続による社内ファイルサーバへのアクセスがよく利用されます。しかしこの仕組みは、VPNサーバのハッキングやID・パスワードの傍受などのリスクがあり、セキュリティ上の問題に悩まされる企業は珍しくありません。

そこで導入したいのが、法人データSIMと閉域網接続を組み合わせた「モバイル閉域接続」です。スマホやPCに専用SIMカードを挿入するだけで、NTTドコモ網・イッツコム網による閉域網を経由して、社内LANへ安全にアクセスできます。インターネットを経由しないため、通信の事実さえ外部に漏れることはありません。

経路の判別は専用SIMで行い、ユーザー側のVPN設定は不要です。簡単に利用でき、管理者もID・パスワードの管理が不要です。登録済みのデバイスでなければ利用できないため、不測のトラブルも回避できます。

さらに、インターネット接続の際は社内LANを経由する仕組みです。オフィス側でトラフィック管理ができることから、社内セキュリティポリシーの保持にも役立ちます。

オフィス内のWi-Fi環境を「かんたんWi-Fi」でグレードアップ!

モバイルデバイスの業務利用が多い企業にとって、オフィス内で快適にインターネット接続するためのWi-Fi環境は重要です。しかしWi-Fi機器の増設はネットワーク構築が煩雑になりやすく、最適なサービスを選びにくい場合もあるでしょう。

そこで導入したいのが、高性能なWi-Fiアクセスポイント(AP)を簡単に増設できる「かんたんWi-Fi」です。届いたAPにLANケーブルと電源ケーブルを接続するだけの簡単設定で、好きな位置に何台でもWi-Fi基地局を増設できます。

「ハイエンド6」プランなら最速のWi-Fi規格「Wi-Fi6」に標準対応し、最大同時接続台数は1AP当たり 100台です。また業務用・ゲスト用のネットワークを分離できるゲストWi-Fi機能にも対応するため、オフィスから店舗まで、多台数接続でも安全かつ快適なWi-Fi環境を提供できます。

またイッツコムでは個人向けの格安SIMカードも提供しています。月額550円(税込)からのお得な料金で、NTTドコモ回線を使用する音声通話SIMカードを利用可能です。

(個人向けSIM:https://www.itscom.co.jp/service/mobile/

まとめ


2021年10月1日から原則SIMフリーが義務化されたことで、通信サービスの選択肢は大きく拡大しました。古い機種のSIMロック解除も容易になり、MNP制度によりキャリア乗り換え(SIMカード交換)時の携帯電話番号の引き継ぎもできます。

通信サービスを選ぶ際、ビジネスユースなら法人向けSIMカード、特にセキュリティを重視するなら閉域網接続対応のSIMカードが有利です。オフィス内ならWi-Fiアクセスポイントを増設し、光回線を利用して快適にインターネット接続できます。通信環境の強化・改善をお求めなら、多彩なシーンに柔軟に対応できるイッツコムにご相談ください。