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データバックアップとは?基礎知識や方法とクラウドストレージ活用

データバックアップは、重要なデータを定期的にコピーし、いつでも元の状態に戻せるように備える活動です。データの保存先が重要となりますが、安全かつ利便性の高いクラウドストレージの活用が一般化しています。

データバックアップについて、より理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、データバックアップの基礎知識やクラウドストレージの活用例を紹介します。

データバックアップとは?

データバックアップは失いたくないファイルやシステム全体のコピーを取り、必要に応じてリストア(復元)できるようにしておくことを指します。専用ソフトのスケジュール機能などを使って定期的に実施するため、「何を」「どのように」バックアップするかを決めることが重要です。

データバックアップとリストア(復元)の関係

データバックアップとは、データの破損・消失防止やシステムの災害・障害対策のために、特定のファイルやシステム全体のコピー(複製)を取っておくことです。あらかじめ決めたスケジュール、または任意の時点でファイルのコピーを作成し、何らかのストレージに保存しておきます。

障害発生時などにデータ・システムを以前の状態に書き戻すことをリストア(復元)と呼び、バックアップはいつでもリストアできるようにしておくための備えです。

デバイスを新調した際のデータ移行にも、データバックアップを活用できます。データバックアップでは、「何を」「どのように」バックアップするかという観点が重要です。

「何を」バックアップするかは主に2種類

データバックアップの「何を」については、ユーザー自身で作成したデータか、ユーザーが直接操作できないシステム関連のデータかに分かれます。

前者は文書・写真・動画などのファイルや、アプリの使用履歴などです。こういったデータは失われると代えが利かず、また機密情報や個人情報に関わるため、データバックアップでは一般的にこちらを重視します。

後者はユーザー自身が触れない、OSやアプリのプログラムや設定に関するデータです。プログラムのリストアはシステムの初期化や再インストールでも対応できますが、カスタマイズした設定などの状態を保存するなら、システムのバックアップが求められます。

「どのように」バックアップするかはクラウドストレージ活用が一般的

データバックアップの「どのように」については、公私問わずスマホやクラウドストレージの利用率が上昇するに伴い、クラウドバックアップが一般化しています。

スマホは機器の故障・紛失などによるデータ紛失のリスクが高く、買い替え頻度が高い上、バックアップメディアとの接続もやや困難です。PCやサーバのデータバックアップであっても、バックアップメディア自体の盗難・紛失・故障といったリスクがあります。

このためインターネット経由で利用できる利便性、認証や暗号化の仕組みによる安全性から、クラウドストレージを保存先としたデータバックアップが主流です。

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データバックアップの必要性と目的

ビジネスで取り扱うデータは、顧客情報だけでなく経理関係、取引先との進捗情報などさまざまです。これらのデータが破損したり、紛失したりしてしまった際、企業は多大なる損害を被ります。そのため、これらのデータはしっかりと守らなくてはいけません。データバックアップが必要な具体的な観点は、以下の3つです。

・物理的な障害への備え
・データ自体の障害への備え
・ランサムウェアの感染対策

ここでは、データバックアップの必要性と目的を解説します。

物理的な障害への備え

データバックアップは物理的な障害から情報資産を保護するために必要です。主な物理的障害には、HDDの故障や盗難、地震・火災・水害による破損を挙げられます。

特に日本は地震や洪水などの災害リスクが高く、物理的障害を予期したバックアップは重要です。また保存メディアは経年劣化するため、問題なくデータを保存できているように見えても、数年程度でデータが破損したりメディア自体にアクセスできなくなったりします。

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データ自体の障害への備え

データバックアップはデータ自体の障害から情報資産を保護するためにも必要です。主なデータ障害には、ヒューマンエラーによるデータの上書き・削除や、マルウェア感染によるデータの改ざんや消去を挙げられます。

悪意のある社員が故意にデータを破壊するケースもありますが、単純な操作ミスや業務理解の不足により、重要なファイルを削除してしまうケースも珍しくありません。またサイバー攻撃を受けるリスクは大企業だけでなく中小企業でも増大しており、バックアップの取り組みは必須です。

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ランサムウェアの感染対策

マルウェアの中で特に警戒したいのがランサムウェアです。ランサムウェアがパソコンに感染すると、ファイルを強制的に暗号化したりデスクトップ画面をロックしたりし、復号やロック解除のために身代金(Ransom)を要求します。

身代金を支払わなければ窃取した機密情報・個人情報を暴露すると脅す「二重恐喝型ランサムウェア」の被害も増えている状況です。また要求に応えても復号・ロック解除される保証はありません。

バックアップがなければ泣き寝入になる恐れもあります。ランサムウェアに感染することを想定し、バックアップから確実に復旧できる体制を整えることが必要です。

【関連記事:ランサムウェアの感染経路は?最新の攻撃手法や感染対策をわかりやすく解説

データバックアップの基本ルール

データバックアップには国際的に採用される基本ルールがあります。それが3-2-1ルールや3-2-1-1-0ルールです。以前は3-2-1ルールが標準的なルールと考えられていましたが、昨今は発展型の3-2-1-1-0ルールの重要性が強調されています。

3-2-1ルール

データバックアップのルールとして最も普及しているのは「3-2-1ルール」です。3-2-1ルールは以下のメソッドを守ることを提唱します。

・元データの他に最低2つのコピーを作成する(二重にバックアップを取る)
・2種類の異なるメディアでバックアップを取る
・バックアップのうちひとつは別の場所で保管する

これらのルールを守ることで、記録メディアが障害を受けたり災害などでオフィスに立ち入れなくなったりしても、バックアップから復旧可能な状態を維持します。

3-2-1-1-0ルール

現在のセキュリティ上の脅威に対抗するには3-2-1ルールでは不十分という考えから、「3-2-1-1-0ルール」が提唱されています。これは3-2-1ルールに以下のメソッドを追加したものです。

・ひとつは不変性バックアップとして、またはオフラインに保管する
・バックアップからエラーなく復旧できる

つまりサイバー攻撃を受けることを前提とし、バックアップが標的になっても改変・破壊されないことや、被攻撃後に確実に復旧できることを重視する考え方です。

バックアップデータを保存するメディア

データバックアップに利用する主な記録メディアは以下の通りです。

・HDD
・フラッシュメモリ
・光学ディスク
・クラウドストレージ

紙媒体による保存・バックアップはリスクや無駄が大きいため、ペーパーレス化を進め、適切な方法でバックアップを取りましょう。

HDD

データバックアップに利用されやすい記録メディアのひとつはHDD(ハードディスクドライブ)です。パソコンのストレージとして搭載されていることも多く、Windows PCやiPhoneの定期バックアップなどによく利用されます。外付けHDDやNASを利用し、パソコンと分離してバックアップする方法も一般的です。

一方でHDDは機械的な駆動部分が多いため、振動・衝撃に弱く壊れやすいことに注意を要します。一般的なHDDの寿命は3年~5年程度であり、長期間のバックアップにも向きません。

【関連記事:NASのバックアップは必須!ルールや方法、クラウド活用の魅力を解説

フラッシュメモリ

SSD(ソリッドステートドライブ)やUSBメモリなどのフラッシュメモリもバックアップによく利用されます。半導体素子に電気的にアクセスするため読み書き速度が速く、HDDのような機械的な駆動部分を持ちません。

スマホのストレージにも採用されるように、振動・衝撃に強いのも利点です。一方で書き換え回数に限度があり、寿命は5年~10年程度であることが懸念点です。

光学ディスク

DVDやブルーレイディスクなどの光学ディスクもバックアップによく利用されます。ネットワークから切り離して保存でき、また保存スペースを抑えられるのも利点です。

寿命は10年~30年程度のものもありますが、海外製のものは寿命0年という場合もあり、品質の差が大きい点はデメリットと言えます。

この欠点を克服した光学ディスクが、DVDやブルーレイディスクの耐久性を高めた「M-DISC」です。寿命は100年~1000年で、半永久的にバックアップを保存できます。

クラウドストレージ

ファイル共有やバックアップを目的として、近年急速に利用率が高まっているのがクラウドストレージです。ユーザーは専用アプリやWebブラウザを通じ、インターネット経由でストレージサーバにアクセスします。サービス事業者がサーバを保守管理するため、自社でサーバ資産やセキュリティ体制を保持する必要はありません。

複数サーバを用いた多層的なバックアップや分散管理に対応し、ユーザーの情報資産を強力に保護します。ウイルスチェックや暗号化など各種セキュリティ対策にも余念がなく、コンテンツ管理に最適です。

また、セキュリティ標準に準拠した安全なクラウドサービスを利用することもポイントです。オンプレミスベースの業務システムを利用し、同一LAN内でバックアップを保管すると、ランサムウェアが感染拡大して全滅する恐れもあります。

そこで、業務システムを安全なクラウドに移行し、重要なデータを保護しつつ業務遂行するという発想が大切です。LANと分離したM-DISCなどによるバックアップも併用すれば、オフラインで永続的にコピーを保護し、万が一の際も復旧できます。

データバックアップの方法は「フル」「差分」「増分」

データバックアップは完全なコピーを取る「フルバックアップ」の他に、「差分バックアップ」や「増分バックアップ」を活用することもあります。毎回フルバックアップを取ることもできますが、高頻度なバックアップスケジュールを組む場合、フルバックアップと差分バックアップまたは増分バックアップを組み合わせるのが一般的です。

フルバックアップ(完全バックアップ)

フルバックアップ(完全バックアップ)は、対象となるフォルダ内のデータを全てコピーする、最も基本的なバックアップ方法です。例えば毎日1回のフルバックアップをスケジュールする場合、データに変更があってもなくても、指定フォルダ内の全てのファイルをコピーします。

バックアップしたデータは1か所にまとまるため、容易にリストアできるのは利点です。ただし、前回とデータの大部分が重複していても毎回全てのデータのコピーを作成することで、ストレージ容量の圧迫や処理時間の長さを招きます。

特にバックアップのバージョン管理(世代管理)を行う場合、各バージョンのフルバックアップデータを保存するため、大容量のストレージが必要です。バックアップ中に他のタスクに影響を与えやすいことも懸念されます。

差分バックアップ

差分バックアップは、前回のフルバックアップから変更のあった全てのデータ、つまり差分データのみをコピーするバックアップ方法です。例えば、時間のかかるフルバックアップは日曜に行い、月曜から土曜までは日曜時点と比較して追加・上書き・削除されたデータのみをバックアップします。

毎回フルバックアップするよりも必要な保存容量や計算時間を抑えられるのが利点です。ある時点の差分バックアップデータと、その直前のフルバックアップデータがあれば、容易にリストアできます。

ただし、変更点の全てをバックアップするため、回を重ねるごとにデータ量や計算時間が増していくのは注意点です。

増分バックアップ

増分バックアップは、前回のバックアップから変更されたデータ、つまり増分データのみをコピーするバックアップ方法です。例えば日曜にフルバックアップを行い、月曜から土曜は、前回(前日)と比較して追加・上書き・削除されたデータのみをバックアップします。

毎日の変更分を個別にコピー・保存するため、必要な保存容量や計算時間を差分バックアップより抑えられるのが特徴です。

ただしデータを復元するには直近のフルバックアップデータと、以降全ての増分バックアップデータをつなぎ合わせる必要があり、リストアの処理に時間がかかります。

クラウドストレージを活用したデータバックアップの例

クラウドストレージを保存先とするバックアップ、つまりクラウドバックアップには、複数の方法があります。ファイルやフォルダを直接コピーまたは同期するだけでもバックアップを取れますが、OSのバックアップ機能の保存先に指定することや、ファイル単位の自動バージョン管理機能を活用することも可能です。

ここでは、専門知識不要でクラウドバックアップができる方法を解説します。

ファイルやフォルダを直接コピーまたは同期

クラウドバックアップのシンプルな方法は、失いたくないファイルやフォルダをクラウドストレージに直接アップロードすることです。これだけで遠隔地のストレージにファイルのコピーを保存でき、コピーはサービスが提供するログイン認証やAES暗号化などのセキュリティ機能により保護されます。ファイルやフォルダの圧縮により保存容量を節約することも可能です。

またPCやスマホとクラウドストレージのデータを同期することもできます。例えばBoxなら、PCに「Box Drive」をインストールすると、PC・Boxどちらでファイルを変更しても最新の状態に自動同期することが可能です。

【関連記事:Boxの使い方をどこよりも詳しく! Boxの基本機能や拡張機能を解説

OSのバックアップ機能の保存先に指定

OSのバックアップ機能や専用のバックアップソフトを使い、バックアップデータの保存先としてクラウドストレージを指定することもできます。ソフトによって使用方法は異なりますが、コピーしたいファイル・フォルダやアプリ内データなどを指定し、即時のバックアップ実行または定期バックアップのスケジュール設定が可能です。

例えばiPhoneなら、iOS標準のバックアップ機能により、iCloudを保存先としたクラウドバックアップができます。Android端末やPCの場合、OS標準のバックアップ機能で保存先のストレージにBoxやGoogle Driveなどを指定することも可能です。

ただしシステムドライブを丸ごとコピーする場合などにはバックアップデータが数十GBを超える場合も多いため、保存先クラウドストレージに十分な容量が求められます。

ファイル単位の自動バージョン管理

クラウドストレージによってはファイル単位のバージョン管理(世代管理)に対応しています。クラウドストレージ内のファイルに変更を加えると自動的にバージョン履歴が更新され、ファイルから直接過去バージョンの確認や復元が可能です。

クラウドベンダーは保存データを複数のデータセンターで分散管理するなどの保護策を講じていますが、万が一データ損失が発生しても、バージョン履歴から容易に復元できます。バージョン管理機能対応なら、ファイル単位のバックアップの手間を省ける上、「バックアップデータを直接操作できない」という悩みがなくなるのも利点です。

ただし何世代までのバージョンを管理できるかはサービスやライセンスによって異なるため、サービス選定時には世代数を確認しましょう。

容量無制限のクラウドストレージ「Box」で安全なデータバックアップ

クラウドストレージはデータバックアップに活用しやすい一方、容量制限は悩ましい点です。重要なデータを確実に保護するためには、充実したセキュリティ機能やバージョン管理機能も求められます。

容量無制限かつ高セキュアな「Box」は、クラウドバックアップに最適です。全ての法人向け有料プランは容量無制限のため、容量不足による追加コストは発生しません。通信・保存データの強力な暗号化や50世代以上のバージョン管理によりデータを保護し、二要素認証や7段階のアクセス権限設定などにより人的要因によるデータ紛失も防止します。

さらにBox上で安全なオンライン共同編集も可能です。Box Driveを組み合わせればPCにファイルを保存する必要がなくなるため、Boxをメインのストレージにすることも考えられます。

まとめ

データバックアップは失いたくないデータの確実な保護や利便性のために、クラウドストレージを保存先とすることが一般化しています。継続的にバックアップを行うと大容量のストレージが必要となるため、容量無制限のサービスを選択しましょう。

イッツコムは容量無制限の「Box」を日本語サポート込みで提供しており、導入時のデータ移行や運用中のカスタマーサクセスにも対応できます。安心のクラウドバックアップをお求めなら、きめ細やかなサポートができるイッツコムにご相談ください。