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屋外用デジタルサイネージの種類・メリット・活用事例や選び方を解説

屋外用デジタルサイネージはマーケティングチャネルとしての可能性を大きく広げます。タッチパネル式の観光・施設案内や、大型ビジョンでの環境演出・ブランディングなども可能です。ただし屋内用とは必須スペックや設置基準などに違いがあります。

屋外用デジタルサイネージは屋内用と何が違い、どのような機種を導入し、どのように運用すべきかを知りたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、屋外用デジタルサイネージの種類・メリット・特徴・活用シーンや選び方について紹介します。

屋外用デジタルサイネージの種類


デジタルサイネージは「電子看板」とも呼ばれます。筐体の形状やサイズはさまざまで、タッチパネル式の観光・施設案内、商業施設の外壁などに設置される大型ビジョンも屋外用デジタルサイネージの一種です。まずは種類・用途別で望ましいスペックを解説します。

自立スタンド型・低床型・壁掛け型

屋外用デジタルサイネージの筐体形状として、主に自立スタンド型・低床型・壁掛け型が挙げられます。

・自立スタンド型:アンカーボルトで台座を固定するなどして自立させ、ディスプレイを高い位置に設置するタイプ
・低床型:傾斜のあるキャスター付きの台座を用いて、ディスプレイを低い位置に設置するタイプ
・壁掛け型:壁掛け金具を用いて、ディスプレイを壁面などに設置するタイプ

窓ガラス越しに屋外へ向け、屋内に設置することもできます。デジタルサイネージの視認性にとって重要なディスプレイの輝度(明るさ)は、「cd/m2(カンデラ)」という単位で表現されます。

・室内でも外光が入ってくる場所なら700カンデラは必要
・直射日光が当たる場所なら2,500カンデラ程度かつ熱対策をしたディスプレイが望ましい

タッチパネル式

商業施設・観光施設・交通機関などの案内板として、タッチパネル式ディスプレイを搭載した屋外用デジタルサイネージも活用できます。

ディスプレイに情報を表示するだけでなく、ユーザーが画面をタッチすることで、取得したい情報を選択できるのが特徴です。

この用途のデジタルサイネージには以下のようなスペックが求められます。

・1,500~2,500カンデラ程度の高輝度ディスプレイ
・平常時の情報発信のために40インチ以上が望ましい
・ファンやヒーターによる筐体内の温度調整機能
・防塵防水対応
・強化ガラス採用

オープンスペース向け

商業施設などの敷地内の、建物から離れたオープンスペースに設置することに向いた屋外用デジタルサイネージもあります。自立型の屋外用デジタルサイネージをオブジェ的に設置して、回遊する来客に向けた広告用などに活用可能です。

この用途には以下のようなスペックを満たす製品が望ましいでしょう。

・1,500~2,500カンデラ程度の高輝度ディスプレイ
・ディスプレイと来客の距離感などによって32インチ~86インチ程度
・ファンやクーラーによる筐体内の温度調整機能
・防塵防水対応
・強化ガラス採用

広告看板用の超大型

商業施設などの壁面に設置する、大型ビジョンとしての屋外用デジタルサイネージもあります。風雨や直射日光に耐えられるのが前提の製品です。

さらに、以下のようなスペックを満たすことが望ましいでしょう。

・5,000カンデラ以上の超高輝度LEDディスプレイ
・120インチ以上の大型サイズ
・日中と夜で明るさを自動的に調整できる(輝度調整機能がある)ことが望ましい

屋外用デジタルサイネージを運用するメリット


屋外用デジタルサイネージは従来の看板やポスターに比べてさまざまなメリットがあります。例えば、印刷不要で差し替え工数を減らせることや、動画で人目を引き多くの情報を伝えられることです。

ディスプレイの活用範囲は非常に広いため、マーケティングチャネルとしての看板の可能性を大きく広げられます。

印刷不要で差し替え工数を減らせる

アナログな看板やポスターの場合、印刷屋への入稿や納品待ちがあり、差し替え作業にも手間・コストがかかります。この点、屋外用デジタルサイネージは印刷不要なので、差し替え工数を減らせます。

コンテンツはデータで管理するため、デザインやデータの変更は何度でも可能です。かつ、スピーディでもあります。大判印刷が必要な広告看板の場合、工数削減の恩恵は特に大きなものになるでしょう。

動画で人目を引き多くの情報を伝えられる

静止画だけでなく動画を使えることも、屋外用デジタルサイネージのメリットです。動きがあることで人目を引きやすく、「せっかくの看板やポスターを気に留めない」ことを回避しやすくなります。

スピーカー搭載の機種は音声も交えた訴求ができ、移動中の来客に文字情報を注視させる必要がありません。映像と音声を使って自然に多くの情報を伝えられることは、デジタルサイネージならではのメリットです。

効率的にマーケティング効果を高められる

屋外用デジタルサイネージなら、狙ったターゲットに効率的に訴求できます。ポスターはざらついた壁面や風雨にさらされるオープンスペースなどに掲示しにくく、見栄えも悪くなりがちです。

屋外用デジタルサイネージなら広告の設置場所を無理なく拡大できる上、複数のコンテンツをテンポよく差し替えできます。通常は高所作業が必要になる広告看板も、ネットワーク経由で簡単に差し替え可能です。

時間帯や設置場所に合わせてコンテンツの出し分けができ、イベントの一環としても活用しやすいため、マーケティングチャネルとしての看板の可能性を大きく広げられます。

屋内用・屋外用のデジタルサイネージの違い


デジタルサイネージには屋内用と屋外用があり、望ましいスペックにさまざまな違いがあります。屋外用の機種に求められるのは、直射日光下でも十分な視認性を確保できる輝度(明るさ)、風雨や温度変化に耐えられる防塵・防水性能や温度管理機能などです。またコンテンツ配信方式は、遠隔で操作しやすいクラウド型が向いています。

輝度(明るさ)

屋内用デジタルサイネージは350~700カンデラ程度でも鮮明に見せられますが、屋外用は700~3,000カンデラ程度が目安です。少なくとも700カンデラは必要で、日当たりが良く明るい場所や直射日光の当たる場所なら、1,500カンデラ以上が望ましいでしょう。

機種によってはディスプレイに反射防止コーティングを施してあり、一部の高輝度モデルは輝度調整機能を備えています。

防塵・防水性能

機種により防塵・防水レベル(IPコード)は異なります。屋内用デジタルサイネージなら高い防塵・防水性能は求められませんが、屋外用は風雨や粉塵にさらされ続けても故障しない耐久性が必要です。

屋外用なら最低でもIPX3、できればIP55やIP66の防塵・防水性能が望ましいでしょう。IP56やIP66は台風レベルの強風や豪雨にも耐えられるとされています。また、強化ガラスでケーシングされたモデルを選ぶことも大切です。

温度管理機能

屋外用は故障を避けるための温度管理機能も大切です。夏場の直射日光に長時間さらされると、コンテンツ受信装置である「STB(セットトップボックス)」やディスプレイが熱くなり過ぎ、使用不能になる場合もあります(ブラックアウト)。冬場に冷え過ぎて動作不良を起こす場合もあるため、筐体内の温度管理は重要です。

屋外の温度変化に対応するために、クーラーやヒーターを搭載していたり、吸排気用のファンを内蔵していたりする機種を選びましょう。

クラウド型のコンテンツ配信

屋内用デジタルサイネージは「スタンドアロン型」でも便利に活用できますが、屋外用には「ネットワーク型」、特に「クラウド型」が向いています。

スタンドアロン型はネットワーク機能を持たず、USBメモリやSDカードを差し込んで使用するものです。配信コンテンツを切り替える際、各サイネージの手動対応が求められます。

LANケーブルやWi-Fi経由で配信コンテンツを遠隔切り替えできるネットワーク型は、オンプレミス型とクラウド型の2種類があります。オンプレミス型は専用サーバを自社導入する必要がありますが、クラウド型ならサーバ設置の手間がかかりません。

屋外用デジタルサイネージの効果的な活用例


屋外用デジタルサイネージの活用シーンは多種多様です。一般的には集客やブランディング、観光や施設の案内などに用いられます。また周辺住民への各種情報提供などにも活用可能です。具体的な活用例を知り、屋外用デジタルサイネージの可能性をよりクリアにイメージしましょう。

集客やブランディング

屋外用デジタルサイネージは集客やブランディングを目的として、以下のようなシーンで活用できます。

・商品やセールの情報を発信して興味喚起から購買行動までを誘引
・施設前で店舗内の雰囲気やメニューを伝え、上階にある飲食店へ誘導
・ドライブスルーなどのセルフオーダーシステム(券売機)として機能する、タッチパネル式の注文キオスク
・大型ビジョンやオープンスペースでエンターテインメントコンテンツを配信し、プロモーションやランドマーク化

観光や施設の案内

街頭や施設の入り口などで、各種案内にも活用されます。具体例は以下の通りです。

・公園・道路などの公共施設でタッチパネル式の観光案内
・駅やバス停など公共交通機関の施設で運行情報や広告を表示
・複数のフロア・テナントがある商業施設で施設案内
・住宅展示場で来場者への情報配信

住民への各種情報提供

来客だけではなく、地域住民への情報提供など、社会貢献にも活用できます。

・ビル・マンションの入居者への情報配信
・建設現場で朝礼に使用、仮囲いに埋め込んで近隣へ工事日程などを情報開示
・緊急時・災害時に情報を切り替え、災害場所の共有や避難場所の案内

屋外用デジタルサイネージの選定ポイント


屋外用デジタルサイネージを運用するなら、まず最適な機種選びは必須です。ただし、機器を調達しただけではコンテンツ配信ができません。提供会社にコンテンツ制作の委託ができるか、運用中のサポート体制は万全かといったこともチェックしましょう。

最適な機種選び

まずは最適な機種選びが大切です。高輝度ディスプレイや防塵・防水性能、温度管理機能など、屋外用に適したスペックを備えた機種を選びましょう。用途に応じて以下の点もチェックします。

・買い切り型かレンタル可能か
・設置場所や期待する訴求力に応じた画面サイズ・視認性・スピーカー性能など
・可動式なのか固定式なのか
・カメラ、マイク、タッチパネル、NFCなどのオプション機能
・Webブラウザなどのアプリを運用する場合は搭載OS(Windows・Androidなど)
・インターネット接続機能の有無と種類(Wi-Fi・LTE通信・LANケーブル)
・給電方法(バッテリー駆動なのか電気工事が必要なのかなど)

コンテンツ制作を委託できるか

デジタルサイネージを提供している企業は、コンテンツの制作委託に対応している場合もあります。自社に動画コンテンツの制作ノウハウがなくても、プロのデザイナーが訴求力のあるコンテンツを制作してくれるのはうれしい点です。

コンテンツ制作に対応していない場合や「初回のみ無料」など、提供企業によって違いがあることに注意しましょう。

サポート体制は万全か

提供企業によってサポート体制もさまざまです。「操作方法が分からない」「サイネージが映らない」などトラブル対応の電話サポートの他、機器のメーカー保証に加えてオプションの延長保証を提供している場合もあります。

企業によっては機器選定から動画コンテンツ制作、配信管理・運用保守までワンストップでサポートしています。実際の導入事例・サービス提供実績も確認してみるとよい でしょう。

屋外用デジタルサイネージの導入・設置における注意点


屋外用デジタルサイネージを導入・設置する際、「景観に合わず悪目立ちしないか」という観点は重要です。また法令や地域独自のルールを守って設置・運用することも求められます。機器の調達費以外に、人件費や工事費がいくらかかるのかといったコスト面の精査も行いましょう。

景観に合わず悪目立ちしないか

屋外用デジタルサイネージはそれ自体がオブジェとしても機能するため、周辺の街並みに溶け込みやすいデザインにすることが大切です。

ディスプレイサイズは、小さ過ぎると視認性が悪く、大き過ぎると不自然に見える場合もあります。ディスプレイだけでなく筐体の形状やサイズ感・色味なども重要です。壁面に掛けたり埋め込んだりする場合、施設の装飾の一部として作用することにも注意しましょう。

施設や街路の雰囲気になじみ、自然に情報を提供できるデザインにすることが求められます。

法律や条例に違反していないか

屋外用デジタルサイネージは法令上の「屋外広告物」に当たるため、屋外広告物法や屋外広告物条例を守って設置・運用することが求められます。

屋外広告物法とは、良好な景観の形成や公衆に対する危害の防止のために、屋外広告物の表示や掲出する物件の設置・維持について定めた法律です。

また、屋外広告物条例とは自治体が定める屋外広告物に関する条例で、許可申請の基準や点検報告書の提出義務、景観保護などを定めています。

他にも、観光地や商店街などが屋外広告物に関して地域独自のルールを定めている場合もあります。法令やルールを事前によく調べ、設置可能な機器のサイズや許容される広告の内容などを確認しましょう。

想定外のコストがかからないか

本体価格以外に発生するコストも注意点です。屋外用デジタルサイネージの運用環境を整備するためには、機器の調達だけでなく、設置・調整・ネットワークの構築などにもコストがかかります。

設置作業にかかるコストの例は、設置作業員の人件費、交通費、高所作業車の手配費用などです。設置環境によってはアンカーボルトの打ち込みや壁面の造作、電気工事なども必要になります。

運用中の故障や損害は、原因によっては保証対象外になることも注意したいポイントです。初期費用・ランニングコストを洗い出し、予算を検討しましょう。

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まとめ


屋外用デジタルサイネージはタッチパネル式やオープンスペース向けのもの、広告看板用の超大型のものなどさまざまです。集客やブランディングの他に、施設案内や地域住民への情報提供などにも活用できます。

法令や地域独自のルールを守った上で、用途や周辺環境に応じた機種を選び、コンテンツの制作・更新体制なども整えることが必要です。デジタルサイネージの運用をお考えなら、企画から保守運用まで豊富な実績を誇るイッツコムにご相談ください。