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プロバイダはWi-Fiの通信速度に影響する?遅い原因と高速化方法を解説

Wi-Fiをオフィスや店舗に導入するとフリーアドレスの実現や企業イメージの向上といったメリットがあり、テレワーカーの自宅でもWi-Fiの利用が一般化しています。Wi-Fiによる通信の速度や安定性に懸念があり、遅い原因や解決方法が知りたい方もいるのではないでしょうか。

プロバイダとWi-Fiの関係やWi-Fiの通信速度が遅い原因、通信速度を上げる方法やプロバイダの選び方を知ることで、高速かつ安定したWi-Fi接続ができます。

さらに、Wi-Fi不要のセキュアな通信方法も知り通信環境をアップグレードしましょう。そこでこの記事では、Wi-Fiの通信速度は遅い原因と解決方法、プロバイダの選び方やWi-Fi不要の接続方法についてご紹介します。

プロバイダとWi-Fiの基礎知識

Wi-Fiを使ってインターネット接続をするには何らかのプロバイダと契約しますが、プロバイダやWi-Fiは通信速度にどのように影響するのでしょうか。まずはプロバイダと回線事業者の関係や、Wi-Fi(無線LAN)と有線LANの関係を解説します。

プロバイダと回線事業者の関係

インターネットに接続するにはプロバイダと通信回線の契約が必要です。プロバイダと通信回線を別々に契約する場合もありますが、一体型で契約できる場合もあります。

プロバイダはISP(インターネットサービスプロバイダ)の略です。インターネットに接続された通信設備を持ち、契約者に対してIPアドレスの割り当てやインターネット接続の中継といった、インターネット関係のサービスを提供します。

回線事業者は光回線などの通信回線網を持ち、離れた地点への通信手段を提供する事業者です。通信回線を利用してインターネット接続や光電話・TVサービスなどのインフラ基盤を提供します。契約者の個人宅まで通信回線を引き込み、プロバイダがインターネット接続の窓口となることで、自宅やオフィスからインターネット接続ができる関係です。

Wi-Fi(無線LAN)と有線LANの関係

Wi-Fiは電波を利用した無線通信技術のひとつで、ホームネットワークや社内ネットワークといったLAN(Local Area Network)を、無線接続で構築する事実上唯一の技術です。

Wi-Fiアクセスポイント機能のある通信機器とWi-Fi機能のあるデバイスを無線接続し、ルーターを経由してインターネット接続します。Wi-Fiアクセスポイント機能とルーター機能が一体となったWi-Fiルーターを利用している方も多いでしょう。

有線LANは主にLANケーブルによるLANの構築方法です。PCやルーターをLANケーブルで接続し、ルーターを経由してインターネット接続します。無線LANも有線LANも基本的に建物内部のネットワークなので、インターネット通信速度の限界は通信回線・プロバイダの仕様を超えることはありません。

Wi-Fiの通信速度が遅い5つの原因

Wi-Fiの通信速度はさまざまな要因に影響を受けます。例えば、接続デバイスやネットワーク機器、通信回線やプロバイダです。Wi-Fi自体の問題で通信速度が遅いケースもあります。ここからは、Wi-Fiの通信速度が遅い5つの原因を把握しましょう。

接続デバイスの問題

PCやスマホに何らかの問題があるとWi-Fiの通信速度が遅くなります。インターネット接続をする際には契約する通信回線・プロバイダの帯域を利用しますが、同時にダウンロードするデータ量が多過ぎる場合には、アプリごとの通信速度は低下する仕組みです。

OSのアップデートなど、大容量ファイルのダウンロードがバックグラウンドで実行されていると、Webブラウザなどのレスポンスは遅くなります。また、デバイスのスペック不足もWi-Fi接続が遅くなる原因です。通信速度が速くても、デバイスの処理速度が遅ければ表示速度・体感速度は遅くなります。

ルーターやONUの問題

インターネット接続にはルーターやONU(光回線終端装置)といったインターネット接続機器が必要です。ルーターはLANと外部ネットワークの中継をする機器で、これの処理速度が遅いとWi-Fi接続も遅くなります。

ONUは光回線を利用する際に必須の機器です。LANの末端にあり、光信号と電気信号を変換し、光回線とLAN内のネットワークを中継します。こちらも処理速度によってはWi-Fi接続の速度に影響する仕組みです。

Wi-Fiの問題

Wi-Fiは電波の振幅を利用してデータ通信をする規格で、Wi-Fiアクセスポイント・接続デバイス間の大規模データ通信を担います。電波は室内の電化製品が常に発信しており、また外部の通信局が壁に透過して室内に入り込んでくるので、混信を避けられません。

十分な量の電波がデバイス間でやり取りできなければ、Wi-Fiの通信速度は遅くなります。Wi-FiはLANケーブルによる有線LANより干渉を受けやすく、距離や障害物による電波の減衰も起こりやすいので、有線LAN接続時以上の通信速度は期待できません。

通信回線の問題

光回線は理論値で下り最大1Gbpsや2Gbpsといった高速な通信速度が魅力ですが、実測値は高くても数百Mbps程度です。これにはさまざまな要因が影響していますが、一般的な光回線は不特定多数のユーザーと共有しているので、帯域の共有やアクセス集中によって通信速度は遅くなります。

また、光回線は回線工事をすることで自宅やオフィスで利用できますが、建物内の回線の配線方式はさまざまです。集合住宅やビルでは、光回線はまず共用スペースに引き込まれ、各部屋に何らかの通信回線を使って配線されます。

これが電話回線を使ったVDSL方式であれば、LANケーブルを使ったLAN配線方式よりは遅くなりがちな仕組みです。室内に直接光回線を引き込める物件のほうが通信速度は速い傾向にあります。

プロバイダの問題

インターネット接続の際はLANから通信回線を経由してプロバイダが管理する通信設備にアクセスします。プロバイダはユーザーにインターネット接続サービスを提供するだけでなく、通信データの監視や制御をする仕組みです。

プロバイダの通信設備はサービス事業者によって充実度や管理体制、同時接続するユーザー数が異なるので、トラフィックの集中や処理速度の影響を受けて通信速度が遅くなるケースも珍しくありません。時間帯によって通信速度が遅くなるのであれば、プロバイダのトラフィック集中が原因として考えられます。

この問題が起こりやすいのは「IPv4 PPPoE」で接続している場合です。IPv4 PPPoEは網終端装置を経由するので、ここで起こる渋滞によって通信速度が遅くなるケースは珍しくありません。「IPv6 IPoE」で接続すれば網終端装置を経由しないので、トラフィック集中を回避しやすくなります。

Wi-Fiの通信速度を上げる8つの方法

Wi-Fiの通信速度は接続デバイス・ネットワーク機器・Wi-Fi・プロバイダ・通信回線に影響を受けて遅くなります。これらの原因を踏まえて対策を講じれば、通信速度の向上が可能です。ここでは、Wi-Fiの通信速度を上げる方法を8つに分けて解説します。

デバイスを再起動する

Wi-Fiの通信速度を上げる最もシンプルな方法はPCやスマホを再起動することです。デバイスの起動時間が長いほど一時ファイルやエラーが蓄積され、処理速度の低下によって体感速度が遅くなるケースは珍しくありません。

これはWi-FiルーターやONUといったネットワーク通信機器も同様です。ネットワーク通信機器もCPUや記憶装置を搭載したコンピューターなので、起動時間が長ければ動作が不安定になることもあります。Wi-FiルーターやONUの再起動方法は機種によって異なるので、取扱説明書の内容に従って再起動しましょう。

セキュリティソフトを無効化する

ファイアウォールやアンチウイルス機能が原因で通信速度・体感速度が遅くなるケースもあります。セキュリティソフトは起動中に送受信されるデータを精査するので、起動していない状態より通信速度は遅くなる仕組みです。

セキュリティソフトを無効化することで通信速度が速くなることも期待できますが、セキュリティリスクは高まるのでおすすめできる方法ではありません。あくまで一時的な処置として、安全なデータ通信であると確信できる際に試せる方法です。

5Ghz帯でWi-Fi接続する

Wi-Fiは電波によってデータ通信しますが、使用する周波数帯域は2.4Ghz帯と5Ghz帯の2種類です。2.4Ghz帯は家電製品も利用する周波数帯域で、特に強力な電波を放射する電子レンジの影響を受けて、接続が不安定になりやすい傾向にあります。

そこで5Ghz帯で接続すれば安定したWi-Fi接続が可能です。Wi-Fiの接続先を切り替えてみましょう。2.4Ghz帯はネットワーク名の末尾が「2G」、5Ghz帯は末尾が「5G」になっているなど、使用するWi-Fiルーターによって命名規則が決まっています。

Wi-Fiルーターの配置を最適化する

Wi-Fiの電波は低出力なので、障害物や壁の影響で減衰すると、データ通信に支障をきたしやすい特徴があります。Wi-Fiルーターの配置を換えるだけで通信速度が改善できるケースも多くあります。

デバイスを利用する場所が固定的であれば、Wi-Fiルーターをなるべくデバイスに近付けることで通信速度を速くできます。Wi-Fiルーター・デバイス間に障害物を置かないことや、Wi-Fiルーターを床に直置きしないこともポイントです。

IPv6 IPoEでインターネット接続する

時間帯によって通信速度が遅い場合、通信方式をIPv4 PPPoEからIPv6 IPoEに切り替えると通信速度の高速化が期待できます。IPv6 IPoEで接続するための要件は、プロバイダとWi-FiルーターがIPv6 IPoEに対応していることです。

なお、IPv6 IPoEでインターネットを利用するには、接続先のWebサイトなどがIPv6に対応している必要があります。高速化が期待できるのはIPoEという通信方式ですが、IPoEに対応しているのはIPv6のみです。現在はIPv4からIPv6への移行期に当たり、IPv6に対応したWebサイトなどは多くありません。

そこで暫定的に、IPv4・IPv6の両方に対応できる「IPv4 over IPv6」という通信方式が流行している状況です。プロバイダはユーザー側に分かりやすくするために、独自のサービス名でIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6を提供している場合があります。

PCやスマホを買い替える

デバイスのスペック不足で体感速度が遅いなら、PCやスマホを買い替えることで状況を改善できます。ストレージの容量不足によって処理が滞るケースもあるので、処理速度の速さだけでなく、十分なストレージ容量のある機種を選びましょう。

また、機種によって対応するWi-Fi規格は異なります。最新規格は第6世代の「Wi-Fi6(IEEE 802.11ax)」です。Wi-Fi規格によって最高通信速度が異なるので、現在最速のWi-Fi6に対応した機種がおすすめです。

なお、Wi-Fi6を利用するにはWi-Fiルーターも同規格に対応している必要があります。Wi-Fi6対応機種には下位互換機能も搭載されているので、どちらかが最新機種に対応していなくてもWi-Fi接続に支障はありません。

Wi-Fiルーターを買い替える

Wi-Fiルーターの性能によっても通信速度は影響を受けます。古い機種を使っているなら買い替えを検討しましょう。高速化のポイントは、IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6、Wi-Fi6に対応していることです。Wi-Fiルーターの機能によって高速化方法の制限が変わってくるので、最新規格に対応したものを選びましょう。

なお、規格上の最高通信速度は理論値で、実効速度はWi-Fiルーターの性能によって異なります。対応規格だけでなく、処理速度の速さや電波強度の強さもチェックしましょう。

プロバイダや通信回線を乗り換える

通信速度の速さを根本的に改善する方法として考えられるのはプロバイダや通信回線を乗り換えることです。プロバイダ・通信回線によってユーザー数は異なり、一般的にユーザー数が多いほどトラフィック集中の影響を受けやすい傾向にあります。

プロバイダ・通信回線にはサービスエリアがあり、地域限定型の事業者やプロバイダ・通信回線一体型のサービスならトラフィック集中を避けやすいのが利点です。

乗り換えの際はプロバイダがIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6に対応しているかどうかもチェックしましょう。最高通信速度は1Gbpsより2Gbpsのほうが有利です。レンタルできるWi-Fiルーターが最新機種かどうかもチェックポイントといえます。

Wi-Fi速度が安定したプロバイダの選び方

Wi-Fiの通信速度はプロバイダの仕様を超えることはありません。また、通信速度は常に一定ではなく、プロバイダのユーザー数・設備・通信方式などに影響を受けて遅くなります。ここからは、通信速度が安定したプロバイダの選び方を4つに分けて見ていきましょう。

利用者数をチェック

プロバイダのユーザー数が多いほど、夜間帯や休日などに起こるトラフィック集中の影響で、Wi-Fiの通信速度は遅くなりがちです。プロバイダのユーザー数はサービス事業者によって異なり、大手事業者ほどユーザー数は多い傾向にあります。

逆に地域密着型の事業者ならユーザー数は比較的少ないので、トラフィックの集中しやすい時間帯でも安定したWi-Fi接続が期待できます。プロバイダのホームページなどにユーザー数の情報が公開されていればチェックしましょう。

保有する設備をチェック

通信回線は高速な光回線でも、インターネット接続の際はプロバイダの設備を経由するので、設備の充実度や管理体制次第ではWi-Fiの通信速度は遅くなります。設備の充実度についての情報もチェックしましょう。

また、サービス事業者は設備の増強・入れ替えなどを実施する場合もあります。メンテナンスによって通信速度が改善されるケースもあるので、設備関連の最新情報をチェックしましょう。

通信方式をチェック

Wi-Fiの通信速度を上げるためのポイントのひとつはIPv6 IPoEで接続することです。IPv6 IPoEはプロバイダの設備が対応していなければ利用できません。IPv6 IPoEに対応したプロバイダかどうかもチェックしましょう。

プロバイダによってIPv6 IPoEに標準対応していたり、追加料金のオプションで利用できたりします。独自サービス名でIPv6 IPoEかIPv4 over IPv6かが分かりにくいケースもあるので、仕様情報を詳細にチェックしましょう。

通信制限をチェック

光回線には基本的に通信制限がなく、これがWi-Fiでデータ通信をすることの利点にもつながっています。大容量データの通信にも問題なく対応できますが、異常なデータ通信量や特定プログラムによる通信に対して、速度制限を設けているプロバイダも珍しくありません。

通信制限の情報は積極的に開示されない傾向があり、仕様情報を詳細にチェックしなければ分からないケースや、Webサイト上で情報が見つからないケースもあります。通信制限を受ける懸念があれば、念のために関連情報をチェックしましょう。

通信環境をトータルにアップグレードするならイッツコム!

Wi-Fiの通信速度が遅く、接続デバイスやWi-Fiルーターを調節しても改善できない場合、根本的な解決方法はプロバイダを乗り換えることです。イッツコム光回線は安定した高速回線を低コストで利用できます。また、イッツコムのモバイル閉域接続はWi-Fi不要のセキュアな接続サービスで、従業員向けの通信環境整備に効果的です。

イッツコム光回線

イッツコムの法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」は、イッツコム独自のFTTH回線網によって下り最大2Gbps・上り最大1Gbpsの高速回線を利用できます。同時接続数の影響を受けにくく、安定した高速回線を利用できるのが強みです。基本サービス(通信回線)に特化したサービス内容で、無駄なコストは発生しません。

ONUにはWi-Fiルーター機能を標準搭載しており、導入してすぐに無線LAN環境を利用できます。通信回線・プロバイダ一括型のサービスなので、トラブル発生時の問題の切り分け連絡もスピーディーで安心です。さらに安定した通信回線をお求めなら、「専用線インターネット接続サービス」も選択できます。

モバイル閉域接続

イッツコムの「モバイル閉域接続」は、PCやスマホに専用SIMを挿入するだけで利用できる、VPNの仕組みを利用したセキュアな通信サービスです。社外のデバイスからNTTドコモ網・イッツコム網を経由して社内LANにアクセスする際、インターネットを経由しません。

通常のVPNサービスは導入に専門知識を必要としますが、モバイル閉域接続は専用SIMを挿入するだけで導入できるので、従業員にとっても管理者にとっても簡単に利用できるのが強みです。さらに、Wi-Fi接続の必要がありません。社内外のどこからでも、専用SIMを挿入するだけでセキュアな通信ができます。

まとめ

Wi-Fiの通信速度はさまざまな要因で遅くなりますが、ユーザー側の調節で改善できない場合、根本的な解決方法はプロバイダを乗り換えることです。イッツコムのモバイル閉域接続で「Wi-Fiを使わない」というスマートな選択肢も検討しましょう。

イッツコムはモバイル閉域接続・boxによるセキュリティ対策やワークフロー管理の他、ZoomやホットプロファイルによるWeb会議や営業支援、光回線やWi-Fi接続によるインフラ整備まで幅広いサービスを提供しています。ビジネス環境のトータルなアップグレードをお求めなら、多彩なサービスを自由に組み合わせられるイッツコムにご相談ください。