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テレワーク導入までの課題とその解決策!導入率の高い業界は?

会社から離れて仕事を行うことを「テレワーク」といいます。副業が解禁されつつある昨今、テレワークという言葉は各所から聞こえるようになりました。それにともない、厚生労働省もテレワークのマニュアルを公開するなど、積極的な推進活動を行っています。

企業の担当者の中にはテレワークについて興味があり、実際に導入することを検討しているという方もいるのではないでしょうか。

テレワークに期待する従業員は増加する一方、テレワークの導入までにはさまざまな課題があります。導入にいたるまでに、テレワークの問題点を知り、その対策を施すことが必要です。そこでこの記事では、テレワーク導入に関する課題とその解決策についてご紹介します。

企業が答えた「テレワークを導入しない理由」とは?

2018年に国土交通省が報告した「テレワーク人口実態調査」によると、テレワークを実際に導入している企業は16%程度という結果でした。テレワークを望む従業員が多いものの、テレワークが導入されないのにはさまざまな理由があります。
企業が答えた「テレワークを導入しない理由」とは?
日本ではまだ普及していないシステムだからこそ、多くの企業がセキュリティ面や勤務実態などを不安視しています。
(参考:『平成29年度テレワーク人口実態調査―調査結果の概要―』

テレワークに適した業務がない

テレワークを導入していない企業の約70%が「テレワークを利用する業務を扱っていない」と回答しています。今の日本企業の多くが、自宅に持ち込んだり外で仕事をしたりするような業務形態ではないことが分かります。

実際に世界から見ても日本はテレワークの導入率が低いとされており、取り入れてはみたものの扱いきれていない企業が存在するのも現状です。一方でテレワークの発祥国であるアメリカは、85%の導入率を誇るといわれています。

テレワークに向いている仕事は、自宅でできる事務職やクリエイティブ職、管理職など主にデスクワークを行う仕事です。一方で、生産職や販売職、医療福祉関連の仕事はテレワークに向いていません。人と関わる職業についている方が多いことも、テレワークが定着しない理由のひとつとなっています。

勤務管理が困難

テレワークを行う場合、働いている社員の実際の姿は目で見て確かめられません。各々が好きな時間に仕事をすることも多いため、正確な勤務時間を把握しづらいというのもテレワークが普及していない理由のひとつです。実際にテレワークを行っている方の多くが、会社で働くよりも長く働きすぎると感じています。

また、あまり意欲的ではない従業員のなかには休憩時間を多く取り、仕事をせずに勤務時間を詐称する方がいるのも現実です。従業員全員の姿を確認できないからこそ、実際にどれくらい働いているのかを把握するのが困難とされています。

テレワーク業務は仕事に関する評価を結果でしか測れないことも、導入されない理由といえます。仕事を会社で行っていると、仕事に対する姿勢などを把握できます。従業員の働く過程が見えづらい分、正確な評価ができなくなることを不安視する企業も少なくありません。

情報漏洩が心配

テレワークを導入するためには、従業員一人一人にパソコンやインターネット環境を整備する必要があります。特にインターネット環境は重要で、社内データ情報が漏洩しないように徹底した環境を作らなければなりません。

自宅や社外で仕事を行うということは、内部のデータを外に持ち出すことになります。社内では徹底した通信環境であっても、社外に出ればどこから情報が漏洩するか分かりません。だからこそ、インターネット環境を徹底する必要があるのです。

近年では情報漏洩問題が相次いでおり、多くの企業が恐れいている問題でもあります。セキュリティの構築や情報通信技術の強化は、テレワークを行う上でもっとも重要な要素になります。

コミュニケーションが不安

テレワークを行うと、会社に来る従業員数は減少します。その結果、従業員同士で顔を合わせてコミュニケーションを取る機会が大幅に減ります。口頭での連絡が難しくなると、同僚の仕事ぶりを確認できず不安になる方もいるでしょう。

自宅で仕事をする方のなかには、子育てなど家庭の事情で会社に顔を出せない方もいます。会社に顔を出していない期間中のコミュニケーション不足から、より出社しづらくなり、そのまま仕事を辞めてしまう方も出てきます。

同じ空間で仕事をしているときのように気軽に言葉を交わせず、コミュニケーション不足となるケースも少なくありません。チームワークがなくなり、結果として生産性が低下するのではないかと懸念する企業の割合は高くみられます。

実際にアメリカの企業では、コミュニケーション不足が原因で、テレワーク導入を断念したケースもあります。

テレワーク導入の課題に対する解決策

テレワーク導入の課題に対する解決策
上記で紹介した課題を打開できなければ、在宅での業務が向いている企業でもテレワークの導入をためらうのも仕方ありません。

テレワークを導入し円滑に仕事を進めるには、在宅でも安全に作業できる環境づくりやコミュニケーション不足による不安を解消することが大切です。ここでは、企業が不安に感じている課題の解決策をご紹介します。

業務内容の見直し

上記でも説明したとおり、生産職や販売職などはテレワークに不向きです。しかしすべての業務が、出社しなければできないわけではありません。たとえば販売業でも、デスク作業は必ずあります。このような仕事は、会社でなくても在宅でできるような環境を作ることが大切です。

日本では、仕事内容の可視化が進んでいないといわれています。テレワークを行うにあたって必要なのは、業務内容の可視化と切り出し方です。まずは会社側の業務内容を一度見直してみましょう。

生産職であっても、機械操作や生産確認以外の資料作成・日報作成などの業務であれば自宅でも行えます。テレワーク体制を検討しているのであれば、在宅で可能な業務はないか一度見直してみましょう。

勤務時間を把握するためのシステム作り

従業員が離れた場所で働いているため、確実に働いているかを確認することは極めて難しくなっています。特に正確な勤務時間を確認するのは困難であり、誰かが横着していても判断できません。

この悩みはどこの企業も同じです。しかしすでにテレワークを導入している企業では、従業員の勤務時間管理方法を編み出しています。たとえば、始業と終業時にメールや電話を上司にする方法や、事業報告を細かく伝えてもらう方法などです。

こうすることで、相談しなければならない問題などを会社の同じ仕事を行うチームに引き継げます。また、パソコンを会社規定のものにし、ログイン時間で勤務を管理している会社もあります。システムのログイン時間を確認することで、業務中に違う作業をしていないかをある程度把握できます。

環境整備とセキュリティ対策

会社の外で仕事をする場合、外部に企業の情報が漏れる危険性があります。これを防ぐには、会社自体の通信技術とセキュリティの強化をしなければなりません。

また、私物のデバイスや不備が心配されるネットワーク環境を使用しなくて済むように、十分なセキュリティ対策を取っているパソコンやモバイルルーターを会社が支給するのも方法です。

セキュリティ対策などの環境整備を行うには専門の知識とある程度の時間を有しますが、テレワークを今後導入するのであれば環境整備は必要です。自宅で作業を行う従業員にとって、会社のシステムや社内の情報がいつでも見られることで仕事の効率も上がり行動を取りやすくなります。

現在テレワークを行っている企業では、仮想デスクトップなどの仮想化やクラウドを利用した業務形態を取るケースが多くなっています。セキュリティについても、独自のネットワークを形成するなどの対策を施し、安全を保っています。

コミュニケーションツールの導入

テレワークを断念する会社の多くは、コミュニケーション不足も導入をためらう原因としています。コミュニケーションは、同じ業務を行う上で欠かせないものです。現在では離れていてもコミュニケーションが取れるシステムやツールが普及しているので、業務に適したツールを取り入れるのもよいでしょう。

業務を行う上で相手の顔を見ながら、すぐに質問ができる環境はとても大切です。何らかの理由で会社に出勤できず、やむをえず一人だけテレワークを行う方もいます。そういう方にとって業務の情報量が減りコミュニケーションが減ると、孤独感を感じて不安になりやすい傾向です。

先進国であるアメリカでは、Web会議ツールなどで、お互いの顔を見られるようにしてテレワークを行う会社も多くみられます。いかに孤独感をなくし、業務に支障がでないコミュニケーションを築くかが、この問題の解決策にもなります。

テレワークの導入企業!どのような業種が多い?

実際にテレワークを導入している企業は、どのような業種が多いのかをご紹介します。テレワークを導入することのメリットから、すでにさまざまな業種が取り入れています。代表的な業種は以下のとおりです。

・「情報通信業」
・「学術研究、専門・技術サービス業」
・「電気・ガス業」
・「教育・学習支援業」

時間や場所の制限がなく、自由に勤務ができる環境を作れる業種は多くあります。上記の4つは代表的ともされ、国土交通省の調査でも上位を占めています。

情報通信業

情報通信業はテレワーカーの割合が最も多く、33.8%の企業が導入しているという結果になりました。システム開発を行うエンジニア、プログラマーなどの職業が情報通信業にあたります。パソコンを利用して行う仕事だからこそ、テレワークの実施がしやすいといえるでしょう。

テレワークの活用によって、短時間勤務の従業員や育児中の従業員も自宅で自由に仕事ができるようになります。また情報通信業は残業が多いことでも知られていますが、在宅ワークを可能にすることで家族との交流が増えたという声も多く聞かれます。家族や大切な人との時間がモチベーションアップにもつながり、生産性や従業員の満足度が高まるでしょう。

学術研究、専門・技術サービス業

情報通信業の次に割合が高いのが「学術研究、専門・技術サービス業」です。テレワークを実施している企業は27%という結果でした。主に学術的な研究や専門的知識・技術を提供する事業所がこの業種です。経営コンサルタントやデザイン業、広告業などが当てはまります。

広告業やデザイン業は、ライティングやプランニング業務が含まれています。これらの業務は在宅でも取り組みやすく、テレワークを導入しやすい職種です。

デザイン業や広告業で働く従業員は女性も多く、育児や家事に追われている方も少なくありません。自宅で仕事を行う場合は通勤時間が必要ないため、家事や育児を行う時間を確保できます。在宅勤務を行う際は就業開始時刻に連絡を入れるなど、勤務管理を確実に行っている会社も多くあります。

電気・ガス業

3番目に導入割合が多いのは「電気・ガス業」で、18.8%という結果でした。電気・ガス業の仕事は大きく分けて「営業」「技術」「管理・企画」の3つに分けられます。営業ではマーケティング戦略や新規顧客開拓を行い、技術では設計・建設、維持管理に携わります。

管理・企画は一般事務や人事、総務などの各部門をサポートする役職です。この3つのうち、技術と管理・企画はテレワークを実施しやすい環境です。電気・ガス業がテレワークを行う理由は、女性の育児事情ももちろんですが、仕事内容のキャリアロスを防ぐためという理由も大きくなっています。

電気・ガス業のなかには障害者雇用を行っている企業も多くあります。自宅でしか仕事ができない方や、歩行が困難な方でも働きやすいように「働き方改革」の一環として取り入れている企業も多いのです。

教育・学習支援業

電気・ガス業の次に高い割合を示したのは「教育・学習支援業」です。割合は18.4%でした。教育・学習支援業とはその名のとおり、学校などの機関や学習塾を指します。また、図書館や動物園などの施設もこの業種に当てはまります。

近年ではスマートフォンを利用した学習塾が増えており、学校に行かなくても学べる教育方法が普及しています。塾の講師側にとっても、学習塾へ行かずにあらかじめ講義を録画しておけます。

動画での授業であれば、いつでも撮影が可能です。講師側も自由な時間に勤務できるため、従業員の顧客満足度にも直結します。これもテレワークとして有用であり、さらなる学習のための工夫を、自宅にいながら行うことが可能です。

テレワーク導入のメリット

テレワーク導入のメリット
ここまでテレワークを導入するにあたっての、今後の課題や解決策をご紹介しました。テレワークが普及し始めて間もないからこそ、さまざまな不安を抱える企業が多いのも実情です。しかし働き方の多様性も期待されるなか、テレワークの必要性はさらに高まることが予想されます。最後に、テレワークを導入することのメリットをご紹介します。

生産性・業務効率の向上

テレワークは場所や時間にとらわれることなく、自由に働くことが可能です。通勤の時間も一切ないので、時間を有効に利用できる働き方といえます。また、Web会議などのツールを利用によって、会議にかける時間も大幅に短縮できます。

実際にテレワークの導入が完了した企業も、従業員の通勤による負担の軽減や、定期的に行う業務の生産性の向上を目的としているケースが多くみられます。営業職などで外回りをする方にとっては、外出先から一度会社に戻って事務作業をする必要がありません。

テレワークを行うことで移動にかかる時間を省き、結果として顧客訪問回数や滞在時間を増加することが可能です。

コスト削減

自宅で働ける環境は、従業員の満足度にも関わります。コミュニケーション不足問題をしっかり解消し在宅で働く方の悩みを解決することで、離職率の減少も期待できます。離職する従業員が減ることによって、新たな募集の必要がありません。その結果、募集・採用にかかる費用や新人教育にかける手間もコストも削減することが可能です。

また、コミュニケーションツールの導入によって遠方の方とも自宅にいながら会話できます。これまでに必要だった出張にかかる交通費や宿泊費もカットできます。新規採用にかかる費用や出張費用が削減されるだけでも、企業にとっては大きなコスト削減といえるでしょう。

リスク回避

震災など自然災害や交通網トラブルにより、従業員が出社できない場合もあります。このような災害やトラブルは、いつどこで起こってもおかしくありません。テレワークを導入しておけば、在宅勤務によって企業として業務停止となることを防げます。

また、テレワークによる情報共有環境を作っておくことで、社員同士で速やかに安全確認や情報伝達ができます。テレワークを普段の生活のなかでも利用して、改善点などを事前に確認しておきましょう。

いざというときにもスムーズに対応できるようにしてこそ、災害時にも十分に役立てることが可能です。

まとめ

まとめ
テレワークは環境整備とセキュリティ対策を入念に行っておけば、長期的に見てもメリットの多い取り組みです。テレワーク導入に必要な課題をクリアすることで、安全に利用できます。

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