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防災インタビューVol.179

地域づくりからの防災減災

放送月:2020年8月
公開月:2020年12月

澤田 雅浩 氏

兵庫県立大学大学院
減災復興政策研究科 准教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は兵庫県立大学の大学院で、減災復興政策研究所に所属しています。この研究所は、神戸の「人と防災未来センター」という阪神淡路大震災の教訓などを展示している施設の一角に2017年に開設されました。その前、2000年から2017年までは新潟県長岡市にある、長岡造形大学に勤務していました。今回ご紹介する話題の中心は、2004年に発生した新潟中越地震という中山間地域を襲った地震災害から、私自身が経験したことなどをお話しできればと思っています。

私は、都市計画の分野で災害のことについて研究をしているのですが、大学院で修士課程1年生の時、1995年の阪神淡路大震災に遭い、そのインパクトというか、衝撃がこの分野の研究を始めるきっかけになっています。その後は、都市でライフラインが途絶をして苦労している様子を見て、災害があってもなんとか人々が困らないような仕組み、仕掛けができないかということを中心に研究をしてきました。新潟中越地震以降は、避難後の仮設住宅のあり方やその後の復興をどういうふうに進めていくかについて、地域の人々とお付き合いしながら考えてきました。そして、この兵庫に来て、減災復興を専門に学ぶ学生たちに知見を伝えつつ、また今頻発している全国の被災地でお役に立てればということで活動をしているところです。

地域が抱える課題と自然災害

最近は、各地で自然災害が多発してきています。令和2年7月豪雨の時も自然現象として非常にたくさんの雨が降ったということなのですが、それでは、なぜ被害が起こったのかというと、もともとその地域が抱えていた脆弱性、課題が自然災害という外力によってほころびを見せて、それが具体的な被害を生むことになりました。われわれの暮らしの中に潜在的に抱えている課題をきちんと解決することが自然災害への備えにもなりますし、復旧、復興を進めていくときにもとても重要な視点になります。1995年の阪神淡路大震災以降、このことを私自身が強く感じていて、そういった地域に潜在する課題をどのように解消するかをまず考えなければいけないと思っているところです。

その地域がもともと抱えている問題というのは本当に地域ごとに違うので、いくつかに切り分けてご紹介していきたいと思います。時間をさかのぼって考えていきますと、1995年に起きた阪神淡路大震災では、高速道路の橋脚が倒れたり、住宅がたくさん倒壊し、その後に火災が起きて延焼するというような被害の特徴を持っていました。そういう被害をもたらした原因というのは、高速道路の橋脚の強度が地震に対して十分な強度がなかったということですが、この基準を決める際に地震の被害をどういうふうに想定し、強度を高めていくかが重要です。それ以外にまちが焼けて失われた要因としては、神戸のまちの成り立ちも大きく影響しているわけです。神戸というのは、一見華やかな感じのまちに見えますけれど、造船業や鉄鋼業などの産業が多くあり、そこにたくさんの労働者が全国各地から移り住んできて、東京で言う下町のような感じに密集した市街地を形成していきました。第二次世界大戦で神戸は空襲を受けているのですが、受けなかった所は以前のままの都市環境が残っており、道幅が狭く、耐震性にも欠ける、耐火の設備が十分備わっていないような木造の住宅などが多く立ち並んでいました。そのような状況の所に、震度7の地震が起こって、それでまず建物が倒れてしまう、そしてどこかで火が付くとそれを消し止めることができないというようなことが起きてしまいました。

1981年に耐震性に関する基準、建築基準法の新耐震と呼ばれている基準ができてから、実は14年しかたっていない時期に阪神淡路大震災が発生したので、築15年以上より古い建物は古い耐震性能しか有していない建物だったということが、倒壊した建物が多かった要因として見ることができます。それ以降は、この番組にも出られている諏訪先生などがおっしゃっていることですが、「建物が壊れることで人が命を失ってはいけない」ということが広がり、国民運動なども起こり、そこから災害に強い建物を造っていくんだという状況がだんだんと増えてきています。神戸でも、その後一生懸命再開発や区画整理という形で安全で快適なまちをつくるための復興のまちづくりを時間をかけてやっている状況です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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