デジタルサイネージとは?仕組み・導入効果や具体的な導入事例を解説
目次
デジタルサイネージは動画・音声を用いてインパクトのある訴求ができるコンテンツ配信メディアです。広告メディアとしてはもちろん、各種情報提供や空間演出など、さまざまな場面に活用されています。
デジタルサイネージの導入・運用を検討しており、導入効果や活用方法を詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、デジタルサイネージの仕組みや導入効果、具体的な導入事例について紹介します。
デジタルサイネージとは?
デジタルサイネージは飲食店の内外や商業施設の大型ビジョン、電車の車内ビジョンなど、さまざまな場面で活用されています。動画や音声を用いた配信コンテンツに対応できる柔軟性も魅力です。まずはデジタルサイネージとは何か、今後の活用拡大の見込みを解説します。
動画・音声も活用できる映像表示装置
デジタルサイネージとは、ディスプレイ・プロジェクターやスピーカーを通じて、画像・動画・音声による「動きのある」情報発信ができるメディアの総称です。電子看板とも呼ばれ、従来のポスターや看板よりも多くの情報を手軽かつタイムリーに発信できます。
多くの方が自然に目にする電車内ビジョンや商業施設の大型ビジョンは、デジタルサイネージの一種です。街頭・公共交通機関・店舗・オフィスなど、屋外・屋内のさまざまな場所に設置が進んでおり、活用する業種や機能・コンテンツも多様化しています。
今後ますます市場拡大が見込まれる
デジタルサイネージ広告の市場規模は右肩上がりで成長を続けています。新型コロナウイルス感染拡大防止策などに伴う市場低迷はすでに脱却しており、現在は回復基調にある状況です。
大型LED・3D・折り曲げ式・メタバースといったインパクトのある成功事例も増える中、設置場所も都市空間のあらゆる場所へ拡大していくと予想されています。
これまで主流であった販売促進費だけでなく、広告費から予算が出る事例も出ており、今後ますます成長が見込まれる領域です。
デジタルサイネージはどのような仕組み?
デジタルサイネージはディスプレイを通じて情報発信しますが、コンテンツ配信の構成要素を整えることで運用が可能になります。またコンテンツの配信形式は、スタンドアロン型・ネットワーク型の2種類です。ネットワーク型はさらに、オンプレミス型とクラウド型に分類できます。
コンテンツ配信に必要な構成要素
デジタルサイネージは以下のような要素でコンテンツ配信システムを構成します。
・ディスプレイ:スピーカー内蔵のものが多く、タッチパネル式のものもある
・STB(セットトップボックス):ディスプレイと接続して画像や動画を表示させる機器
・コンテンツ:対応するファイル形式の画像・動画・音声など
・インターネット環境:機種によってはLANケーブルやWi-Fi経由でコンテンツ配信の遠隔操作ができる
・デジタルサイネージソフトウェア:配信コンテンツを遠隔管理するソフトウェア
メディアプレーヤー内蔵型の「STBレス」モデルは省スペースで運用しやすいのが利点ですが、拡張性やメンテナンスのしやすさという意味ではSTBを外付けするモデルがおすすめです。
配信形式の違いで手動または遠隔で操作
コンテンツ配信形式は「スタンドアロン型」「ネットワーク型」の2種類に大別できます。
・スタンドアロン型:USBメモリやSDカードを差し込み、コンテンツをリピート再生するタイプ。コンテンツの差し替えには手動操作が必要
・ネットワーク型:自社サーバまたはクラウドサーバで配信コンテンツを管理するタイプ。Webブラウザや専用ソフトから遠隔でコンテンツを差し替えできる
ネットワーク型はサーバへアップロードしたコンテンツを読み取るため、複数のサイネージのコンテンツをリアルタイムで更新できます。管理のしやすさという意味ではネットワーク型、特にクラウド型がおすすめです。
デジタルサイネージのディスプレイサイズの考え方
デジタルサイネージのスペックとして最も重視されるものの1つは、ディスプレイサイズです。ディスプレイのサイズは、「〇〇インチ」「縦横比〇:〇」という2種類の指標で表現されます。インチと縦横比の関係性を理解し、設置場所や運用目的に応じたディスプレイサイズを選ぶことが大切です。
ディスプレイのインチと縦横比の関係
ディスプレイのサイズは32インチ・42インチ・46インチ・55インチ・75インチが人気です。インチ(1インチは25.4mm)は表示部分の対角線の長さを表します。
縦横比は16:9(ワイド)か4:3(スタンダード)の製品が多く、現在はワイドサイズが主流です。例えば32インチの場合、縦横比の違いでディスプレイサイズに以下のような違いが出ます。
・縦横比16:9の場合:幅709mm、高さ399mm
・縦横比4:3の場合:幅650mm、高さ488mm
設置場所によるサイズ感や縦型・横型の選び方
設置場所によって最適なディスプレイサイズは異なります。屋外用は50インチ~75インチ程度、屋内用は40インチ~50インチ程度、店内POPなどは10インチ~20インチ程度のサイズが一般的です。
以下のような条件も加味して、ディスプレイサイズとともに縦型・横型も最適なものを選びましょう。
・設置空間の広さ
・来客の視線の高さ
・来客とディスプレイの距離感
・配信コンテンツは縦長か横長か
デジタルサイネージのメリット
デジタル広告には、紙媒体や看板の広告にはない多くのメリットがあります。ここでは、デジタルサイネージの具体的なメリットを紹介します。メリットがあると感じたなら、ぜひ導入を検討してみてください。
最新の情報にアップデートするのが楽
デジタルサイネージの場合、広告や掲示内容を最新の情報にアップデートするのが楽なのが大きなメリットです。紙や看板の広告だと、最新の情報に変更するときは貼り替えや設置作業をしなければなりません。設置場所が複数ある場合、すべてを回る手間と時間がかかります。掲示の必要がなくなり撤去するときも同様です。
ネットワークにつながったデジタルサイネージであれば、一か所ですべてを最新の情報にアップデートできます。複数か所を回る必要がなく、配布や撤去の手間や人件費を節約できるのもメリットです。
どんな場所でも見やすい
どんな場所から見ても内容が把握しやすいのもメリットの1つです。従来のポスターや看板は暗い場所では見えにくくなります。デジタルサイネージは画面が鮮明で明るいため、暗い場所でもはっきりと見ることが可能です。
特に夜間の場合、鮮明で明るいデジタルサイネージは顧客の目を引きます。視認性のよさでほかの店舗よりも目立つので、夜間の来客数増加が期待できます。
動画や音を入れられるので顧客の目に留まりやすい
動画や音の入った広告を配信できるので、顧客の目に留まりやすいのも大きなメリットです。多くの方の目に留まれば、情報を効率よく伝えられます。
通常の紙や看板だと顧客が気付かずに通り過ぎてしまうことがあります。しかし、デジタルサイネージの場合、最初は見ていなかったとしても音や動画で広告に目を向ける方も多いでしょう。その結果、ユーザーの目に留まりやすく、さまざまなユーザーに情報を届けられます。
販促効果の高さ
デジタルサイネージには高い販促効果が期待できます。デジタルサイネージは顧客の目を引くことに長けたデジタルツールです。動画や音があると、より多くの人の目に留まります。結果、広告を見た母数が大きくなり、実際に商品を購入する顧客が増えることにつながります。
視認性がよく注目度が高いデジタルサイネージは、販促の面からも大いにメリットがあるといえるでしょう。
デジタルサイネージの活用シーン
デジタルサイネージは広告メディアとしてだけでなく、各種情報提供や空間演出、訪日外国人対応などにも活用されます。拡大を続ける活用シーンの例は以下の通りです。
・交通:鉄道(車両・駅)・タクシー・バス・空港・航空機など
・商業施設や店舗:スーパーマーケット・コンビニ・ドラッグストア・美容室・飲食店・病院など
・屋外:大型ビジョン・アミューズメント施設・オープンスペースなど
・オフィスや工場:オフィス内共有スペース・ショールーム・物流拠点・バックヤードなど
・その他:公共施設 など
デジタルサイネージの導入事例(1)「二子玉川ライズ」
商業施設やオフィスといった複数の街区から構成される「二子玉川ライズ」ではデジタルサイネージを導入しています。
特徴的なのは「みだしなミラー」です。ディスプレイの案内に従って撮影した自分の姿に、テナントがおすすめする服を重ねて表示する「バーチャルフィッティング」が楽しめます。遊び感覚でさまざまな服を試せて、ショッピングがよりいっそう楽しくなるアミューズメント型コンテンツです。
ほかにも、一般の方から募集した素材をコンテンツとして使用する「つぶやきウォーカー」、「フタコクロック」といったインタラクティブ型のサイネージも導入し、施設に訪れた方がさらに楽しめるコンテンツを発信しています。
デジタルサイネージの導入事例(2)渋谷キャストの「AXYZ(アクシズ)」
渋谷キャストでは、空間全体を作品として表現する「AXYZ(アクシズ)」をデジタルサイネージで実現しました。
貫通通路にある3本の柱に設置した大小計18面におよぶ高精細LEDディスプレイと27台ものマルチサウンドシステムによって、「時刻」「季節」「天気」といったリアルタイム情報を取り込みながら、訪れる人々に「渋谷の今」を体感してもらう芸術作品です。
なお、これらのコンテンツの配信や管理、保守といった運用は、すべてイッツコム(イッツ・コミュニケーションズ株式会社)が担当しています。
デジタルサイネージの導入事例(3)東急グループ(公共交通機関)での「TOKYU OOH」
イッツコムでは、広告媒体ブランドの「TOKYU OOH」の一部である「屋外映像媒体」の配信や保守を受託しています。
イッツコムが手掛ける屋外型デジタルサイネージは、以下の通りです。
・ハチ公前スクランブル交差点正面の「Q’S EYE」
・東急東横店西館2階コンコースの「r anKing r anQueenビジョン」
・東横線や田園都市線のドア上モニター「TOQビジョン」
・東急各駅に設置された「SALUSビジョン」
これらの屋外型デジタルサイネージを用いて、メディア間の連携による相乗効果の創出に取り組み、ユーザーが必要とする情報の配信に努めています。
スーパーマーケットでのデジタルサイネージの導入例
スーパーマーケットでは、ユーザーの「献立決め」をサポートするデジタルサイネージを導入しています。特に主婦の方はスーパーマーケットで買い物しながら「今夜の献立は何にしようか」と悩むことが多いのではないでしょうか。
そのような方々をサポートするのが、献立レシピを提供する「DELISH KITCHEN」のサイネージです。食品売り場で関連したレシピ動画を表示すれば、食品の販売促進にもつながり、顧客と店側の両方にメリットがあります。
デジタルサイネージ導入の注意点
何事にもメリットがあればデメリットがあるように、デジタルサイネージにもデメリットは存在します。主なデメリットは「初期費用が高額になりやすい」「故障する可能性が否定できない」の2つです。ここでは、デジタルサイネージのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
初期費用が高額になりやすい
デジタルサイネージのデメリットの1つとして、初期費用が高額になりやすいことが挙げられます。導入する場合、まずはディスプレイの費用がかかります。ディスプレイの値段は、屋内用で10万円~40万円、屋外用で40万円~80万円です。
そのほかにも、「STB(セットトップボックス)」「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」「コンテンツ」の3つの費用が発生します。それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。
【STB】
コンテンツを再生するプレーヤーを指します。価格は1万円~10万円です。ディスプレイに内蔵されている製品もあり、その場合はディスプレイ価格に含まれます。動画や静止画を映すことに特化しているため、筐体が小さく起動が速いのが特徴です。
【CMS】
コンテンツの配信や表示する動画、広告のスケジュールを管理するソフトウェア、またはシステムを指します。異なる場所で複数のデジタルサイネージを利用するために必要となります。配信するデータ量によって価格は変動しますが、1台あたり4,000円~1万円です。
また、すぐに運用するために「クラウドサービス」を利用する場合、月額使用料を継続的に支払う必要があります。
【コンテンツ】
ディスプレイに表示する動画や静止画のことです。業者に依頼してコンテンツを制作してもらう場合、動画で1本3万円から、静止画で1枚1万円からが相場となっています。業者に依頼せず、専用アプリケーションを利用して自分で制作することも可能です。
故障する可能性が否定できない
デジタルサイネージは精密なデジタル機器であるため、故障する可能性は否定できません。紙媒体のポスターなら破れてもすぐに取り替えが可能です。データを元に印刷すればよいので、手間もほとんどかかりません。
デジタルサイネージの場合、故障したら自分で修理するのは難しいでしょう。業者に修理を依頼すると直るまで多くの時間を要し、その分だけ販促の機会を失うことになってしまいます。
デジタルサイネージを導入する際の流れ
デジタルサイネージは今後も関連ビジネス市場が伸びていき、需要が高まると予想されています。導入すれば今以上の販促効果が見込め、企業の成長につながるツールといえるでしょう。では、導入するにはまず何をすればよいのでしょうか。ここでは、デジタルサイネージを導入する際の流れを解説していきます。
システムの構築とコンテンツの作成
導入する際、まずはシステム設計や構築、コンテンツの作成を行います。顧客の要望に合わせるためにもデジタルサイネージの用途や費用に関するヒアリングをしましょう。
例えば、以下のような項目について検討します。
・用途……設置場所は屋外か屋内か
・経費……購入かレンタルか
・運用方法……最新の情報に更新していくか、同じ情報を長期間表示するか
デジタルサイネージにはさまざまな選択肢があり、顧客の要望に最大限応えられるシステムを構築できるのが魅力です。
運用開始後の保守
デジタルサイネージは精密なデジタル機器なので故障する可能性は否定できません。そのため、万が一の事態に備えた保守作業は必須です。具体的には、デジタルサイネージを稼働させるシステムが正常に動いているか、広告表示が止まっていないかといったことを継続的に監視する必要があります。
広告は売り上げアップのためにも重要なツールですが、現場の従業員は広告が止まっていることに気付かない場合があります。保守や管理を業者に任せれば、常に監視してくれるので、企業側も安心して運用できます。
デジタルサイネージを導入するには企業の助けが必要
デジタルサイネージを初めて導入する場合、何かと不安なことも多いでしょう。そういうときは、企業に助けを求めるのが解決の近道です。
まずは、資料請求から始めてみましょう。概要が分かったら、疑問点や不安な部分を相談してみてください。中には、実際に導入した場合のシミュレーションをしてくれる企業もあります。存分に活用して、導入をスムーズに進めていきましょう。
デジタルサイネージ導入はイッツコムにお任せ!
デジタルサイネージは機器を購入するだけでは運用できません。「どこにどのようなサイネージを何台設置するのか」といった企画を元に、コンテンツの制作・更新体制を整えることで導入・運用できます。
イッツコムなら企画からシステム設計・コンテンツ制作、回線工事からコンテンツ更新や保守管理まで、クラウド型の運用サービスをワンストップで提供可能です。
大型ビジョン・環境演出・インフォメーションなどの運用目的に合わせ、ディスプレイサイズやコンテンツを最適化し、コンテンツ配信は放映センターで集中管理します。通信事業者ならではの充実したサービス体制と、渋谷の街頭や東急線の車内ビジョンなどで培った豊富な実績が強みです。
デジタルサイネージの導入をお考えなら、ワンストップ提供でコストも抑えられるイッツコムにお任せください。
まとめ
デジタルサイネージによる情報提供はアナログなポスター・看板より情報量が多く、動画・音声を使ったインパクトのある訴求ができます。店舗やイベントへの誘導、大型ビジョンによるコマーシャルや環境演出など、活用シーンは多彩です。
イッツコムは渋谷駅前をはじめとした豊富な実績を誇り、企画から運用保守まで、デジタルサイネージ活用をワンストップでサポートできます。デジタルサイネージの導入・運用をお考えなら、多彩なニーズに柔軟に対応できるイッツコムにご相談ください。