飲食業の倒産が過去最多ペースに。開業前に見直したい資金繰りとコスト管理

 2026年10月、東京・神奈川・埼玉・千葉の最低賃金が一斉に引き上げられます。これから店舗を開業する方にとっては「求人時給をいくらに設定すべきか」「人件費の計画をどう見直すか」という実務的な問題に直結する話です。開業準備の真っ最中というオーナーほど、採用計画や収支シミュレーションを数字で組み直すタイミングに来ています。この記事では改定内容と、開業前にできる対策を整理します。

目次

8月の飲食業倒産80件、その内訳から見えること

 東京商工リサーチのデータインサイトによれば、2026年8月の飲食業倒産は80件(前年同月56件、42.8%増)でした。1〜8月累計は701件となり、前年同期の644件から8.8%増加しています。過去最多だった前年通期の1,002件を上回るかどうかは今後の推移次第ですが、少なくとも上半期から続く増加傾向は8月も止まっていません。
業種別では「食堂,レストラン」が18件(前年同月比100%増)、「居酒屋(酒場,ビヤホール)」が16件(同300%増)、「ラーメン店」が8件(同166.6%増)、「日本料理店」が6件(同200%増)と、いわゆる街場の飲食店で倒産が目立ちました。報道では、食材費・光熱費・人件費といったコストの上昇に加え、接待需要がコロナ禍前の水準に戻っていないことや、インバウンド需要の恩恵を受けにくい業態ほど経営が厳しくなっていることが指摘されています。
  • 図:2026年8月の飲食業「倒産」件数(前年同月比)と業種別内訳。東京商工リサーチの発表データをもとに編集部が作成。

「販売不振」が8割超。個人店・小規模店ほど影響が大きい

 倒産原因別では「販売不振」が65件で構成比81.2%を占め、前年同月比でも51.1%増えています。次いで「事業上の失敗」が7件(同250%増)でした。
原因の大半が「売上が計画通りに立たなかった」ことにある点は、開業を考える上で重要な示唆です。
コストが上がっても、それを吸収できるだけの客数・客単価が確保できていれば倒産には直結しません。
逆に言えば、開業前の売上計画とコスト計画の精度が、その後の経営体力を大きく左右します。
資本金別で見ると「個人企業他」が30件で構成比37.5%、前年同月比では100%増と突出しています。
負債額別では1千万円以上5千万円未満が60件で構成比75.0%を占めており、大型倒産よりも中小・零細規模の店舗が多く含まれる分布です。
開業資金の規模がそれほど大きくない店舗ほど、資金繰りの余力が乏しく、コスト上昇の影響を受けやすい構図がうかがえます。

開業前に固めておきたい運転資金の考え方

 この統計から開業準備中のオーナーが学べることは、開業資金を「初期投資(物件取得費・内装工事費・設備費)」だけで計算しないことです。開業後の数か月は売上が計画通りに立たないことも珍しくありません。目安として、家賃の6ヵ月程度に相当する運転資金を自己資金または借入枠として別枠で確保しておくと、初動でのコスト上昇や客足の変動に対応しやすくなります。日本政策金融公庫の創業融資などを検討する場合も、事業計画書に運転資金の項目を明確に盛り込んでください。
固定費の見立てが甘いまま開業すると、家賃・水道光熱費・通信費・決済手数料といった「毎月必ず出ていくお金」が想定より重くのしかかります。開業前の資金計画では、変動費(食材費・人件費)と固定費を分けて、固定費だけで損益分岐点がどこにあるかを具体的な数字で出しておいてください。

固定費を見直す:キャッシュレス手数料・光熱費・通信費のチェックポイント

 固定費の中でも見落とされがちなのが、キャッシュレス決済の手数料と入金サイクルです。決済手段によって手数料率は数%単位で異なり、月商が上がるほどこの差は年間の利益に直結します。契約前に手数料率だけでなく、入金までの日数(締め後何日で入金されるか)も必ず確認してください。入金サイクルが長いと、仕入れや人件費の支払いタイミングとずれてキャッシュフローが苦しくなる場合があります。
電気・ガス・通信(Wi-Fi・IP電話)についても、開業時にまとめて契約先を決めてしまうケースが多く、後から見直す機会がないまま数年が経つ店舗が少なくありません。厨房機器や空調の稼働時間が長い飲食店では、電力・ガスの契約プランひとつで月々のコストが変わってきます。開業のタイミングは、こうしたインフラ契約をまとめて比較検討できる数少ない機会です。

開業後の資金繰りを安定させる体制づくり

 倒産の主因が「販売不振」である以上、集客力を高めて売上を安定させることも、コスト管理と同じくらい重要な打ち手です。MEO対策(Googleマップでの露出強化)やSEOによる情報発信は、広告費をかけ続けなくても中長期的に集客につながる施策のひとつです。開業直後からこうした施策に着手できるかどうかで、半年後・1年後の集客力に差が出ます。
イッツコムの「総合開業相談窓口」では、物件探しや内装工事といった開業準備に加えて、Wi-Fi工事、キャッシュレス決済端末の導入、防犯カメラによるセキュリティ対策、MEO・SEOを含む集客支援までを一つの窓口で相談できます。東急グループとして電力・ガス(東急でんき&ガス)のセット契約や、地域に根差した見守り・防犯サービスの実績もあり、開業時の固定費やリスク管理をまとめて相談したい方には選択肢のひとつになります。資金繰りとコスト管理に不安がある方は、開業準備の早い段階で一度相談してみてください。
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