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カスハラポスターの選び方・掲示ガイド|公式素材を無料ダウンロード

カスハラ防止のためにポスターを掲示したい場合は、まず厚生労働省、自治体、医師会、薬剤師会、業界団体などが公開している公式資料を確認するのが安全です。出典が明確なポスターであれば、院内、店頭、受付、窓口、バックヤードなどでも使いやすく、掲示文言の根拠も説明しやすくなります。

ただし、カスハラポスターは貼れば終わりではありません。来訪者に向けた注意喚起、従業員への社内周知、相談体制や対応マニュアルの整備を分けて考えることが重要です。

この記事では、無料でダウンロードできる公式ポスターの入手先から、業種別の選び方、掲示場所、印刷サイズ、文言の注意点まで実務目線で解説します。

カスハラポスターを無料ダウンロードできる公式配布先

カスハラポスターを探すときは、まず公式性の高い配布元から確認しましょう。特に厚生労働省、東京都などの自治体、日本医師会、日本薬剤師会、業界団体が公開している資料は、掲示目的や対象者が明確で、社内説明にも使いやすい資料です。

厚生労働省のカスハラ対策ポスター

厚生労働省のページでは、カスタマーハラスメント対策啓発ポスターを公開しています。デザイン1からデザイン5までの複数パターンに加え、任意のイラストを追加できるポスターも用意されています。業種に合わせて調整しやすいポスターを探している場合は、最初に確認したい配布元です。

厚生労働省の追加作成ポスターは、公式ページからダウンロードして利用できます。活用にあたって事前申請などは不要と案内されていますが、院内掲示、店舗掲示、社内掲示に使う前に、最新の掲載ページでダウンロードデータと利用条件を確認しておきましょう。

(参考:厚生労働省『職場におけるハラスメントの防止のために』)
(参考: 厚生労働省『カスタマーハラスメント対策ポスターを追加作成しました!』)

東京都など自治体のカスハラ防止ポスター

東京都の『TOKYOノーカスハラ支援ナビ』では、カスタマーハラスメント防止に向けたポスターを公開しています。顧客等向けと従業員向けが分かれており、店頭や事業所内での掲示を想定した資料になっています。
顧客等向けポスターは、来店者や利用者に協力を呼びかける目的で使います。一方、従業員向けポスターは、社内でカスハラ防止の意識を共有するために使います。受付、待合室、レジ、窓口に貼るものと、休憩室やバックヤードに貼るものを分けて選びましょう。

(参考:TOKYOノーカスハラ支援ナビ『広報物ダウンロード』)

医師会・薬剤師会・業界団体のカスハラ関連資料

医療機関で使う場合は、日本医師会のポスターも確認対象になります。日本医師会は、医療機関で患者や家族からの著しい迷惑行為が問題となるケースが増えていることを踏まえ、待合室などに掲示するカスハラ注意喚起ポスターを2種類作成しています。

(参考:日本医師会『日本医師会の意見広告・ポスター』)

薬局では、日本薬剤師会のカスタマーハラスメント防止啓発ポスターが参考になります。日本薬剤師会は、薬局での対人業務におけるカスハラを踏まえてポスターを作成し、公式ページでポスターデータをダウンロードできると案内しています。

(参考:日本薬剤師会『カスタマーハラスメント防止啓発ポスターを作成しました』)

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業種別に合うカスハラポスターの選び方

カスハラポスターは、どの業種にも使える汎用素材だけでなく、現場の特性に合わせた選び方があります。医療・介護、小売・飲食、運輸・交通では、来訪者の状況もトラブルが起きやすい場面も異なります。

業種別の公式素材を把握した上で、自院・自店舗の実態に即したポスターを選ぶポイントを紹介します。

医療機関・薬局・介護施設向け

医療機関や介護施設では、患者、家族、利用者との信頼関係を壊さない表現が重要です。「迷惑行為は許しません」と強く言い切るよりも、「安心して医療やケアを提供するためにご協力ください」という伝え方のほうが、待合室や受付に掲示しやすくなります。

病院やクリニックでは、医療機関の待合室での活用を想定して作られたポスターを優先して選びます。禁止表現より「安心して医療を受けていただくためのお願い」として伝わる構成のものが掲示しやすくなります。

薬局では、処方箋受付、服薬指導、待ち時間、在宅対応など、薬局特有の対人業務の場面に合う文言かどうかを確認しましょう。

小売・飲食・サービス業向け

小売店や飲食店では、レジ、返品交換、予約、席案内、長時間の苦情対応など、接客の最前線でカスハラが発生しやすくなります。顧客向けポスターは、短く、目に入りやすく、協力依頼として伝わるものを選びます。
厚生労働省の『あかるい職場応援団』では、業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援として、スーパーマーケット業界向けの周知啓発ポスターや宅配業向けのポスター、ステッカー、マニュアルを公開しています。小売や宅配に近い業態では、業種別資料も確認するとよいでしょう。

(参考:あかるい職場応援団『業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援』)

運輸・鉄道・公共交通向け

運輸や鉄道では、駅、車内、配送先、荷受け場所など、不特定多数の利用者と接する場所での掲示が想定されます。遠くからでも視認しやすいデザインや、短時間で意味が伝わる端的なメッセージが向いています。

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掲示場所別の貼り方と使い分け

ポスターの効果は、内容だけでなく貼る場所でも変わります。来訪者に見せるポスターと、従業員に周知するポスターは役割が違います。入口、受付、待合室、レジ、窓口、バックヤードで使い分けましょう。

入口・受付・エントランスに掲示する

入口やエントランスは、来店、来院、来庁の前後に自然に目に入る場所です。ここでは長文の説明よりも、カスハラ防止への協力を短く伝えるポスターが向いています。
受付では、問い合わせや手続きが始まる前に方針を伝えられます。暴言、威圧的言動、長時間の拘束などがある場合は対応を中止する可能性があることを、穏やかな表現で掲示するとよいでしょう。

待合室・レジ・窓口に掲示する

待合室は、利用者が一定時間滞在する場所です。短いキャッチコピーだけでなく、カスハラにあたる可能性がある行為を数点示したポスターも読みやすくなります。医療機関では、患者や家族の不安を強めないよう、協力依頼の形で伝えることが大切です。

レジや窓口では、会計、返品、手続き、問い合わせなど、具体的なやり取りが発生します。警告色を強めるよりも、正当な意見や要望まで拒否しているという印象を与えない文言と掲示場所を選ぶことが重要です。

バックヤード・休憩室に掲示する

バックヤードや休憩室には、従業員向けのポスターを掲示します。来訪者に見せる啓発ポスターではなく、従業員が相談窓口、報告先、初動対応の確認先を把握できる資料が適しています。
掲示場所は、休憩室、更衣室、スタッフ通路、従業員用掲示板など、業務前後に自然に目に入る場所を選びます。来訪者向けと従業員向けでポスターを分けることで、外部への注意喚起と内部の安心感を両立しやすくなります。
【関連記事:デジタルサイネージの導入事例10選!活用方法や運用のポイント】

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印刷サイズとカスタマイズの実務

公式ポスターを使う場合も、印刷サイズや追記内容を現場に合わせる必要があります。A4、A3、A1のどれで印刷するか、施設名や相談窓口を追記するか、加工してよいかを事前に確認しましょう。

A4・A3・A1の使い分け

サイズ選びは、「誰に・どの距離で読んでもらうか」で決まります。

A4は休憩室や掲示板、スタッフルームなど、手が届く距離で読む場所に適しています。文字が細かくても目を近づけられるため、窓口番号や相談先の記載にも向いています。

A3は受付、待合室、レジ横、窓口周辺など、来訪者の視線が自然に集まる場所での掲示に使いやすいサイズです。A4より視認性を確保しやすいため、顧客向けカスハラポスターでも使いやすい選択肢です。

A1は交通・物流・大型施設など、離れた場所から一瞬で内容を把握させたい掲示に向いており、全日本トラック協会もA1判ポスターを用意しています。サイズが大きい分、文言は短く端的にまとめることが重要です。

(参考:全日本トラック協会『カスタマーハラスメント対応啓発動画・ポスター』)

施設名・相談窓口を追記する

従業員向けポスターには、相談できる部署名、電話番号、メールアドレス、社内フォームなどを追記すると実用性が高まります。カスハラを受けた従業員が、その場で次の行動を確認できることが重要です。

顧客向けポスターに施設名を入れる場合は、ロゴの大きさよりも「この店舗・施設の方針である」と分かる表記を優先します。病院であれば「当院では」、店舗であれば「当店では」といった書き出しにすると、掲示内容が自分ごととして伝わりやすくなります。

公式素材を使う前に利用条件を確認する

無料で公開されているポスターでも、加工可否、出典表記、営利利用、二次配布の条件は配布元ごとに異なります。例えば、厚生労働省の『あかるい職場応援団』では、資料の利用について出典を明記すること、営利目的での使用は控えることが案内されています。

(参考:あかるい職場応援団『資料ダウンロード』)

一方で、日本薬剤師会のポスターは、ポスターデータのダウンロードは可能ですが、無断での複製、改変、切除、二次的使用などはできないと案内されています。

(参考:日本薬剤師会『カスタマーハラスメント防止啓発ポスターを作成しました』)

ただし、ある配布元で認められている条件が、他の自治体や団体にそのまま当てはまるとは限りません。自社ロゴや施設名の追記、文言変更、デザイン加工を行う場合は、必ず配布元の利用条件を確認してから進めましょう。

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カスハラポスターの掲示文言で注意すべきこと

カスハラポスターの文言は、強ければよいわけではありません。正当な意見や要望まで拒否しているように見えると、利用者との関係を悪化させる可能性があります。従業員を守る姿勢と、利用者の声を受け止める姿勢を両立させることが大切です。

正当な意見や要望を否定しない

厚生労働省は、顧客などからの苦情の全てがカスハラに該当するわけではなく、客観的に見て社会通念上許容される範囲で行われたものは正当な申入れであり、カスハラには当たらないと説明しています。

そのため、ポスターでは「ご意見は真摯に受け止めます」と「暴言や威圧的な言動には対応できない場合があります」を両方入れるとよいでしょう。苦情や問い合わせ自体を拒否するのではなく、手段や態様が不当なものを防ぐ表現にします。

(参考:あかるい職場応援団『カスタマーハラスメントとは』)

暴言・威圧・長時間拘束などを具体的に示す

「迷惑行為はおやめください」という一文だけでは、何が問題なのかが伝わりにくく、抑止効果も限られます。

カスハラポスターには、具体的な行為を例示することが重要です。業種を問わず共通して多いのは、以下のような行為です。

  • 大声での怒鳴り声や侮辱的な発言(暴言)
  • 威圧的な態度や身体的接近(威圧的言動)
  • 長時間にわたる拘束や繰り返しの電話・来訪
  • 業務の範囲を超えた金品の要求や特別対応の強要

業種によって起きやすい行為は異なるため、医療機関なら診察室でのトラブル、小売なら返品・クレーム対応の場面など、自院・自店舗に関係する行為に絞って記載すると伝わりやすくなります。

また、「犯罪行為に該当する可能性があります」のように断定的な法的判断は避け、「該当する可能性があります」という表現にとどめるのが適切です。

強すぎる表現で逆効果にならないようにする

「即通報します」「一切対応しません」といった表現は、状況によっては利用者を一方的に敵視している印象を与えます。掲示文言では、まず「安心して利用できる環境づくり」「従業員が安全に働ける環境づくり」という目的を示しましょう。

対応中止、録音、警察相談などを書く場合は、実際の運用と一致させます。現場で対応できないことをポスターに書くと、トラブル発生時に説明が難しくなります。掲示前に、責任者、人事、総務、法務などで文言を確認しておきましょう。

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自治体条例とカスハラ対策義務化の最新動向

カスハラポスターの掲示は、社会的にも広がっています。背景には、自治体による条例や啓発活動、国の制度改正があります。

この章では、制度の動きを中心に確認し、具体的な社内対応は後の章で整理します。

2026年10月1日からのカスハラ対策義務化

厚生労働省は、2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策と求職者などに対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されると案内しています。関係通知やリーフレット、指針も公開されています。

カスハラポスターは、義務化に向けた周知・啓発の一手段です。ポスター掲示そのものが制度対応の全てではないため、具体的な社内規定、相談窓口、教育、対応マニュアルについては、後述する社内対策として分けて考えましょう。

(参考: 厚生労働省『令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について』)

東京都など自治体の条例・啓発活動

東京都は、カスタマー・ハラスメント防止条例の施行に合わせ、事業者向けの相談窓口やセミナーなどの支援策を設けています。自治体の支援内容は所在地によって異なるため、東京都以外の事業者は、都道府県や労働局のカスハラ関連ページも確認しましょう。

(参考:東京都『カスタマー・ハラスメント防止条例の施行に合わせた支援策を開始します』)

企業・団体によるポスター掲示事例

企業でもカスハラポスターの掲示が進んでいます。例えば、ファミリーマートは、カスタマーハラスメントに対する方針を策定し、全国約1万6,300店舗とストアスタッフへの教育、報告・相談方法の周知、店内ポスター掲示を行うと発表しています。

(参考:ファミリーマート『「ファミリーマート カスタマーハラスメントに対する方針」を策定 店舗利用に関するお客さま向け啓発ポスターを全店で掲示 ~誰もが安全で働きやすい環境を目指して~』)

鉄道業界でも、鉄道事業者各社局と鉄道協会が共同でカスハラ防止啓発ポスターの掲出に取り組んでいます。駅などでのポスター掲出やデジタルサイネージでのポスター画像放映は、紙とデジタルを組み合わせた啓発事例として参考になります。

(参考:東京都『カスハラの防止啓発に関する鉄道事業者の取組み』)
【関連記事:デジタルサイネージとは?活用例や費用を抑える方法、運用のポイント】

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ポスター掲示だけで終わらせないための社内対策

カスハラポスターは、利用者への注意喚起や従業員への周知に役立ちます。ただし、現場で実際にカスハラが起きたときに、誰が判断し、誰に引き継ぎ、どこへ相談するのかが決まっていなければ、従業員は対応に迷ってしまいます。

社内規定・対応マニュアルを整備する

まず、どのような行為をカスハラとして扱うのかを整理します。対面でのトラブルに加え、SNSでの脅しや無断撮影など、自社・自院・自店舗で起こりやすい場面ごとに判断基準を決めます。

次に、対応の流れを決めます。現場担当者が一人で対応し続けるのではなく、一定の段階で責任者へ引き継ぐ、複数名で対応する、必要に応じて対応を中止するなど、行動基準を明文化します。店舗、受付、電話、メール、SNSなど、接点ごとに対応フローを分けると運用しやすくなります。

相談窓口と従業員教育を用意する

従業員が相談できる窓口を明確にします。人事、総務、管理者、外部相談先など、相談先を1つに絞るのではなく、通常時と緊急時で使い分けられるようにしておくと安心です。

教育では、管理職と現場担当者で内容を分けます。管理職には判断基準や引き継ぎの責任を共有し、現場担当者には初動対応、会話の終え方、記録方法を伝えます。研修では、実際の言い回しをロールプレイで確認すると、ポスター掲示と現場対応がつながりやすくなります。

掲示後の変化を記録して見直す

ポスターを掲示した後は、貼って終わりにせず、現場の変化を確認します。相談件数、トラブル発生件数、対応時間、従業員アンケート、管理者への報告件数などを見て、掲示場所や文言を見直します。

ポスター掲示後に利用者から苦情が出た場合は、文言が強すぎないか、掲示場所が適切か、現場で説明できる内容になっているかを確認します。離職率低下などの大きな効果をポスター単体の成果として断定せず、社内対策全体の改善指標として扱うことが大切です。

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まとめ

カスハラポスターを探すときは、まず厚生労働省、自治体、医師会、薬剤師会、業界団体などの公式資料を確認しましょう。無料でダウンロードできる資料は多くありますが、掲示する前に、対象者、利用条件、加工可否、出典表記を確認することが重要です。

ポスターは、入口、受付、待合室、レジ、窓口では来訪者向けに、バックヤードや休憩室では従業員向けに使い分けます。文言は、正当な意見や要望を否定せず、暴言や威圧的言動などの不当な行為を防ぐ表現にしましょう。

2026年10月1日からは、カスハラ対策が事業主の義務になります。ポスター掲示をきっかけに、社内規定、対応マニュアル、相談窓口、従業員教育まで整えておくことで、現場で働く人を守りながら、利用者にも安心してサービスを受けてもらえる環境づくりにつながります。