東急は2019年からMaaS(=Mobility as a service)の取り組みを進めています。その一環として、過疎地や観光地などでの移動支援を主な目的として遠隔型自動運転サービスの実証実験を行っており、東急グループのイッツコムは、自社の技術を活用して、この事業に共に取り組んでいます。
自動運転バスは、遠隔コントロールセンターのオペレータが車両に搭載したカメラの映像や自動運転システムの動作状況を監視しながら、遠隔で指示・操作を行います。実証実験では周囲監視のための運転手が同乗しますが、法改正などを踏まえ、今後の無人運転(レベル4:走行ルートなど特定条件下での無人運転)を見据えています。
2019年から静岡県で開始した観光型MaaS実証実験では、観光客の利用シーンと並行し、地元の高齢者の移動手段としての利用シーンも想定した検証を行いました。MaaSはスマホアプリやPC経由の専用サイトで予約することが主流となっていますが、高齢者に対する新たな手段としてテレビを利用した予約システムを導入しました。ここにイッツコムのテレビ・プッシュの技術を活用しています。
テレビ・プッシュは、テレビの電源がOFFの場合にも、プッシュ機能で自動的にテレビをONにして、「防災情報」や「生活情報」などを画面と音声でお知らせするイッツコムのサービスです。
実証実験では、テレビ・プッシュの技術を応用し、リモコン操作とテレビ画面を組み合わせ乗車予約が行えるようにしました。予約手順が分かりやすいように音声案内もついており、誰でも簡単に予約できることが特長です。予約完了後、乗車時刻が近づいた時に、プッシュ通知でテレビが起動し、車両の到着を画面と音声でお知らせします。
静岡県でのMaaS実証実験の経験と実績をもとに、2022年度には多摩田園都市エリアでも、すすき野地区(横浜市青葉区)・虹が丘地区(川崎市麻生区)を周回する自動運転バスの実証実験を実施しました。大都市近郊の郊外住宅地の移動手段としての利用を検証します。
将来の無人運転化を見据えているため、従来運転手が行っている行先案内や注意喚起、乗客対応、乗車案内なども全て無人で行う必要があり、これらのシステムにもイッツコムの技術が使われています。
車内前方に設置したモニターには、行き先や出発案内、次のバス停案内のほか、右左折の注意喚起などを自動運転システムと連動し表示します。
また、乗客検知・乗車案内システムもイッツコムが設計・開発に携わりました。予約IDを持つ乗客が待機しているバス停にバスが近づくとシステムが検知し、バスが停車。座席クッションに内蔵したセンサーで乗車可能位置を判断し、どのドアから乗車できるかを案内します。
イッツコムは、東急と共にみなさまの生活が安心・安全でより便利になるよう、これからも取り組みを進めます。
担当者の想い ———————————
黒川 渉
(事業戦略室 アライアンス営業部)
黒川「少子高齢化を背景に交通インフラの分野は、事業者にとっては安全性の維持やドライバーの担い手不足など、地域のみなさまにおいては免許返納後の移動手段やCO2による地球温暖化など様々な課題が増えていくと言われており、自動運転技術はこれらの課題解決に向けた有効な手段と考えられております。東急グループの知識と経験を集結することで「日本一住みたい街=東急沿線」を実現すべく、イッツコムはこれからも東急グループの一員として取り組みを進めて参ります。」