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システム監視とは?障害を防ぐための多彩な監視項目や目的を解説

業務において、さまざまなICTシステムを利用している企業も多いでしょう。安定したシステム運用には、適切な監視が欠かせません。システム監視とは、ICTシステムが正常に稼働しているかを見守り、問題が発生した際にいち早く発見する仕組みのことを言います。

この記事では、ビジネスに欠かせないものとなりつつあるICTシステムを正常に稼働させるためのシステム監視について解説します。システム監視の重要性や具体的な業務、システム監視を効率化する方法についても紹介しますので、監視業務について知りたい際はぜひご一読ください。自社のシステムを適切に監視することで安定性を高め、ビジネスが停滞するリスクを軽減できるでしょう。

システム監視は大きく分けて2種類


企業は、さまざまな場面においてICTシステムを活用しています。これらのICTシステムを安定して稼働させるためには、システム監視が欠かせません。システム監視は、具体的な監視対象によって「インフラ監視」と「サービス監視」の2種類に分けられます。いずれも社内システムを構築する重要な要素であるため、適切に監視する必要があります。

まずは、システム監視の「インフラ監視」と「サービス監視」の対象について見ていきましょう。

インフラ監視

インフラ監視とは、ITインフラを監視する業務です。ITインフラはシステム稼働を支える重要なリソースで、主に以下のものを含みます。

・サーバ機器
・ネットワーク機器
・OS
・ミドルウエア
・通信回線

システムを動かすには、サーバなどのハードウェアやそこで動作するOS、ミドルウエアといったソフトウェアが欠かせません。また、アクセスするための通信回線も必要になるでしょう。

このようなものを総称してITインフラと呼び、これらが正常に動作しているかを監視するのが「インフラ監視」です。

サービス監視

サービスとは、システムを提供するためにバックグラウンドで動作しているプログラム類を指します。サービスに含まれる具体的な例は以下の通りです。

・サーバソフトウェア
・DNS
・ロードバランサ
・各種アプリケーション

これらのサービスは、Webサイトを表示したり入力を受け付けたりするなど、システムを稼働させる上で欠かせません。これらに障害が発生するとシステムが停止するリスクがあるため、障害発生を未然に防ぐことが監視の主目的です。

システム監視|インフラ監視項目


インフラ監視では、ハードウェアの稼働状況やネットワークの通信状況などを監視します。これらが正常に動作していないと、システムを安定的に動作させることはできません。

ハードウェアやネットワークの故障は大規模な障害につながるケースもあるため、未然に防ぐには継続的な監視と速やかなトラブル対応が不可欠です。ここでは、インフラ監視に含まれる具体的な業務とそれぞれの内容を詳しく解説します。

Ping監視(死活監視)

Ping監視(死活監視)とは、監視用のコンピュータからPingコマンドを実行し、送信先のデバイスから応答があるかをチェックする方法です。送信先から応答があれば、ネットワーク経由でデバイスにアクセスできることを示しています。

デバイスにアクセスできるかどうか確認するためには、定期的な監視が必要です。そのため、一定間隔で自動的に行うようにプログラムするのが基本です。

なお、Ping監視ではデバイスにアクセスできて利用可能な状態であることを確認できますが、デバイスが正常に稼働しているかのチェックはできません。

リソース監視

リソース監視とは、サーバを構成するハードウェア(CPU・メモリ・ストレージ・ネットワーク転送量など)の動作状況を監視することです。これらのハードウェアの動作状況に異常がないか、高負荷状況が続いていないか、極端にパフォーマンスが低下していないかをチェックします。

リソース監視によってハードウェアが故障する兆候を発見し、適切に交換することで障害を予防可能です。アクセス集中による高負荷が慢性化していることが判明したら、スペックを増強するなどの対策も可能です。

SNMP監視

SNMPはネットワークを監視するためのプロトコルで、ネットワーク機器の動作状況やトラフィック、サーバのパフォーマンスをチェックするために使用します。SNMPは標準規格であるため、多くの機器に利用できるのがメリットです。

コンピュータリソースの使用状況やデータ転送量なども併せて監視でき、リソース監視の手段としても活用できます。ネットワークとサーバの状況をまとめて監視するためのプロトコルと言えるでしょう。

ログ監視

システムを構成するハードウェアやソフトウェアの動作を記録したものログと呼びます。このログをチェックし、システムが正常に動作しているのかをチェックするのがログ監視です。

ログにはどのプログラムがどのように動作したか、いつ、どのアカウントが何のシステムにアクセスしたかなどが記録されます。

トラブルやエラーが発生したときはそのことが記録されるため、定期的にチェックすることで障害を予防できるでしょう。万が一障害の発生した際は、ログを確認することで原因を追究できるので、復旧作業に役立ちます。

パブリッククラウド監視

クラウドサービスの普及により、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureなどのパブリッククラウドを使用している企業も多いでしょう。パブリッククラウドも重要なITインフラのひとつのため、クラウドサービス上にシステムをデプロイしている場合は、クラウドの動作状況をチェックする必要があります。

また、複数のクラウドを併用するマルチクラウドでは、それぞれのサービスの動作状況を確認します。

システム監視|サービス監視項目


サービス監視とは、サーバ上で動作している各種プログラムが正常に動作しているか、ユーザーが問題なく使用できるかを監視するための活動です。

サービス監視には、主に「外形監視」と「プロセス監視」の2種類があります。いずれも重要な監視活動なので、正しく理解しておきましょう。

外形監視

外形監視とは、システムを利用するユーザーと同じ方法でアクセスして正常に動作しているかを確認するものです。Webアプリケーションであればブラウザから実際にアクセスし、レスポンスや表示内容、体感速度などをチェックします。

定期的に外形監視を行うことで、正常に表示されているか、ユーザビリティに優れているか、ストレスを感じずに使えるかなどを確認できます。ユーザー視点でシステムをチェックするのに欠かせない活動と言えるでしょう。

プロセス監視

プロセス監視とは、サーバ上で実行しているひとつひとつのアプリケーションを指します。システムを意図した通りに動かすには、データを管理するデータベースや実際にユーザーがアクセスして操作する部分など、多種多様なプロセスが正常に動作している必要があります。

プロセス監視とは、システムを支えるアプリケーションの動作状況に問題がないかを監視し、何らかのトラブルが発生したときや障害の予兆が出ているときには速やかに解決を試みるための業務です。

システム監視の目的とは


システム監視を行う主な目的は、「障害の予防」と「障害発生時の影響軽減」の2つです。システム障害は一度発生するとビジネスに大きな影響を及ぼします。

従って、システムを監視することで障害の発生を未然に防ぐとともに、万が一障害が発生した際は速やかに復旧しなければなりません。ここでは、システム監視がどのようにそれぞれの目的を果たすのかについて見ていきましょう。

システム障害の発生リスクを軽減できる

ICTシステムは機器の故障やプログラムのバグなどによって予想外の挙動が発生し、障害を引き起こすことがあります。障害はいつ発生するか分からないため、夜間や休日に発生すると対応が遅れがちです。

適切にシステム監視を行えば障害の予兆を発見しやすくなり、予兆が出た時点で対処することでクリティカルな障害に発展することを防げます。

プロセスが頻繁にクラッシュして自動復帰している、サーバが高負荷になってリソース使用率が上限に達しているなど、監視することで分かる障害の予兆は多種多様です。

障害発生時の影響を軽減できる

システム監視ツールには障害発生を検知する機能があり、万が一障害が発生したときの復旧時間を短縮できます。障害の原因になる要素は、ネットワークやハードウェア、ソフトウェアなどさまざまです。システムの状況を監視しておくことで、どこに原因があるのかを追及しやすくなります。

システム障害はさまざまな要素が複合的に絡み合って発生するケースが多いため、それぞれの動作状況を正しく把握しておくことが大切です。普段から適切に監視しておけば、障害の原因が分かるようになり、復旧作業を進めやすくなります。

システム監視を行う際の注意点


システム監視はICTシステムを運用する上で欠かせませんが、当然、手間やコストがかかってきます。システム監視を正しく行うためには、適切な人員・予算を確保して体制を整える必要があります。ここからは、システム監視を行うときの注意点を確認していきましょう。

人員・予算の確保が必要

複雑化するICTシステムを適切に監視するには、専門的なスキルを持った人員を配置しなければなりません。止まることなく稼働しているシステムの場合、24時間体制で監視する必要もあるでしょう。

監視体制を整えるには人員を確保するだけではなく、予算を確保することも大切です。自社が運用しているシステムの規模に応じて人員と予算を確保し、システム監視業務にあたりましょう。

マニュアルの整備が必要

システム監視には、基本的な構成や障害の原因になりやすいポイント、障害発生時の基本的な対処方法などを学ぶ必要があります。これらの情報はブラックボックス化しやすいため、マニュアルの整備が欠かせません。

障害発生の原因にはさまざまなものがあるため、過去の対応履歴から学ぶことも大切です。マニュアルを整備するときには、これまでの対応履歴も何らかの方法でまとめておき、いつでも参照できるようにしましょう。

システム監視の工数削減とクオリティを両立させる方法


システム監視には手間やコストがかかりますが、クオリティを担保しつつ工数を削減したい企業がほとんどではないでしょうか。システム監視の工数を削減する方法として挙げられるのが、監視ツールの導入やアウトソーシングです。

ここでは、監視ツールの導入やアウトソーシングによってどのように監視業務を効率化できるのかを見ていきましょう。自社で人員を調達するのが難しいと感じている際にもおすすめの方法です。

システム監視ツールを使用する

システム監視ツールとは、システムの稼働状況を把握して自動的に障害発生の予兆を検知したり実際の障害発生を通知したりするツールです。具体的には、以下のようなプロセスの一部を自動化できます。

・稼働状況の収集・データ化
・異常動作につながる予兆の検知
・障害発生の検出
・障害発生時の通知

監視ツールによって使い勝手や監視できるシステムの種類が異なるため、自社の状況にマッチしたものを選ぶことが大切です。

システム監視をアウトソースする

システム監視業務を請け負っている企業も存在します。自社で人員を調達したり監視体制を整えたりするのが難しいと感じている場合は、監視業務そのものをアウトソースするのがおすすめです。

アウトソース先の企業によって具体的なサービス内容や料金が異なり、中にはサーバを収容するデータセンター環境を提供しているところもあります。より高い安定性を求める際は利用を検討するとよいでしょう。

イッツコムの「ハウジングサービス」はシステム監視も実施!


ハイクオリティのシステム監視を含め、安定してシステムを運用できる環境をお探しの際は、イッツコムが提供する「ハウジングサービス」のご利用がおすすめです。ここからは、イッツコムのハウジングサービスの特徴や利用するメリットを解説します。

設備が整ったデータセンターでサーバを管理

イッツコムでは、サーバ機器を設置するのに最適なセキュリティ・電源・空調が整ったデータセンター環境をご用意しています。万が一の停電対策として発電設備も設置しており、災害対策としても有用です。上位回線は200Gbps以上で接続し、大規模なWebサービスの運用にも柔軟に対応します。

また、自社にサーバルームを設置するのが難しい場合や、可能な限りトラブルリスクを軽減したい場合にも最適です。

システムの規模に応じて3種類のラックをご用意しています。オプションで、回線の直接引き込みなどもご利用いただけます。

システム監視サービスを24時間体制で提供

イッツコムのハウジングサービスでは、オプションでシステム監視サービスも提供しています。具体的な監視対象はネットワークとサーバで、専任のエンジニアによる24時間体制の監視サービスがご利用いただけます。

また、外部からサーバラックまではIDカードで4重にロックする上、専用空調機による温度制御や赤外線センサー・ガス消火設備・耐震床・無停電電源設備・自家発電設備・監視カメラなど、充実したセキュリティ体制で大切なサーバ資産を強力に保護します。

イッツコムでは安定したサーバを利用できる「ホスティングサービス」も提供中

イッツコムではハウジングサービス以外にも、イッツコム側で用意したWebサーバやメールサーバを快適かつ安全にご利用頂ける「ホスティングサービス」も提供しています。

ホスティングサービスの基本となるサーバ容量は10GBで、必要に応じて1GB単位で追加できます。ハードウェアやネットワークの監視・運用・保守はイッツコム側で行うため、管理負担を軽減できるのもメリットです。

サーバは2台を1クラスタとして運用しており、ロードバランサを使用することで負荷を分散して障害耐性を高めています。オプションでWEBディテクトをご契約いただければ、改ざんの有無をチェックできます。こちらは、セキュリティを重視したい方におすすめのサービスです。

Webサーバは新会社立ち上げに伴う自社サイトの開設、メールサーバはGmailなどのフリーメールから独自ドメインのメールへ移行する場合などに活用できます。サーバホスティングサービスには無料ドメイン取得が標準で付帯するため、独自ドメインの利用に別途料金は発生しません。可用性が高いWebサーバをお探しの際や、ハードウェアの管理負担を軽減したい場合に、ぜひご利用ください。

まとめ


ビジネスで使用している多種多様なICTシステムを運用するには、適切なシステム監視が欠かせません。システム監視を行うことで障害の発生を未然に防ぐとともに、万が一障害の発生した際にはスピーディに解決できるようになります。

システム監視には専門の人材とノウハウが必要のため、自社で全てを手配することが難しいこともあるでしょう。手間を削減しつつシステム監視体制を整え、安定して運用したいならアウトソースがおすすめです。

イッツコムではサーバの設置環境を提供するハウジングサービスを提供しており、オプションとして監視サービスを利用可能です。自社で監視体制を構築するのが難しい方は、ぜひハウジングサービスの利用をご検討ください。