アイ・セイフティ®「子ども見守り」および「交通安全サービス」
実証実験の結果報告について

株式会社NTTデータ
日産自動車株式会社
イッツ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社トレンディ
東急セキュリティ株式会社

(株)NTTデータ、日産自動車(株)、イッツ・コミュニケーションズ(株)、(株)トレンディ、東急セキュリティ(株)の5社は、2005年12月から2006年3月末まで、横浜市青葉区みたけ台地区において、ICタグを利用したアイ・セイフティ®「子ども見守りサービス」と「交通安全サービス」の実験を行いましたが、その結果を取りまとめたので報告します。

実験の概要

実施期間

2005年12月29日から2006年3月31日(93日間)

実験項目

以下に実験で検証したサービスを示します。

①ドライバー通知
専用の情報提供装置を搭載したクルマが住宅街を走行する際、タグを持つ児童等(見守り対象者)が近くに存在すると、ドライバーに音声で 「近くに子どもがいます。注意してください」 と注意を促し、特に見通しの悪い交差点での安全な運転を支援しました。

②通報駆けつけ
見守り対象者が、支援を必要とする場合にタグの通報ボタンを押すと、警備員とあらかじめ登録された付近の駆けつけ支援者や、近くを通りかかった実験参加車両のドライバーが助けに来てくれるという仕組みです。

③登下校(見守り)通知
見守り対象者が街中に身守りスポット(ICタグの電波を受信するレシーバ)のそばや校門を通過すると、保護者の携帯電話やパソコンなどに通過情報をメールで知らせました。

④エリア検索
インターネットや携帯電話のブラウザ機能を利用して、保護者が見守り対象者のいるエリアを検索したり、当日の移動履歴を確認したりできます。
実験地域 横浜市青葉区みたけ台、桜台、たちばな台1丁目を中心とし、青葉台駅周辺、藤が丘駅周辺などを加えた地域 (約2km四方)※別紙2を参照
見守りスポット 24ヶ所
見守り対象者 162名
ドライバーモニター 114名
駆けつけ支援者 268名
緊急通報回数 22回(全て誤報)
各社の役割分担 NTTデータ:全体のコーディネートおよびシステムの開発
日産自動車:交通安全サービスの検証
イッツ・コミュニケーションズ:無線LAN基地局を含むネットワークインフラの提供
トレンディ:システムの開発および実験期間中のシステム運用
東急セキュリティ:警備サービス(地域内巡回と駆けつけ支援)の提供

実験の評価

駆けつけ支援者として登録された保護者のアンケート結果などを通じ、以下のことが明らかになりました。
  • 多くのドライバーが、アラームによって、運転中に周辺の子どもの存在に対する意識を高めることができ、注意力の持続につながりました。その結果、安全運転の支援に有効であることが確認されました。
  • 今回の実験では、サービスエリアを拡大したことにより、子どもの行動範囲のカバー度が上がり、より有効性が向上しました。
  • 「見守り通知」と「通報駆けつけ」は、特に必要であるとの声が多く聞かれました。
  • 誤報防止のための機能をシステム側に準備しましたが、実験初期段階で誤報が多発しました。ICタグの構造と気候等など、複合的な要素が原因であると分析、ICタグ構造の改良を施し、課題を解決しました。
  • 「子ども見守りサービス」と「交通安全サービス」が連携して機能することにより、相乗効果で有効性が高まることが確認され、共通プラットフォームとして複数のサービスを同居させることの有効性が確認されました。 

課題

① 位置特定の精度向上
住宅街で子どもの位置を把握したり、緊急通報を受けたりするには、ICタグの電波受信エリアを広げる必要がある一方、ドライバーにアラームを出したり、通報者を発見したりするには、エリアの広さよりはむしろ位置を特定できる精度が重要となります。これら二つの背反する要求に応えるためには、機能を充実させるなどの技術的な課題が明らかとなりました。

② サービスエリアの拡大
子どもの安全を守るには、サービスエリアの広さが重要です。今回は、みたけ台地区2km四方を対象としていましたが、それでもやはり十分とは言えません。さらに周辺区域、鉄道沿線に拡大することにより有効性は高まることが想定されますが、そのためには、自治体、公共交通機関等と広く連携することが必要と考えています。

③ 地域の活動母体の組成
今回の実験は、企業がサービスを提案し、地域の住民等が協力する形態で実現しており、子ども見守り、交通安全の両サービスには地域の住民の協力が必要不可欠です。実験参加者からも将来、商用化していくためには、駆けつけ支援者の確保や安全性の担保、参加者の管理など、地域住民が主体となる運営母体が必要であるとの声が寄せられました。地域の安全には住民が自ら取り組むという意識だけではなく、実際に自らが行動を起こすことやその行動を支援する母体の組成が重要であることが改めて確認されました。

今後について

NTTデータは、「安心」から、そして「安全」のために、段階的に必要なサービスを提供する予定です。日産自動車は、子どもや歩行者の交通事故低減を目的に、引き続き技術開発を推進していきます。イッツ・コミュニケーションズは、地域のみなさまに「安心」と「安全」をお届けするサービスの検討を継続して続けて参ります。東急セキュリティは、地域に「安心」・「安全」サービスを提供すべく、さらに警備力の充実・強化を進めてまいります。トレンディは、今回の実証実験で確立したICタグによる位置情報提供サービス技術を広く販売して参ります。
一方、5社は、実験で培った地域住民との信頼関係に基づき、地域の安心・安全のためのサービス実現に向けて、地域住民との連携をしつつ、議論を深めていきたいと考えています。

※ 「アイ・セイフティ®」は株式会社NTTデータの登録商標です。
※ その他のサービス名等は、各社の商標および登録商標となります。
以上