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店舗・飲食店用のWi-Fiは何がおすすめ?選び方と導入方法も紹介

店舗・飲食店がフリーWi-Fiを導入することで、滞在時間の延長やリピート率の向上、SNSを通じた口コミの拡散など、さまざまなメリットが期待できます。さらに、業務用の端末やPOSレジのネット接続といった、店舗運営の面でも役立ちます。

とはいえ、Wi-Fi環境を構築するにあたり、どのようなサービスや機器を選べばよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、店舗・飲食店におすすめのWi-Fiサービスをはじめ、導入時に押さえておきたい選び方や、失敗しない導入方法について分かりやすく解説します。

店舗・飲食店でWi-Fiを利用する人は多い?

総務省の公表によると、公衆無線LANを利用している人の割合は46.6%にのぼり、約2人に1人が活用していることが分かります。利用頻度も高く、毎日利用する人が12.6%、週に数回が19.2%、月に数回が38.3%と、日常的に使われているサービスといえるでしょう。

さらに、利用されている公衆無線LANの大半(78.4%)は、店舗や自治体が提供する無料サービスです。つまり、無料でWi-Fiを提供している店舗は、顧客にとって大きな魅力の1つとなっています。特に飲食店やカフェでは、「Wi-Fiがあるから選ぶ」といった来店動機にもつながりやすく、導入することで競合との差別化や集客強化が期待できます。

(参考:『令和6年度 無線LAN利用者実態調査』)

【関連記事:Wi-Fiとは?利用シーンや関連知識を初心者にも分かりやすく解説

店舗・飲食店がWi-Fiを導入するメリット

店舗・飲食店にとって、フリーWi-Fiの提供は重要な来客向けサービスの1つです。インバウンド対応という意味でも売上に影響するでしょう。またWi-Fiは業務用端末のネットワーク構築にも活用できるため、店舗運営の効率化につながります。

顧客満足度の向上

Wi-Fiを自由に利用できる環境は、顧客に安心感と利便性を与えます。特にカフェや飲食店では、仕事や勉強をしたい人にとって「長時間滞在しやすい場所」となりやすく、滞在時間の延長によって追加注文やリピーターの増加が期待できます。

また、Wi-Fi環境が整っていることで、ビジネスパーソンや学生だけでなく、観光客や訪日外国人など幅広い客層の取り込みが可能になる点も大きな魅力です。結果として、顧客満足度を高めながら新規顧客の開拓にもつながります。

口コミによる集客効果

フリーWi-Fiがあれば、顧客はスマートフォンから気軽にSNSを利用できます。料理の写真や店舗の雰囲気をリアルタイムで投稿してもらえる機会が増え、自然と口コミが広がっていきます。特にInstagramやXなどで拡散されることで、広告費をかけずに集客効果が得られる点は大きなメリットです。

さらに、日本を訪れる外国人観光客にとって「Wi-Fiがある店舗」は来店先を選ぶ基準の1つであり、国際的な集客力の向上にも直結します。

店舗運営の効率化につながる

POSレジや監視カメラ、デジタルサイネージなど各種電子機器を活用する店舗も多いでしょう。これらの機器をLANケーブルで有線接続すると配線が混乱しやすく、店内の美観を損ないます。

Wi-Fiを導入すれば、自由なレイアウトですっきりと各種機器を運用できる上、ケーブルに足を引っ掛けるなどのトラブルも防止可能です。

さらにタブレット注文システムやバックヤードのPC端末などもWi-Fi接続でき、従業員用のネットワークを改善して店舗運営を効率化できます。AI翻訳エンジンを搭載したハンディ端末をWi-Fi接続し、訪日外国人向けの接客力向上につなげることも可能です。

【関連記事:店舗にWi-Fi導入するメリットは?導入時のポイントや事例も紹介

店舗・飲食店にWi-Fiを導入する際の注意点

Wi-Fiを導入する際にまず考慮したいのは、導入や運用にかかるコストです。Wi-Fiの設置に光回線の開通工事が必要な場合は、工事費用が発生します。月額料金は、法人契約であれば光回線とWi-Fiルーターを含めて4,000円〜3万円程度が相場です。さらに、機器の故障や通信トラブルが起きた場合には、修理費用や交換費用がかかる可能性もあります。

この他にも、店舗の回転率やセキュリティリスクといった注意点があります。ここでは、それらの課題について詳しく見ていきましょう。

店舗の回転率が落ちる可能性がある

Wi-Fiを導入すると、顧客の滞在時間が延びやすくなります。滞在時間の増加は、追加注文やリピーターの増加といった客単価の向上につながる一方で、店舗の回転率が下がるリスクもあるため注意が必要です。特にランチタイムや混雑時に長時間居座る顧客が増えると、他のお客さまが入店できず、機会損失が発生しかねません。

カフェや長時間利用を前提とした店舗ではプラスに働きますが、回転率を重視する飲食店では慎重に導入を検討したほうがよいでしょう。対策としては、「混雑時の利用制限や時間制ルールを設ける」「電源席を限定する」といった工夫が有効です。Wi-Fi導入は顧客サービスの一環であると同時に、自店舗の収益モデルに適しているかどうかを見極めることが重要です。

セキュリティリスクがある

フリーWi-Fiには、利便性の裏側にセキュリティリスクが潜んでいます。例えば、利用者の端末内の情報が第三者に覗き見られたり、暗号化されていない通信が盗聴されたりする危険性があります。また、店舗が提供するWi-Fiが不正利用され、業務用の端末やPOSレジなどへの不正アクセスにつながるリスクも否定できません。

こうしたリスクを回避するには、「店舗用と顧客用でネットワークを分ける」「強固な暗号化方式(WPA3など)を採用する」「定期的にパスワードを更新する」といった対策が不可欠です。さらに、利用者に向けて注意喚起を行い、安全な利用を促すことも重要です。

通信品質が良いとは限らない

Wi-Fiを導入しても、必ずしも店内のどこでも快適に使えるとは限りません。壁や家具などの障害物によって電波が届きにくくなるケースや、利用者が集中する時間帯に通信速度が低下することもあります。通信品質が悪ければ顧客の満足度はかえって下がり、「つながりにくいWi-Fiなら意味がない」とマイナスな評価を受ける可能性もあるでしょう。

そのため、ルーターの設置場所を工夫する、または中継機を活用して店内全体をカバーすることが大切です。さらに、同時接続数に対応できる機器を選び、帯域を十分に確保できる回線を選定することも欠かせません。導入前には、想定される利用人数や回線への負荷を考慮し、適切なWi-Fi機器を検討するとよいでしょう。

店舗・飲食店のWi-Fi導入方法

インターネット回線未導入の店舗がフリーWi-Fiを提供する場合、光回線やモバイル回線の契約が必要です。光回線を導入するとWi-Fiルーター(ホームゲートウェイ)経由でインターネット接続ができるようになります。光回線を導入できない場合、ホームルーターやモバイルWi-Fiルーターを店舗に据え置きすることも可能です。

1.光回線+Wi-Fiルーター

インターネット回線未導入店舗がまず検討したいのは、「光回線+Wi-Fiルーター」という構成です。インターネット通信速度は一般的な光回線でも下り最大1Gbpsで、2Gbps以上の高速回線も選択できます。

モバイル回線は長距離を電波で無線通信するため、通信速度が不安定になりがちです。その点、光回線は電波干渉をほとんど受けない光ファイバーケーブルでデータ通信し、安定した高速通信ができます。

月額料金は定額制で、通信制限もかかりません。法人向けサービスの選択肢も豊富です。Wi-Fiルーター(ホームゲートウェイ)はプロバイダからレンタルを受けられる他、サービスによっては市販品に買い替えもできます。

2.ホームルーター

光回線を導入できない店舗の場合、ホームルーターの月額契約が有力な選択肢です。電源コードを挿すだけでWi-Fi環境を導入できるため、LAN配線が難しいバックヤードやイベント時の一時的な出店などにも対応できます。将来的に光回線を契約しても、バックアップ回線として継続利用できるのもポイントです。

ただし個人向けサービスが多く、法人向けサービスは限られます。電波によるアクセス回線のため公表値より実効速度は遅くなりやすく、大容量のデータ通信をすると通信制限がかかるケースもあることは懸念点です。

3.モバイルWi-Fiルーター

小規模な運用なら、月額料金が安価なモバイルWi-Fiルーターを店内に据え置きすることも考えられます。

充電ケーブルを挿したままにすれば店舗利用もできますが、持ち運びが前提の機器です。小さな筐体に必要最低限の機能を詰め込んでいるため、電波強度・同時接続台数やセキュリティ機能などはホームルーターに劣ります。

法人向けサービスもありますが、1日当たりや月間の容量制限が厳しく、常時接続に向かないサービスが多いことも懸念点です。来客が多いと通信速度の低下により利便性を損ないやすいため、あくまで簡易的なWi-Fi設備として考えましょう。

店舗・飲食店の規模によってはWi-Fiアクセスポイントも検討

店舗・飲食店の規模によっては、一般的な家庭用Wi-Fiルーターだけでは十分にカバーできない場合があります。特に座席数が多い店舗やフロアが複数に分かれている場合、電波が届きにくいエリアが発生しやすく、顧客が快適に利用できない可能性が出てきます。こうした状況を避けるには、Wi-Fiアクセスポイント(AP)の導入を検討してみてください。

ここでは、Wi-Fiアクセスポイント(AP)とは何か、その導入方法について解説します。

Wi-Fiアクセスポイント(AP)とは

Wi-Fiアクセスポイント(AP)とは、無線LANの電波を発信し、スマートフォンやPCをネットワークにつなげるための中継装置のことです。一般的なルーターにもWi-Fi機能は備わっていますが、広い店舗や利用者数が多い環境では電波が届きにくくなり、通信速度が不安定になることがあります。

そのような場合には、複数のAPを設置することで、店内のどこでも安定したWi-Fi環境を構築できます。特に飲食店やカフェでは、「どの席でもつながる」環境が顧客満足度を左右するため、アクセスポイントの設置は有効な手段といえるでしょう。

Wi-Fiアクセスポイントは購入orレンタルどっちがよい?

Wi-Fiアクセスポイントの導入方法には、購入とレンタルの2つの選択肢があります。購入の場合、一度の出費は大きいものの、長期的に利用すればコストを抑えられる点がメリットです。ただし、設定やメンテナンスを自分で行う必要があり、トラブル時の対応も基本的に自己責任となります。

一方、レンタルであれば、事前のヒアリングに基づいて要件に合った設定済みのAPが届くため、導入時の手間を省けます。壁面や天井への設置工事をセットで依頼できるケースも多く、複数台のAPをスムーズに増設できるのも特長です。

また、月々数千円の費用で利用できるうえ、電話サポートや出張修理といったサービスも含まれるため、専門知識がない店舗でも安心して導入できます。初期投資を抑えながら安定したWi-Fi環境を整えたい場合には、レンタルが有力な選択肢となるでしょう。

店舗・飲食店に適したWi-Fiの選び方

店舗にWi-Fiを導入する際、業務用Wi-Fi機器を選ぶことが大切です。安価な市販品・サービスは個人や家庭での利用を想定したものが多く、性能・機能面で不十分な場合があります。Wi-Fi区間の通信速度や同時接続台数、セキュリティ機能やゲストWi-Fi対応の有無も注意したいポイントです。

業務用Wi-Fi機器を選ぶ

Wi-Fi機器は業務用と家庭用の2種類に大別されます。個人向けインターネット回線で貸与されるWi-Fi機器は、基本的に家庭用機種です。店舗ではなく自宅などにおける小規模運用を想定した機種であるため、機能が限定的で、店舗導入には懸念が残ります。

業務用Wi-Fi機器は最大通信速度・同時接続台数などが全体的に高性能です。家庭用機種よりセキュリティ機能も充実しています。費用は家庭用Wi-Fi機器より高額になりますが、顧客満足度や売上向上のためには業務用Wi-Fi機器を選ぶことが大切です。

Wi-Fi区間の通信速度で選ぶ

最大通信速度が十分な機種を選ぶことも大切です。Wi-Fi機器は対応Wi-Fi規格によって最大通信速度に大きな差があります。例えば「Wi-Fi6」対応機種はWi-Fi区間の最大通信速度が2.4Gbps、1世代前の「Wi-Fi5」対応機種は区間最大1.3Gbpsや867Mbpsなどです。

またWi-Fi5は多台数接続時に通信の順番待ちが発生しますが、新しいデバイスの多くが対応するWi-Fi6はこの問題を解決しており、来客が多い店舗でも快適なWi-Fi通信を提供できます。

同時接続台数で選ぶ

最大同時接続台数も重視したいポイントです。家庭用Wi-Fi機器は最大同時接続台数が10台前後という機種も多い一方、業務用Wi-Fi機器は50台以上や100台以上の同時接続に対応できるものもあります。

座席数が10席未満でも、来客は1人で複数台のデバイスをWi-Fi接続しようとする場合もあるでしょう。また監視カメラやPOSレジなどもWi-Fi接続する場合、それらの台数分を差し引いてWi-Fi機器の同時接続台数を検討することが必要です。

Wi-Fi通信をする機器が密集したり、親機・子機間にコンクリートの壁を挟んだりすると、電波の混信や減衰により通信速度が不安定になる場合もあります。子機の台数をエリアごとに想定し、導入する親機の性能や配置・台数を検討しましょう。

セキュリティ機能で選ぶ

「フリーWi-Fiは危険」という認識で利用を敬遠される恐れもあります。Wi-Fi導入により店舗の売上アップにつなげるには、セキュリティ機能も重視したいポイントです。

基本的なセキュリティ機能として、Wi-Fi通信の認証規格には「WPA3」「WPA2」「WPA」があり、暗号化の仕組みを組み合わせてセキュリティを担保します。

最も安全な暗号化方式はAESです。WPA3はAESとの組み合わせが標準で、WPA2はAESより安全性の低いTKIPと組み合わせる場合もあります。Wi-Fi6はWPA3に標準対応するため、Wi-Fi6対応のWi-Fi機器を導入するのがおすすめです。

ゲストWi-Fi対応機種を選ぶ

一般的な家庭用Wi-Fi機器はゲストWi-Fi非対応のため、来客と従業員が同じSSIDでWi-Fi接続します。SSIDを共有すると、来客はWi-Fiネットワークを経由して業務用デバイスにアクセスできてしまうことが懸念点です。

業務用Wi-Fi機器はSSIDでWi-Fiネットワークを分離できる機種が多く、来客にはインターネット接続だけを提供できます。安全なフリーWi-Fiを提供するには、ゲストWi-Fi機能が必須です。

【関連記事:飲食店にWi-Fiサービス導入!メリットや選定ポイントを徹底解説

店舗・飲食店におすすめのWi-Fi3選!

Wi-Fiサービスを選ぶ際には、料金の安さだけでなく、サポート体制や導入の手間、セキュリティ機能、同時接続の安定性などを総合的に考慮することが大切です。しかし、さまざまなWi-Fiサービスがある中で、どれを選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。

ここでは、店舗・飲食店で導入しやすいWi-Fiサービスを3つピックアップして紹介します。

かんたんWi-Fi

イッツコムが提供する「かんたんWi-Fi」は、店舗や小規模オフィスに適したサービスです。高性能アクセスポイント(AP)を初期費用0円・月額2,000円から増設でき、設定済みの機器が届いたらLANケーブルと電源を差すだけですぐに利用できます。

設置の手間がかからず、年中無休の電話サポートが標準で付帯しているため、専門知識がない店舗でも安心して運用できる点が特長です。また、SSIDや端末ごとに帯域制限が可能で、来客用ゲストWi-Fiと業務用Wi-Fiを分けて利用できるのも魅力です。

通信性能も高く、「ハイエンド6」プランではWi-Fi6に対応し、最大通信速度2.4Gbps、同時接続台数は1APあたり100台まで対応できます。さらに、イッツコムの法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」と併用すれば、下り最大2Gbpsの安定した高速通信を実現可能です。

ギガらくWi-Fi

「ギガらくWi-Fi」は、NTT東日本が提供するWi-Fiサービスです。アクセスポイントの設置から運用までプロによるサポートが受けられるため、導入の負担が少ない点が特徴です。希望した接続IDやパスワードがあらかじめWi-Fi端末に設定されて届くため、受け取ったら電源コードを挿し、ルーターとLANケーブルを接続するだけで利用を開始できます。

Wi-Fi6に対応しており、大容量通信や高速接続が求められる業務環境でも安心して活用できます。また、万が一のトラブルにも対応できる手厚いサポート体制が整っているのは、大手ならではの強みといえるでしょう。

カシモWiMAX

「カシモWiMAX」は工事不要で導入できるWi-Fiサービスです。光回線の引き込みが難しい環境や、短期間だけ利用したいケースにも適しています。端末が届き次第すぐに使える手軽さに加え、5Gを含む複数の回線に接続可能で、Web会議や動画視聴といった通信量の多い作業も快適に行えます。

また、「ギガ放題」プランにより、月間のデータ容量を気にせず利用できる点も魅力です。料金は初月1,280円、2か月目以降も4,380円と、コスト管理のしやすさも大きなメリットです。

まとめ

店舗にWi-Fiを導入すると売上アップや店舗運営の効率化につながります。インターネット回線未導入の場合は安定性の高い光回線を導入し、ゲストWi-Fi対応のAPを増設してWi-Fi環境を整えましょう。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」なら高性能APを簡単に増設できます。「カスタムWi-Fi」によるワンストップサポートや「イッツコム光接続サービス」のセット導入も可能です。店舗のWi-Fi運用をお求めの際は、さまざまなニーズに柔軟に対応できるイッツコムにご相談ください。