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防災インタビューVol.136

危険予知の目を養い、災害に備える

放送月:2017年1月
公開月:2017年8月

サニー カミヤ 氏

日本防災教育訓練センター代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

サイコロジカルファーストエイド

聞きなれない言葉かと思いますが、「サイコロジカルファーストエイド」ということについてお話ししたいと思います。例えば、被災したり、大きな交通事故に遭ったり、何かそういう大きな醜い出来事に遭ったときに、やはり被災者、被害者の方というのはものすごく打ちひしがれてしまうものです。その時にこの「サイコロジカルファーストエイド」を知っている人がアプローチして、その人の心の応急処置をすると同時に、その人たちが元の生活に戻れるような情報を提供してあげるということが大切になってきます。これは、カウンセリングなどの処置をするということではなく、その場でどういうことが必要なのかを聞いてあげて、必要な機関に紹介したり、連れていったりすることです。

私も何回か現場で体験したのは、交通事故で一緒に乗っていた両親が亡くなって、挟まって血まみれになっていて、子どもだけがワンワン泣いているという状況です。トラウマになってしまったり、車が怖くなってしまったり、いろいろな状態になりますので、その子どもには、その時に両親が死んで亡くなっている姿は絶対に見せたくないのです。そのような場合、カナダの消防士は、小さなテディベアのぬいぐるみを子どもに「はい」と渡すんです。これで遊んでいて子どもがそっちのほうに気が向いている間に助けて、救急車に収容して、あとは児童福祉センターなどでその子どもの心のケアを行っていました。どのタイミングでどうするかというのは、子どもに限らず大人の方でも、やはり心というのは目に見えないものであって、ただそこには全部が全部そういうふうになるわけではないですけれど、やはりケアが必要だということです。その処置の方法とそれからどうやって元の生活に戻るようになれるかということをヘルプする内容が「サイコロジカルファーストエイド」です。

救急隊やレスキュー隊は、毎日そういう現場に直面しています。普通の方ならば大きな地震が何年かに1回あったときに、ボランティアに行ったりしていますが、救急隊、消防隊というのは、一般の人が一生に一回経験するかしないかという現場に、規模はいろいろですが、ほぼ毎日行っているわけです。特に救急隊員は、そういう生命の今日が最後になるかもしれないというような患者さんに会ったり、またその家族と話したりしますので、こういうサイコロジカルファーストエイドを日常的に行っています。一般の方々にもサイコロジカルファーストエイドを知っていただきたいと思っており、研修も行っています。災害時、実際には、こういうファーストエイドを持っている人たちが駆け付けることはできないので、やはりご自身がこういうテクニックを知っていただいて実施していただくことで、お互いの心を守ることができます。

「例えば4歳の女の子が倒壊家屋の前で、一人で立っています。そして子犬を抱いています。あなたはどうしますか?」というシナリオを作って、先日、市町村の災害危機管理担当の方向けにやりました。震度7規模の地震があって参集があり、庁舎に行かなくてならないけれど、その途中に4歳ぐらいの女の子が一人で泣きながら子犬を抱いて、腕をちょっとけがしている感じで立っていて、真後ろに倒壊家屋があったとしたら、どうしますか。そのまま無視して参集しますか、それともその女の子の対応をしますかと。そういうところから入っていきます。一般の方向けにも、このようなサイコロジカルファーストエイドの研修を行っていますので、ぜひご参加いただければと思います。

企業を守り、社員を守るために

この他、企業向けには、社員を守るための手立てについての研修も行っています。例えば社会には災害支援金という、災害に遭った方、被災者のための支援システムがありますが、それは都道府県、市町村によっても違うので、災害が起きる前に、どういうものがあるのかを知っておくことが必要です。そして事前に用紙に記入しておいて、実際に発災したときには被災した部分だけを書いて提出できるような形にしておくことによって、結局その支援が心を守ることになるわけです。なぜかというと、災害が起こって被災したときには不安になります。これから生活どうしよう、家がなくなってしまってどうしよう、お金は、家族は、ということになってしまいますが、保険や、支援金などの手立てをしておくことで、その不安要素を少しでも減らすことができ、結果的に心を守ることができるのです。そのために、何が自分にとって必要なのか、何がその社会にあるのかということを事前に知っておくことで、会社を守り、社員を守り、そして事業をまた展開していくためのワークショップもやっています。

同時に、各自が「LCP(ライフコンティニュープラン)」、人生継続計画を立てておくことも重要です。会社にもビジネスを継続させるためのBCPというのがありますが、家族を守れないと、会社も守れないと思います。男性女性に限らず、きちんと何が必要か、何をまず優先順位的に守らなくてはいけないのかを普段から考えておいて、生活の基盤となるものをしっかりと守っていくことが重要です。子ども、奥さん、ご主人、家族それぞれの必要なことや連絡先を全部書き出して、計画図やマニュアルみたいな形で作っておいて、それを普段からチェックしたり、半年おきぐらいに見直して、人生継続計画LCPを立てていっていただければと思います。これも、あまり堅く考えずに、本当に身近なところから「こうだったらどうする?」ということをひとつひとつ考えていきます。全部やりかけでも構いません。いろいろなことを考えていって、いろいろなものをやりかけると、たくさんのことを知ることができます。全部をやり遂げる必要はないのです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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