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防災インタビューVol.136

危険予知の目を養い、災害に備える

放送月:2017年1月
公開月:2017年8月

サニー カミヤ 氏

日本防災教育訓練センター代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害に強くなるために

災害というのは誰でも怖いわけですが、結局どのような災害が身の回りに起こるのか、プロでもすべては分かりません。ただ、災害といっても日常災害まで含めるとかなりいろいろなことがあり、例えば今インフルエンザの季節ですけれど、風邪をひかないためにはどうしたらいいのかというところから始めていって、少しずつコンセプトを自分でつかんでいくことが大切です。そうすると、例えば土砂災害のときにはこうしたらいいということが少しずつつかめるようになっていきます。雨が降ったら傘をさせばいいとか、そういうふうな簡単なことがたくさん身の回りにあります。それを一つ一つ気付いていただいて、自分で身に付けていただく。誰から教わらなくても自分でできるような人になることが大事です。そういうことをモラルとして、子どもたち、おじいちゃん、おばあちゃんなど、自分の身近な人と共有し、できる範囲で刺激を与え続けることで、それぞれがお互いに災害に対して強くなっていくのではないかと思います。

ペットのための防災

ペットの防災については、環境省が管轄しており、いろいろな資料を出していますが、なかなか知っている人が少ないというのが現状です。今はもうペットは家族と思っている方も多く、ペットを失うと家族全体が悲しんで、日常生活になかなか戻れないこともあります。特に災害に遭って自分たちも被災して、さらにペットを失ってしまうと、余計に悲しいと思います。ここで一番問題なのは、大きな地震などが起こった場合はペットの獣医さんとかも全部被災してしまい、診療できない状態になることです。その時には誰が救急処置をするのか、どのようにして手当てをするのかということを私は現在指導しています。

まずは日ごろからペットをどうやって守るかということを考えていただいて、最低限の救急処置を身に付けていただく必要があります。それは、もし災害が起こらなくても、日常的にあり得ることです。例えば、犬同士でけんかをして、耳が切れて出血した際に、もし処置の仕方を知らなければ、ずっと血まみれで犬が家まで帰らなければいけない状況になったりします。その時に手早く止血してあげれば犬も早く回復しますし、感染が予防できるかもしれません。そういうことをモラルとしてぜひ身に付けていただきたいと思います。そうすれば、それが災害時にも役に立つと思います。

犬の場合は鑑札があり、きちんと登録制度になっていますけれど、猫や小動物というのは全く管理されていないので、誰が何頭飼っているかも分かりません。そういう意味では飼い主さんと飼い主さんの家族が守ってあげなければいけないと思います。特に地震などで家が倒壊した場合、ペットがいなくなってしまって探さなくてはいけないということになったときに、事前にペットの特徴が分かる、家族全員が写った写真を撮っておいて、「このペットを私が飼っています」ということを証明できないと、せっかくペットが見つかっても受け取れないこともあります。ペットと自分の関係を証明するものを用意すると同時に、そのペットがもしも被災してしまったら、きちんと救急処置をするための知識を身に付けておくことが重要です。

実は今、消防士向けにペットの救急法、救出法という指導を始めさせていただいています。なぜかというと、例えば火災が起こって、飼い主さんと一緒にペットも逃げ遅れていた場合に、消防士がそこに行って、飼い主さんを救助した際に、「ペットも助けてください」と言われた時にどうするでしょうか。今までは人命救助優先ということで、人間には処置をしても、ペットは助けないことも多かったというのが実情です。消防法の第1条の消防の目的として、生命、身体、財産を守るというのがあります。ペットは財産に該当しますので、やはりその財産を守らなくてはいけないということもありますが、何よりも命ですし、家族なわけですから、助けてあげて、それなりの処置をしていただきたいと思っています。どうやってペットを助けるか、意識があるときにはかみ付かれたりもしますので、どうやればかみ付かれなくてすむのか、または逃げる途中に骨折したら、どのように処置をするのか、意識がない状態になったペットにどうやって人工呼吸や心肺蘇生法をやるのか、酸素吸入はどうやって、何リットルぐらいを与えたらいいのか、そういう指導も行っています。犬の場合の人工呼吸は、マウストゥノウズです。犬の口を閉じて、犬の鼻からそのペットの体の大きさに合わせた呼気量を入れます。小さい犬は赤ちゃんと同じで少しだけ入れます。飼い主としては、もし何もできなければ一生後悔が残ります。絶対に助かるわけではないけれど、やはりベストを尽くすというのが、オーナーとして大事なことだと思います。

私は、ラスベガスまで動物向けの救助のインストラクターの資格を取りに行きました。また、ミネソタの消防局には、消防士向けのBARTというプログラムがあるので、消防士がどんな形でレスキューできるのか、救急の処置ができるのかという研修を受けてきて、日本でもペットのための講座をやっています。petsaver.jpで検索すればご覧になれますので、ご参加いただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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