株式会社NTTデータ
東急セキュリティ株式会社
イッツ・コミュニケーションズ株式会社
(株)NTTデータ、東急セキュリティ(株)およびイッツ・コミュニケーションズ(株)の3社は、この度、横浜市青葉区みたけ台地区において実施した、ICタグを利用した子供見守りサービス アイセイフティ実証実験の結果をまとめましたので、公表します。
実験の概要
地域の保護者と警備会社が連携して、横浜市青葉区のみたけ台地域の小学生などにRFIDタグをもたせて、子供達を犯罪から守るためのサービスの実証実験を行いました。
実験の目的
近年、通学路等で子供が事件や事故に遭うケースが増えていますが、新興住宅地などの都市周辺地域では、共働き世帯の増加とともに隣人同士の交流も乏しく、街や地域社会として大人が互いに助け合い、子どもを見守り、育んでいくような仕組みが失われつつあることから、各家庭だけで有効な対応策を講じるのは、費用面や稼働面において困難な状況にあります。
そこで、NTTデータ、東急セキュリティおよびイッツ・コミュニケーションズの3社は、ITを使って子どもの安全に関心の高い保護者同士の連携を促進し、子どもの安全を守る仕組みづくりを行うとともに、地域社会の再生に貢献できるサービスを提供できないかと考え、今回の実証実験を行うことになりました。
そこで、NTTデータ、東急セキュリティおよびイッツ・コミュニケーションズの3社は、ITを使って子どもの安全に関心の高い保護者同士の連携を促進し、子どもの安全を守る仕組みづくりを行うとともに、地域社会の再生に貢献できるサービスを提供できないかと考え、今回の実証実験を行うことになりました。
実施期間
平成17年4月5日(火)から7月31日(日)の118日間
実験項目
検証したのは以下3つのサービスです。
- 通報駆けつけ
タグを持つ児童(見守り対象者)は、困ったことが起きた場合にタグの通報ボタンを押すと、あらかじめ登録された近所の保護者および警備員が助けに駆けつけてくれるサービスです。(別紙2を参照願います) - 登下校(見守り)通知
見守り対象者が街中に設置されている身守りスポット(ICタグの電波を受信するレシーバ)のそばや校門を通過すると、保護者宛に通過情報をメールでお知らせするサービスです。 - 居場所検索
インターネットや携帯電話のブラウザ機能を利用して、保護者が児童の居場所を確認することができるサービスです。(別紙3を参照願います)
RFIDタグ | アクティブタイプ(300MHz帯) |
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実験地域 | 横浜市青葉区みたけ台、桜台、たちばな台1丁目(約1平方キロメートル) |
見守りスポット数 | 27台 |
見守り対象者数(見守り対象者) | 188名 |
駆けつけ支援者登録数 | 215名 |
緊急通報回数 | 53回(全て誤報) |
各社の役割分担 | NTTデータ:全体のコーディネートおよびシステムの開発 東急セキュリティ:警備サービス(地域内巡回と駆けつけ支援)の提供 イッツ・コミュニケーションズ:タグ情報伝達のネットワーク基盤の提供 |
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「見守り通知」画面(例)
実験の評価
駆けつけ支援者として登録された保護者のアンケート結果などを通じ、以下のことが明らかになりました。
- 「通報駆けつけ」のサービス提供時間は、学校の登下校を考慮し午前8時から午後6時までとしました。24時間や夜間を希望する声はあまり多くは聞かれませんでした。
- 「登下校(見守り)通知」は、特に外出の多い保護者から好評でした。
- 「居場所検索」は積極的な利用者は多くはありませんでした。
- 当初想定していた個人情報に関する心配の声は、予想に反してあまり聞かれませんでした。
- その他、緊急通報の誤報の発生や、サービスエリアの拡大、サービスメニューの拡充などへの要望が数多く寄せられました。
課題
1.コストの低廉化
今回の実証実験においては、参加者に対して無料でサービスを提供していましたが、本格サービスとして提供していく上では、誰がどのコストを負担するのかは重要な課題です。保護者からは、警備員の配備も含めたサービスとしてであれば、月額2,000円以上払ってもよいという意見が半数以上を占めました。しかしながら、設備の整備コストを利用者の要望する使用料で提供することは、極めて難しく、自治体と住民との分担による負担など、複合的な形態を検討する必要があります。
2.エリア拡大とサービスの拡充
今回使用したタグの電波の到達距離はおよそ30メートルのため、通学路の多くはカバーし切れませんでした。カバーエリアを広げると、設備コストがかさみ、サービス利用者の負担も増加するためです。より少ないコストでカバーエリアを拡大する技術の導入と設備コスト自体の低減が大きな課題となっています。サービスの拡充についても、不審者情報等の情報配信を望む声も多く、自治体サービスとの連携が重要になってくると考えています。
3.誤報の防止
実験期間中の誤報発生件数は、53件でいずれも「鉄棒で遊んでいるとき」、「ランドセルの下敷きになった」ことによる、無意識の緊急通報(誤報)でした。ただし、警備員が駆けつける安心感と相まって、駆けつけ支援者の意欲低下が認められました。誤報を防ぐために、それまでは1度押したら、緊急通報が挙がるタグだったものから、長押しするタイプのタグに変更するなど対策を講じました。実サービスに向けては、より一層の機能追加が必要と考えています。
今後について
NTTデータ、東急セキュリティとイッツ・コミュニケーションズは、現時点で、多くの地域住民の協力を必要とするサービスを実際に提供するには、行政も含めて地域全体での合意形成を図る必要など課題は多いですが、今回の実験を通じて確実に住民側の意識は高まっていることを感じました。子どもの安全(防犯)について関心の高い保護者同士が協力しあい、理解を周囲に広げていき、自治体や学校などの協力を得ながら、議論を深めていくような地道な取り組みを進めていきたいと考えています。