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【解決】Wi-Fiの速度を上げるには?Wi-Fiの遅い原因と高速化方法を徹底解説

Wi-Fiはデータの中継に便利な方法ですが、さまざまな要因で通信速度が遅くなることがあります。テレワーク導入によって「自宅のWi-Fiが遅い」という声が大きくなっており、原因や速度を上げる方法が知りたい方もいるのではないでしょうか。

Wi-Fiは目に見えない電波によって、波の位相を「0」と「1」に置き換えてデータ伝送する技術です。電波の特性と関連付けてWi-Fiが遅い原因を理解することで、速度を上げる方法がクリアにイメージできます。

通信環境を整備して、テレワークの生産性を高めましょう。そこでこの記事では、Wi-Fiが遅い原因と高速化方法についてご紹介します。

【テレワーク】Wi-Fi速度が遅い問題について

オフィス内ではPCをLANケーブルで有線接続していても、自宅ではWi-Fiで無線接続するユーザーが一般的です。テレワークにおいてはスマホやタブレットを業務利用するケースもあるので、Wi-Fi接続の遅さが問題になるケースは珍しくありません。

Wi-Fi速度が遅いとテレワーク業務に支障が出てしまう

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、働き方改革で推進されていたテレワークは一気に拡大しました。テレワークは社員にとってはワークライフバランスの向上、企業にとってはオフィス縮小によるコスト削減などのメリットがありますが、問題になるのはテレワーカーのワークプレイスが主に自宅であることです。

テレワーカーは自宅の通信環境を利用して仕事をしますが、Wi-Fiでデータ中継をしているケースがよくあります。特にスマホやタブレットを業務利用するならWi-Fi接続が必須なので、Wi-Fi接続の遅さによって業務に支障をきたすケースが増えている状況です。

通信速度によってファイルのダウンロード時間が違う

テレワーカーはさまざまなアプリ・インターネットサービスを活用して仕事をしますが、データ通信をする以上はダウンロードが発生します。通信速度によってデータのダウンロードにかかる時間は大きく変わるので、大容量ファイルのダウンロード待ちやコミュニケーションツールの映像・音声遅延が問題になるケースも多いでしょう。

例えば、下り50Mbpsなら100MBのファイルを約17秒でダウンロードできますが、下り1Mbpsなら約15分かかります。ダウンロードサイズが大きくなるほど業務の遅れは深刻化するので、高速化の方法を考えることが大切です。

Web会議システム「Zoom」に必要な通信速度って?

テレワークに必須のビジネスツールにWeb会議システムが挙げられます。Web会議システムを使うとテレワーク環境でも仮想的な対面コミュニケーションが図れるので、社内のミーティングや定期面談の他、オンライン商談に活用する例も増えています。

多くの企業が採用する代表的なWeb会議システムに「Zoom」を挙げられますが、Web会議中には常にデータ通信をしているので、通信速度が問題になります。Zoomの推奨通信速度の例は以下の通りです。

・ビデオ(高品質):下り600Kbps・上り600Kbps
・ビデオ(HD):下り1.2Mbps・上り1.2Mbps
・グループビデオ(高品質):下り1.2Mbps・上り600Kbps
・画面共有(サムネイルなし):下り50Kbps~75Kbps・上り50Kbps~75Kbps
・画面共有(サムネイル有り):下り50Kbps~150Kbps・上り50Kbps~150Kbps

Wi-Fiの通信速度が遅い6つの原因

Wi-Fiは電波を使った通信技術です。電波は経路上の障害物によって透過・反射・回折し、距離によって減衰する上、電波干渉も受けます。これらの性質がWi-Fiの通信速度に影響する他、データ通信量が多過ぎることも通信速度を遅くする原因です。ここでは、Wi-Fiの通信速度が遅い6つの原因を解説します。

同周波数帯を利用する機器による干渉

Wi-FiやBluetoothといった小電力データ通信システムは、「ISMバンド」を用いる高周波利用設備からの混信や、免許・登録を受けて運用する無線局からの混信を許容しなければならないと定められています。ISMバンドとは、産業・科学・医療用の機器を免許不要で利用できる周波数帯です。

電波には周波数、つまり波の毎秒の繰り返し数があり、Wi-FiはISMバンドに含まれる2.4GHz帯または5GHz帯の電波を利用します。2.4GHz帯はさまざまな家電や無線通信技術が利用しており、電波干渉が起こることを避けられません。

特に電子レンジは高出力の電波を放射します。電子レンジは2.4GHz帯を利用する家電の代表格で、2.4GHz帯のWi-Fi規格を使っていると強い干渉を受けやすいのが注意点です。

類似波長の電波が重なると、同位相の電波だと強め合い、逆位相の電波だと弱め合います。2.4GHz帯を使う機器が周りに多いほど、電波は弱まりやすいので通信速度が遅くなる仕組みです。

壁や障害物による反射・透過・回折

電波は空気中を直線的に伝播させ、媒体の特性が変わると透過または反射します。これは可視光が水に入射する際に部分的に反射するのと同じ仕組みです。例えば、Wi-Fiの電波は壁に透過してWi-Fiルーターとデバイス間を伝わせますが、壁に突入する際にある程度の電波が反射してしまいます。

どれくらいの電波が反射するかは媒体の性質によって異なり、反射率が高い媒体はコンクリートや金属などです。壁・天井を挟んだ部屋間でWi-Fi接続をする際には、電波が届きにくいので通信速度は遅くなります。

また、経路上の障害物に回り込む、つまり回折するというのも電波の性質のひとつです。周波数が低いほど回折は起こりやすく、2.4GHz帯は比較的障害物の影響を受けにくい一方で、5GHz帯は障害物の影響を大きく受けて通信速度が遅くなります。

Wi-Fiルーターとデバイスの距離による減衰

電波は距離の2乗に比例して減衰するのも性質のひとつです。距離が離れているほど電波はわずかしか伝わらなくなるので、Wi-Fiルーター・デバイス間の距離が遠いと通信速度も低下します。障害物がある環境で距離も遠いと、電波は反射と減衰という2つの要因により弱まる仕組みです。さらにICT機器や家電から電波干渉も受けます。

Wi-Fiで使う2.4GHz帯と5GHz帯は周波数が高い(振動回数が多い)ので情報量の多い周波数帯ですが、ラジオやテレビの電波と違って長距離伝送には向いていない上、Wi-FiルーターやPC・スマホは低出力です。環境によっては数m離れた程度でも遅い・つながらないケースがあります。

Wi-Fiルーターを床に直置きしている

電波は目標まで直接届く直接波の他に、障害物に当たって拡散する回折波・反射波・透過波を含めた4種類の波で伝わります。Wi-Fiの電波は多方向に発信されるため伝わる方向を定めにくい上、拡散する波は目標に届くまでに減衰しやすいので、室内におけるWi-Fiの電波は伝送距離が短くなる仕組みです。

Wi-Fiルーターを床に直置きしていると、発信される電波の多くが床に反射し、目標に伝わるまでの損失が大きくなります。安定して電波が届く位置・距離も限定されやすいので、Wi-Fiルーターはなるべく床から離して設置するのが無難です。

Wi-Fiルーターを水回りに置いている

2.4GHz帯の電波は水に吸収されやすいことも性質のひとつです。2.4GHz帯の電波はマイクロ波と呼ばれますが、マイクロ波加熱技術は水分子に対して高い加熱効果を発揮するため、2.4GHz帯は電子レンジや工業用マイクロ波加熱装置に利用されるようになった背景があります。

Wi-Fiルーターの周囲や伝送経路に洗濯機やキッチン、水槽や花瓶があると、2.4GHz帯のWi-Fi通信は遅くなる傾向にあります。また、人体にも多量の水分子が含まれているので、体の向きによって接続が不安定になるケースもあります。

データ通信量が多過ぎる

Wi-Fiには複数の規格があり、規格によって最大速度の制限があるので、大量のダウンロード・アップロードをすると通信速度が遅くなるケースもあります。これはデバイスのデータ処理速度や通信回線の品質にも依存する問題です。

また、Wi-Fiルーターは複数デバイスを同時接続できますが、同時接続数の多さによって通信速度が低下するケースも珍しくありません。同時接続すると回線を共有するので、デバイス1台当たりで利用できる帯域が制限される上、通信の順番待ちが発生して個々のデバイスで遅い・つながらないケースもあります。

Wi-Fi接続の速度を上げる7つの方法

Wi-Fiは電波によってデータを送受信する技術で、障害物や電波干渉などの影響を受けて損失が大きくなり、通信速度が低下します。では、Wi-Fiの速度を上げるにはどのような方法があるのでしょうか。主な方法を7つに分けて解説します。

再起動やアップデート

Wi-Fi接続が一時的に遅くなった場合、Wi-Fiルーターや接続デバイスの再起動によって解消できる場合があります。例として、光回線を契約している自宅で無線LAN環境を構築し、データをダウンロードする場合を考えてみましょう。

光回線を通じて自宅に届いたデータはONU(光回線終端装置)で光信号から電気信号に変換され、Wi-Fiルーターで電気信号から電波に変換されて、デバイスで電波から電気信号に戻してアプリに処理されます。

Wi-Fiルーターやデバイスはデータ伝送中に常に演算処理をしていますが、長時間起動させ続けると一時ファイルやエラーが蓄積し、デバイスの処理速度が遅くなるケースも珍しくありません。演算処理が滞るとデータ伝送もスムーズに行われませんが、こういった問題は再起動することで解決できます。

Wi-Fiルーターのファームウェア、PCやスマホのOSが古いと、プログラムの不備があることも処理速度の遅い原因のひとつです。再起動しても問題が解消されなければ、ファームウェアやOSをアップデートしましょう。

Wi-Fiルーターの配置を最適化する

Wi-Fiの電波は家電・ICT機器による電波干渉や障害物による反射、目標までの距離による減衰といった影響を受けて接続速度が低下します。どのような形でWi-Fiを利用するとしても、Wi-Fiルーターの配置を最適化することは高速化のために重要なポイントです。

なるべく自宅の中央かつオープンな場所に設置したいところですが、部屋や家具のレイアウト的に難しいケースもあります。Wi-Fiルーターの配置を最適化するポイントは以下の通りです。

・Wi-Fiルーターをデバイスの位置に近付ける
・Wi-Fiルーターの周囲やデバイスとの経路上に電子レンジやICT機器を置かない
・同じく洗濯機・キッチンや水槽・花瓶からも距離を取る
・経路上に壁を挟まないか、障害物を間に置かない
・Wi-Fiルーターを高い位置(少なくとも床から1m上)に置く

5GHz帯で接続する

電波は周波数の2乗に比例して減衰するので、周波数が低いほど減衰は小さく、伝送距離は長くなります。また周波数が低いほど直進性は低いので、5GHz帯より2.4GHz帯のほうが回折しやすく、長距離伝送には有利です。しかし、2.4GHz帯は電波干渉を受けやすく水に吸収されやすいなどの特徴があるので、データは損失しやすい傾向にあります。

無線通信によるデータは電波の位相の違いで「0」と「1」を表現しますが、周波数が大きいほど1秒間当たりの位相の変化は多いので、2.4GHz帯より5GHz帯のほうがデータ伝送量は多い仕組みです。Wi-Fiルーターの配置を最適化すれば5GHz帯のほうが高速化に有利といえます。

Wi-Fiルーターとデバイスが2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応しているなら、デバイスのWi-Fi設定には2.4GHz帯が「○○-2G」5GHz帯は「○○-5G」と表示されるので、末尾が5Gのほうを選択して周波数帯を切り替えましょう。

IPv6 IPoEで接続する

インターネット接続の際には「IPv4 PPPoE」という方式を利用するのが一般的です。IPv4 PPPoEは電話回線による接続を前提とした方式で、プロバイダが保有するネットワーク終端装置でユーザーのデータ伝送を管理します。

これに対して「IPv6 IPoE」はネットワーク終端装置を必要としない方式で、IPv4 PPPoEより高速な通信が可能です。ただし、IPv6 IPoEを利用するにはIPv6 IPoEに対応したプロバイダとの契約が求められます。

Wi-Fiルーターを買い換える

Wi-Fiは規格によって5GHz帯の対応の有無や最高速度が異なります。最新の規格は第6世代の「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」で、2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応する上、最高速度は9.6Gbpsと過去最速です。

さらに、Wi-Fi 6には「OFDMA(直交周波数分割多元接続)」という技術が採用されており、複数台のデバイスを同時接続していても通信の順番待ちが発生しません。Wi-Fi 6で接続すれば、遅い・つながらない問題の大幅改善が期待できます。

ただし、デバイスとWi-Fiルーターの対応しているWi-Fi規格が一致しないケースも珍しくありません。Wi-Fi 6でWi-Fi接続したくても、デバイス・Wi-Fiルーター両方が対応していなければ利用できないのは注意点です。

自宅のWi-Fiルーターが古いWi-Fi規格にしか対応していなければ、Wi-Fi 6対応のものへの買い換えを検討しましょう。Wi-Fi 6に対応したWi-Fiルーターなら下位互換の機能があるので、第5世代のWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)や第4世代のWi-Fi 4(IEEE 802.11n)でも接続できます。

自宅の通信回線をアップグレードする

通信速度を考える際の前提として、データ損失の少ない有線LAN(LANケーブル接続)より損失の大きい無線LAN(Wi-Fi接続)のほうが低速です。Wi-Fi接続をする際には回線の通信速度をフル活用できないケースもあり、また回線の帯域が不足していれば有線LANより低速になりやすい傾向にあります。

実際の通信速度は通信回線の帯域に依存するので、有線LANより無線LANが遅くなることはあっても、速くなることはありません。たとえ最新のWi-Fi 6を利用しても、通信回線の帯域や安定性が貧弱なら低速になりやすいのは注意点です。Wi-Fi関連の高速化方法を試しても遅いなら、光回線やプロバイダの乗り換えを検討しましょう。

企業の通信回線をアップグレードする

新型コロナウイルス感染症の影響もあってテレワークを導入する企業が一般化しています。テレワーク環境では社内にVPNサーバーを設置し、セキュアなVPN接続で社内情報へのアクセスやインターネット接続ができる環境を整えるのが基本です。

この形態のVPN接続では、テレワーカーのネットワーク接続が社内のVPNサーバーを経由するので、企業のネットワークリソース不足により通信速度が低下するケースもあるでしょう。この状況ではテレワーカーの自宅環境を改善しても根本的な高速化につながらないので、企業が通信回線・プロバイダの乗り換えを検討することが大切です。

快適かつセキュアなWi-Fi環境を整備するならイッツコム!

自宅でWi-Fiを利用するテレワーカーは一般的ですが、社内ネットワークへアクセスするなら企業側の通信環境の整備が求められます。イッツコムなら高速かつ安定した光回線や、テレワーク環境に向いたVPNサービスをセットで導入可能です。イッツコムの多彩なサービスの中から、イッツコム光接続サービスとモバイル閉域接続を紹介します。

イッツコムの法人向け光回線

テレワーク環境でWi-Fi速度が遅い原因のひとつは、自社運用のVPNサーバーにトラフィックが集中することによる、自社のネットワークリソース不足です。テレワーカーが快適に社内ネットワークへアクセスするには、自社の通信環境のアップグレードが求められます。

イッツコムの法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」は、イッツコム独自の光回線網による、下り最大2Gbpsの高速かつ安定した光回線サービスです。プロバイダ・光回線一体型のサービスなので、接続に何らかの問題が発生してもひとつの窓口でスピーディーに対応できます。光回線以外のサービスをオプション化しており、自社の予算に合ったサービス構成が選べることも利点です。

モバイル閉域接続

Wi-Fi速度はさまざまな原因で通信速度が低下し、生産性が落ちてしまうケースは珍しくありません。信頼性の低いWi-Fi接続サービスを利用する従業員がいれば、情報漏えいやパスワード窃取などのセキュリティリスクも高まります。

このような問題を解決できるのがイッツコムの「モバイル閉域接続」です。モバイル閉域接続はPCやスマホに専用SIMを挿入するだけで、NTTドコモ網・イッツコム網による閉域網を経由して、社内ネットワークへ安全にアクセスできます。

インターネット接続の際も社内LANを経由するため、セキュリティポリシーの標準化に役立つことも利点です。さらに、専用SIMを挿入すると通信回線も得られるので、テレワーカーはWi-Fiを利用する必要もありません。

まとめ

Wi-Fiの速度が遅いとテレワーカーは業務に支障をきたします。Wi-Fiルーターのセッティングも大切ですが、社内ネットワークへアクセスするなら企業の通信環境の整備が求められます。スマホを業務利用するなら、Wi-Fiに依存しないモバイル閉域接続の利用も効果的です。

イッツコムはモバイル閉域接続・boxによるセキュリティ対策やワークフロー管理の他、ZoomやホットプロファイルによるWeb会議や営業支援、光回線やWi-Fi接続によるインフラ整備まで幅広いサービスを提供しています。ビジネス環境のトータルなアップグレードをお求めなら、多彩なサービスを自由に組み合わせられるイッツコムにご相談ください。