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生産性向上とは?必要性とメリット、注意点や5つの施策をわかりやすく解説

コロナ禍の影響もありビジネスが停滞気味の今、人材確保・維持や市場競争力に悩みを抱えており、生産性向上について理解を深めたい企業担当の方もいるのではないでしょうか。

生産性向上の必要性や目的、簡単かつ効果の高い施策を知ることで、ビジネス課題を解決するビジョンが描けます。ビジネスのデジタル化にも目を向け、ビジネスの加速と長期的な成功を目指しましょう。そこでこの記事では、生産性向上の意味・必要性やメリットと注意点、具体的な施策や効果的なICTツールについてご紹介します。

生産性向上の意味や必要性とは


生産性向上はインプットに対するアウトプットを増やす活動です。日本は労働人口の減少や労働生産性の低下が深刻化しており、生産性向上は国際社会で生き抜くために必須の活動となっています。まずは生産性向上の意味や業務効率化との関係、生産性向上の取り組みが急務である現状を見ていきましょう。

生産性向上は小さな投資で大きな成果を得ること

生産性とは、「アウトプット(生産量や付加価値)÷ インプット(投入する人数や時間)」で示される指標です。生産性向上とは、保有する資源を有効活用し、小さな投資でより大きな成果を生み出すことを指します。アウトプットを増やすかインプットを減らすことが、生産性向上の基本的な取り組みです。

アウトプット・インプットの要素によって設備生産性(設備総合効率)・原材料生産性(歩留や収率)・資本生産性(ROE)などを示しますが、単に生産性という場合には「労働生産性」を意味します。労働生産性は「生産量または付加価値(粗利)÷労働者数や労働時間」で表す、1人または1時間当たりの成果量を表す指標です。

業務効率化は生産性向上を目的とした取り組みのひとつ

「業務効率化」は生産性向上と混同されがちです。業務効率化とは、業務のムリ・ムダ・ムラをなくし、非効率な業務を改善することを指します。つまりムリのあるタスクやムダな投資、成果のムラなどを適正化する取り組みです。

業務効率化の取り組みは生産性向上に寄与しますが、業務効率化以外にも「新規顧客層への展開」や「商圏の拡大」、「イノベーション」や「ブランド力の強化」なども生産性向上につながります。つまり生産性という経営全般の管理指標があり、生産性向上を目的とした取り組みのひとつとして業務効率化がある関係です。

生産性向上は国際社会で生き抜くために必須

日本は少子高齢化の影響で労働人口が減少傾向にあり、多くの企業にとって人材確保は年々難しくなっています。

また労働生産性の低下も深刻化している状況です。日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較2021」によると、2020年の日本の1時間当たり労働生産性はOECD加盟38か国中23位、1人当たり労働生産性は同28位となっています。どちらも1970年以降最も低い順位です。

人材不足の深刻化に加え国際競争力が低下している現状を放置すれば、海外企業の安く高品質な商品・サービスに負け、事業継続が困難になる企業は増加するでしょう。そこで最小限の人材で最大限のパフォーマンスを発揮し、国際社会で生き抜くための生産性向上が急務となっています。

(参考: 『労働生産性の国際比較2021|日本生産性本部』)

生産性向上のメリット


生産性向上には主に以下のメリットがあります。

・ワークライフバランスの向上
・人材不足の懸念解消
・国際競争力の強化
・コスト削減と適切な投資

ここからは、生産性向上は何を目的とした活動なのかを、よりクリアにイメージしましょう。

ワークライフバランスの向上

生産性向上のメリットのひとつは、社員のワークライフバランス向上につながることです。業務のムリ・ムダ・ムラを是正するなどして1人当たり・1時間当たりの成果量を増やせれば、仕事環境を改善して社員の不満を解消できる上、長時間労働を抑制できます。

社員は心にゆとりを持って生活に充てる時間をより多く確保できるため、ストレスも解消できます。

人材不足の懸念解消

生産性向上によって社員のワークライフバランスを向上させられれば、エンゲージメントやモチベーションの向上にもつながります。この変化は社員の離職率低下に効果的です。

また生産性向上を実現した企業は求職者から見た仕事環境の魅力も増し、優秀な人材の確保にもつながります。このように人的リソースの好循環が生まれ、人材不足の懸念解消に効くのも生産性向上のメリットです。

国際競争力の強化

明確な問題意識を持って生産性向上に取り組む企業は、求職者・社員から見て将来性が高く、先行き不透明な時代にあって「働く価値のある企業」として認識されやすくなります。

情報感度や発想力に優れた人材に選ばれ、優秀な人材が率先してパフォーマンスを発揮する企業は、イノベーション創出の基盤が醸成されていくでしょう。ハイパフォーマーの増加やイノベーション創出はさらなる生産性向上につながるため、国際競争力の強化に効果的です。

コスト削減と適切な投資

社員1人当たりの生産性が高まれば、残業代や電気代などの削減につながり、少ない投資でより多くの成果が得られます。

ムダなコストの削減や成果量の増大により資金に余裕が生まれ、新規サービス開発や商圏拡大などに投資でき、戦略的な事業計画を推進しやすくなるのも大きなメリットです。

生産性向上に取り組む際の注意点


生産性向上は経営にとって非常に重要な意味を持ちますが、その取り組みの中では以下の点に注意を要します。

・長時間労働は生産性向上の原則に反する
・過度なマルチタスクは生産性の低下を招く

生産性向上を阻害する長時間労働や過度なマルチタスクを避けましょう。

長時間労働は生産性向上の原則に反する

コロナ禍で「残業ができなくなって収入が減った」と嘆く働き手が増えましたが、日本には「残業代で稼ぐ」あるいは「仕事は時間をかけるほど良い」という発想があります。

日本は他の先進諸国に比べて長時間労働の傾向が強く「働き過ぎ」であることはよく知られていますが、前述のように生産性向上に結び付いておらず、「不要な長時間労働でムダな仕事をしている」のが現状です。

また内閣府が公表したレポートによると、「労働時間が短縮するほど労働生産性は高くなる」ことが示されています。労働時間を長くする、つまりインプットを大きくすることは生産性向上の原則に反するため、インプットの最小化やアウトプットの最大化を目指しましょう。

(参考: 『3 長時間労働是正と柔軟な働き方の導入による生産性向上|内閣府』)

過度なマルチタスクは生産性の低下を招く

1人の働き手が複数のタスクを同時進行することをマルチタスクと呼びますが、過度なマルチタスクは生産性を低下させます。一部の働き手はマルチタスクで成果量の向上が期待できますが、多くの場合、同時進行する全てのタスクで均質な成果を出すことは困難です。

これは個々のタスクに集中できないことや、それぞれのタスクで要求されるスキルレベルが異なり、業務効率が低下することに起因します。業務のムラが発生すると生産性向上に向けた取り組みは阻害されやすいため、過度なマルチタスクを避けることも大切です。

生産性向上に効く5つの施策


生産性向上に効く施策はさまざまなものが考えられますが、比較的簡単に実行でき、かつ効果の高い施策例は以下の通りです。

・業務の可視化と分解・整理
・ノンコア業務のアウトソーシング
・適性の把握と適材適所の配置
・ICTツールによる情報共有
・機械やプログラムによる自動化

それぞれの施策の意味や効果を見ていきましょう。

業務の可視化と分解・整理

生産性向上の取り組みでは、まず業務を可視化することが必要です。業務の内容やプロセス、成果を客観的に把握することで、業務のどこにどのような問題があるかを発見できます。

生産管理という意味ではトヨタ自動車が開発した「かんばん方式」のようなアナログな可視化方法も有効ですが、まずは業務の詳細な把握・分析を求めて全業務を細分化してリスト化・関連付けし、事業内容を電子データ上で分解・整理することがおすすめです。

ノンコア業務のアウトソーシング

利益を生むための直接的・非定型の業務をコア業務、コア業務に付随する定型業務をノンコア業務と呼びます。ノンコア業務にかける人的・時間的リソースは生産性向上の取り組みの足かせとなるため、業務内容によってはアウトソーシングするのも有効です。

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業者に業務プロセスを委託すれば、自社の業務部門の一部のように機能します。これにより自社リソースをコア業務に集中させられるため、マルチタスクや長時間労働の防止という意味でも生産性向上に効果的です。

適性の把握と適材適所の配置

社員は業務内容によってスキルレベルが異なるため、複数業務の中で成果に差があったり、同じ業務でも担当者によって成果に差があったりします。そこで社員の得意・不得意を把握し、適材適所に配置することが重要です。各社員がパフォーマンスを発揮できる配置に変え、1時間当たりの生産量増加を狙いましょう。

なお、テレワーク環境では成果に至るまでのプロセスが見えにくく、不得意な業務を強いられていることに気付きにくい懸念があります。そこでチャットやWeb会議システムによる社員同士の雑談、上司・部下の1on1ミーティングを実施するなど、社員の心理面も踏まえて適性を把握することが大切です。

ICTツールによる情報共有

生産性向上にはICTツールによる情報共有も重要です。デジタル化が進展する企業では、各部門で日々大量の業務データが生成されます。例えば顧客データは購買履歴・Web行動履歴・メール開封履歴・カスタマーサポートなどさまざまなチャネルから集まりますが、これらの情報がサイロ化すると営業成果の向上を阻害するでしょう。

見込み顧客のマーケティング関連データはMA(マーケティングオートメーション)、既存顧客の属性・接触履歴データはCRM(顧客関係管理システム)、見込み顧客・既存顧客の営業関連データはSFA(営業支援システム)で一元管理できます。

またクラウドストレージを活用すれば、セキュアなクラウド上で業務データの一元管理やオンライン共同編集が可能です。これらのツールはチーム単位・プロジェクト単位のノウハウ共有にも役立ち、生産性向上に大きく貢献します。

【関連記事】SFAとは?CRMとの違いや導入のメリットと注意事項を徹底解説!

【関連記事】マーケティングオートメーション(MA)の活用で営業効率UPする!

機械やプログラムによる自動化

生産性向上を進めるなら機械やプログラムによる自動化も重要です。例えば衣服を洗うなら、手洗いより洗濯機、洗濯機より洗濯乾燥機のほうが生産性を向上させられます。ビジネスにおいても考え方は同じです。

機械・プログラムに任せることで人手より素早く正確に作業をこなし、小さなインプットで大きなアウトプットを得られる上、人間はより創造的な業務に集中できます。業務自動化のツールはRPA(ロボットによる業務自動化)が有名ですが、AI搭載ツールによるデータ収集・分析の自動化も効果的です。

生産性向上に効くICTツールの整備ならイッツコム!


生産性向上にはICTツールの導入が大きな効果を発揮します。これはどのような企業にも適用できる施策です。イッツコムが提供するサービスの中から、特に生産性向上に効く「ホットプロファイル」「Box」「Zoom」の3点をご紹介します。

営業部門の生産性向上なら「ホットプロファイル」

名刺管理(CRM)・SFA・MA一体型の「ホットプロファイル」は、営業部門の生産性向上に効果的なツールです。名刺をスキャンするかCSVファイルを読み込むだけで顧客データベースを自動作成でき、顧客データと関連付けたWeb行動履歴やメール開封履歴などをAIが収集・分析し、「いまホットな顧客」を自動通知します。

顧客データや営業履歴はシステム利用者が共有できるので、自動化と情報共有による生産性向上が可能です。またGPS連携による営業報告や地図連携による営業ルートの最適化にも対応し、営業効率を大幅に向上させられます。

全社的な生産性向上に効く「Box」

クラウド型コンテンツマネジメントシステム「Box」は、全社的な生産性向上に役立ちます。有料版Boxは容量無制限でファイル・タスク・プロジェクトを一元管理できる上、自社でサーバー関連の資産を抱える必要がありません。

米国政府をはじめとする各国の政府機関が採用するほど高セキュアで、わずかな月額料金で世界最高峰のセキュリティ基盤を利用できることもメリットです。浮いた資金や人的リソースは、より生産性の高い業務に投入できます。

ペーパーレス化の促進や支社・テレワーカー・外部のコラボレータ との協働にも効果を発揮し、また1,500以上のアプリのファイルマネージャーとして活用できるため、基幹的な業務システムとしての運用が可能です。

会議やセミナーの生産性向上なら「Zoom」

国内で圧倒的シェアを誇るWeb会議システム「Zoom」の有料版は、会議やセミナーのさまざまな非効率さを排除し、生産性向上に寄与します。有料版Zoomは実質無制限で利用でき、複数の共同ホストが管理する大規模ミーティングにも対応する上、ウェビナーアドオンを購入すれば最大1万人規模のウェビナー開催も可能です。

あらゆる対面コミュニケーションをオンライン化できるため、ペーパーコストや会議の準備にかかる手間・時間、参加者の移動時間などのムダを排除できます。

オンライン会議やウェビナーの規模が大きくなるほど効率化の恩恵は大きく、必要な準備はスケジューリングや参加者の招待、電子データで会議資料を用意することです。会議資料はBoxから読み込める上、ホットプロファイルからウェビナー管理もでき、インプットの最小化やアウトプットの最大化に役立ちます。

まとめ


労働人口の減少や労働生産性の低下が深刻化している日本では、国際社会を生き抜くための生産性向上が急務となっています。ICTツールの活用によって小さなインプットで大きなアウトプットを獲得し、ビジネスの加速と長期的な成功を目指しましょう。

イッツコムが提供するホットプロファイル・Box・Zoomを組み合わせれば、データ活用の仕組み作りによって大きな生産性向上につながります。生産性向上とビジネスの成功をお求めなら、複数サービスの組み合わせで飛躍的な生産性向上が狙えるイッツコムにご相談ください。