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インバウンド観光の課題とは?最新動向と自治体・企業の対策を解説

近隣アジア諸国や欧米豪からの訪日外国人旅行客の急増、人材不足、オーバーツーリズムの問題など、2023年以降のインバウンド観光を取り巻く事情は、コロナ禍以前とは大きく変わっています。インバウンドのおもてなし体制に課題を抱えており、対策について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。

インバウンド対策は、自治体も企業も方向を誤らずに注力すべき重要な問題です。この記事では、インバウンド観光の最新動向や、自治体・店舗における課題と対策について紹介します。

インバウンド観光の最新動向

コロナ禍で訪日外国人客数は激減し、観光業界は軒並み大打撃を受けました。ところが水際対策の緩和からインバウンド需要は急回復・拡大し、2024年内に訪日外国人客数の目標達成の前倒しが見込まれるほどの勢いです。

地方分散と受け入れ体制の強化が喫緊の課題となる中、観光地域づくり法人(DMO)と自治体を中心とするサステナブル・ツーリズムの重要性が高まっています。

訪日外国人客数は2024年内に過去最高を達成する見通し

世界的な物価高騰や歴史的な円安を背景に、日本のインバウンド市場は堅調な需要拡大が見込まれています。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年4月の訪日外国人客数は304万2,900人でコロナ禍前の同月比4.0%増となり、2か月連続で300万人を超えました。

政府は2025年までに訪日外国人客数をコロナ禍前の水準である3,188万人超とする目標を掲げていますが、このペースでインバウンド需要が回復・拡大すれば、2024年内に訪日外国人客数・1人当たり消費額ともに過去最高を達成できる見通しです。

(参考:『訪日外客数2024年4月推計値(2024年5月15日発表)|JNTO 日本政府観光局』

地域側の受け入れ体制が重要課題

政府は2030年までに訪日外国人客数を6,000万人まで増加させる目標を掲げており、実際にインバウンド需要は拡大基調にあります。ただし大都市圏を中心に宿泊施設が不足するなど、キャパシティの制約があるため、地方分散が喫緊の課題です。

リクルートのじゃらんリサーチセンターが2024年5月に公表した、観光地域づくり法人(DMO)と自治体を対象とするアンケート調査によると、インバウンドの課題として「受け入れ整備」「人手不足」「誘客プロモーション」などが上位に挙がっています。

訪日外国人旅行客が戻り、地方分散が求められる中、「地域側で受け入れ体制が整っていない」というのが実情です。

(参考:『インバウンド市場の注力ターゲット調査2024 調査報告書|リクルートじゃらんリサーチセンター』

サステナブル・ツーリズムの実現が求められる

観光立国の実現を目指す日本において、国連世界観光機関(UNWTO)が定義する「サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」という考え方が重視されるようになっています。サステナブル・ツーリズムとは、旅行者・観光関係事業者・受け入れ地域にとって、環境・文化・経済の観点で持続可能かつ発展性のある観光を目指すことを指します。

サステナブル・ツーリズムを実現するには、観光地域づくり法人(DMO)や自治体が中心となって、中長期的な計画に基づく総合的な観光地マネジメントを行うことが重要です。

地域の自然・生物多様性の保全や伝統・文化遺産の保存・継承、また地域経済の活性化と安定的かつ長期的な雇用の創出により、「住んでよし、訪れてよし」の地域づくりを推進することが求められます。

自治体におけるインバウンドの課題と対策

近隣アジア諸国や欧米豪などから多数の外国人旅行客が訪日する中、地域ならではの飲食・文化や四季の景色を求めるインバウンド観光が拡大基調にあります。自治体におけるインバウンド対策として、多言語対応や二次交通不足の解消、地域のブランディング・観光誘致は重要です。またオーバーツーリズムの未然防止にも取り組む必要があるでしょう。

多言語対応

訪日外国人旅行客の受け入れ体制として、多言語対応は必須です。例えば「Webサイトが日本語版のみ」「観光案内所で外国語による情報提供ができていない」といった自治体も多いでしょう。

これでは地域の魅力を十分に伝えられず、誘致が進まないばかりか、地域内での観光資源の活用や回遊にも支障が生じます。多言語対応を進めるなら、以下のような取り組みを検討しましょう。

・Webサイトの多言語対応
・少なくとも英語で対応できるスタッフの配置
・翻訳アプリやAI通訳機の導入
・多言語対応のパンフレット・観光ガイドブックの作成
・多言語表示のタッチパネル式デジタルサイネージ(観光案内板)の設置

二次交通不足の解消

観光資源は充実していても、拠点となる空港や駅から観光地までの交通(二次交通)が不足していると、訪日外国人旅行客は観光地まで容易にたどり着けません。この課題を解消するには、以下のような取り組みが重要です。

・自治体や民間企業が協力してシャトルバスや乗り合いタクシーを運行する
・レンタル自転車を整備する
・ICTを活用して観光型MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を整備し、バスやレンタカーなどの移動サービスを組み合わせ、検索・予約・決済などをワンストップで行えるようにする
・観光地域が広域に及ぶ場合や、観光地が隣県の拠点からが近い場合は、行政の枠を超えて連携した交通サービスを提供する

地域のブランディング・観光誘致

2024年のインバウンド消費は、「爆買い」に象徴される買い物より、サービスを中心とする消費に比重が移っています。この「モノ消費」から「コト消費」への変化は、地域のブランディング・観光誘致にとって重要な視点です。サステナブル・ツーリズムも念頭に置き、以下のような取り組みに着手しましょう。

・地域の有形無形の伝統・文化資産や特産品などを、魅力ある形で海外に向け発信する
・そば・うどん打ちなど体験型アクティビティの整備をサポートする
・環境保全に配慮したプロモーション活動を行う
・歴史・文化・景観・農水産物が一体となって生み出す、その地域でしか体験できないストーリーをアピールする

オーバーツーリズムの未然防止

訪日外国人旅行客が増えることは喜ばしいことですが、特定の観光地に集中すると、交通機関の混雑やごみの散乱などの悪影響を及ぼす場合があります。この「オーバーツーリズム」は地域住民の生活や自然環境・景観を損ね、旅行客の満足度も低下させかねません。具体的な対策は以下の通りです。

・公共交通機関の混雑状況に応じた変動運賃を導入する
・チケット購入や運賃支払いのキャッシュレス化・多言語化を支援する
・MaaSや配車アプリの導入・サービス拡充を支援する
・混雑していない観光ルートや時間帯へ誘導する
・私有地の立ち入りを防ぐ防犯カメラの設置を支援する
・宿泊業の採用活動・DX推進・外国人材活用を支援する
・文化財や美術館・博物館などを早朝・夜間に体験する特別プログラムを実施する
・新たな観光地域を整備し、観光ルートを分散化する

企業におけるインバウンドの課題と対策

JNTOや自治体が地域インバウンド促進に取り組む中、旅館・ホテルや飲食店を訪れる外国人旅行客はさらに増加が見込まれます。企業のインバウンド対策として、人材不足の解消および生産性向上が重要です。多言語対応やフリーWi-Fiの提供、キャッシュレス決済対応などにも取り組む必要があるでしょう。

【関連記事:インバウンド対策とは?飲食店の売上アップを成功させる施策8選

人材不足と生産性向上

インバウンド需要を地方に分散させることは重要ですが、急激に回復した訪日外国人旅行客数に対応できるだけの人材リソースを確保できていない店舗も多いでしょう。

特に旅館・ホテル業界の人材不足は深刻です。インバウンド需要の回復で稼働率や客室単価が上昇した宿泊施設も多い一方、限られた人材で宿泊客をさばき切れず、一部サービスの提供を制限する宿泊施設も見られます。機会損失の防止や従業員の待遇改善のために、以下のような取り組みで生産性向上を目指しましょう。

・紙ベースの管理台帳を電子化するなど、デジタル技術を活用して業務負担を軽減する
・宿泊部門と食事部門を明確に分ける泊食分離を採用する
・店舗ごとに出す料理を変えるなど、観光地域全体でリソースを分散させる

多言語対応と顧客満足度向上

店舗でも多言語対応が必須です。「言葉の壁」を取り払い、顧客満足度を向上させることで、リピーター獲得につながります。

とはいえ外国語で接客できるスタッフを確保するのは容易ではないでしょう。多言語対応をスムーズに進めるには、翻訳ツールを活用するのが得策です。具体的な対策として以下のようなものを挙げられます。

・Webサイトの多言語化
・SNSで多言語による情報発信
・Googleビジネスプロフィールの多言語化
・料理メニューやサービス案内の多言語化
・宗教や文化的背景に配慮した情報の特記
・多言語表示のセルフオーダーシステムの導入
・AI通訳機の導入

【関連記事:店舗に翻訳ツールを導入するなら!多言語対応サービスを一挙紹介

フリーWi-Fiの提供と長期的な集客効果

訪日外国人旅行客は、移動中にスマホで観光地や飲食店の情報を検索したり、SNSに写真や動画をアップロードしたりすることがよくあります。通信料を気にせず快適にインターネット接続ができるように、フリーWi-Fiを提供することは重要です。

フリーWi-Fi完備の旨をWebサイトやGoogleビジネスプロフィールに多言語で掲載すると、集客率の向上につながります。また、自店舗での体験をSNSでシェアしてもらいやすくなります。良質な口コミが広がれば、長期的な集客効果を期待できます。

キャッシュレス決済対応と機会損失の防止

インバウンドのボリュームゾーンである近隣アジア諸国や欧米豪は、「キャッシュレス決済比率の高い国が多い」という特徴があります。自国でキャッシュレス決済に慣れた訪日外国人旅行客からは、現金払いのみの店舗は敬遠される恐れがあるでしょう。

スムーズにキャッシュレス決済ができることは店舗の魅力にもなります。集客率を高めるには、クレジットカード・デビットカードや電子マネーでの支払いに対応することは大切です。

店舗選びの際にキャッシュレス決済対応の旨を知ってもらうことも重要であるため、こちらもWebサイトやGoogleビジネスプロフィールに多言語で明記しておきましょう。

インバウンドの課題を解決するならイッツコムで環境整備を!

施設や店舗のインバウンド対策として、多言語対応やフリーWi-Fiの提供は重要です。イッツコムならAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」で多言語対応の悩みを解決でき、「かんたんWi-Fi」でゲストにも従業員にも快適なWi-Fi環境を提供できます。

多言語対応の悩みはAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」で解決!

訪日外国人旅行客へのおもてなしを強化するためには、多言語対応が不可欠です。しかし、全ての外国語に対応するのは現実的ではなく、翻訳や通訳サービスにも課題があります。

そこで、80以上の言語に対応するAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」が有効です。ボタンを押して話すだけで簡単にネイティブレベルの通訳が可能で、通訳者を必要とせずに高い顧客満足度を実現します。さらに、テキスト翻訳やカメラ翻訳、発音練習機能も搭載しており、メニュー翻訳やスタッフの語学学習にも役立ちます。

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AP増設でWi-Fi環境を改善できる「かんたんWi-Fi」

インバウンドの集客効果を高めるには、快適なフリーWi-Fiを提供することも重要です。しかし既存の通信環境では、通信速度や同時接続台数、電波の死角などに懸念のある施設・店舗も多いでしょう。

法人向けのWi-Fiアクセスポイント(AP)レンタルサービス「かんたんWi-Fi」は、高性能APを低コストかつ簡単に増設できるのが強みです。安全なフリーWi-Fiの提供に必須となるゲストWi-Fi機能を標準搭載し、届いたAPにケーブルを接続するだけでフリーWi-Fiの提供を開始できます。

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まとめ

2024年のインバウンド観光を取り巻く事情はコロナ禍から様変わりしています。訪日外国人旅行客の急増やニーズ変化に対応するためには、地域側の受け入れ体制強化が急務です。企業としては多言語対応やフリーWi-Fi提供など、自治体としては二次交通不足の解消やオーバーツーリズムの未然防止なども求められるでしょう。

イッツコムは「POCKETALK(ポケトーク)」や「かんたんWi-Fi」により、施設・店舗の課題解決をサポートできます。インバウンド対策のための環境整備をお考えなら、複数サービスの一括導入に対応できるイッツコムにご相談ください。