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ITV設備とは?導入に必要な機器や活用例、組み合わせたいシステム

ITV設備(監視カメラシステム)は、防犯や事故防止、利用者の安全確保を目的として、駅やオフィス、商業施設など幅広い場所で導入されています。大きく分けると「アナログ方式」と「ネットワーク方式」の2種類があり、それぞれ必要な機器や特徴が異なります。

さらに、映像の長期保存を可能にするVMSや、入退室管理に役立つスマートロックなどと組み合わせることで、より効率的な運用が実現できます。

この記事では、ITV設備の基本的な仕組みから導入に必要な機器、主な活用シーンまでを解説します。セキュリティ強化だけでなく、入退室の効率化を目指す企業にも役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ITV設備とは?

ITVは「Industrial Television」の略称で、工業用監視カメラを意味します。ITV設備とは、工場や倉庫、商業施設などで映像を用いた監視・管理を行うシステム(設備)のことです。

ITV設備には大きく分けて「アナログ方式」と「ネットワーク方式」の2つの方式があり、それぞれ使用する機器や設置方法、管理方法が異なります。ここでは、ITV設備の主な役割と、似た言葉である「CCTV」との違いについて解説します。

主な役割

ITV設備の主な役割は、施設内外の安全を確保することです。防犯カメラとして不審者の侵入を監視するほか、作業現場の安全管理や事故発生時の証拠記録にも活用されます。さらに、従業員の作業効率を向上させるための状況確認や、設備の稼働状況を遠隔で監視することも可能です。

ITV設備を導入することで、事故やトラブルの早期発見、責任の明確化、業務改善など、さまざまな面で施設運営に役立てることができます。

CCTVとの違い

CCTVもITVと同様に「監視カメラシステム」を指す言葉として広く使われており、両者の違いは言葉のニュアンスにとどまります。特徴や用途に大きな差はありません。

CCTVとは「Closed Circuit Television」の略で、閉回路内で映像を送受信するシステムを意味します。つまり、テレビ放送のように不特定多数に映像を流すのではなく、特定のモニターや録画装置にのみ映像を送る仕組みです。

まとめると、CCTVは「限られた場所で使われる監視カメラシステム」、ITVは「工業用途の監視カメラシステム」と解釈できます。

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アナログ方式のITV設備に必要な機器

アナログ方式のITV設備は、映像信号をケーブルで直接伝送する方式です。古くから普及している方式ですが、画質はネットワーク方式に比べて低く、遠隔操作や拡張性にも制限があります。そのため、設置場所や用途を十分に考慮する必要があります。

ここでは、アナログ方式のITV設備に必要な主な機器を紹介します。

ITVアナログカメラ

ITVアナログカメラは、アナログ方式で映像を送信するカメラです。一般的に画素数は低めで、基本的な監視用途に適しています。形状はドーム型や筒型などがあり、屋内外の環境に応じて選択可能です。

夜間監視に対応した赤外線LED搭載モデルもあり、防犯や安全管理に役立ちます。設置後はレコーダーやモニターに接続し、映像を確認・記録するシンプルな構成です。

アナログレコーダー

アナログレコーダーは、アナログカメラから送られる映像信号を録画・保存する機器です。録画方式にはVTR(Video Tape Recorder)方式とDVR(Digital Video Recorder)方式があり、現在はDVR方式が主流です。

DVR方式では映像をデジタル変換して保存するため、検索や再生が容易です。容量に応じて複数日分の映像を保存でき、事件や事故発生時の証拠として活用できます。操作も比較的簡単で、専門知識が少ない場合でも扱いやすい点が特徴です。

監視モニター

監視モニターは、アナログレコーダーを介して入力されたカメラ映像をリアルタイムで表示し、監視員が状況を確認するために使用するディスプレイ装置です。テレビのモニターと基本機能は同じですが、監視用途に特化しています。

複数のカメラ映像を同時に確認できるよう、画面分割機能を備えたモデルもあります。

ネットワーク方式のITV設備に必要な機器

ネットワーク方式は、映像をデジタルデータに変換し、LANケーブルを通じて伝送する仕組みです。高画質映像の伝送が可能で、遠隔監視にも対応できることから、現在では主流の方式となっています。システムの拡張性も高く、大規模な施設や複数拠点を統合管理する場合にも有効です。

ここでは、ネットワーク方式のITV設備に必要な機器について解説します。なお、監視モニターはアナログ方式と同様であるため割愛します。

ネットワークカメラ

ネットワークカメラは、映像をデジタル変換し、LAN経由で送信する監視カメラです。ドーム型、バレット型、PTZ(パン・チルト・ズーム)型など、用途に応じてさまざまな形状があります。

高解像度撮影に対応したモデルが多く、夜間撮影用の赤外線機能や、動体検知・AI解析機能を搭載した製品も登場しています。

ネットワークレコーダー

ネットワークレコーダーは、ネットワークカメラから送信される映像データを記録・管理する機器です。HDDやSSDに保存でき、高解像度映像を長期間安定して残せるのが特徴です。

複数台のカメラ映像を一元管理できるため、検索や再生もスムーズで、効率的な監視体制を構築できます。

ITV設備の活用例

ITV設備は、防犯や安全確保のために幅広い場所で導入されています。その用途は単なる監視にとどまらず、混雑状況の把握や業務効率化、防災対策にまで及びます。

ここでは、実際にどのような場面でITV設備が活用されているのか、施設ごとの代表的な事例を紹介します。

1.駅

ITV設備は、改札口やホーム、コンコースなど、多くの人が集まる場所で人の流れを監視し、混雑状況を把握するのに役立ちます。不審物や不審者の発見、置き引きや痴漢などの犯罪行為を防ぐうえでも効果的です。

また、ホームでは転落事故の監視、エスカレーターやエレベーターでは安全利用の確認に活用されます。万一の事故やトラブル発生時には映像記録を証拠として活用でき、迅速な対応につなげられます。

2.オフィス

オフィスでは、防犯やセキュリティ強化を目的として導入されるケースが一般的です。入退室管理システムと組み合わせることで、不正な侵入を防ぎ、従業員や顧客の安全を確保できます。

さらに、重要な設備や情報資産の保護にも有効です。業務中のトラブルや事故の状況を記録することで、労働環境の改善や働き方の見直しに活用できる場合もあります。

3.マンション

マンションでは、住民の安心・安全を守るためにITV設備が設置されています。エントランスや駐車場、エレベーター内などにカメラを配置することで、不審者の侵入防止や住民トラブル、犯罪抑止効果が期待できます。

特にエントランスでは、オートロックと連動させることで来訪者の映像確認が可能となり、セキュリティレベルを高められます。また、ごみ捨て場など共用部での不正利用防止にも有効です。

4.駐車場

車上荒らしや車両盗難といった犯罪行為の抑止と証拠記録が代表的な活用例です。広範囲をカバーできるカメラを適切に配置することで、犯罪を企てる者への抑止力となり、万一被害が発生した際には、犯人特定につながる鮮明な映像を提供できます。

また、不正駐車や長期放置車両への対策としても有効です。高解像度ネットワークカメラを導入すれば、許可されていない車両の入場や契約者以外の駐車を自動で検知・記録し、不正行為の監視を効率化できます。

5.商業施設・店舗

商業施設や店舗における代表的な活用例は万引き防止です。売場にカメラを設置することで、犯罪の未然防止や発生時の証拠映像として活用できます。バックヤードや倉庫への設置も、従業員の安全管理や不正行為の抑止に役立ちます。

さらに、来店客数や特定エリア(人気コーナー、レジ前など)の滞留人数をリアルタイムで分析することで、従業員の適切な配置や商品の補充タイミング、イベント時の入場制限判断にも活用可能です。

6.工場・工事現場

工場や工事現場では、作業員の安全確保や事故防止を目的にITV設備が広く利用されています。工場内の高温・高圧エリアや、立ち入りが難しい場所を遠隔から監視することで、作業員の安全を守り、事故リスクを軽減できます。

また、工事現場では重機と作業員が交錯する危険区域を監視し、接触事故を未然に防止します。さらに、作業の進捗状況を遠隔で確認し、スケジュール管理の効率化にもつなげられます。

7.ホール・劇場

ホールや劇場では、多くの来場者が集まるため、安全確保の観点からITV設備が重要です。入退場口やロビー、客席エリアを監視することで、混雑時のトラブルや不審者の発見に役立ちます。舞台裏や搬入口へのカメラ設置により、関係者以外の立ち入りも防止できます。

また、劇場特有の用途として、演出家や技術スタッフが舞台上の進行状況や出演者の動きを別室から把握する「進行管理用カメラ」としても活用できます。

8.河川・用水路

河川や用水路では、防災・水害対策の一環としてITV設備が利用されています。集中豪雨や台風の際には、現地に駆けつけることが難しいため、リアルタイムでの遠隔監視が重要です。

具体的には、河川の水位を映像で確認し、水位計データと組み合わせて堤防の危険度を把握します。これにより、氾濫リスクを早期に予測し、避難情報発令の判断材料とすることが可能です。さらに、流木やごみなどによる堰き止めの発生、取水・放水設備の稼働状況も常時監視できます。

ITV設備との組み合わせを検討したいもの

ITV設備は単体でも防犯や監視に効果的ですが、他のシステムと組み合わせることで、より高いセキュリティを実現できます。複数の機器やサービスを連携させることで、防犯だけでなく、業務効率化や無人化運営といった活用も可能です。

ここでは、ITV設備との組み合わせを検討したい代表的なシステムを2つ紹介します。

VMS

VMS(Video Management System/映像管理システム)とは、複数の監視カメラからの映像を一元的に管理・保存・分析できるシステムのことです。ITV設備と組み合わせることで、単なる映像モニタリングにとどまらず、必要な映像を効率的に記録・検索し、長期的に保存できる点が大きなメリットです。

例えば、一定期間を過ぎると自動的に映像が上書きされる従来型のレコーダーに比べ、VMSではクラウドや大容量ストレージと連携して、数か月から数年単位での保存も可能です。さらに、AI解析機能と組み合わせることで、不審な動きや侵入を自動検知し、アラートを発報する仕組みを構築できます。

スマートロック

スマートロックとは、従来の物理鍵ではなく、スマートフォンやICカード、暗証番号などを用いて施錠・解錠を行う電子錠のことです。ITV設備と組み合わせることで、入退室管理や無人運営の実現が可能になります。

例えば、オフィスやマンションのエントランスでスマートロックとカメラを連動させれば、「誰が、いつ、どのように入退室したのか」を映像とデータの両方で記録できます。そのため、不正侵入の抑止だけでなく、トラブル発生時の迅速な原因追及も可能です。

また、コワーキングスペースやシェアオフィス、無人店舗などでは、利用者が予約時間のみスマートロックを解錠できる仕組みを構築し、映像監視で安全を確保する運用が行えます。管理者が現地に常駐する必要がなくなり、人件費削減や運営効率化にもつながります。

【関連記事:スマートロックとは?導入メリット・注意点やおすすめの選び方を解説

itv設備や関連する機器・ネットワークの導入ならイッツコムのサービスがおすすめ!

ネットワーク方式のITV設備の導入には安定した回線が欠かせません。イッツコム光接続サービスなら安定した高速回線を利用できます。また、イッツコムが提供する「Connected Portal(コネクティッドポータル)」と「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」は、どちらもスマートロックを活用して入退室管理や施設予約を効率化するサービスです。レンタルスペースやシェアオフィス、マンション、ホテル、オフィスなど、幅広いシーンで活用できます。

ここでは、それぞれのサービスの特徴を紹介します。

高速かつ安定した光回線なら「イッツコム光接続サービス」

「イッツコム光接続サービス」は、光回線・プロバイダ一体型の法人向け光回線です。一般的な光回線の通信速度は下り最大1Gbpsですが、イッツコム光接続サービスなら下り最大2Gbps・上り最大1Gbpsの高速回線を利用できます。

また最新のインターネット接続方式「IPv6 IPoE」に標準対応し、夜間や休日でも安定したインターネット接続ができることもメリットです。

光回線・プロバイダの料金を一本化しており、他社サービスよりランニングコストを抑えられます。またサポート窓口はひとつなので、トラブルの際の対応もスピーディーです。導入時にはWi-Fiルーター機能搭載のONUを貸与するため、スムーズにWi-Fi環境を整えられます。

鍵の受け渡しをスマート化「Connected Portal(コネクティッドポータル)」

「Connected Portal(コネクティッドポータル)」は、スマートロックとゲートウェイを組み合わせ、物件や施設の鍵の受け渡しをデジタル化するサービスです。 特定のユーザーに対して、特定の期間のみ有効な「時限キー」を発行できるため、レンタルオフィスや民泊、パーソナルジムなど、不特定多数の人が出入りする施設に適しています。

管理者は利用者に直接鍵を渡す必要がなく、アプリ上から入退室を遠隔で管理できます。ICカードや暗証番号で解錠できるほか、曜日や時間帯ごとにユーザー権限を設定することも可能です。

さらにPMSと連携すれば、宿泊予約から自動でキー配布まで行えるため、無人運営や24時間営業の施設にも対応できます。
スマートロックは既存のサムターンを交換するタイプで、扉に穴を開けずに設置できるため、賃貸物件でも安心して導入できます。

施設予約を効率化「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」

「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」は、LINE公式アカウントを利用して施設予約から決済、入退室までを一貫して管理できるサービスです。 専用アプリをインストールする必要がなく、利用者は普段使っているLINEだけで簡単に予約できます。

利用当日はLINEから直接スマートロックを操作できるため、鍵の受け渡しが不要になり、利便性が大幅に向上します。支払いもLINE Payやクレジットカード決済に対応しており、ドロップインのコワーキングスペースや会議室運営にも適しています。

また、専用ダッシュボードからは予約状況や売上、利用者の入退室ログ、清掃スタッフの入館履歴まで一元管理できるため、運営コストを削減できる点も大きな魅力です。

まとめ

ITV設備とは、映像を用いた監視・管理を行うシステム(設備)のことで、施設の安心・安全を守る重要な役割を果たします。現在主流となっているのは「ネットワーク方式」で、遠隔からリアルタイムで映像を確認できるのが特徴です。また、施設全体のセキュリティ向上・効率的な管理のためには「スマートロック」の導入がおすすめです。

イッツコムが提供する「イッツコム光接続」や「Connected Portal(コネクティッドポータル)」と「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」を活用すれば、ITV設備の安定運用に加え、鍵の受け渡しや入退室管理、予約、決済までをスムーズに実現でき、効率的で安全な施設運営が可能になります。

施設運営の安全性と効率化を両立したい方は、ぜひご利用ください。