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テレワークで生産性はどうなる?生産性を上げる要因と下げる要素をチェック

近年では、これまでの「右へならえ」の労働環境を改善し、多様性のあるものへと整備する「働き方改革」が推進されています。それに伴い、自宅やサテライトオフィスなどで仕事をする「テレワーク」が広がりを見せ始めました。しかし、テレワークを導入すると、本当に生産性の向上につながるのか疑問に思う企業担当の方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、テレワークの導入目的は生産性の向上なのか、導入するメリットや注意点などをご紹介します。導入時の課題も把握できるので、失敗のリスクを低くするためにも、事前にチェックしておきましょう。

【関連記事】一工夫すればテレワークはもっと効率的に!まずは環境構築から始めよう

最近よく耳にする「生産性」とは?

テレワーク関連の話題で耳にすることが多い「生産性」という用語ですが、具体的に何を示すのかイメージしにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。生産性にはいくつかの種類があり、主なものは以下の3つです。

・労働生産性:労働者ひとりが1時間に産出した価値を示す(生産量/労働者数×労働時間)
・資本生産性:保有している設備や不動産などの資本が算出した価値を示す(生産量/資本ストック量)
・全要素生産性:資本や労働などの量的な増加に依存しない成長要因によって産出した価値を示す(生産量/合成投入量)

これらのうち、テレワーク関連の話題で登場するのは「労働生産性」です。労働生産性が向上するということは、同じ人的リソースでより多くの付加価値を算出したことを示します。

テレワークの主な導入目的は3つ!「生産性向上」が上位


働き方改革によってさらに注目されるようになったテレワークですが、企業が導入する目的は大きく分けて3つです。

「労働生産性の向上」「勤務者の移動時間の短縮」「非常時の事業継続に備えて」の中で、どの目的をもってテレワークを導入する企業が多いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

導入目的1:労働生産性の向上

会社がテレワークを導入する目的で上位に入るのが、「労働生産性の向上」です。総務省が実施した調査によると、2016年は60.2%、2017年は50.1%もの企業が「労働生産性の向上」を目的としてテレワークを導入しています。

労働生産性の向上を目的としてテレワークを導入した企業のうち、82.1%もの企業が「生産性の向上に効果があった」という回答をしている点がポイントです。導入した企業の多くで効果が見られることから、今後はテレワークを導入する企業がさらに増加していくことが予想されます。

労働生産性の向上は、企業の業績を左右する重要な要素です。今後の日本における「人材不足」から発生する収益の減少を防ぐためにも、テレワークの導入は一段と注目されるテーマと言えるでしょう。

導入目的2:勤務者の移動時間の短縮

労働生産性の向上と同じように、企業がテレワークを導入する目的として多いのが「勤務者の移動時間の短縮」です。総務省が実施した調査によると、2016年は43.9%、2017年は54.1%もの企業が「勤務者の移動時間の短縮」を目的として導入しています。

移動時間の短縮を目的とする理由としては、会社までの通勤時間を減らして、よりよい労働環境を整備することにあります。都心部に勤務する場合、通勤時間が1時間~2時間という会社員もいるのが現状です。往復で考えると、1日の中で通勤時間に充てる時間が非常に多く、効率性の悪さにもつながります。

自宅、もしくは近くのサテライトオフィスで仕事ができれば、通勤に充てていた時間を有効活用できます。夜遅くに帰宅することもほとんどなくなることから、ワークライフバランスの向上も実現可能です。結果的に、労働生産性の向上にもつながると言えます。

導入目的3:非常時の事業継続に備えて

労働生産性の向上と勤務者の移動時間の短縮に次いで多い目的が、「非常時の事業継続に備えて」です。総務省の実施した調査では、2016年は18.7%、2017年は21.4%の企業が「非常時の事業継続に備えて」を目的として導入しています。

テレワークを導入すれば、会社への一極集中がなくなります。多くの社員が自宅やサテライトオフィスで勤務することで、自然災害やパンデミックなどが発生した場合、社員全員が業務できない事態を防げるのがポイントです。もしものときでも、誰かしらが業務を続行できれば、事業の存続や早期復旧が可能です。

異常気象による大雨や猛烈な台風、大地震の発生などは人間の力でコントロールできるものではありません。そのため、事業においても自然災害のリスクに備える必要があります。今後、「非常時の事業継続に備えて」を目的としてテレワークを導入する企業が増えることも予想されるでしょう。

参考:『テレワークによる働きやすい職場の実現 – 総務省』

テレワークは本当に生産性が上がる?

テレワークで生産性が上がると聞いても、本当に上がるのか疑問に思う方もいるかもしれません。テレワークをしたことがなければ勝手が分からず、逆に生産性が下がりそうだと感じることも多々あるでしょう。

総務省が公表した2018年版の情報通信白書によると、労働生産性の向上を目的としてテレワークを導入した企業のうち、効果があったと回答した企業は導入企業全体の約81%に上ります。この結果から、多くの企業がテレワークの導入に伴う生産性向上を実感していることが分かるでしょう。

一方で、「あまり効果がなかった」「効果はよく分からない」と回答している企業も15%ほど存在します。従って、テレワークで生産性が向上するのは事実でも、そのためにはある程度の準備が求められると考えることが適切です。

テレワークの生産性を上げる3つの要因


テレワークを導入した企業は導入していない企業と比べて、売上高や経常利益が増加した企業が多くなっているのが特徴です。その理由には、テレワーク導入による労働生産性の向上が影響していると考えられます。

ここからは、テレワークを導入すると生産性が向上する要因にはどのようなものがあるのか、主な理由を3つチェックしましょう。

通勤時間が不要になる

テレワークにすると会社に行かなくてよいので、通勤時間を削れる点が大きなメリットです。特に、都心部の会社に勤めている方に多いのが「長時間通勤」です。通勤と帰宅で多くの時間を要するため、さまざまな悪影響をおよぼすことがあります。

通勤時間が長いと、朝早くから支度をしたり、長時間公共交通機関を利用したりするため、その分疲労が溜まります。疲労が溜まると仕事の効率が悪くなり、労働生産性の向上を阻害する要因にもなりかねません。帰宅時間も遅くなる傾向にあるため、家族と一緒に過ごす時間も短くなり、ワークライフバランスが著しく悪くなる恐れもあります。

通勤時間がなくなれば、疲労も溜まらず家族との時間が増え、モチベーションアップが期待できます。通勤に充てていた時間に仕事を進めることで、仕事を早く終わらせられるのもメリットです。通勤時間がなくなることで、結果的に労働生産性の向上に期待できます。

作業に集中しやすい

テレワークで在宅勤務になることで、作業に集中しやすい環境で仕事を進められます。会社で仕事をしていると、「上司の目が気になる」という方も多いのではないでしょうか。必要以上に上司の目を気にしすぎて、本来の力が発揮できなかったり、仕事が捗らなかったりすることも考えられます。

社員同士の話し声や鳴り響く電話など、雑音が気になることもあります。担当外の電話に出てしまった場合、自分の業務以外のことも対応しなければならず、本来の業務に集中できなくなることも起こります。

自宅であれば、慣れ親しんだ場所で落ち着いて仕事を進められることが大きな魅力です。人目を気にする必要はなく、さらには雑音もしないため集中して効率よく仕事ができます。テレワークは、会社での勤務以上に労働生産性の向上を見込めるのがポイントです。

労働意欲が向上する

労働意欲の向上につながるのもメリットのひとつです。日本国内においては、テレワークを導入している企業はまだ多いとは言えません。しかし、そのような環境の中で進んでテレワークを導入することで、企業イメージのアップにつながります。

テレワークの導入は、ライフイベントの発生で働きにくくなった社員に対しての「気遣い」とも言えます。家族と過ごす時間が増えてワークライフバランスも向上するため、「社員を大切にしている」企業というイメージとなり、結果的に社員の労働意欲も上がります。

労働意欲が上がることは、「労働生産性の向上」「企業の収益アップ」につながるのがポイントです。

【要注意】テレワークの生産性を下げる5つの要素


テレワークの導入で生産性が向上するどころか、逆に下がってしまったと感じる企業も存在します。テレワークには生産性を下げる要素があるのも事実です。

生産性向上を目的としているのに肝心の生産性が下がってしまっては本末転倒です。どのような要素が生産性を下げるのか正しく理解し、適切に対処することが重要です。

コミュニケーションが取りにくくなる

テレワーク環境になるとオフィスとは異なり、疑問点があるからといってすぐに隣の人に質問することはできません。社員間のやり取りはビジネスチャットやメール、電話などのコミュニケーションツールを介するのが基本です。

そのため、必要な環境を整えていないとコミュニケーションを取るのが難しくなり、生産性低下につながる可能性があります。特にチームワークを重視する業種の場合は注意が必要です。

進捗状況の把握が難しくなる

社員の働きぶりやプロジェクトの進捗状況、タスクの処理状況が見えにくくなるのもテレワークでありがちな課題です。特定のタスクの進捗状況が予定より遅れていても気づきにくくなり、下流の工程に影響するケースも考えられます。

全体の遅れを防ぐためにも、オフィスワークのとき以上に進捗状況の確認や報告を意識し、全体的に現状を把握できる体制を整えることが大切です。確認・報告するのが手間だと感じるといつの間にか行われなくなってしまうため、簡単に確認・報告できる仕組みづくりを意識しましょう。

勤怠管理が難しくなる

テレワークになると直接見えない場所で社員が働くことになるため、勤怠管理が難しくなります。勤怠管理は社員の労働状況を正確に把握し、賃金支払の基礎になるものなので非常に大切です。

しかし、働いている様子が見えなくなると始業・就業時間や残業の有無を正確に把握しにくくなるでしょう。社員側が中抜けしたり、サボったりするケースも考えられます。

テレワークでは勤怠管理が不十分になりやすいことを意識し、テレワーク向けの勤怠管理システムを構築するなどの対策を施しましょう。

長時間労働を誘発するケースがある

テレワークの一形態に在宅勤務がありますが、在宅勤務では仕事とプライベートの区別をつけにくくなるというデメリットがあります。その結果、長時間労働につながる可能性があるので注意が必要です。

業務時間外に仕事に関連する資料を開いたり何らかの作業をしたりしないようにするなど、長時間労働を防ぐ対策を施しましょう。業務時間外のメッセージ送受信を禁止するなどの対策も有効です。

社員の自己管理のみに依存していると、会社側から見えないところで長時間労働や違法な残業が発生するケースに発展しかねません。

仕事環境が整っていないケースがある

いざテレワークを始めようと思っても、社員側の通信環境や物理的な仕事環境が整備されていないために思うように進まないというトラブルも発生しがちです。2021年に公表された調査結果によると、多くのテレワーカーが環境整備面に何らかの課題を感じています。

生産性が低下するリスクを減らすには、通信環境や仕事部屋の環境など、業務に必要な環境をきちんと整えることが大切です。

生産性を下げる要素をカバーする対処法とは?


自社にとって何が生産性を下げる要素になりそうかが明らかになったら、テレワークに移行する前にできる限りの対策を施しましょう。

ここからは、テレワークの生産性を高めるために役立つ7つの対策をご紹介します。ひとつずつチェックして考えられるリスクに対策するのがおすすめです。

セキュアな通信環境を用意する

テレワークで問題になりがちなのがセキュリティです。インターネットを活用して働くワークスタイルなので、適切に対策しないとオフィスワークよりセキュリティリスクが高まってしまいます。

通信面のセキュリティを課題と考えているなら、VPNや閉域網などのセキュリティを高められる通信手段を導入するのがおすすめです。通信経路の安全性を高めれば、機密情報や個人情報などの重要な情報が漏洩することを防げます。セキュアな通信環境は安全な業務環境を構築するにも必須と言えるでしょう。

コミュニケーションツールの導入

テレワーク時のコミュニケーションをメールや電話ベースで行っていては手間がかかってしまいます。コミュニケーション面で問題があると業務効率が低下するだけではなく、不十分な意思疎通を原因とするミスが発生するリスクが高まるでしょう。

そこでおすすめなのが、ビジネスチャットとWeb会議システムの導入です。普段のコミュニケーションはビジネスチャットをベースとして、スムーズにコミュニケーションを取れるようにしておきましょう。

ミーティングをはじめとした対面でのコミュニケーションが必要なときは、Web会議システムを使うのがおすすめです。Web会議システムがあれば、会議室でのミーティングと同じようにコミュニケーションできます。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理が不十分になりやすいというリスクに対しては、クラウド型の勤怠管理システムを導入するのが有効な対策です。出勤・退勤時刻の管理はもちろん、有給や残業時間の管理にも対応しているシステムもあります。

クラウド側の勤怠管理システムを導入して社員側の打刻を徹底することで、テレワーク環境でも正確に勤怠管理ができるでしょう。勤怠データをペーパーレス化して給与計算を円滑化するためにも役立ちます。

クラウドストレージの導入

ファイルの共有方法もテレワーク環境で問題になりがちなポイントです。業務で使用する資料の多くが紙ベースになっていたり、オンラインでファイルをやり取りする仕組みが存在しなかったりするケースが考えられます。

これらの問題を解決するのにおすすめなのがクラウドストレージの導入です。紙ベースの資料をデータ化し、クラウドストレージにアップロードすればオンライン環境があればどこからでもアクセスできるようになります。

オフィスに資料を取りに行ったりファイルを送受信したりする必要がなくなるため、業務を大幅に効率化できるのが大きなメリットです。

評価システムを見直す

採用している評価システムによってはテレワークにうまく対応できないため、移行前に見直す必要があります。特に、過度にプロセスを重視する評価システムになっているとテレワーク環境で公平に評価するのは難しいため、システムを抜本的に改革しましょう。

テレワーク環境でおすすめの評価システムは、目標管理制度(MBO)をはじめとした成果ベースのスタイルです。個別に達成しなければならない目標を定め、期日までにどの程度達成したかを評価基準にすることで、働いている様子が見えなくても公平に評価できて社員のモチベーションを高められます。

環境整備にかかる費用を補助する

テレワークの移行に伴う社員側の環境整備が問題点に挙げられるなら、環境整備にかかる費用の一部を会社側で補助するのがおすすめです。会社の補助があれば社員も環境を整えやすくなり、不満が出ることも減るでしょう。

テレワークが続けば通信費や水道光熱費などで継続的な支出が発生するため、「テレワーク手当」として継続的に支給するのもひとつの方法です。手当の支給を新たな問題の火種にしないためにも、あらかじめ具体的なルールを定めて運用しましょう。

社員の自己管理能力を高める

テレワークは、仕事の進行を個人の自己管理能力に委ねるといった一面もあります。プライベートと仕事の切り替えがうまくいかず、業務の進行具合に遅れを生じてしまう恐れがあります。テレワークにすべき仕事の判断なども、個人の管理能力が必要です。

自宅での勤務は、監督者がいないため何をするのも自由です。極端なことをいえば、長時間テレビを見たり昼寝をしたりもできます。自己管理能力が低い社員であると、勤務中なのにプライベートを優先してしまい、業務がおろそかになる恐れがあります。

これらは、労働生産性の低下につながるため社員の自己管理能力を高めることが重要です。定期的にテレビ会議を用いて顔合わせをするなどして、社員の仕事への意識を高めましょう。

テレワークの課題を解決するのに役立つイッツコムのサービス


イッツコムでは、テレワークにおけるさまざまな課題を解決するのに役立つサービスを提供しています。テレワークに伴う課題が山積していて解決するのが大変だと感じている際は、ぜひイッツコムにご相談ください。

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メールの添付ファイルを使用して送受信するよりも遥かに安全かつ効率的なので、この機会にクラウドストレージ環境に移行しましょう。boxならクラウド上でのファイル編集にも対応しており、複数の社員が共同で作業する際にも便利にご利用いただけます。

いつでも・どこでもWeb会議を開催できる「Zoom」

使いやすいWeb会議システムを探しているなら、マルチデバイス対応で簡単に利用できるZoomがおすすめです。PCからミーティングに参加するときはブラウザからでもOKなので、スムーズにご利用いただけます。

ミーティングのときだけではなく、社員同士のコミュニケーション不足を防ぐための定期的な面談や進捗報告などにも使えるので、テレワークを始めるなら最初から導入しておきたいツールのひとつです。

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具体的には、NTTドコモの閉域網にアクセスし、そこからイッツコムの閉域網を経由して社内ネットワークにアクセスする仕組みです。専用SIMを使うことで複雑な設定をせずに使えるのもメリットで、設定ミスなどで意図せずにインターネットを経由してしまうことを防げます。

まとめ


働き方改革によって仕事の多様性が求められ、テレワークに高い注目が集まっています。導入することで労働生産性の向上が期待できますが、日本においては企業の環境整備やシステムの構築、マニュアルが不十分でなかなか浸透していきません。

テレワークにおけるさまざまな課題を解決するには、IT技術を活用したビジネスツールの利用がおすすめです。イッツコムでは、業務に必要な資料やアジェンダなどをスムーズに共有できるboxや、多くの企業が採用しているWeb会議システムのZoom、インターネットを経由しないセキュアな通信回線のモバイル閉域接続などを提供しています。

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