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ペーパーレス化推進はなぜ必要?電子帳簿保存法の注意点や対応ツールを解説

2022年1月に電子帳簿保存法の改正が施行されたこともあり、ペーパーレス化の推進は必要性を増しています。ペーパーレス化の推進が求められていると実感しており、推進のポイントや効果的なツールを整理したいという企業担当の方もいるのではないでしょうか。

ペーパーレス化の必要性をメリットや電子帳簿保存法の観点から理解し、推進に役立つツールの組み合わせを知ることで、ビジネススタイルをスマートに変革できます。クラウドストレージを起点とした文書管理にも目を向け、適切にペーパーレス化を推進しましょう。

そこでこの記事では、ペーパーレス化が推進される背景やメリット、必須知識となる改正電子帳簿保存法の注意点や対応ツールについて紹介します。

ペーパーレス化の意味や必要性とは?


ペーパーレスとは、紙ではなく電子データで情報を保存・活用することを指します。情報保存・活用の仕組みをペーパーレスにすることがペーパーレス化です。

ペーパーレス化によって文書管理・共有・検索を効率化することで、政府が推進する働き方改革の基礎となり、多様な働き方への対応や業務効率化・コスト削減などの恩恵を享受できます。

また2022年1月に「電子帳簿保存法」の改正が施行されたことにより、ペーパーレス化の推進が容易となったと同時に、電子データによる適正な文書管理の必要性が増している状況です。

ペーパーレス化が推進される背景


ペーパーレス化は社会・ビジネスのあらゆる面で着々と進行していますが、この背景として大きなもののひとつは、国連サミットで採択されたSDGsです。日本政府はペーパーレス化推進に向けて法整備を進めており、またビジネスの現場でもニーズが高まっています。

ここでは、ペーパーレス化が推進される背景を、SDGs・政府・企業という3つの観点から見ていきましょう。

SDGsによるペーパーレス化推進

「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」とは、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

SDGsは2001年に策定された「MDGs(ミレニアム開発目標)」の後継で、貧困・飢餓・人権・教育・経済成長・エネルギー・環境などに関する、17のゴール・169のターゲットから構成されます。

SDGsは全世界的かつ全国民を巻き込んだユニバーサルな取り組みです。この取り組みの一環として、紙のムダの排除や働き方の是正などにつながるペーパーレス化が求められています。

政府によるペーパーレス化推進

環境保護や働き方改革に向けた取り組み、また電子取引社会に向けた備えとして、政府は法整備によりペーパーレス化の推進を後押ししています。

1998年には自社で生成した国税関係帳簿書類の電子保存に関する「電子帳簿保存法(電帳法)」、2005年には電子保存対象の拡大を目的とした「e-文書法」を施行し、書類の電子保存についての規制緩和が進行し続けている状況です。

現在は自社で生成した電子的な書類・帳簿の保存だけでなく、紙をスキャナで電子化して原本を廃棄することや、メールなどの電子取引による国税関係書類の電子保存も認められています。

企業によるペーパーレス化推進

SDGsの浸透もあって世界的にサステナブルな(持続可能な)社会への要請が高まっています。また電子帳簿保存法により、紙による保存が義務付けられている書類の電子保存がしやすくなっている状況です。

加えてWebサービスの拡充やテレワークの浸透、電子取引の一般化など、ビジネスのデジタル化が進展しています。こういった状況下で紙による文書管理・情報共有からの脱却は急務となっており、多くの企業がペーパーレス化の推進に取り組んでいる状況です。

ペーパーレス化を推進するメリット


企業がペーパーレス化を推進すると以下のようなメリットを享受できます。

・業務効率化やガバナンス強化
・コスト削減やオフィス縮小化
・テレワークの推進
・情報セキュリティの強化
・事業継続性の担保
・企業イメージ向上と信頼獲得

ペーパーレス化推進の必要性をよりクリアにイメージしましょう。

業務効率化やガバナンス強化

ペーパーレス化は稟議書や契約書の申請・承認・決済業務の効率化に役立ちます。また全社的に業務を可視化しやすくなり、あらゆる部署・チームで情報共有・検索の高速化につながるのもメリットです。

加えて文書管理の効率化・適正化により、意思決定の迅速化やワークフロー改善、ひいてはガバナンス強化につながります。

コスト削減やオフィス縮小化

ペーパーレス化はコスト削減効果が高いのもメリットです。主に以下のようなコストを削減できます。

・コピー用紙代
・トナー代
・印刷機器のリース代やメンテナンス費用
・文書の郵送費用や廃棄費用
・文書管理にかかる人件費

文書保存のためのキャビネットや倉庫を撤廃できることで、オフィスの縮小化やレイアウトの最適化にもつながります。

テレワークの推進

ペーパーレス化はテレワークに対応するという意味でも有効です。情報を電子データでやり取りすれば、離れた場所でもチームワークができます。クラウドストレージによる情報共有やWeb会議システムによるオンライン会議など、ネットワーク経由で業務遂行するテレワーク環境に最適です。

申請・承認業務を電子化すれば、文書の確認や捺印のためにオフィスへ出社する必要もありません。

情報セキュリティの強化

ペーパーレス化は文書のセキュリティ対策にも有効です。紙の文書は紛失や盗難の恐れがあり、文書が失われると情報を復元できません。また郵送ミスや廃棄ミスによる情報漏えいの懸念もありますが、物理的なセキュリティ対策は困難です。

電子データであれば機密性の高いファイルにはロックをかけたりアクセス権限を設定したりして、閲覧やコピーを禁止できます。アクセスログの管理もできるので、セキュリティ事故の原因・経緯の特定も容易です。

事業継続性の担保

紙の文書は経年劣化し、人為的ミスや災害による破損・消失・紛失もあり得ます。またコロナ禍などで出社制限がかかった際、必要な情報にアクセスできなくなることにも懸念があります。

情報を電子化すれば、安全なクラウド上で管理したり、不測の事態に備えてバックアップを取ったりできます。また時間・場所にかかわらず必要な情報へアクセスできるため、事業継続性を担保できるのもメリットです。

企業イメージ向上と信頼獲得

ペーパーレス化の推進は、SDGsの観点からすれば環境保護や働き方の改善を目的とした取り組みです。世界的にサステナブルな社会への要請が高まる中、ペーパーレス化を推進することは「CSR(企業の社会的責任)」を果たすことにつながります。

これにより企業イメージが向上し、求職者・一般消費者・クライアントからの信頼を獲得しやすくなり、人材確保や売上向上・案件獲得につながるのもメリットです。

電子帳簿保存法改正とペーパーレス化推進の注意点


2022年1月に電子帳簿保存法の改正が施行されました。改正前の電子帳簿保存法は電子データ保存の要件が厳しく、企業の混乱を招いていた部分もありますが、改正電子帳簿保存法では大幅な規制緩和となっています。ただし、逆に厳格化された部分もあることに注意が必要です。

ここでは、ペーパーレス化の推進に不可欠な情報として、改正電子帳簿保存法の規制緩和と厳格化を解説します。

事前承認制度の廃止

改正前の電子帳簿保存法では、電子データを保存するには申請と所轄税務署の事前承認が必要でした。

改正後の電子帳簿保存法では所轄税務署の事前承認制度が廃止され、基準を満たすシステムさえ整備すれば電子帳簿保存を開始できるため、電子データ保存が容易になっています。

タイムスタンプ要件の緩和

改正前の電子帳簿保存法では、電子データをスキャナ保存する際に、受領者が署名した上で3営業日以内にタイムスタンプを付与することが必要でした。

改正後の電子帳簿保存法では、スキャナ保存の際の署名が不要となり、タイムスタンプの付与期限が最長2か月に延長されています。また、時刻認証機能やファイル修正・削除のログ管理機能のあるクラウドサービスでもデータ保存が可能です。

適正事務処理要件の廃止

改正前の電子帳簿保存法では、スキャナ保存の際に社内規定の整備や定期検査が必要で、2名以上の事務処理担当者による対応が必要でした。

改正後の電子帳簿保存法では、スキャナ保存の適正事務処理要件が廃止され、1名の事務処理担当者で対応可能となっています。また、原本はスキャナで読み込んですぐ廃棄が可能です。

検索要件の緩和

改正前の電子帳簿保存法では、システムに勘定科目と関連付けた検索条件を設定できること、日付・金額の範囲指定検索や2つ以上の項目を組み合わせた検索条件を設定できることが必要でした。

改正後の電子帳簿保存法では、検索要件は年月日・金額・取引先の3項目に削減されています。また税務署のダウンロード要請に対応できるシステムなら、範囲指定検索や条件を組み合わせた検索に対応する必要はありません。

電子取引データの厳格な保存

電子帳簿保存法の改正により、データ保存は大幅に規制緩和されており、企業はペーパーレス化を推進しやすくなりました。しかし、改正により厳格化される要件もあることに注意が必要です。

改正後の電子帳簿保存法では、電子取引したデータを書面に印刷して保存することが認められません。つまり、メールの添付ファイルなどで受領した国税関係書類は、電子データとして保存することが必要です。

改ざんまたは隠ぺいの罰則規定

もうひとつの注意点は、電子データの改ざんや隠ぺいについて罰則規定が設けられたことです。スキャナ保存や電子取引によるデータを改ざんまたは隠ぺいしたと税務署に判断された場合、通常課される重加算税に10%を加えて課税されます。

この罰則規定を回避するためには、タイムスタンプや訂正・削除履歴を正しく残せるシステムの運用による、「真実性の確保」が必要です。

ペーパーレス化推進に役立つツール


ペーパーレス化推進はデータ活用のオンライン化につながることもポイントです。クラウドストレージ・Web会議システム・SFAを活用すれば、情報共有・会議・営業活動をペーパーレス化・オンライン化できます。ここでは、それぞれのツールの有用性や必要性を見ていきましょう。

クラウドストレージ

クラウドストレージはペーパーレス化の推進に必須といえるツールです。インターネット経由でさまざまなOS・デバイスからアプリまたはWebブラウザからストレージにアクセスし、サービスによっては容量無制限であらゆるファイルを保存・共有できます。

サーバーの保守管理はサービス事業者側が実施するため、自社でサーバー関連の資産を抱える必要はありません。タイムスタンプや訂正・削除履歴を詳細かつ長期間残せるクラウドストレージなら、改正電子帳簿保存法に対応できることもメリットです。

Web会議システム

Web会議システムもペーパーレス化の促進に重宝します。会議をオンライン化し、映像・音声や会議資料の共有を電子化することで、紙を使わない会議システムを構築できることが大きなメリットです。

サービスによってはマルチプラットフォーム対応で、出先からスマホやタブレットでも会議参加できます。遠方との相互アクセスに対応し、また会議スペースを必要としないため、オフィス縮小化やテレワーク推進とも好相性です。

SFA

SFA(営業支援システム)は、社内人脈の可視化や商談・案件の管理、出先からの営業報告などに対応するツールです。名刺管理ソフトと組み合わせれば名刺情報を電子データで一元管理でき、Web会議システムやクラウドストレージと組み合わせれば紙資料不要で営業活動ができます。

営業部門全体での組織的な営業活動を支援するシステムなので、情報・ノウハウのブラックボックス化を防ぎ、マネジメントの効率化・適正化につながることもメリットです。

ペーパーレス化推進と改正電子帳簿保存法の対策はイッツコム!


ペーパーレス化を推進すると、請求書や契約書などの国税関連帳簿書類を電子データでやり取りするケースも増えます。イッツコムは改正電子帳簿保存法に対応するクラウドストレージ「Box」の他に、Web会議システム「Zoom」や営業支援ツール「ホットプロファイル」を提供しており、3つのツールを組み合わせることでスマートなペーパーレス化推進が可能です。

また、テレワークやコロナ禍の商談にも、クラウドストレージ「Box」の他に、Web会議システム「Zoom」や営業支援ツール「ホットプロファイル」は有効です。3つのツールを連携させることで効率アップが可能になります。活用シーンはこちらから!
https://www.itscom.co.jp/forbiz/lp02.php

改正電子帳簿保存法に対応するクラウドストレージ「Box」

改正電子帳簿保存法の施行もあって電子データの管理は一層重要性を増しており、罰則規定に抵触しない情報管理・共有システムを運用することが求められます。

そこで導入したいのが、ひとつのサービスで電子データの保存・共有の課題を解決するクラウド型コンテンツマネジメントシステム「Box」です。有料版Boxは容量無制限で、ファイルやタスク・プロジェクトを一元管理できる上、各国の政府機関・金融機関・医療機関・リーダー企業に採用される信頼性とセキュリティを誇ります。

ファイルのバージョン履歴を50以上(最大無制限)自動保存する上、70種類以上のアクセスログを自動収集・7年間保存でき、監査証跡として利用できるのもメリットです。「Box Sign」による電子サインで申請・承認業務をBox上で完結できるため、メールで契約書などを送受信する必要もありません。

また1,500以上のアプリのファイルマネージャーとしても利用でき、Box上であらゆるファイルの履歴を管理できるため、改正電子帳簿保存法の対策にも大いに役立ちます。

オンライン会議によるペーパーレス化推進には「Zoom」

リアルな会議室における対面会議はペーパーコストのムダが大きく、また会議参加者の行動を制限することもネックです。

Web会議システム「Zoom」であれば、会議のオンライン化によりペーパーレス化と業務効率化を両立させられます。有料版Zoomはグループミーティングを実質無制限(30時間/1回)で利用でき、複数の共同ホストによる大規模ミーティングの進行管理や、会議履歴の詳細な管理にも対応可能です。

会議中にはBox内のファイルを画面共有でき、またビジネスチャットツールとしても活用できるため、紙や時間・場所にとらわれないコミュニケーションを実現できます。

ペーパーレスな営業活動の推進には「ホットプロファイル」

「ホットプロファイル」は名刺管理・SFA・MA(マーケティングオートメーション)一体型の、クラウド型営業支援ツールです。名刺のスキャンやCSVファイルの読み込みだけで顧客データベースを構築し、社内人脈や営業履歴をシステム利用者全員で共有できます。担当者が個々に名刺をファイリングして管理する必要はありません。

「いまホットな顧客」の自動通知機能やGPS連携による営業報告機能、Zoomと連携したオンライン名刺交換機能もあり、モバイルデバイスだけでも営業活動が完結するのは大きなメリットです。営業活動においてはBoxと組み合わせて、提案資料や見積書などコンテンツは全てBoxを通じて共有することで、ペーパーレスな営業活動の推進に役立ちます。

まとめ


ペーパーレス化推進には業務効率化やコスト削減など豊富なメリットがある一方で、改正電子帳簿保存法の要請を遵守する必要があります。

Boxであれば容量無制限で安全かつ電子帳簿保存法にのっとった方法で文書管理でき、ペーパーレス化推進との相性は抜群です。さらにZoomやホットプロファイルと組み合わせれば、会議や営業活動のペーパーレス化・オンライン化により業務効率化や生産性向上を目指せます。

ペーパーレス化の推進をお求めなら、クリティカルなソリューションを一括整備できるイッツコムにご相談ください