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防災インタビューVol.162

三陸沿岸の津波被害から学ぶ防災

放送月:2019年3月
公開月:2019年9月

佐藤 健一 氏

アジア航測株式会社
東北インフラマネジメント技術部
地域創生課 技師長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

命を守るための情報の流し方

防災、減災のために改めて構築されなければならないのが「命を守るための情報」を大切にするということです。2018年はいろいろな自然災害が非常に多かったのですが、その後に、アンケート調査をしたり、被災者の話を聞く機会がありました。その中で被災後に助かった人たちから結構出ていたのが、「初動段階で、逃げるための背中を押してもらう情報が欲しかった」ということです。例えば、2018年の広島の大雨豪雨の災害の際にも、避難指示は出ていたけれど、これを実行して避難した人は少なかったという結果が出ています。これは災害に対する情報を、送り手が出しているイメージと受け手側が同じイメージで受け取っていないという結果かもしれません。やはり避難をする人の背中を押すような情報、なぜ今避難しなければいけないかがきちんと伝わる情報を届けていくことが大切です。あらかじめ、啓発の中で、その情報の意味を教えたり、周知していくことも必要ですが、災害の場において、放送や文書で避難情報を流すときにも、「そうだ。いま逃げないといけないんだ」と思わせるような、分かりやすい情報の流し方が本当に必要になってくると思います。現在ですと、避難情報を流す手段は、文書、メール、デジタルサイネージなどいろいろありますが、その中でも受け止める方が「ああ、こういうことなんだ」とすぐ分かるような情報の流し方が必要です。場合によっては、市長、知事などのトップが「現在、このように大変な状態である」ということを口頭で伝えることで、「ああ、それだけ緊迫しているのか」と受け止められるような、そういう理解しやすい情報の流し方が必要になってくると思います。

また初動の情報の伝え方としては、防災行政無線は、バッテリーを持っているものがほとんどなので、電気が止まってしまっても十分に機能するので、そういうものを使っていくのがいいのですが、現在ですとそれ以外に自動的に受信機に情報が入る仕組みなども出来上がってきているので、情報の多重化として、いろいろな方法で伝えることが大事なことです。

情報伝達の方法

震災後に被災地、気仙沼市ではどのように情報の確保がなされたか、以前はどうだったかということについてお話しさせていただきます。震災前は住民の情報伝達手段として主なものは防災行政無線というものがありました。震災においては初動段階の避難の場面で、この防災行政無線は非常に機能したと思います。ただし、防災行政無線は屋外にありますから、難聴地域というのが出てきます。「放送が聞こえない」「何をしゃべっているかよく分からない」という話があります。気仙沼市ではワークショップの中でも伝えていますが、防災行政無線では、大きい地震の後に津波が来るという情報が聞こえない可能性があるので、「サイレンをどんどん流すので、地震の後のサイレンが続く場合は津波だと思って逃げてください」というようなやり方をしていました。東日本大震災の時にもサイレンを流していましたが、言葉は聞こえなくてもサイレンは聞こえるようです。

ただ、この防災行政無線も避難所生活の際に情報伝達手段として使えるのかというと、なかなか難しいものがあります。もし電気が消えても、防災行政無線はバッテリーを持っているので、24時間から48時間くらいは放送を続けることができますが、それ以降はバッテリーがもちません。この他に、エリアメールも情報伝達手段として確保していましたし、ホームページ、twitterでも情報を流すという、4種類の情報伝達手段があったのですが、実際に使えたのは、防災行政無線とtwitterだけでした。twitterも携帯基地局のバッテリーがもつ間だけしか使えませんでした。twitterはどちらかというと使い方としては外部に対して「今こういう状態にあって、こういうことが困っている」というような情報を流して、外に知らしめるというような意味合いで使われました。あの時は、エリアメールは実際には機能しませんでしたし、ホームページも電源がなくてパソコンは使えず、出すことができませんでした。

震災後にこの情報伝達手段について整理し直して、各防災行政無線は、電気が切れてもソーラーバッテリーを付ければなんとか動くということを被災中に実験して大丈夫だということが確認されたので、震災後はソーラーバッテリー付きのものに変えました。あとはエリアメール、ホームページ、twitterは、被災者の特別登録者に全国どこにいても届けられますし、支援メールというようなものでメール通達したり、公共コモンズ、デジタルサイネージ、Facebook、Jアラートなど、1人が1つに流せば、自動的に全部に流れるという仕組みに変えました。以前は同時に流すためには、1つの情報伝達手段に1人必要で、4種類あると4人必要でした。それが現在は、1人いれば、もしくは自動で流れるようなものに変えましたので、伝達手段の多重化は図られているという状況です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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