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防災インタビューVol.215

防災とまちづくり

放送月:2023年7月
公開月:2024年1月

金藤 純子 氏

株式会社EnPal 代表取締役
岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科 都市環境創成学コース 博士後期課程 在学

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

大学院生として学ぶきっかけ

現在、岡山大学の大学院生として博士の後期課程に在学しています。最初は、東京大学のDMTCという災害対策トレーニングセンターのオンライン授業を受け始めたことがきっかけです。

DMTCの学習は多岐にわたっているのですが、実務的です。自治体の仕事がものすごくたくさんあることを知りました。災害が起きる前から、発災時・発生後の様々な被災証明、復興に向けた手続き関係、復旧の土木系のことなど、こんなに多岐にわたった仕事をやらないといけないのに、避難所運営にもとても多くの時間が取られていることを知りました。

私自身は避難所に行きませんでしたが、真備町の避難所の中でうまくいった避難所と、住民があまり仲良くなれずに揉めていた避難所があったということを噂で聞いていました。

本来、避難所運営は被災者と、まちづくり推進協議会や社協の皆さんなどみんなで自主的に作っていくものですが、住民の気持ちの中に役所がやって当然という思いがあるのではないかと感じました。つまり、被災者が受け身になり与えられて当然と思ってしまっているのではないかということです。そういう関係になると、やってもらっていないということに対するクレーマーの様になってしまいます。しかし避難所は本来、自分たちが自立して家を建て直していくまでを暮らしていくある種のコミュニティです。地域のみんなで助け合って、お互いがお互いを思い合って、元気に次の生活に戻れるようにする場所であることが大事なのです。与えられて当然と被害者的な状態になってしまうとうまくいかないのではないかと気付かされました。

DMTCでは災害や災害復旧についてロジカルに体系的に学べます。支援力だけではなく受援力の両方を高めることによって、以前よりも強いまちをつくることに繋げられると学びました。

防災啓発イベントの課題

岡山大学大学院では環境生命自然科学研究科 都市環境創成学コースという、都市環境の創成というで、防災とまちづくりを研究テーマにしています。

先にもお話ししたとおり「ショッピングセンター」に防災拠点になって欲しい、そして防災に興味を持っていないお客様に知っていただくきっかけ作りの場になって欲しい、プラットフォームになってほしいという考えからスタートしています。ですが、実は1つ課題があります。それは、防災イベントを開催するだけだと、「あー楽しかった」で終わってしまい、実際にお家の中で災害への備えというアクションになかなか結びつかないことです。「防災への備えを実行しているか」という一般的な調査で、半分ぐらいの人は実行していることが分かります。しかし、実際に備えているというものは水と食料です。

本当は、ハザードマップで住んでいるエリアのリスクや、自分の家のリスクなどを知り、家具の配置や固定など、他にも様々な備えが出来るのですが、「何をすればいいのか分からない」、また「面倒くさい」という理由があって出来ないのです。出来ない理由を解き明かし、出来るようにするためには何をすればいいのか、やった結果何が変わったのかという調査研究をしていきたいと思っています。

国土交通省の調査で、この10年間で水害が1回以上起きている市町村数は98%を上ります。全く水害が起きていないのは、わずか41市町村しかありません。どこでも被災する可能性があるのに、ハザードマップすら見ておらず、関心がなく自分の身にこんなことが起きると思っていない人が多く、テレビでも「まさか」と話している人もいます。災害が起こるたびに、自分事になっていないというところを、なんとか変えていきたいと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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