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業務改善助成金とは?対象事業者・要件・支給額や手続きの流れと事例を解説

職場環境の改善や賃上げの必要性を感じており、業務改善助成金の仕組みや要件が知りたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。業務改善助成金とは、中小企業や小規模授業者の最も低い賃金の引き上げを支援するための制度です。

業務改善助成金の2つのコースと利用方法、業務改善・生産性向上の事例からポイントを理解することで、助成金の活用方法を具体的に検討できます。ICTツールの活用にも目を向け、業務改善や生産性向上を成功させましょう。

そこでこの記事では、業務改善助成金(通常コース・特例コース)の仕組みや要件、手続きの流れやクラウド型ツール活用の事例についてご紹介します。

業務改善助成金(通常コース)の仕組みや要件


業務改善助成金には通常コースと特例コースがあります。一般的に利用されるのは通常コースです。まずは通常コースのコース区分や助成上限額、助成額の計算方法や支給の用件を見ていきましょう。

参考:『[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援|厚生労働省』

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取り組みを支援し、事業場内の最低賃金の向上を図るための助成金制度です。

生産性向上を目的とした設備投資などを行い、実際に事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げると、取り組みにかかった費用の一部を助成します。取り組みの例は機械設備やコンサルティングの導入、人材育成や教育訓練などです。

関連記事:『生産性とは?意味・計算式や生産性向上の必要性と施策をわかりやすく解説』

コース区分と助成上限額の関係

業務改善助成金のコース区分は、最低賃金引き上げ額によって「30円コース」「45円コース」「60円コース」「90円コース」の4種類です。それぞれのコースで、引き上げる労働者数(1人/2人~3人/4人~6人/7人以上/10人以上)によって助成上限額が変わります。

例えば30円コースは最低賃金引き上げ額が30円以上45円未満、引き上げる労働者数が1人なら30万円まで、2人~3人なら50万円まで助成する仕組みです。コースが上位になる(最低賃金引き上げ額が大きくなる)ほど、助成上限額も大きくなります。

助成対象事業場の要件

業務改善助成金は以下2つの要件を満たす事業場が対象です。

・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
・事業場規模100人以内

つまり都道府県別の最低賃金との差額が30円以内の、中小企業や小規模事業者を対象とします。すでに地域別最低賃金を30円超上回っていたり、100人超を雇用していたりすると、原則として業務改善助成金の対象になりません。

助成額は助成率をかけて計算

業務改善助成金の助成額は、生産性向上のための設備投資などにかかった費用に助成率をかけて計算します(千円未満端数切り捨て)。この生産性とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値です。

助成率は事業所内最低賃金によって、870円未満・870円以上920円未満・920円以上の3パターンに分かれます。例えば事業所内最低賃金が870円未満の場合、助成率は90%です。費用に助成率をかけ、上限額までの金額を助成します。

助成金支給の要件

業務改善助成金の主な支給要件は以下の通りです。

1.賃金引き上げの計画を策定し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることを就業規則などで規定すること
2.引き上げ後の賃金額を実際に支払うこと
3.生産性向上に資する設備投資などを行い、業務改善にかかった費用を支払うこと
4.解雇や賃金引き下げなど、不交付事由がないこと

業務改善助成金(特例コース)の仕組みや要件


業務改善助成金には2つのコースがありますが、コロナ禍における助成を目的としたものが特例コースです。こちらは感染拡大の状況などを受けて適用範囲や受付期間が変更されます。ここでは、通常コースと特例コースの違いを見ていきましょう。

参考: 『業務改善助成金(特例コース)|厚生労働省』

通常コースと特例コースの違い

業務改善助成金(特例コース)とは、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高などが30%以上減少した中小企業事業者などを対象にした助成金です。コロナ禍によってダメージを受けた事業者を支援するための制度で、通常コースと要件などはおおむね同様ですが、助成対象になる経費の範囲が拡大されています。

特例コースで助成対象となる経費

業務改善助成金(特例コース)は通常コースで認められる生産性向上に資する設備投資などの他、業務改善計画に計上された「関連する経費」も助成対象です。

1.生産性向上に資する設備投資など:機械設備、コンサルティング導入、人材育成・教育訓練など
2.関連する経費:広告宣伝費・汎用事務機器、事務室の拡大やオフィス家具の増設など

機械設備については、PC・スマホ・タブレットの新規購入なども対象とします。注意点として、関連する経費は生産性向上に資する設備投資などの額を上回らない範囲に限られ、事務所借料・光熱費・賃金・交際費・消耗品などは助成対象になりません。

コース別の区分はない

業務改善助成金(特例コース)は通常コースとは異なり、コース区分はありません。30円以上の賃金引き上げが必須で、引き上げる労働者数と上限額の関係は以下の通りです。

・1人:30万円
・2人~3人:50万円
・4人~6人:70万円
・7人以上:100万円

45円以上や60円以上の賃金引き上げがあっても助成率は一律3/4で、事業場内最低賃金額が920円未満の場合は4/5となっています。

業務改善助成金の手続きの流れ


業務改善助成金の手続きは、助成金交付申請書の提出から始まり、都道府県労働局と中小企業の間で何度かやり取りがあります。ここで解説する流れは通常コースの場合ですが、特例コースの場合も同様です。

1.助成金交付申請書の提出

まずは業務改善計画と賃金引き上げ計画を記載した交付申請書(様式第1号)を作成し、都道府県労働局に提出します。

交付申請書を都道府県労働局に提出する前に設備投資や事業場内最低賃金の引き上げを実施した場合、助成対象にはなりません。

2.助成金交付申請書の決定通知

提出した助成金交付申請書は都道府県労働局で審査され、要件と照らし合わせて適正と認められると、助成金の交付決定通知が送られてきます。

なお、設備投資などの実施や助成対象経費の支出は、助成金交付決定後に行う必要があることに注意しましょう。

3.業務改善計画と賃金引き上げ計画の実施

助成金交付申請書の決定通知を受けたら、業務改善計画に基づいた設備投資などと、賃金引き上げ計画に基づいた事業場内最低賃金の引き上げを行います。

実際に事業場内最低賃金を引き上げるタイミングは、助成金交付申請書の提出後から事業完了期日までなら、いつでも構いません。

4.事業実績報告書の提出

業務改善計画と賃金引き上げ計画を実施したら、計画の実施結果や賃金引き上げの状況を記載した事業実績報告書(様式第9号)を作成しましょう。これを都道府県労働局に提出します。

5.助成金の額の確定通知

事業実績報告書を提出したら、都道府県労働局が内容を審査します。要件などに照らし合わせて適正と認められれば、適用されるコースの助成金額が確定され、通知書が送られる流れです。

6.助成金の支払い

助成金額の確定通知を受けたら、都道府県労働局に対して支払請求書(様式第13号)を提出しましょう。これで助成金が支払われるため、業務改善助成金の手続きは完了です。

コロナ禍における業務改善助成金活用事例


コロナ禍の変化に対応するために業務の仕組みを変更したものの、作業効率が落ち、業務改善を必要とする企業は珍しくありません。ここでは、コロナ禍における業務改善助成金の活用事例を3つ解説します。

飲食店での事例

飲食店A社ではコロナ禍でデリバリーやテイクアウトを強化したものの、店内の設備や構造がテイクアウト対応となっていなかったため、受注から提供までの時間が大幅に増加するなど作業効率が悪い状態でした。

そこで業務改善助成金を活用し、デリバリー用3輪バイクの導入で配達時間が大幅に減少するとともに、一度に複数カ所の配達が可能となりました。オンライン受注システムの導入により、電話応対の時間が大幅に削減し、オーダーミスがなくなったことも成果です。

さらに作業スペースや資材保管棚などのレイアウト変更により、店内の接客対応とデリバリー・テイクアウト対応のそれぞれの準備作業を効率よく行うことが可能となり、受注から提供までの時間を短縮できました。

介護事業での事例

介護事業B社では新型コロナウイルスの施設内での感染を防ぐため、施設入り口に職員を配置し、来所者一人一人に対して検温を行っていました。

そこで業務改善助成金を活用し、非接触型自動検温器を導入します。これにより検温に要していた時間を削減するとともに、対人接触による職員の不安を払拭することで介護業務に専念できました。

製造業での事例

製造業C社では商談や打ち合わせの際は毎回取引先に足を運んでいたため、移動時間に業務の大半を費やしていました。

そこで業務改善助成金を活用し、WEB会議システムを導入します。これにより営業担当の移動時間削減とともに、製造担当が直接取引先の要望を聞くことも可能となりました。密なコミュニケーションにより、取引先の満足度もアップしサービスの向上につなげられました。

業務改善・生産性向上に効くツール整備はイッツコム!


イッツコムはコロナ禍での商談やミーティングに便利な「Zoom」、ファイル管理・共有の非効率さから脱却できる「Box」、営業やメールマーケティングを効率化できる「ホットプロファイル」を提供しています。業務助成金を活用しつつ、これらのツールを活用して業務改善や生産性向上を目指しましょう。

コロナ禍での商談やミーティングなら「Zoom」

コロナ禍はまだまだ油断ができない状況が続いており、企業によっては対面での商談を避け、オンライン商談に切り替えています。テレワークを導入してコミュニケーションやコラボレーションのオンライン化を図る企業も珍しくありません。

そこで導入したいのが、国内で圧倒的シェアを誇るWeb会議システム「Zoom」です。Zoomは利用者が多く、また利用開始の障壁も低いため、商談やミーティングにとって必須ツールといえます。

無料版はZoomミーティングの40分制限があり、商談やミーティングに支障をきたす場合もありますが、有料版なら実質無制限(30時間/1回)です。有料アカウントが必要なのはホスト(主催者)のみなので、参加者に負担をかけることもありません。

さらに「Zoom Chat」機能によりビジネスチャットとしても活用でき、コミュニケーションツールの一本化を図れるのも利点です。

ファイル管理・共有の非効率さから脱却できる「Box」

業務改善・生産性向上のために必要な取り組みのひとつに、情報共有の効率化や安全性の確保を挙げられます。

この目的のために最適なサービスのひとつが、容量無制限かつ世界最高峰のセキュリティレベルを誇るクラウドストレージ「Box」です。あらゆるファイルを安全なクラウド上で一元管理でき、多大な保守管理コストのかかるファイルサーバや、安全性の低いメールでのファイル共有から脱却できます。

また外部ユーザーの安全な招待やオンライン共同編集に対応しており、テレワーク環境やパートナー企業との連携にも最適です。マルチデバイス対応なので、PCだけでなくスマホやタブレットからもスムーズにアクセスできます。

営業やメールマーケティングを効率化できる「ホットプロファイル」

業務改善・生産性向上が特に課題となりやすい部署のひとつに、営業部門を挙げられます。経験や勘に頼った営業活動を続けている中小企業は多く、顧客情報の属人化や商談履歴・ノウハウのブラックボックス化、非効率な営業プロセスによる長時間労働の常態化などはよくある問題です。

これらの問題を、組織的な営業活動をトータルに支援するクラウド型ツール「ホットプロファイル」が解決します。名刺のスキャンやCSVファイルの読み込みだけで、安全なクラウド上に顧客データベースを作成できます。

社内人脈の属人化を 防げるだけでなく、営業部門全体で商談プロセスや目標管理を可視化・共有できるのも強みです。マネジメントやサポートも容易になり、ノウハウ共有や営業組織全体のレベル底上げ、長時間労働の是正と生産性向上に寄与します。

さらに、一元管理された顧客情報を活用したメルマガ形式・One To One形式のターゲティングメールの配信もでき、メールマーケティングまで一本化できる仕様です。

Boxやホットプロファイルによる業務改善の事例


Boxを活用して業務改善・生産性向上を実現した広告代理店A者様の事例を解説します。また、マスコミ・メディア業のB社様はホットプロファイルを活用して業務改善、生産性を向上させました。

Boxでコスト削減や納期短縮を実現

広告代理店A者様は、複数の販促案件とその制作物に関して、クライアントや制作会社とデータのやり取りを頻繁かつ並行して行うことがよくあります。しかしメール添付や無料ファイル転送サービスなどを使った非効率なファイル共有を続けており、データ容量の大きい画像・動画ファイルで社内ストレージとしてのNASが圧迫される問題も抱えていました。

そこで容量無制限かつ社外とのフォルダ共有も無制限に可能なBox Business Plus 40IDを導入し、クライアントや制作会社とのデータの受渡しや修正指示も全てBox上で完結できる仕組みを整えます。USBやHDDに散在していたデータをBoxに集約することで検索性が向上し、ストレージ管理コストも削減でき、納期短縮と品質向上につながり顧客満足度も向上しました。

ホットプロファイルで業務効率や商談数を向上

マスコミ・メディア業のB社様はPR誌の発行・郵送やアポなし訪問を続けていましたが、顧客にはテレワーク企業も多く商談の機会が減っていました。この状況を打破するためメールマーケティングを開始しましたが、Excelによる顧客情報管理や汎用的なメールソフトを使った手作業によるメール配信は非効率です。

そこで全従業員約40名に対しホットプロファイルを導入してプランナーが所有する名刺を全てデータベース化し、メーラーからホットプロファイルのメルマガ配信機能に切り替えます。これにより業種や部署などを絞り込んでメルマガやPR誌などの内容を変えて送付するなど、戦略的な営業アプローチを実現しました。

メール配信機能では開封状況やURLクリックログが分かる他、開封状況によって次に配信するメールを自動で分けるシナリオ設計機能も活用することで、業務効率や商談数の向上につながっています。

まとめ


コロナ禍の影響で業務が非効率になり、生産性が低下した企業は珍しくありません。業務改善・生産性向上に向けた取り組みは業務改善助成金を活用できるため、業績の回復とともに賃上げも目指しましょう。

イッツコムは「Zoom」「Box」「ホットプロファイル」により、コロナ禍にある企業の業務改善や生産性向上を強力にサポートします。ICTツールによる業務改善をお求めなら、複数サービスの組み合わせで大幅な生産性向上が目指せるイッツコムにご相談ください。