保育園と仕事の両立!テレワークがもたらすメリットや注意点とは?
目次
テレワークは、ひとつの勤務場所に縛られず業務を行うための取り組みです。プライベートと仕事を両立しやすいため、「子どもを保育園に通わせながらテレワークを実践したい」という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、保育園と仕事を両立するために活用できるテレワークについてご紹介します。メリットと注意点だけでなく、実際に導入している事例を知ることも可能です。テレワークの導入を検討中の方は参考にしてみてください。
保育園児がいる家庭でテレワークを行うメリットとは?
本来の勤務地以外の場所で業務を進められるテレワークは、従業員の生活状況によってさまざまな効果が期待できます。出産後に退職・休職するケースも多いなか、子育てと仕事を両立しやすいのはテレワークならではの利点といえるでしょう。保育園児がいる家庭にとってうれしいテレワークのメリットを3つご紹介します。
通勤時間が短縮できる
テレワークでは、自宅やサテライトオフィスといった通常のオフィス以外の場所で働けます。勤務できる場所は企業の規定によりますが、本来の勤務地より通勤距離が短くなるケースがほとんどでしょう。これまで通勤に費やしていた時間を節約できる点が、テレワークのメリットのひとつです。
自宅勤務型のテレワークを選んだ場合は、通勤時間は発生しません。子育てに費やす時間が大幅に増え、プライベートを充実させるきっかけにもなります。子どもが増えると家事にかける時間も多くなりますが、休憩時間を活用して効率的に取り組みやすくなるでしょう。
また、通勤時間を短縮することで実質的な労働時間を増やすこともできます。業務の効率化に効果的なだけでなく、残業に追われるリスクを軽減できる点もメリットです。
子どもの病気にも対応できる
子育てを行ううえで「病気の子どもを迎えに行かなければならない」といったケースもあります。本来の勤務地であれば、業務を中断して早退することになるでしょう。
テレワークでサテライトオフィスや自宅勤務を選んだ場合は、緊急性のある事態にも対応しやすくなります。保育園では保護者の迎えを求められることも多くありますが、気兼ねなく子どものもとに向かえるでしょう。
子どもが保育園を休んだ場合も同様です。本来は有給休暇の申請などで休みを取る必要がありますが、自宅勤務型のテレワークでは様子を見ながら業務を続けられます。病院に行く際も自宅から出発すれば、持ちものの準備に焦ることなく受診できるでしょう。子どもの風邪や体調不良は予測しにくいものですが、テレワークであれば安心感も高まります。
社内感染も防げる
テレワークでは社内の従業員と対面でコミュニケーションを取る機会が少ないため、感染症の社内感染リスクを軽減できる点もメリットです。社内で感染症が流行すると、業務が停滞する結果になることもあるでしょう。じゅうぶんに注意していても確実に予防できるとは限りません。
オフィスにいる同僚と直接的にかかわる時間が少ないテレワークでは、このような社内感染の危険性を軽減できます。反対に、自分の子どもが感染症になってしまった場合、自分が発症しなくとも他人に移るものもあります。テレワークであれば、子どもの感染症を社内の人に移してしまうことも回避できます。
子育てしながらテレワークを行う際の注意点
子どものための時間を作りやすく、出産後でも仕事を進めやすいのがテレワークのメリットといえます。子育て世代にとってはうれしい取り組みですが、メリットと同時にデメリットが存在することも理解しなければなりません。導入する企業側もリスクを把握しておきましょう。子育てしながらテレワークを行う際の注意点を4つご紹介します。
セキュリティ保全
重要なデータや機密情報を扱う企業は、セキュリティ対策を徹底しているケースがほとんどです。些細なミスで情報が外部に漏えいしないよう、社内のシステムを整えています。テレワークでは、このようなセキュリティ面の安全性が保持しにくい点に注意しなければなりません。
たとえば、自宅勤務型のテレワークでフリーWi-Fiを使用した場合、外部からの不正アクセスで情報が漏れる可能性があります。すべてのケースに当てはまるものではありませんが、セキュリティ対策済みの環境よりもリスクが高いと考えたほうがよいでしょう。
機密情報を守るためには、サテライトオフィス・自宅など作業場所を問わずセキュリティシステムを整えることが重要です。たとえば、利用するWi-Fiを決めたりアクセス制限を行ったりすると、漏えいのリスクが軽減できるでしょう。
業務にも向き不向きがある
ひとつの勤務場所に縛られないのが魅力的なテレワークですが、すべての企業が有効活用できるものではありません。デスクや情報機器など設備が充実した環境で行うべき業務は、本来の勤務地でなければむずかしいケースもあるでしょう。
逐一管理や指導をしなければならない場合や、密な連絡が必要なシーンにおいても適切とはいえません。Webカメラやチャットツールを利用して効率化につなげることもできますが、業務が滞らないよう慎重に進める必要があります。
また、内容的にはオフィス外で問題なく進められる業務であっても、「自宅では別のものに気を取られて思うように進まない」と感じる従業員もいるでしょう。結果的に効率が落ちるとテレワークの意義が失われかねないため、向いている業務と従業員を見極めることも重要です。
集中できる環境作り
自宅型勤務のテレワークは、業務をはじめる前に集中できる環境を作る必要があります。自宅の中に1人でいる場合は集中力を高めやすいものの、子どもやほかの家族が影響して業務を進められない可能性があるためです。
企業に属している従業員は、原則的に勤務すべき時間が決まっています。テレワークでは出社・退社の区切りが明確でないこともありますが、ほかの従業員と同じように業務を行わなければなりません。業務の途中で家事や家族からの頼まれごとに意識が向くと、実質的な作業時間が不足する結果にもなるでしょう。
集中し続けるためには、業務すべき時間と休んでもよい時間を明確にし、メリハリをつけることが大切です。家族にもテレワークについて説明しておくと、環境作りに配慮してくれるでしょう。
段階を踏んで導入する
これまでオフィス内で行ってきた業務を、突然テレワークに移行するのはむずかしいものです。実施しながら不明点を確認・改善していく作業も遠隔だとさまざまなコストがかかるため、まずは無理のない範囲から段階的に導入したほうがよいでしょう。
たとえば、自宅勤務を選択した場合、導入後しばらくは1週間に1日のテレワークを試験的に実践するとよいでしょう。自宅で業務を行う際の不満点をピックアップし、ひとつでも解消できるよう改善を求められると安心です。問題なく業務が行えると確信した時点で、フルタイムでの本格導入を検討しましょう。
軽率な導入は企業側のリスクを高める可能性もあります。セキュリティ面もしっかり考慮できるよう、システム管理者や導入提案者と相談しながら進めることが大切です。
テレワークでは保育園に入りづらいって本当?
テレワークは子育てと仕事を両立しやすいため、「子どもを保育園に預けられないのではないか」と考える方もいるでしょう。各保育園の取り組みや地域の基準によって異なりますが、テレワークを理由に入園のハードルが上がるとは限りません。入園可否の基準となる3つのポイントをご紹介します。
「雇用型」か「自営型」か?
保育園に入園するべきか否かを判断する基準は、保護者の生活状況です。「どのような仕事を1日何時間行っているか」だけでなく、親族の介護や病気といった要素も重視されます。自宅勤務型テレワークで業務を行っている場合、雇用型か自営型によって基準も異なるでしょう。
企業に属している方は雇用型、個人事業主として報酬を受け取っている方は自営型です。自営型は保育園を利用しにくいといわれていますが、雇用型であればテレワーク以外の従業員と同様の基準になるケースが多く見られます。ただし、地域によって異なるため預けたい保育園の基準を確認しておくと安心です。
「住居内労働者」か「住居外労働者」か?
保育園の利用重要度を決める要素として、住居内労働者・住居外労働者という項目があります。雇用型・自営型とは違った観点で判断されるポイントです。雇用形態ではなく業務を行う場所が基準となっている点に注意しなければなりません。
地域によっても基準に違いがあり、同じ条件であっても判断が異なる可能性があります。自宅勤務型テレワークを導入した点のみを理由に入園できる可能性が下がるリスクは低いようですが、念のため直接相談したほうがよいでしょう。
各自治体に確認を!
保育園を利用できるかどうかは自治体が定める基準によって決まります。なるべくすべての家庭が利用できるような環境を整えてほしいものですが、優先順位を付けなければならないのが現状です。
保育園・幼稚園・こども園・認可外保育園など施設の分類によっても異なるため、利用したい保育園が決まっている方は早い段階で相談しましょう。まずは複数の施設を候補としてピックアップして、子どもや勤務体系に合った場所を選ぶのもおすすめです。
テレワーク実施!子育て世代にもうれしい好事例
テレワークの導入を検討している企業・従業員の方は、実際にどのような取り組みが行われているのか把握しておきましょう。成功にいたった経緯を知ると、より現実的なプランの構築を目指すことも可能です。テレワークに取り組んだ企業のなかから、子育て世代に配慮した事例を3つご紹介します。
食品関連会社:A社の事例
食品業界大手のA社は、2017年4月にテレワークの導入をスタートしました。テレワークによって、新しく多様な働き方を実現するための取り組みです。グローバルな企業として、性別や価値観にこだわることなく、従業員が活躍できることを目的としています。勤務場所には以下の選択肢が設けられました。
・自宅
・サテライトオフィス
・セキュリティが確保され、集中できる場所
サテライトオフィスは全国の事業所を開放するとともに、法人契約した社外オフィスや社宅内にも設置しています。育児に追われる従業員が働きやすい環境づくりにも配慮され、フレックスタイム制・時間単位有給といった制度を導入した点も特徴です。導入当初は、社内上層部が積極的にテレワークを活用することで社員の意欲を高めました。
A社によるテレワークは、育児中の従業員から性別問わず支持を得ています。「オフィスよりも自宅のほうが集中できる」といった意見もあがり、自宅勤務型テレワークのメリットがじゅうぶんに発揮された事例といえるでしょう。
IT関連会社:S社の事例
IT業界大手のS社は、2016年10月からテレワークを導入しました。「第3の働き方改革」をテーマとした取り組みです。具体的には以下のような目的をあげています。
・ワークライフバランスの向上
・健康増進
・自己成長機会の創出
・ダイバーシティの推進
これらを実現するための取り組みは2013年から実践しており、さらなる改革として導入したのがテレワークです。場所を問わずに業務が行える「どこでもWORK」の名前を掲げ、従業員の負担軽減やワークライフバランスの向上を目指しています。
勤務場所には従業員の自宅や実家のほか、全国8か所に構えるサテライトオフィスが利用可能です。約530人によるトライアルを経て、2017年時点では約7,600人にまで対象を拡大しています。
休日勤務・深夜勤務の禁止や勤怠の打刻システムなど、制度を整えることで超過労働のリスクにも配慮した点が特徴です。勤務場所を問わず業務内容や進捗を共有し、生産性の向上にもつなげた事例といえるでしょう。
IT関連会社:N社の事例
IT業界大手のN社は、2016年12月からテレワークの取り組みを開始しました。2017年3月時点の対象人数は1万1,200人です。在宅勤務制度は2008年2月から正式に導入しています。導入当時から育成正社員以外の全社員を対象とし、2010年には育児・介護など理由を問わず適用される制度を整えました。
開発部門において「自宅では必要な業務が行えない」という課題を解決するため、クラウド型の開発システムを導入しています。オフィスでなくともシステムにアクセスできるため、テレワークを活用する従業員の幅が拡大した事例です。
印刷物の持ち出し禁止など個人情報の取り扱いを制限することで、セキュリティ面のリスク軽減にも効果を発揮しました。オフィス以外で作業を続けることで「時間に対する意識が高まった」という声もあがっています。今後も企業全体に取り組みを定着させるため、継続的な推進・強化活動を行っている企業です。
まとめ
保育園に通う子どもがいる家庭において、子育てのために仕事を諦めるケースも多く見られます。テレワークを活用すると、退職・休職することなく業務に携われるでしょう。魅力的なメリットがある一方で、注意すべき点も理解することが大切です。保育園の利用が決まっている方は、なるべく早い段階で入園できるかどうか相談しておきましょう。
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