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クラウドとは?仕組み・種類・歴史を初心者向けに一挙解説

クラウドコンピューティング(クラウド)は一般化しており、企業も個人もさまざまなクラウドサービスを利用しています。クラウドはコンピュータ・データの利用方法として新しいものではありませんが、広く一般に活用されるようになったのは2000年代以降です。

クラウドとは何か、何ができるのかについて、基礎から理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、クラウドの仕組みや種類と発展の歴史について紹介します。

クラウドとは?


「クラウドコンピューティング(cloud computing)」を意味するクラウド(cloud/雲・大群)は、「クラウドソーシング(crowd sourcing)」や「クラウドファンディング(crowd funding)」で用いられるクラウド(crowd/群衆・押し寄せる)とは異なる概念です。カタカナ表記だと同音異義語になるだけで、本来の語義に関連性はありません。

まずはクラウドコンピューティングとは何かを、クラウドサービスの例も交えて解説します。

クラウドコンピューティングの基礎知識

クラウド(cloud)は、雲や大群を意味する英単語です。クラウドコンピューティング(cloud computing)または単にクラウドとは、サービス提供の本体となるサーバシステム(ソフトウェアやハードウェア)を、インターネットなどのネットワーク経由で利用する形態を指します。

IT業界ではシステム構成図などを書く際、ネットワークの先にあるソフトウェアやハードウェアをまとめて雲のような形で書き表す慣習があります。そのため、ネットワーク経由でまとまったコンピュータ資源を利用する形態をクラウドと呼ぶようになりました。

クラウドコンピューティングにより提供されるサービスをクラウドサービス、クラウドサービスの事業者をクラウドベンダーやクラウドプロバイダと呼びます。

クラウドサービスの例

クラウドサービスとは何かを理解しやすくするために、例としてクラウドストレージやWebメールをイメージしてみましょう。社内でファイルサーバやメールサーバを運用するなら、サーバ機器の調達やネットワーク構築、専任の担当者を配置した運用保守体制の確立が必要です。

これに対しBoxやiCloudなどのクラウドストレージは、クラウドベンダーが保有するサーバ内に割り当てられたストレージ領域へ、Webブラウザや専用アプリケーションを通じてインターネット経由でアクセスします。また他のデバイス・サービスからフォルダやファイルにアクセスすることも容易です。

GmailやHotmailなどのWebメールなら、メールボックスはクラウドベンダー側が管理しています。ユーザーはWebブラウザなどから必要に応じて表示・ダウンロードといった操作を行うだけで済みます。

【関連記事:クラウドサービスとは?種類・例・メリットや活用のポイントを解説

クラウドコンピューティングの仕組みとメリット


クラウドコンピューティングの魅力の1つは、オンプレミスのコンピュータ資源を最小化できることです。さらに、いつでもどこからでも必要なだけ利用でき、固定資産を抱えず「使った分だけ」の課金ができます。これらのメリットを実現できるのは、クラウドベンダーが仮想化技術を用いて、ユーザーごとの利用リソースを柔軟に調整できるためです。

オンプレミスのコンピュータ資源を最小化できる

クラウドの対義語としてよく使われるのが「オンプレミス(on-premises/自社運用)」です。オンプレミスとは、システムの運用に必要なソフトウェア及びハードウェアを、自社の施設内に保有して管理する運用形態を指します。

従来のコンピュータ資源の利用方法は、自社施設内のPCやサーバにソフトウェアをインストールし、LAN(Local Area Network)の中でシステムを運用・保守管理することが一般的でした。

これに対してクラウドは、クラウドベンダーがデータセンター内で運用・保守管理するシステム(ソフトウェアやハードウェア)を、インターネット経由で利用できます。

つまり、インターネット環境とPC・スマホさえあれば必要なコンピュータ処理が可能になったということです。自前のコンピュータ資源を最小化できるのは大きなメリットといえます。

いつでもどこからでも必要なだけ利用できる

クラウドサービスは主に仮想化技術を用いて提供されます。仮想化とは、CPU・メモリ・ストレージ・サーバなどのコンピュータ資源を統合して1つに見せかけたり、逆に分割して複数に見せかけたりできる技術です。

この技術により、ユーザーはクラウドベンダーが保有するコンピュータ資源を、必要なときに必要なだけ(オンデマンド)利用できます。計算処理も大部分がクラウドベンダー側で実行されるため、サーバに処理を要求して結果を表示するクライアントソフトウェア(Webブラウザや専用アプリケーション)を通じ、低スペックなデバイスからでも利用可能です。

固定資産を抱えず「使った分だけ」の課金ができる

従来のソフトウェアやハードウェアは「買い切り型」が主流でした。クラウドサービスはユーザーごとに割り当てるコンピュータ資源を柔軟に変更できるため、フリーミアムモデルや従量課金制を採用します。

フリーミアムモデルとは、基本サービスを無料で、付加的なサービスを有料で提供するビジネスモデルです。一般消費者向けなど汎用的なクラウドサービスの多くは、登録や基本機能の使用は無料で、より高度な機能や追加容量は月額定額制で提供します。

法人向けのクラウドサービスは、月額基本料金にデータ転送量などに応じた従量課金を組み合わせる料金体系が一般的です。いずれも自社内に固定的な設備を抱えることなく、「使った分だけ」のサービス料を支払います。

情報システムの進化とクラウド台頭の歴史


コンピュータやデータの主流な活用方法は、デバイスの高度化やネットワーク技術の発展により移り変わってきた歴史があります。ここでは、1960年代から現在までの歴史をざっと紹介します。

【1960年代~70年代】メインフレーム全盛期の集中コンピューティング

1950年代に商用コンピュータが実用化された当時、コンピュータは事務処理や科学技術の研究など、特定の用途・機能に特化したものでした。

1960年代~1970年代には「メインフレーム(汎用機)」と呼ばれる、さまざまな用途に利用できる大型コンピュータが台頭します。

ただし当時はネットワーク技術が限定的で、個人利用できる小型コンピュータも商用化されていなかったため、全てのデータ保管・処理をメインフレームに集中させる「集中コンピューティング」の時代でした。

【1980年代~90年代】クライアント/サーバ型の分散コンピューティング

1980年代にはPCなどの小型コンピュータが急速に普及し、メインフレーム集中型からクライアント/サーバ型への移行が進みました。

周辺機器・ソフトウェアの標準化やPCの高性能化・低廉化などを受け、大規模なデータ保管・処理はサーバに集中させ、小規模なデータ保管・処理はPCに分散させる動きが加速します。

決定打となったのは、1995年に発売されたMicrosoft社製OS「Windows95」です。ここからPC市場は飛躍的に拡大し、競争も激しくなっていきます。ただし当時はインターネット黎明期で、LAN内での分散コンピューティングが主流でした。

【2000年代~10年代】クラウドコンピューティングの台頭

2000年には日本でGoogle検索やAmazon.co.jpなどのWebサービスが開始、2003年には家庭用光回線が登場するなどし、インターネット利用が急速に拡大しはじめます。

2000年代後半にはAWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)といった巨大資本によるクラウドサービスが正式公開され、世界的にクラウドコンピューティングが注目を集めました。

さらにYouTube・Facebook・Twitter(現X)の日本語サービス開始、iPhoneやAndroid端末の発売開始などを受け、インターネット活用が一般化します。

こういった急速な変化の中、2000年代から2010年代にかけて、ネットワーク経由で集中コンピューティングを行う動きが加速(クラウドコンピューティングが台頭)しました。

【2010年代後半~】エッジコンピューティングの登場

データ流通量の増大もあり、クラウドコンピューティングの市場拡大と利用率上昇が続いていきます。しかしクラウドコンピューティングの普及や用途拡大に伴い、回線負荷やサイバー攻撃などのリスクが問題視されるようになり、リアルタイムな情報処理のニーズも高まっていきました。

そこで2010年代以降、一部処理をデバイスに近いネットワーク周辺部(エッジ)で行う「エッジコンピューティング」などの取り組みも増えている状況です。これにより大規模なデータ保管・処理はクラウドに集中、小規模なデータ保管・処理はPC・スマホ・IoT機器などに分散、特に低遅延が求められる処理はエッジサーバにより分散します。

クラウドサービスの「提供形態」による違い


クラウドサービスの主な提供形態は「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類です。これらを総称する概念として、「XaaS(X as a Service)」「EaaS(Everything as a Service)」という用語も使われます。クラウドサービスの呼び方の違いは、「ネットワーク経由で何をサービスとして提供するか」という提供形態の違いです。

SaaS(Software as a Service)

SaaS(Software as a Service/サービスとしてのソフトウェア)とは、何らかの機能・用途がパッケージ化されたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして利用する形態を指します。SaaSはクラウドサービスの提供形態として最も一般的なものです。

例えばクラウド型のSFA(営業支援システム)やグループウェア、Webブラウザから利用できるオフィススイート、システムの本体が外部にあるゲームやSNSなどが挙げられます。

複数ユーザーでリアルタイムに同じファイルを表示・編集したり、PCやスマホなどデバイスを切り替えて同じアカウントでアクセスしたりすることが可能です。

PaaS(Platform as a Service)

PaaS(Platform as a Service/サービスとしてのプラットフォーム)とは、設定済みのOS・サーバソフト・言語処理系など、アプリケーションの実行環境一式をインターネット経由で利用する形態です。

これらの環境をオンプレミスで整備運用するには多大なコスト・手間と人員を要しますが、PaaSなら自前のアプリケーションを持ち込んで実行するだけで運用開始できます。

メンテナンス・障害対応などはサーバ資産を管理するクラウドベンダーに任せられる上、負荷に応じた柔軟なリソース変更も可能です。

オンプレミス環境の各種システムと分離し、時間・場所・デバイスを問わずアクセスできるため、アプリケーションの開発環境としても重宝されています。

IaaS(Infrastructure as a Service)

IaaS(Infrastructure as a Service/サービスとしてのインフラ)とは、サーバや通信回線などのITインフラを、インターネット経由で一括して利用できるサービス形態です。

利用したいCPU・メモリ・ストレージなどのハードウェア環境を選択し、OS・ミドルウェア・アプリケーションといったソフトウェア環境は契約者自身で導入・設定します。一般的には仮想サーバ単位で契約するため、負荷の増減に合わせて柔軟にコンピュータ資源の追加・削減が可能です。

PaaSより自由度が高く、商用Webサービスや社内情報システムなどの運用環境として重宝されています。

【関連記事:クラウドサーバとは?レンタルサーバとの違いや導入のコツを徹底解説

クラウドの「配置形態」による違い


クラウドは「クラウド環境をどこに構築し、どのような経路で利用するか」という配置形態でも複数の分類があります。最も一般的なものは、誰でも利用できるパブリッククラウドです。企業はプライベートクラウドやハイブリッドクラウド環境を利用し、高い機密性が求められる情報システムを運用する場合もあります。

誰でも利用できるパブリッククラウド

パブリッククラウドとは、クラウドサービスをインターネット経由で誰でも利用できるようにした提供形態です。公衆網であるインターネットを経由し、他のユーザーとコンピュータ資源を分割利用する形でXaaS(SaaS・PaaS・IaaSなど)を提供するものをパブリッククラウドと呼びます。

個人利用するクラウドサービスは基本的にパブリッククラウドです。企業でもパブリッククラウドの形態でクラウドサービスを利用するケースは多いでしょう。

関係者のみがアクセスできるプライベートクラウド

プライベートクラウドとは、従業員・関連会社・取引先など限られた関係者のみがアクセスできる配置形態です。

パブリッククラウドとは異なり、専用回線やVPNによるセキュアなネットワークを経由し、自社専用に確保したコンピュータ資源を利用します。プライベートクラウドの主な利用形態は以下2種類です。

・オンプレミスプライベートクラウド:自社のデータセンター内にクラウド環境を構築したもの
・仮想プライベートクラウド:パブリッククラウド事業者から専用区画を借り入れ、外部からのアクセスを遮断して運用するもの

両方を掛け合わせたハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせた形態です。パブリッククラウドは安価に利用できる反面、社内向け情報システムなどの運用にはセキュリティ上の懸念が生じる場合もあります。

そこで、機密情報や個人情報を扱うシステムはプライベートクラウドで運用し、負荷の増減が激しいシステムや一時利用のシステムをパブリッククラウドで運用します。

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クラウドストレージはSaaSの代表格です。オンプレミスのファイルサーバは運用管理のコストが大きく、リモートワーク環境でファイル共有がしにくい問題もあります。そこで、ファイルサーバをクラウドストレージに移行してみてはいかがでしょうか。

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まとめ


クラウドサービスは主にSaaS・PaaS・IaaSの3種類に分類でき、最も一般的なものはSaaSです。個人・企業ともに多くの場合パブリッククラウド環境でクラウドサービスを利用しますが、情報漏えい対策などセキュリティを重視する場合には、プライベートクラウドまたはハイブリッドクラウド環境でPaaSやIaaSを運用する場合もあります。

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