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防災インタビューVol.165

災害に負けない社会を作るために

放送月:2019年6月
公開月:2020年11月

大津山 光子 氏

SEEDS Asia
海外事業統括

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

助け合って生き延びる

このように助け合いの心が浸透しているミャンマーですが、もうひとつ、このことを示す実例があります。世界にはイギリスのNPOがやっている「世界思いやり指数」と呼ばれる優しさをインデックス化して順番付けしたものがありますが、ミャンマーは2013年から2015年までの3年連続で、「世界思いやり指数」の世界ナンバー1になっています。ミャンマーには仏教という背景もあると思うのですが、助け合うことが本当に自然にみんなできる国です。SEEDS Asiaでは、外務省の支援で洪水の常襲地に学校と避難所を建てた後に障害者の方も避難しやすいようにスロープを付け加えようとしましたが、外務省の支援ではそれはもうできないということで、日本とミャンマーの両方で一般寄付を集めました。日本からは約半額の70万くらいが集まりましたが、あとの半分はミャンマーから集まっています。日本とミャンマーのGDPを比較すると、日本の方がはるかに高く、1カ月当たりの給料ももちろん日本の方が高いのですが、ミャンマーのGDPに占める寄付の割合というのがすごく高くて、日本と同額の寄付額が集まるということから、寄付文化が非常に浸透しているということが分かります。

情報を生かし、助け合いで進める防災

ミャンマーには情報がなかったことによって、災害でたくさんの方が亡くなってしまったという背景があったのですが、一方で日本のことを見ると、台風のこと、台風の目を知らない日本人というのはなかなか見つからないと思います。物心がついた時にはニュースなどでも耳にしますし、地震の情報も速報がやってきて、世界のどこで地震が起こっており、津波があるのかないのかがすぐに分かるような状況で、先人が残した災害の記録や石碑や教訓、自治体から出されるハザードマップなどもそうですが、溢れるくらいの情報があります。それによって防災行動を促進しようとしており、私たちもそれを活用してはいますが、このように細かい情報がある中でも実際の避難の時になると、なかなかそれを生かしきれていないと思うこともたくさんあります。これは非常に残念なことです。

一方ミャンマーのように災害情報や知識が浸透していない国では、一体何をすれば防災行動が促進されるのかというのはすごく難しい課題で、私たちもそれをずっと探しているような状況です。でも少なくとも人が助かるためには、やはり助け合うということが絶対に必要で、やはりつながりや助け合いを強めながら、かつそういう科学的な情報や過去からの教訓をどうやって生かしていけばいいのか、ということを模索しながら活動しているところです。

防災は日頃のつながりづくりから

私たち、SEEDS Asiaは「災害に負けない持続可能な社会づくり」というものを目指して活動しているのですが、その中でも私たちが一番大切だと思うのは、科学的な知見を生かしつつ、つながりづくりをどういうふうに作っていくかということだと思っています。

地元でお祭りを開催したり、土地にある劇や人形劇やお話などの伝承文化を残したり、あるいは運動会をするというようなことが、みんなの絆を深めることにもなりますので、一見防災には関係なさそうに見えるようなことが、命をつなぐことにとても重要な役割があると感じています。日本の中を見渡すと、例えば京都で脈々と引き継がれてきた祇園祭りもそうなのですが、地域の方で作っていくお祭りやお掃除の文化などが実はまだ日本にも残っています。このようなアジアでも活用しやすい、いろいろなつながり、絆を深めていくための活動というものが日本にも残っていますので、それをうまくアジアの文化と融合させるような形で進めていけたらいいと思っています。

緊急時こそつながりの大切さが見えてくると思いますが、それは緊急時だけのことではありません。日常のつながりが一番大事になってきます。わが家では、犬を飼っていて、ご近所の方がとても可愛がってくれています。災害の時に避難所などで、犬がいるからということで排除されることもありますが、普段からご近所の方と仲良くしておくことでその関係性は少し違ってくると思います。普段のお付き合いができていなければ、恐らく避難所でも仲良くすることはできないと思います。

このような一見防災対策には見えないようなこと、ご近所とのお付き合いや親戚とのお付き合いなど、いろいろあると思うのですが、実はその防災のヒントは日常の中にあって、誰かと仲良くしておくこと、挨拶しておくことがとても大切なのではないかと思っています。ぜひ今から、積極的に近所の方と挨拶をしたり、地域のお祭りに参加したりすることで、より知り合うことから始めてほしいと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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