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防災インタビューVol.215

防災とまちづくり

放送月:2023年7月
公開月:2024年1月

金藤 純子 氏

株式会社EnPal 代表取締役
岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科 都市環境創成学コース 博士後期課程 在学

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

会社起業のきっかけとなった気付き

日経アーキテクチュアという建築雑誌の方から取材を受けた際に、「ハザードマップを見ていなかったのですか?」と質問を受けました。実はゴミの収集日が書かれている紙と一緒に食器棚の中にしまい込んでいて、全く見たことがなかったのです。

両親もリスクを知らなかった、と言います。地元の人たちは知っていたのだろうか?何度も水害があるような町なら防災活動をしている人がいるのではないかと疑問を感じ探していたら、地域の防災訓練や啓蒙活動をされている方がいることが分かり、会いに行きました。2011年から地域の防災活動を推進していたとお話を伺い、地域への関心が初めて芽生えました。地域で活動されている方々のサポートとして、パソコンでアンケートを作ったり、ニュースレターを作ったりとお手伝いをするようなところから始まりました。活動をしていく上でいろんなことを学びました。

1つ目は「災害弱者の観点」です。亡くなられた方の多くがシニア、それから障害者、私の中学校の同級生もいました。シニアは、やはり友達がどこにいるのか分からなくなってしまい、まちから明かりが消え居場所がなくなり地域コミュニティが壊れてしまい、社会的孤立が深まってしまいます。地域の復旧復興が遅れていくと、もちろん経済格差も拡大しますし、弱者にとっては辛いことになるということに気づきました。

2つ目は「地域教育の必要性」です。私の父が水島コンビナートで働いていたので、私が幼いころは倉敷の社宅住まいだったのですが、マイホームを求めて50年前に真備町に引っ越しました。両親も含めて真備に水害があったという歴史を知らずに越してきました。私も息子も川辺小学校で災害伝承碑について聞いた記憶はなく、地域教育の必要性に気が付きました。高度成長期に人口移動があり日本中が開発されていきますが、地域の歴史と現在が繋がっているということを考えていく必要があるのではないかと思いました。

3つ目は地域コミュニティの課題です。「自助公助」といいますが、近年では1人暮らしの方が多いこともあり、町内会などの加入率が下がっています。みんなで防災組織を作って頑張りましょうと言っても、その中に入れない人もたくさんいるということです。私自身が元々システム会社で、ショッピングセンターと取引をしていたので、防災やまちづくりを商業施設に担ってほしいと思いました。自然災害が増える中で、地域社会と一緒に企業も巻き込んで防災、減災ということが会社として出来ないかとぼんやり思い始めて、そこから起業へと進んでいきました。

起業への決意

私は、まちづくりの問題、商業施設開発の問題や住宅形成の問題など、真備町で起きていることは真備特有の問題ではなく、日本全国で起きていることなのだと思っています。商業施設の役割が防災拠点になったり、一般の方々に対して 防災が大事であることを伝えていくような場所になったらいいなと思い始めました。しかし、周囲からは「防災は儲からない」と。「防災活動をしているからといって、一般のお客様がショッピングセンターに魅力を感じて利用するという相関関係がない」と言われました。ところが、「トレッサ横浜」というショッピングセンターのトップの方から「そんなことないよ、金藤さん。町の弱みを1番知っているのはショッピングセンターなんだよ。その町のことを1番良く知っているんだから」と私の背中を押して下さいました。それで、「よし、会社を作ろう」と思いました。今私がここにいるのは、ご縁があってそういう気持ちを共感できる人たちがいるからだということで、ご縁(En)の仲間(Pal)でEnPalという会社を立ち上げることができました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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