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防災インタビューVol.46

決して難しくない、ここから始める防災対策

放送月:2009年11月
公開月:2010年4月

国崎 信江 氏

危機管理教育研究所代表 

一人暮らしの方へのアドバイス

一人暮らしで災害の時に困るのが、ご自身が閉じ込められてしまったときに事態を知らせる術がないので、誰にも気づいてもらえず助けてもらえないことです。閉じ込められて困る場所というのは浴室やトイレだと思います。一人暮らしの方でしたら、エチケットやマナーで抵抗があるかもしれませんが、トイレを使用する際は、ドアを少し開けておくといいと思います。閉じ込められないように、ただ開けておくのではなくて、そこにスリッパをかませておくとか、毎度毎度スリッパをかませるのが面倒ということであれば、扉にストッパーを付けておくといいと思います。ドア板に挟むタイプのかわいいストッパーもありますので、そういった物を付けておくと必ずドアが少し開いている状態になります。
それから浴室で閉じ込められてしまうというケースもありますので、できれば携帯電話の機種を選ぶときには防水機能付きにして、浴室に持っていき、そこで閉じ込められたときに助けを呼べるようにしておく、というのもいいと思います。ついでに笛や飲料水、防水ラジオ、簡単な着替えがあると救助されるまでの時間を心に余裕をもって過ごすことができます。

自宅での避難スペースの確保

自宅で地震に遭ったときに避難するスペース、もぐり込む場所としてはテーブル、机という場所を挙げられる方が多いのですが、例えば住居形態によっては、それがそぐわない場所もあります。1つに超高層住宅に住んでいる方は、地震の揺れでテーブルが動く可能性があります。ご自身が潜っていたと思っても、顔を上げたらテーブルははるか先にあった、なんていうこともあるかもしれません。超高層住宅の場合には、家具や人も激しく揺さぶられる危険性があるので、潜るというイメージよりも、丈夫な物にしっかりつかまるという行動を心掛けていただきたいと思います。柱や梁のように建物にくっついている物が一番安全ですが、手すりがある場合は手すりにつかまるのもいいと思います。
つかまる場所がない場合には、比較的物が少ない、しかも玄関に近く、各部屋の安否確認もしやすいという多くのメリットのある廊下を、避難スペースとして位置付けておくのも一案です。

「大地震で生き抜くための5つの習慣」 ?災害時の備蓄品

私がこれまでに様々なご家庭の備蓄品を見てきましたが、その中で幾つかのタイプに分類されることがわかってきました。1つに「自治体依存型」というのがあります。例えば、お水は用意せずに給水袋だけを用意していたり、食品を用意せずに食器だけを用意しているというような非常持ち出し袋の備え方です。つまり水も食料ももらうという前提で備えをしているわけです。そのほかに「詰め込み型」というのがあります。毎年毎年新しい情報を得て、どんどん新しい物を加えていくのですが、気付くとかなり重たい物になっていて、実際には何が入っているのか把握できていない状況になっているタイプの備え方です。もう一つは、「帯に短し襷に長し型」です。災害時に落ち着くためにと、お茶葉や紅茶の葉を入れていて肝心の水を入れていない、懐中電灯やラジオはあっても電池が用意されていない、ろうそくがあってもマッチがカビているという、備え方です。私がお勧めする備え方は、時系列によって必要な物を分けてそろえるという方法です。これは、その時に必要な物だけをしっかり持って避難するという考え方です。例えば、災害直後、もう一刻の猶予もないような状況のときには、3日分の備えを持ち出すことは難しくなりますので、まずは重さも軽めで必要最低限の物を用意して、避難動線上にすぐに持ち運べるような位置に置いておくというような工夫が必要です。二次品としては、いったん外に出て様子を見て、そして余震も少なくなってきた、というような状況で、家に入れるような状況になったら、3日分の備えに当たる二次品を持ち出す、ということです。そして三次品としては、避難生活がより長期化しそうなときに必要となる物、避難生活をより快適に過ごすための物を用意していただくとよいと思います。具体的には、かさばる物です。カセットこんろ、ガスボンベ、寝袋、テント、毛布といった、割と大型の物を分けてそろえておくと、そのとき必要な物を効率よく運ぶことができます。
また、ぜひ今お持ちのかばんの中には、必要最低限の非常持ち出し品を入れてください。例えばペン型のライト、小さいサイズのラジオ、防災笛、簡易トイレ、ゼリー飲料、ウエットティッシュなどが入っているといいと思います。こういった物が普段持ち歩くかばんに入っていれば、例えば外出先でエレベーターや建物に閉じ込められてしまったという場合にも、落ち着いてその後の行動を考えることができます。
そして、ぜひお願いしたいのは、せっかく作る非常持ち出し品ですので、持ち出す価値のある物にしていただきたいということです。準備をしていてもすぐに持ち出せない、何が入っているか覚えていない、定期的に確認していないなら食べ物が品質期限切れになっていたり、電池も液垂れしていることもあります。非常持ち出し品は、せっかく用意する物ですから、ぜひご自身にとって持ち出す価値のあるものに作っていただきたいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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