法人携帯の経費計上方法を解説!端末代と通信費の仕訳のポイント
目次
法人携帯の経費計上方法について、端末代や通信費をどのように仕訳して経費処理を行うかを解説します。個人事業主が法人携帯を契約する際の注意点や、経費計上に必要な書類の整理方法も分かりやすくまとめました。
また、法人携帯の導入によるコスト削減や業務効率化のメリットも紹介しています。イッツコムの法人データSIMを利用した効果的な運用方法も提案しますので、ぜひ参考にしてください。
法人携帯の経費計上
法人携帯の端末代をどのように経費として計上するかは、支払い方法や契約形態によって異なります。法人にとって携帯端末は業務上欠かせないツールであり、その費用を適切に計上することは、財務管理や税務処理においても重要です。
端末を一括払いした場合の勘定科目
法人携帯を一括で購入した場合、端末の価格に応じて経費計上の方法が異なります。
・10万円以上の端末
10万円以上の端末については、資産として「固定資産」に計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。
仕訳例:
購入時:
借方:備品 XXX円
貸方:現金/普通預金 XXX円
減価償却時(毎年):
借方:減価償却費 XXX円
貸方:備品減価償却累計額 XXX円
・10万円未満の端末
10万円未満の少額な端末については「消耗品費」として一度に経費計上が可能です。
仕訳例:
購入時:
借方:消耗品費 XXX円
貸方:現金/普通預金 XXX円
ただし、「少額減価償却資産の特例」により、要件を満たす中小企業や個人事業主であれば、30万円未満の少額減価償却資産については、全額を一括で経費計上できます(2025年度末(2026年3月31日)まで)。
(参考:『少額減価償却資産の特例|中小企業庁』)
端末を分割払いした場合の勘定科目
法人携帯を分割払いで購入した場合、端末代の支払いが一括で完了しないため、通常は「未払金」として負債勘定に計上します。
契約時に端末の総額を「固定資産」または「消耗品費」として計上し、分割ごとに未払金を減少させます。まとめると次の通りです。
- 契約時:端末代全額を計上し、未払金として負債が発生
- 支払い時:分割払いのごとに未払金を減らし、その分現金または預金が減少
- 利息:分割払いに伴い利息が発生する場合、その利息は「支払利息」として経費に計上
貸方・借方の例
1. 購入時
借方:固定資産(携帯端末)または消耗品費(端末が10万円未満の場合)
貸方:未払金
2. 分割支払い時
借方:未払金
貸方:現金/普通預金
3. 利息支払い時(分割払いに伴う利息が発生する場合)
借方:支払利息
貸方:現金/普通預金
端末をレンタルした場合の勘定科目
法人が携帯端末をレンタルする場合、端末を購入するのではなく貸借する形態となるため、資産計上の必要は通常ありません。レンタル料は「リース料」または「賃借料」として、毎月の支払いごとに経費として計上します。これにより、法人にとっては初期費用を抑えつつ携帯端末を利用できるというメリットがあります。
また、リース契約にはファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類があります。
- オペレーティングリース(リース終了後に返却するタイプ):リース料全額が経費として認められる
- ファイナンスリース:リース契約の内容や期間によって、資産計上が求められるケースがあり、その場合はリース資産およびリース債務として計上し、減価償却費も発生する
月額レンタルの仕訳例:
借方:賃借料 XXX円
貸方:現金/普通預金 XXX円
ファイナンスリースの仕訳例:
1.契約時
借方:リース資産 XXX円
貸方:リース債務 XXX円
2.リース支払時
借方:支払リース料 XXX円
貸方:リース債務 XXX円
通信費を経費計上する場合の勘定科目
法人携帯の通信費を経費計上する際、一般的に使用される勘定科目は「通信費」です。通信費は、事業活動に必要な通信に関わる費用を計上するために使用します。
仕訳例:
借方:通信費 XXX円
貸方:現金/普通預金 XXX円
法人携帯の通信費は、会社が事業目的で使用する携帯電話の料金であるため、全額を経費として処理可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 支払方法の確認:法人口座からの振替や法人カードでの支払いを行うことで、会社の経費として明確に区別できる
- 明細の保管:毎月のキャリアからの請求明細は、経費処理の根拠として保管しておくこと
- 合理的な使用:事業に関係のない家族の使用分など、明らかに私的な利用については経費処理を避けるべき
携帯電話を従業員に貸与する場合は、利用規程を作成し、業務外利用を制限することが大切です。これにより、経費計上の根拠が明確になり、税務調査でも説明がしやすくなります。
個人事業主でも法人携帯を契約できる?
キャリアによりますが、法人格を持たない個人事業主でも法人携帯を契約することは可能です。「みなし法人」として、法人と同様の扱いを受けることができるからです。しかし、経費を計上する際にはいくつかの注意点があります。
個人事業主が法人携帯を経費計上するには
法人携帯を契約する際は、個人事業主であることを携帯会社に申告し、必要な書類を提出します。通常、確定申告書の写しや開業届の控えなどが求められる場合があります。また、事業実態を証明できる書類として、事務所の賃貸契約書が必要になることもあります。
経費として認められるためには、契約者名義を個人事業主の事業名や屋号にすることが推奨されますが、個人名義でも可能です。その場合、請求書や領収書は適切に保管し、税務調査の際に提示できるようにしておく必要があります。通話履歴や利用明細も、事業利用の証拠として保管しておくと安心です。
経費計上については、事業用途のみで使用していることを証明できれば100%経費計上が可能です。ただし、プライベートでも利用している場合は、その割合に応じて経費を按分する必要があります。
個人事業主が事業用携帯をプライベートと兼用している場合の勘定科目
事業用携帯をプライベートと兼用する場合、事業利用の割合に応じて携帯料金や端末代を経費として按分します。
例えば、事業利用が70%、私用が30%であれば、携帯料金の70%を経費に計上可能です。端末代については、以下のように処理します。
一括払いで、8万円(10万円以下)の場合の仕訳例:
借方:消耗品費 56,000円 (80,000円 × 70%)
貸方:現金 56,000円
一括払いで、12万円(10万円以上)の場合の仕訳例:
借方: 固定資産(携帯端末) 84,000円 (120,000円 × 70%)
貸方: 現金 84,000円
※減価償却費の計上時
借方: 減価償却費 28,000円/年 (84,000円 ÷ 3年)
貸方: 減価償却累計額 28,000円
分割払い(5,000円)の場合の仕訳例:
借方: 消耗品費 3,500円 (5,000円 × 70%)
貸方: 未払金 3,500円
個人事業主は、正確な記録管理を行い、事業とプライベートの利用割合を明確にしておくことが求められます。税務調査で確認されることがあるため、証拠となる書類や通話履歴を適切に保管しましょう。
法人携帯の経費計上のために整理しておくべき書類
法人携帯の経費を正しく計上するには、必要な証拠書類をしっかりと保管することが重要です。以下に、必要な証拠書類とその目的をわかりやすく説明します。
■携帯電話の契約書
携帯電話の契約書は、契約者名(法人名)、契約日、料金プランや端末情報などの契約内容を確認するために必要です。
■月々の請求書
毎月の請求書は、使用料金、通話料や通信料の内訳、付加サービスの利用状況を確認するために重要です。
■支払い証明書
支払いの証拠として、以下の書類が必要です。
- 銀行振込の明細書
- クレジットカード明細書
- 領収書
- 利用明細書
詳細な利用状況を示す明細書では、業務利用と私的利用の区別や、特定の取引先との通話記録、海外利用時のローミング料金を確認できます。
■社内規定書類
会社の携帯電話使用に関する規定書類を保管することで、経費処理の根拠が明確になります。
- 携帯電話の使用規程
- 経費精算に関する社内ルール
- 端末購入時の領収書
新規購入や機種変更の際には、端末購入の領収書や、必要に応じて付属品購入の領収書を保管しましょう。
これらの証拠書類を適切に管理することで、法人携帯の経費計上を正確かつスムーズに行うことができ、税務調査の際にも有効な証拠となります。
【関連記事:法人携帯契約に必要な書類リスト!機種変更や乗り換え時の書類も紹介】
法人携帯を導入するメリット
法人携帯を導入することで、通信コストの削減や業務効率化などさまざまなメリットが得られます。ここでは、法人携帯を導入するメリットに焦点を当てて解説します。
コスト削減と効率的な管理
法人携帯を導入することで、通信費や端末管理が一括で行えるため、個別契約に比べて管理コストを大幅に削減できます。
法人向けプランには、通話やデータ通信料の割引や、一定の通信量が無制限になるオプションが含まれる場合が多く、月々の料金を抑えることが可能です。また、全ての通信費が法人名義で記録されるため、経費処理や会計管理が一元化され、管理の効率化が図れます。
業務効率の向上
法人携帯があれば、従業員は外出先やリモート環境でも会社のシステムにアクセスしやすくなり、業務を中断することなく継続できます。例えば、営業職のスタッフが外出中でも顧客対応やスケジュールの確認、資料の共有などが迅速に行え、仕事のスピードが格段に上がります。
これにより、結果的に顧客満足度の向上にもつながり、業績の向上が期待できるでしょう。
コンプライアンスの強化
法人携帯を使用することで、業務用と私用のデバイスを分けることができ、私的利用に伴うリスクを回避できます。例えば、会社の支出で私的な通信費が計上される問題を防ぐだけでなく、社内規定に基づいた業務時間外の利用制限や、特定のアプリ・サイトのアクセス制限も設定できます。
セキュリティ対策の充実
法人携帯は企業向けのセキュリティ機能が充実しており、紛失や盗難に備えたリモートワイプ機能や、端末のロック機能が標準装備されています。また、業務データを暗号化したり、管理システムから端末の状態をリアルタイムで監視することも可能です。
万が一デバイスが紛失しても、迅速に対策を講じることで機密情報の流出を防止でき、情報セキュリティの強化が図れます。
モバイルワークの推進
リモートワークやフレキシブルな働き方が進む中、法人携帯はその基盤として重要な役割を果たします。従業員は法人携帯を使うことで、自宅や出先からでも、会社のシステムやデータベースに安全にアクセスし、業務を続行できます。
さらに、モバイルデバイスの利用により、オフィスに依存しない柔軟な働き方が可能になり、従業員の満足度や生産性の向上にもつながります。
社内コミュニケーションの活性化
法人携帯を活用することで、従業員同士が迅速かつスムーズに連絡を取り合える環境が整います。専用のビジネスチャットやビデオ通話アプリを利用することで、オフィスにいるメンバーとリモートメンバーの間でリアルタイムに情報共有ができ、意思決定のスピードも向上するでしょう。
さらに、プロジェクトごとのグループチャットや、通知機能を活用することで、従業員間のコミュニケーションがより活発になり、チームワークやプロジェクトの進行が円滑に進むようになるでしょう。
法人携帯のコストを削減するには
法人携帯のコストを削減するためには、自社のニーズに合った料金プランと端末を選ぶことが重要です。以下のポイントを考慮しながら、最適な選択肢を見つけましょう。
料金プランの選定
法人携帯の料金プランを選ぶ際には、必要なデータ容量や通話プランを正確に見極めることが大切です。
- データ容量のニーズ:動画視聴やWeb会議が多い場合は大容量プラン、メールや通話が中心なら小容量プランが適しています。
- 大手キャリア vs. 格安SIM:コスト削減を重視するなら、格安SIMも検討する価値があります。
- ランニングコスト:複数回線を契約する場合、全体のコストに大きく影響するため、端末代や月額料金の割引を確認し、長期的なコスト削減を目指しましょう。
- 法人向けオプション:セキュリティ対策や業務効率化を目的とした法人専用オプションの有無を確認することも必要です。
契約条件の確認
料金プランを選ぶ際には、契約期間や解約金の有無、キャンペーンの実施状況なども考慮しましょう。特にキャンペーンは個人契約向けであって、法人契約では対象外なケースもあります。各キャリアのプランを比較し、最もコストパフォーマンスの高いものを選びましょう。
ビジネスユース
コスト面だけでなく、使い勝手やサポート内容、ビジネスに適した機能があるかどうかも重視する必要があります。
例えば、地域対応力です。従業員がさまざまな地域で活動する場合、通話・通信エリアの広さや安定性も重要です。地方や山間部での通信品質についても確認しましょう。
また、サポートと管理機能の充実度も軽視できません。契約手続きのしやすさ、利用開始までのスピード、サポート体制の充実度も重要です。特に、問題が発生した際に迅速に対応できるサポートがあると、業務の停滞を防げます。
法人携帯の運用ならイッツコムの「法人データSIM」
イッツコムの「法人データSIM」は、NTTドコモの回線を利用し、広いエリアで安定した通信が可能です。営業活動や現場作業などの多様な業務シーンで活用されており、シェアプランを利用すれば複数ユーザー間で効率的に通信容量を共有できます。通信コスト削減と業務効率化を実現する、柔軟で信頼性の高い法人向けソリューションです。
法人データSIMの強み
法人データSIMはNTTドコモ回線を使用しているため、広いサービスエリアで安定した通信品質を実現します。用途や環境に合わせて、SIMカード単体やモバイルWi-Fiルーターとのセットもお選びいただけます。これにより、チームでの利用や複数デバイスへの同時接続が簡単にできます。
「シェアプラン」を選択すれば、複数SIMの通信容量をシェアできるため、ユーザー間で月間使用量に大きな差があってもコストの無駄を抑えられます。
法人データSIMの料金プラン
法人データSIMの料金プランは、データ容量とSIMカード枚数に応じて選択できます。シェアプランでは、メンバー間でデータ容量を共有でき、SIMカード枚数に応じた月額料金が設定されています。
一方、カード単体プランは個人利用と同じ料金体系で、データ容量に応じた月額料金となります。初期費用はSIMカード1枚につき3,000円(税抜)です。さらに、モバイルルーターをSIMカードと合わせて契約することも可能で、24か月間は月額1,000円、25か月目以降は無料でご提供しています。
法人データSIMの導入事例
イッツコムの法人データSIMの導入事例として、いくつかのビジネスシーンでの活用を紹介します。
・営業テレワークでの活用
外出が多い営業職では、モバイルデータ通信が必要不可欠です。イッツコムの法人データSIMを活用することで、営業担当者が外出先でも安定した通信環境を確保し、会社のシステムへアクセスできます。これにより、業務の効率化が図られ、移動中でも円滑に業務を遂行できるようになります。
・工事現場やイベントでの利用
工事現場やイベントなど、短期的な通信環境が必要な場合に、法人データSIMを利用するケースもあります。現場のスタッフが必要な情報にアクセスでき、リアルタイムでの報告やデータ共有が可能になり、作業効率が向上します。
・モバイル決済端末やPOSでの利用
モバイル決済端末やPOSレジなど、データ通信を必要とする機器に法人データSIMを挿入して利用することで、簡単にモバイルネットワークを構築できます。これにより、どこでもスムーズな決済が可能になり、顧客サービスの向上につながります。
・車両運行管理や監視カメラへの応用
法人データSIMは、車両運行管理や監視カメラに応用することで、リアルタイムでのデータ収集・監視が可能です。車両の位置情報や監視映像を遠隔で確認できるため、安全管理と運行効率の向上が達成されています。
イッツコムの法人データSIMは、多様な業務環境での効率向上とセキュリティ強化に大きく貢献しています。
まとめ
法人携帯の端末代や通信費は、条件を満たすことで経費計上が可能です。適切な勘定科目の選択と証拠書類の保管が重要であり、個人事業主がプライベートでも使用する場合は、業務とプライベートの使用割合を按分して経費計上する必要があります。
法人携帯を導入することで、通信コスト削減や情報漏洩防止といったメリットが得られます。イッツコムの法人データSIMでは、ニーズに合わせたプラン選定が可能で、効率的な運用が実現します。詳しくはイッツコムにお問い合わせください。