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防災インタビューVol.136

危険予知の目を養い、災害に備える

放送月:2017年1月
公開月:2017年8月

サニー カミヤ 氏

日本防災教育訓練センター代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

「1秒コンセプト」による身近な危機管理

身近な危機管理についてお話しします。実は「身近な危機管理」というのは、危機といってもそんなに大げさなものではなくて、ちょっとした気遣いでできることです。例えば結婚されている方でしたら、日常の一言で相手を怒らせてしまったり、気分を害してしまったりということもあるかと思いますが、それでその先3、4日、1週間とか、この間会った方は1年間口をきかなかったという人もいましたが、一言でそういうふうになる可能性もあるということです。そういう危機を回避するために、「自分が今から何をしたらどうなる」ということを1秒でもいいから考えていただくことが、危機管理、危険予知にも通じます。この「1秒コンセプト」というのはものすごく重要です。その1秒で「これを言ったら、こうなるんじゃないか」と早送りしていただいて、「こういう展開になるんだったら今、じゃあこういうことを言おう」と考えれば、潤いのある言葉を投げかけたり、別の言葉を言ったり、それを実行できるようになります。それがお互いにできるようになると、例えばそれが会社の中で考えてみると、上司の一言がパワハラにならずに逆に有効に働くこともあると思います。

そのような目で見てみると、街の中や電車の中などでもちょっとした危機管理で危険を避けられることもあります。特に東京の場合は満員電車で路線によっては、乗車率は1つの車両に150人として、その3倍になるところもあります。特に冬の場合は、乾燥していますので静電気も生まれやすいし、燃えやすい生地を着ている方が結構多いです。そこで、例えば、ちょっと考えのおかしい方が、そこで火を点けたら、あっという間に300人が亡くなってしまうぐらいの火災になって、誰かが緊急停止ボタンを押すと、そこで車両が止まってという事態になってしまいます。この最初の1つの火を押さえるためには、誰がどうしたらいいのかということを考えてみるだけでも、状況は変わってきます。どういう人がそういう犯罪を起こしやすいかというプロファイリングの目を身につけるためのトレーニングも現在やっています。

全部が全部ではありませんが、プロファイリングをしてみると、このような犯人は、うつむきかげんで、静かな感じの若い男性が多いです。そして黒い服装をしていてというのが大体基本的にあります。そしてやはり挙動不審です。ライターに火を点けるためには、ポケットから何かを取り出して、何かを起こす。そういう方は男性よりも女性に先に火を点けやすいのではないかというプロファイリングをしながら、では「どこの時点でそれを押さえられたらいいのか」「ライターをたたき落とすのか」「質問を投げかけるのか」というトレーニングを警備員向けにやっています。実際にそれが電車の中だと、一般の人がそれをできなくてはいけないわけです。満員電車というのは、非常に見づらくて、ぎゅうぎゅう詰めで手を上げたら上げたままになってしまう状況ですので、まずは自分の身を守ることを日常から考えて、燃えやすい服を着ないようにしたり、自分の体をつま先から頭の先までいつも感じて、最低限自分の周りに乗っている人のことをよく見ておくことで、少しでも危機管理というのはできると思います。このような身近な危機をどうやって予防するのかということを、ワークショップを通して、シミュレーションしながら考えています。

映像から学ぶ危機管理

現在は、いろいろなメディアがありまして、特にYouTubeなどでは何回も繰り返して見られますので、特に気になるニュース、身近の地域で起こったこととか、これからも起こるであろうというような内容については、ただ映像を見たり、ニュースの内容を知るだけではなくて、そこの映像の中に自分が入るような感覚を持って、その映像から匂いや音や温度などまで感じ取っていただきたいと思います。

私たちレスキュー隊は、そういう訓練を行っています。その当時は映像がなかったので写真を見て、その写真の中に入って、右に行ったり左に行ったり、どこに何があるか、どうやって延焼を防止するのか、そしてどこの隊はどうやって活動するのかをどんどんシミュレーションしていきます。映画でいう「マトリックス」みたいな感じです。その写真、映像からいかに匂いや音や温度など、写真や映像からでは得られない情報を、自分が持っている感覚で得ていくことが予防になり、危険予知になっていきます。ニュースや災害の映像だと苦しいので、例えば旅行雑誌や旅行の番組を見て、その旅行の番組の中に入っていくのも有効です。「あそこのマルシェでこういうチーズを買おう」「トマトを買おう」とか、それでも同じ訓練になります。結局感性というか、脳の能力を鍛えるというか、このようなトレーニングをすることで、実際の危機管理の時にも使えます。ただ、人によって癖があり、どういうものに感じやすいか、どういうものに興味を持ちやすいかというこことを、ワークショップを通して自分で知ることによって、自分の入り口を見つけることができるのです。

私たちレスキュー隊は、マンション火災でどこかに逃げ遅れの人がいると分かったら、どこからどういうふうに入っていってその人を見つけるか、濃煙の中でもその人を見つけて救出するためのシミュレーションを常にしています。こっち側だったら熱くないとか、そういうことを頭の中でイメージすることで分かるのです。今は映像がありますが、30何年前の当時は白黒写真を元にそのような訓練を行っていました。

実は消防士や警察官や自衛隊も防災については素人で、プロというのはいないと思います。もちろんいろいろな装備力は持っていますが、一般の方でも、やはりそういうマインドをいつも自由に、フリーにさせておいて、自由自在に扱える、そして対応できるという能力を身に付けておくことが大切です。このように身近な映像などを利用して、常にイメージしていくことで、大切な人、家族や子どもさんたちを守ることができると思うので、ぜひやっていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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