ペーパーレス化に失敗するのはなぜ?失敗例や対策方法を紹介します
目次
ペーパーレス化とは、今まで紙に印刷していた資料や書類をデータとして保存・共有することで、仕事の効率アップやコスト削減につながる取り組みです。しかし、ペーパーレス化によって得られるメリットや対策がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ペーパーレス化に失敗する原因とともにメリットや対策方法について解説します。ペーパーレス化に必要な機器やサービスも紹介するので、スムーズな導入が可能になるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
ペーパーレス化で失敗するのははぜ?
将来的には仕事の効率化やコスト削減という恩恵があるペーパーレス化ですが、なかなか進まないのが現状のようです。具体的には、従業員の意識や導入端末を使いこなせないといった問題があります。ここでは、ペーパーレス化の失敗例を2つご紹介します。
従業員がペーパーレス化に取り組まない
ペーパーレス化が進まない失敗例として、従業員がペーパーレス化に消極的であるというケースがあります。たとえば、会議の資料を電子化したとしても、自分の分は紙で欲しいと印刷する従業員がいれば紙の消費量は減りません。
ペーパーレス化にはデジタル機器の導入が必須ですが、従業員によってITリテラシーに差があることや紙の利便性にデジタル機器が敵わないことが失敗を招く原因になっているようです。
導入した端末を使いこなせない
ペーパーレス化に必須なのがデジタル機器の導入です。しかし、従業員の中にはパソコンやタブレットといった端末を使いこなせない方もいるでしょう。また、専用のシステムを導入した場合、新しい機能を覚えきれないということもあるかもしれません。
そのような事態を解決するため、導入するデジタル機器の扱い方から教育しなければならないのが現状です。
ペーパーレス化が難しい理由
ペーパーレス化の失敗例からもわかるように、ペーパーレス化を進めるにはいくつかの課題があります。たとえば、コストや端末の問題、利用する側の意識の問題が挙げられます。ここでは、ペーパーレス化が難しい理由について詳しく解説します。
導入コストが障壁となっている
ペーパーレス化に際し、従業員全員分のデジタル機器を用意しなければなりません。そのため、まとまった初期費用がかかることが導入を難しくする理由のひとつといえるでしょう。
ペーパーレス会議や情報共有のためには、ひとり1台のパソコンやタブレットが必要です。加えて、セキュリティ対策も必須なので、ランニングコストもかかります。将来的にはコスト削減につながると理解していても、導入コストは大きな障壁となるようです。
ディスプレイサイズの問題がある
デジタル機器を使用すると、ディスプレイサイズの問題も生じます。一般的に紙の資料はA4サイズなので、パソコンやタブレットの画面だと小さく見づらいと感じる方もいるでしょう。紙ならたくさんのページを並べて一度に見ることが可能ですが、デジタル機器は画面をスクロールする必要があります。
また、明るい液晶画面を長時間眺めるため、目に負担がかかることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
システム障害への恐怖感
デジタル機器を使う上で、システム障害への不安は常につきまといます。システム障害の原因はプログラムの問題・システムへの負荷・自然災害・電気系統の問題などがあり、現場の従業員にとっては予測することも防ぐこともできないものです。
障害が起きている間、すべての業務がストップしてしまうのも会社にとって大きなリスクといえるでしょう。ただし、データに関してはあらかじめクラウドに保存しておけば損失は防げます。ファイル共有システムを利用して、普段からリスク管理をすることをおすすめします。
利用者のIT知識が乏しい
ITに関する知識が乏しいことも、ペーパーレス化が難しい理由のひとつといえるでしょう。特に、年配の方ほど苦手意識が強い傾向があるようです。また、日常的にデジタル機器に触れている世代でも、ペーパーレス化のために導入した新しいシステムが複雑だと対応できないケースがあります。
ペーパーレス化を推進するにはITリテラシーの向上は必要不可欠です。操作方法だけでなくセキュリティの意識に関しても十分な教育が必要になるでしょう。
電子化できない書類もある
ペーパーレス化を進めていく中で、電子化できない書類も存在します。たとえば、申請書類は電子化しにくいもののひとつでしょう。日本では手書きの署名と押印の文化が深く根づいているためです。また、請求書類もペーパーレス化が難しい書類といえます。
しかし、2005年4月に施行された「e-文書法」によれば、多くの書類は電子化して保存することが可能です。「電子署名」や「タイムスタンプ」をつけるシステムは必要ですが、ペーパーレス化を推進するなら知っておくとよいでしょう。
ペーパーレス化することで得られるメリット
ペーパーレス化を進めるのは難しいとはいえ、導入すれば多くのメリットがあります。コストの削減やセキュリティの強化はもちろん、仕事が大幅に効率化できます。ここでは、ペーパーレス化によって得られるメリットについて詳しく解説します。
業務備品のコストを削減できる
ペーパーレス化の最大のメリットは、業務備品のコストを削減できることではないでしょうか。会議の資料を人数分コピーしたり契約書を印刷したりするたびに、毎回費用がかかるのが従来のシステムでした。
たとえば、印刷に1枚5円かかるとして、400人の従業員が1日10枚ずつ印刷すると1か月で約60万円かかる計算になります。ペーパーレス化すれば、これらのコストは必要ありません。
セキュリティ強化につながる
デジタル機器で情報を共有する際、閲覧にパスワードを設けることができます。これは紙媒体ではできないセキュリティ対策で、ペーパーレス化の強みともいえるでしょう。またログ管理もできるため、誰がいつ見たのか管理できます。
従来の紙媒体では盗難や紛失といったリスクがありましたが、電子化すれば意図的に削除しない限りそのような心配はありません。結果、ペーパーレス化はセキュリティの強化につながります。
業務効率が向上する
今までの会議では、事前に人数分の資料を印刷するといった準備が必要でした。ペーパーレス化すれば、準備をしなくともデジタル機器を通して資料の共有ができます。必要に応じて内容の差し替えが可能で、差し替え後すぐに共有できる点もペーパ―レス化のメリットといえるでしょう。
また、印刷や準備にかけていた時間を他の業務にあてることで、ひとりひとりの業務効率が向上して生産性も上がります。
保管スペースの削減になる
紙の資料を保管するには、必要なスペースを確保しなければなりません。特に領収書は7年間保管するよう法律で義務付けられているため、多くのスペースを要します。これらの書類を電子化することにより、保管スペースを削減できます。
不要な資料を処分して必要な書類を電子化するだけで、共用キャビネットを69%削減、個人サイドキャビネットを56%削減できたという実例もあるようです。中には資料を保管するために倉庫を借りている企業もあり、保管に関するコストを削減するという意味でもペーパーレス化は大いに役立つといえるでしょう。
(参考:『「10のワークプレイス改革の取組」(詳細版) – 総務省』)
情報整理がしやすくなる
デジタル機器に資料をまとめれば、情報の整理や検索がしやすくなります。紙媒体の場合、見たい書類を探すときには棚や段ボールからファイルを探し出す必要があります。整理が不十分だと多くの時間がかかります。
電子化すれば検索が可能なので、どこに何のファイルがあるのかすぐに把握できます。テンプレートやフォームがあれば、情報の入力も容易でしょう。情報整理がしやすくなれば、作業効率も上がります。
さらに、取引先や出張先からでも情報を得ることが可能なので、会社に戻ったり誰かに調べてもらったりという手間が省けます。
バックアップがしやすくなる
紙媒体は物理的なリスクに弱いのが難点です。紛失や火災、盗難で一度失ってしまうと、取り戻すことはほぼ不可能でした。
一方、電子化したデータはバックアップを保存できます。バックアップを取っておけば、万が一自社のパソコンが壊れたりサーバーが故障したりしても、データを復元することが可能です。クラウドを利用すれば簡単にバックアップができ、大切なデータを守ってくれます。
ペーパーレス化に失敗しないためのポイント
ペーパーレス化を進めるには乗り越えるべき課題がたくさんあります。しかし、多数のメリットがあるペーパーレス化を成功させたいと考える方は多いでしょう。ここでは、ペーパーレス化に失敗しないために、ポイントを4つご紹介します。
従業員の理解を得ること
ペーパーレス化は一方的に推し進めるのではなく、従業員の理解を得ることが重要です。ペーパーレス化によって従業員の負担やコストがどの程度減るのか、会社全体にどのような利益があるのかをきちんと説明した上で、少しずつペーパーレス化を進めるとよいでしょう。
従業員の理解と協力が得られればペーパーレス化への移行がスムーズに進み、会社にも大きな恩恵をもたらします。くれぐれも強引に納得させるのではなく、じっくりと話し合いましょう。
段階的に導入していくこと
従業員の理解が得られたら、すべての業務をペーパーレス化したいと考えるかもしれません。しかし、今までのシステムを一気に変えると現場が混乱し、業務に支障が出る恐れがあります。
まずは使いやすいデジタル機器を導入し、従業員が使い方に慣れてから資料を電子化するといったように段階的にペーパーレス化を進めましょう。たとえば、会議の資料を電子化すれば、全員で使用方法を確認し合えるだけでなく使用する紙の使用量も大きく減ります。従業員の負担にならないように、時間をかけて移行することが大切です。
簡単に扱える機器から導入すること
ペーパーレス化を決めたら、簡単に扱える機器から導入しましょう。いきなり使い方が難しい機器を導入すると、従業員の混乱を招き士気が下がる原因にもなります。
まずはパソコンやタブレットのような、普段使っているわかりやすい機器を選ぶとよいでしょう。最初の段階でデジタル機器に抵抗を持たれると、ペーパーレス化にマイナスの印象を与えてしまいます。そのような事態を避けるためにも、導入機器は慎重に検討する必要があります。
デジタル機器が扱えるようになり、便利さに気づけば従業員もペーパーレス化に前向きになってくれるでしょう。
会議で使用する資料の量を減らすこと
会議では出席者全員分の資料を用意するため、多くの紙を使用します。会議の出席者が20人・資料の枚数が5枚とすると、1回の会議で100枚の紙が消費されます。会議のたびに資料を用意すると、1か月の使用枚数は何千枚にもなります。個人で使用する量に比べて、かなり多く感じるのではないでしょうか。
まずは会議で使用する資料を電子化しましょう。紙の使用量や印刷代が明らかに減るため、ペーパーレス化の効果が目に見えやすく従業員の意識向上にも役立ちます。
ペーパーレス化のための機器やサービス
実際にペーパーレス化するには、どのような機器やサービスが必要なのでしょうか。サービスの一例として、文書管理システム、Web会議、ファイル共有システム「box」といったものが存在します。ここでは、ペーパーレス化に役立つ機器やサービスをご紹介します。
デバイス
デバイスとは、パソコンに接続して使用するハードウェアのことです。周辺機器とも呼ばれ、具体的にはモニター・マウス・キーボード、DVDやBlu-rayに書き込む際に用いるディスクドライブ、記録媒体であるハードディスクといったものがあります。
このようなデバイスは、ペーパーレス化を進めるのに重要になります。特に電子化した資料を保存するには容量が必要なため、デバイスは大きな位置づけにあるといえるでしょう。
文書管理システム
文書管理システムとは、文書や資料を電子化し管理するツールです。主に保存・活用・廃棄ができます。
文書管理システムを利用するメリットには、複数の従業員が共同で作業できるといった点が挙げられます。検索がスピーディで編集や承認の履歴が記録されるため、作業効率がアップするのもメリットといえるでしょう。
一方、紙資料のスキャンやシステムの教育といった手間がかかるという点がデメリットですが、セキュリティや利便性を考えると便利なツールといえます。
Web会議システム
Web会議システムとは、インターネットを介して音声や動画がリアルタイムでやり取りできるシステムです。最近では多くの商品が開発されており、セキュリティが万全なものも増えてきました。
Web会議のメリットは、インターネットにつながる環境なら世界中どこにいても会議に参加できる点です。出張先の海外でも、パソコンやスマートフォンがあれば会議に出席できます。また、システム上で資料を共有できるのも特徴のひとつです。
オンラインストレージ
オンラインストレージは別名クラウドストレージとも呼ばれ、インターネット上にデータを保存できるサービスです。ハードディスクのような記録媒体を用意しなくても、インターネット環境さえあれば、いつでもどこからでもデータの閲覧や編集・保存・削除といった操作ができます。
また、バックアップにも利用できデータの共有も容易なため、最近目にする機会が増えてきました。セキュリティや容量・用途に合わせて慎重に選べば、大いに役立つサービスといえるでしょう。
ファイル共有システム「box」
ファイル共有システム「box」とは、動画や画像・電子化した資料といったデータをクラウドで一元管理できるシステムです。共同編集が可能なので、プロジェクトに必要なデータをクラウド上で共有すれば、作業を効率化できます。アクセス権を細かく制限したりログを管理したりすることで、機密性も保たれるでしょう。
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まとめ
ペーパーレス化を推進するには、従業員の理解やITリテラシーの問題・導入コストといった課題があります。しかし、長い目で見るとコスト削減が見込め、企業の成長につながる取り組みです。従業員の理解を得ながら、必要なデジタル機器やシステムを段階的に導入しましょう。
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