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防災インタビューVol.159

人と輪を ~防災のまちづくり~

放送月:2018年12月
公開月:2019年6月

葛西優香 氏

HITOTOWA
執行役員/防災士

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

住民組織による防災への取り組み

私は現在、「リスク対策.com」というネットの媒体で、「葛西優香の23区防災ぶらり散歩」という連載を書かせていただいておりまして、東京都内の23区をぶらりと散歩しながら防災について知っていくというような形で発信をしています。23区の各区での行政の取り組みはそれぞれバラバラなので、まず、その区の取り組みについてお話をお伺いして、その区内で活発に活動している住民組織のところに伺ってどんな活動をされているかを取材に行って掲載しています。

そのひとつで、葛飾区ではこの4月から、「自助共助係」という係が防災課の中にできました。「よく自助、共助、公助といわれますが、ここには、公助は入っていません。あえて公助とは言わずに、公助の部分は当たり前にもちろん頑張りますが、いざというときには、自助共助が大事になりますということをしっかり発信する、その意思表示のためにこの係を作りました」と葛飾区は言っています。文京区では、避難所運営組織の応援ということで、各小学校にカスタマイズされた避難所運営キットを作られています。そのキットはどういうものかというと、ふたを開けると、その避難所の開設が初めて来た人もできるような形で順序立てられたマニュアルが入っていて、その防災備蓄倉庫がどこにあるとか、最初に避難所に来たらやらなければいけないことが書かれています。

豊島区では、災害対策グループが防災課ではなくて福祉課の部門にできています。これはなぜかというと、福祉避難所のことを考えて、福祉部門に災害対策グループを作っています。福祉避難所というのは地域の中で設定はされているけれど、運営するのは防災課なのか福祉課なのか、なかなか決まらない現状があり、その課題を解決するために福祉部門で取り組むことになりました。

このように行政の取り組みも23区にはいろいろありますが、この「23区ぶらり散歩」をやっている中でやはり興味深いのは住民組織の活動です。住民組織で動いているのは、マンションの管理組合としての取り組みや、町会での取り組みがありますが、中でも文京区のある町会では、防災の組織作りをパワフルに一生懸命やられている女性がいて、避難所運営組織の運営訓練をかなり積極的にされていて、組織化して動いています。彼女は、文房具屋さんをされているのですが、本当にまちのよりどころのようになっています。この方が核になって、文京区の中で画期的な防災訓練を研究している方を町会に呼び込んで、一緒になって組織を活発化させており、防災訓練の際には、大人も子どもも200名くらいが参加するような大きな取り組みになっています。文京区ももちろん手助けはしていますが、このように、住民の方が自ら動くことで活発化しており、防災組織というのは、やはり住民による主体性が大切だということを取材を通して感じました。

女性による地域防災のススメ

港区で「防災女子会」というものを立ち上げている女性がいまして、年齢は42、43歳のスレンダーなスポーツインストラクターの方なのですが、マンションの管理組合でたまたま防災組織の担当になって、後に委員長になられました。港区では受講費を出してくれて、防災士の資格を取ることができることを知り、彼女も防災士の資格を取りました。ただ、防災士の資格を持っていても、どのように活動したらいいのか分からないという方も多いので、そのような女性を集めて会議を開いています。「なぜ防災士を取ったのか?」「自分たちに何ができるのか」を考えながら活動の土台を作り始めています。これはとてもすてきな取り組みだと思います。この女性も、最初にマンションで防災担当になった時には、マンションとしてなんの取り組みもしていなくて、備蓄倉庫もありませんでした。まず最初は集会所の会議室にロッカーを設けて備蓄品を入れることから始めて、管理組合との協議の中で、マンションの中の空いている空間を改装してもう少し大きな倉庫を置けるように検討したり、とてもパワフルに活動されています。

このように、30代、40代の女性が地域に入っていって、自分のマンションに主体的に携わって、しかも防災に取り組んでいくということは、これからの住民組織の中で非常に大事になってくるのではないかと思っています。実際にいろいろなデータを見ていると、実は若い女性、30代から40代の方が地域の活動に関わりたいと思っているという結果が出ていまして、どの世代よりもそこが一番高くなっています。結構30代40代の女性というのは、子育ても落ち着いている方であったり、今子育て中という方もいて、子育て中だからこそ子どもに対しての防災ということの意識も高まっています。仕事も今ちょっと休んでいるということで、子育てをしながら少し時間がある方たちなので、その世代が積極的に地域に関わってくると、今高齢化していると言われている地域の防災組織が活性化していきますし、若いアイデアが入ってくることで、組織に花が生まれます。このように、若い人たちも取り入れながら地域組織が活性化していくことは、担い手育成にもつながるので、これから30代40代の女性というのは防災にとってもキーパーソンになっていくのではないかと私自身は思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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