1. コラム
  2. コラム
  3. AI翻訳とは?RBMT・SMT・NMTの違いやサービスの選び方

AI翻訳とは?RBMT・SMT・NMTの違いやサービスの選び方

AI翻訳には、ルールベース機械翻訳(RBMT)、統計的機械翻訳(SMT)、ニューラル機械翻訳(NMT)の3種類があり、現在主流なのはNMTです。NMTを採用したAI翻訳サービスは、さまざまな場面で翻訳に活用されています。AI通訳機なら通訳にも対応できます。

自社業務で翻訳や通訳が必要となり、AI翻訳について理解を深めたい方もいるでしょう。そこでこの記事では、AI翻訳の種類(RBMT・SMT・NMT)と仕組み、サービス選び方を紹介します。

AI翻訳とは?

機械翻訳(Machine Translation/MT)は、特定の言語で入力された文章を、コンピュータープログラムによって別の言語に変換(翻訳)する技術です。AI(人工知能)を用いて自動的に翻訳することから、自動翻訳・AI翻訳・AI自動翻訳とも呼ばれています。

かつての機械翻訳はいかにも機械的でぎこちない訳文を出力するものでしたが、2016年ごろから深層学習(ディープラーニング)が採用されるようになり、翻訳品質は劇的に向上しました。

現在は外国語のWebページを閲覧する際に翻訳ボタンをクリック/タップして全文翻訳したり、「POCKETALK(ポケトーク)」に代表されるAI通訳機でテキスト・音声を翻訳したりするなど、AI翻訳の活用シーンは拡大しています。

AI翻訳の種類(RBMT・SMT・NMT)と仕組み

機械翻訳は長い年月をかけて発展してきた技術です。1950年代にルールベース機械翻訳(RBMT)が登場し、1980年代後半に統計的機械翻訳(SMT)へ移行、2010年代にニューラル機械翻訳(NMT)が登場しました。現在はNMTが主流で、これをRBMTやSMTと区別してAI翻訳と呼ぶこともあります。

ルールベース機械翻訳(RBMT)

ルールベース機械翻訳(Rule-Based Machine Translation/RBMT)は、人間が作成した言語ルールと辞書データを参照しながら、コンピューターがソース言語の文をターゲット言語に自動翻訳する方式です。翻訳プロセスでは、入力文を形態素(名詞・動詞・助動詞など)に分割して構文解析、辞書・ルールを適用して訳文を出力します。

翻訳ロジックが明確なため、誤りの原因を特定しやすいメリットがあります。しかし、不自然な訳文になりがちで、高い翻訳品質を実現するには大量の人手作業が必要でした。さらに、学習効率も高くありません。

以上から、現在ではニューラル機械翻訳が主流となっていますが、RBMTは機械翻訳の出発点として重要な位置付けにあります。

統計的機械翻訳(SMT)

統計的機械翻訳(Statistical Machine Translation/SMT)は、原文と訳文が対になった大量の対訳コーパスから統計的に抽出したパターンに基づいて翻訳を行う方式です。

対訳コーパスから翻訳モデルと言語モデルを学習し、入力文をフレーズや構文単位で変換、確率的に最も自然な訳文を出力します。

対訳コーパスから自動的に翻訳知識を獲得できるため、RBMTよりも人手の作業量を抑えられるメリットがあります。しかし、対訳コーパスが不十分な場合や言語間の構造の違いが大きい場合は、不正確な翻訳となることもあります。

ニューラル機械翻訳(NMT)

ニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation/NMT)は、ニューラルネットワーク(ニューロンやシナプスによる神経細胞の機能をモデル化したもの)とディープラーニング(データの背景にあるルールやパターンを学習・発見する手法)の技術を応用した機械翻訳方式です。

NMTのアーキテクチャ(計算モデル)は、入力層・中間層・出力層といった多層構造のニューラルネットワーク(ディープニューラルネットワーク/DNN)を用い、対訳コーパスから自動的に文法や表現を学習できます。ソース言語の1文や1段落を丸ごと符号化してからターゲット言語に翻訳するため、RBMTやSMTより全体として自然な翻訳結果を得られやすいのも利点です。

ただしNMTには大量の学習データと計算リソースが求められます。学習・翻訳プロセスが複雑なため、エラーの原因特定や修正も容易ではありません。

AI翻訳を活用するメリット

AI翻訳、特にニューラル機械翻訳を採用するサービスは、利用者にとってさまざまなメリットがあります。例えば誰でも高精度な訳文を得られることや、頻繁に利用しても低コストであること、いつでもどこからでも素早く翻訳できることです。また音声認識・音声合成と組み合わせた高精度なAI通訳も利用できます。

誰が利用しても一定の翻訳精度を担保できる

外国語文書の内容把握や人手による翻訳の正確性に不安がある場合があります。従業員や外部翻訳者の語学力やスキルにはばらつきがあり、人手による翻訳精度にも差が生じます。

AI翻訳なら利用者に関わらず一定の翻訳精度が期待できるメリットがあります。特にNMTは人間の翻訳に近い自然な訳文を生成し、長文の翻訳精度も向上しています。

一部のサービスでは、TOEIC960点レベルの翻訳精度や、医療・法務・IT等の専門分野での高い精度が実現されています。さまざまな分野で翻訳業務の負荷軽減や品質向上が期待できるでしょう。

翻訳頻度が高いほど大きなコスト削減効果を享受できる

AI翻訳サービスは基本的にクラウド型で提供されます。特にニューラル機械翻訳は大量の学習データや計算リソースが必要になるため、学習・翻訳を担うシステム本体はサービスベンダーのサーバで管理・運用されており、インターネット経由で翻訳処理をリクエストする利用方法が一般的です。

一部の高額なAI翻訳サービスを除き、ニューラル機械翻訳はWebブラウザや専用アプリから無料または安価なサービス料金で利用できます。月額定額制のAI翻訳サービスは、月に何度利用しても料金は変わりません。翻訳が必要なタイミングで都度外部の翻訳者を依頼する場合に比べて、圧倒的に低コストで利用できます。翻訳の頻度が高いほど、大きなコスト削減効果を期待できるでしょう。

【関連記事:クラウドとは?仕組み・種類・歴史を初心者向けに一挙解説

いつでもどこからでも素早く翻訳できる

外部の翻訳者の手配には予約・打ち合わせなどが必要で、人手の翻訳は結果が出るまでに時間を要します。

その点、AI翻訳ならサービス利用開始からすぐに翻訳ができ、翻訳者を手配する手間はかかりません。翻訳に必要な作業は、アプリからソース言語・ターゲット言語のペアを選択し、翻訳したい文章を入力するだけです。サービスにアクセスできる端末さえあればいつでもどこからでも機械翻訳をリクエストでき、多くの場合は数秒程度で訳文が出力されます。

音声認識・音声出力と組み合わせたAI通訳も

AI翻訳サービスによっては通訳にも対応できます。外国人を交えた商談や打ち合わせ、飲食店や宿泊施設での外国人客の対応など、リアルタイムな通訳が必要な場面は多いでしょう。

AI通訳に対応するサービスは、機械翻訳に音声認識・音声出力(音声合成)の機能を組み合わせ、通訳者不要でリアルタイムに通訳ができます。例えばAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」は、ボタンを押すだけで話した言葉と翻訳結果を文字で表示しつつ、翻訳結果を音声で再生する仕組みです。

【関連記事:通訳と翻訳の違いとは?依頼手順や費用相場、AI機器の可能性を解説

注意点から見るAI翻訳サービスの選定ポイント

AI翻訳サービスは完全無料のものから月額10万円以上するものまでさまざまです。重要なサービス選定ポイントとして、翻訳精度・対応分野・対応言語を挙げられます。通訳や文字起こしが必要なシーンなら、口語特有の表現を高精度に翻訳できることも重要です。利用中のセキュリティにも注意しましょう。

求める翻訳精度を達成しているか

ニューラル機械翻訳は汎用性が高く、多くの大規模・高精度AIサービスが採用しています。しかし、翻訳精度は使用するモデルや学習データの量・質に左右されます。同じ文章を翻訳しても、サービスによって訳文が異なり、自然さや流ちょうさも同じではありません。

段落単位で意訳的に翻訳するサービスは、逐語訳より自然な訳文が得られる一方、訳抜けや重複の可能性もあります。完全な正解訳とは限らず、人手での確認作業が必要になる場合があります。サービス選定時には、求める翻訳精度を満たしているかを事前に確認することが重要です。

対応する専門分野はニーズに合致しているか

無料または安価なAI翻訳サービスは、日常用語の翻訳精度を高めた汎用的な翻訳エンジンを用いていることが一般的です。しかし金融・医療・法務・ITなどの専門分野では、単語やフレーズの意味が日常的な用法とは異なることも多く、他の分野で使われない専門用語も頻出します。

高精度をうたうAI翻訳サービスが、専門分野の対訳コーパスを十分に学習済みとは限りません。文脈から入力文の分野を正確に判断できず、場面に合わない訳文となることもあるでしょう。自社の事業内容によっては、専門分野の翻訳精度も重視する必要があります。

翻訳対応言語に漏れはないか

対応言語数はAI翻訳サービスによって異なります。ニューラル機械翻訳を運用するには、言語ペアの対訳コーパスを大量に学習させることが必要です。英語や中国語など話者の多い言語には対応していても、比較的話者の少ないマイナー言語は非対応のサービスも珍しくありません。

自社の事業内容によっては、「特定言語に非対応のAI翻訳サービスは使えない」ということも考えられます。例えば、マイナー言語が母国語の発展途上国と取引のある企業の場合です。また飲食店や宿泊施設であれば、日本に渡航する全ての外国人に対応できるのが理想といえます。

マイナー言語の対応・非対応によって商談や接客のカバー範囲も変わるため、対応言語数も重視しましょう。なおサービスによっては、画像認識による翻訳言語の自動切り替えや、音声認識による通訳言語の自動切り替えにも対応しています。

口語特有の表現を翻訳できるか

AI翻訳サービスの利用シーンは多彩ですが、文字起こしや接客に使いたい場合もあるでしょう。ここで注意したいのは、「文語には強いが口語には弱い」という翻訳エンジンもあることです。

口語に弱い翻訳エンジンは、口語特有の砕けた表現やニュアンスをうまく翻訳できない場合があります。口語への対応を考えるなら、「方言やなまりを翻訳できるかどうか」も重要な観点です。特に同時通訳や接客の場合はリアルタイム性が重要となるため、口語を高精度に翻訳できるサービスを選びましょう。

口語に強いサービスの代表格はPOCKETALK(ポケトーク)です。ポケトークは日本語なら関西弁など一部の方言、英語・スペイン語・フランス語など主要言語の方言・なまりにも対応しています。

セキュリティ面の取り組みは信用できるか

AI翻訳サービスを利用すると、インターネットを通じてテキストや音声データがサービスベンダーのサーバに送信され、情報が保存されることになります。しかし、翻訳対象の文章には個人情報や機密情報が含まれる場合もあるでしょう。

そのため、サービスベンダーのセキュリティ対策にも重点を置く必要があります。主なセキュリティリスクとしては、送信データが傍受されたり学習データとして悪用されたりすることによる情報漏洩が挙げられます。

通信の暗号化が行われているか、送信したデータが不正に閲覧・利用されないかなど、セキュリティ面の対策を十分に確認しましょう。

高精度な多言語AI翻訳・AI通訳には「POCKETALK(ポケトーク)」がおすすめ

AI翻訳サービスは高精度かつスピーディな翻訳が期待でき、外部の翻訳者を依頼するよりコストも抑えられます。接客対応や社内コミュニケーションなどには、機械翻訳に音声認識・音声出力を組み合わせたAI通訳機が便利です。

AI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」は80以上の言語に対応し、翻訳精度はプロの通訳者よりも高い満足度を達成しています。プッシュ操作で素早く簡単に操作でき、騒音が大きい工場内や混雑する店内でも、クリアな音声で同時通訳ができることも利点です。

翻訳精度・利便性・汎用性の高さから、多種多様な業界の3,000社以上で採用されており、学会・医療機関など専門性の高いシーンでも便利に活用されています。

イッツコムはPOCKETALKと使い放題の法人データSIM(国内通信)をセットで提供しており、利用料金は月額1,900円(税抜)/台のみです。通信量が多くなっても料金は変わらず、高性能なAI通訳機を無制限に利用できます。

まとめ

AI翻訳は、採用する技術カテゴリで3つに大別できます。現在の主流は、流ちょうで自然な訳文を提供するニューラル機械翻訳です。

AI翻訳サービスは、いつでもどこからでも手軽に利用でき、誰でも一定の翻訳精度を期待できます。ただし、通訳が必要な場面では、音声認識や音声合成にも対応するAI通訳機を選択したほうがよいでしょう。

イッツコムは法人にも大人気のAI通訳機「POCKETALK」を、使い放題の法人向けデータSIMとセットで提供しています。通訳が必要な場面でのAI翻訳の活用をお求めなら、低コストでニーズを叶えられるイッツコムにご相談ください。