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建設・工事現場におけるデジタルサイネージの導入効果や活用方法

工事現場は施工体系図・建設業許可をはじめ多くの情報を常時掲示する必要があり、最新情報への対応も煩雑になりがちです。デジタルサイネージを導入すると情報更新を大幅に効率化でき、スタッフ向けにも近隣住民向けにも、適切な情報をタイムリーに配信できるようになります。

この記事では、工事現場におけるデジタルサイネージの導入効果や設置場所別の活用方法を解説します。活用イメージをつかみ、ニーズに合ったシステムを導入しましょう。

工事現場での活用が広がるデジタルサイネージとは

デジタルサイネージは、従来のポスターや看板をデジタル化したメディアです。液晶ディスプレイなどの表示装置に画像や動画のコンテンツを配信し、多数の視聴者に対して高い訴求効果を発揮します。1つの画面で複数のコンテンツを自由に出し分けられ、ポスターなどに比べて内容の更新も容易です。

駅構内の柱巻きサイネージや電車内ビジョンを目にする機会がある方も多いでしょう。ペーパーレスで、遠隔からタイムリーに情報を更新できる点も特徴で、公共交通機関にとどまらず、飲食店やクリニックなどでも活用が進んでいます。さらに工事現場では、スタッフや近隣住民への情報提供手段としても利用が広がっています。

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工事現場にデジタルサイネージを導入する目的

工事現場へのデジタルサイネージの導入は、建設DXの第一歩として最適な施策です。建設DXに必要なデジタル技術の中では比較的容易に導入でき、現場が抱える課題の解決に役立ちます。また、工事現場におけるデジタルサイネージ活用は法的にも認められており、働き方改革や業務効率化などへの貢献が期待されています。

建設DXの一環として取り組みやすい

慢性的な人手不足や残業規制の適用を背景に、建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)を見据えたIT投資が活発になっています。建設DXでは、省人化や業務効率化、働き方改革の推進を目的として、AI・クラウド・ICT建機・ドローンといった技術の導入が進められています。

しかし、新たな技術を導入するには業務プロセスの見直しや人員配置の変更が伴うことも多く、どこから着手すべきか迷う場面もあるかもしれません。

その点、デジタルサイネージは既存の掲示物をデジタル化するものであり、比較的取り組みやすい施策といえます。専門事業者のサポートを受けることで、導入から運用までスムーズに進められます。現場スタッフや近隣住民への情報伝達も円滑になり、工事現場内のコミュニケーション効率が高まります。

デジタルサイネージ活用を国交省が明文化

建設業法では、施工体系図や建設業許可の掲示が工事現場で義務付けられています。これまでは紙やシートを用い、下請け業者の出入りに応じて印刷や防水加工、張り替えなどの作業が繰り返されてきました。

こうした中、2022年1月、国土交通省によりデジタルサイネージを使った掲示も正式に認められることが明確化されました。これは、建設業における働き方改革や、デジタル技術を活用した業務効率化・生産性向上を後押しする目的があります。

表示方法はスライドショー形式のほか、タッチパネル操作で施工体系図などを確認できる仕様にも対応可能です。掲示が義務づけられている標識に加え、図面や工事日程、安全管理に関するコンテンツも表示でき、より多面的な情報共有が実現します。

工事現場にデジタルサイネージを導入するメリット

工事現場にデジタルサイネージを導入すると、作業効率や安全意識の向上を目指しやすくなり、最新情報のタイムリーかつ的確な伝達も容易になります。スタッフ向けだけでなく、近隣住民と良好な関係を構築するツールとしても有用です。

現場の作業効率や安全意識の向上に役立つ

工事現場にデジタルサイネージを導入することで、明るく見やすい大画面で画像や動画を表示でき、情報伝達の効率化が図れます。

印刷物に代わり、大型ディスプレイから情報を一斉に共有できるようになるため、全体ミーティング時には大量の資料や大判図面を準備する手間が省けます。若手や新規入場者の理解も深まり、指示や作業にゆとりが生まれるほか、情報の伝達漏れを防ぐことで、連携ミスや作業の重複を抑える効果も期待できます。

さらに、常時放映される注意喚起のコンテンツが自己管理の意識を高め、安全な作業環境の構築・維持にも寄与します。

最新情報をタイムリーかつ的確に伝達できる

紙やシートによる掲示物は、工事の進捗や下請け業者の出入りに応じて、都度張り替える必要があります。掲示板が雑然とし、情報の新旧が分かりにくくなることも珍しくありません。

一方、デジタルサイネージならコンテンツデータを差し替えるだけで、情報の追加・更新が容易に行えます。クラウド型の配信システムを導入すれば、遠隔からの更新にも対応でき、常に最新の情報をタイムリーに提供できます。これにより現場の混乱を防止し、業務の円滑化にもつながります。

また、1画面で多様な情報をスライドショー形式で表示したり、タッチ操作で必要な情報を選んで閲覧したりすることも可能です。タブレット端末の表示内容を大型ディスプレイに投影し、複数人での情報共有を図ることもできます。

近隣住民への適切な情報提供で良好な関係を築ける

デジタルサイネージは、近隣住民と良好な関係を築くためのコミュニケーションツールとしても活用できます。工事現場では騒音や振動が発生し、近隣住民にストレスを与えたり、「一体何が行われているのか」と不安がらせてしまったりすることもあります。

クリーンな印象のあるデジタルサイネージにて、騒音情報や工事日程などを分かりやすく開示することで、近隣住民からのクレームを減らせるでしょう。合わせて熱中症・防災関連など市民生活に役立つ情報も積極的に提供することで、工事現場のイメージアップにつながります。

【設置場所別】工事現場におけるデジタルサイネージの活用方法

工事現場におけるデジタルサイネージは、屋外対応ディスプレイを朝礼看板や仮囲いに設置して運用するケースが一般的です。仮設の詰所に設置して、ミーティング中や休憩中などに情報共有するツールとしても活用できます。ここでは、設置場所別に具体的な活用方法を解説します。

朝礼看板

工事現場におけるデジタルサイネージ活用の代表例として、既存の朝礼看板をデジタル化する取り組みがあります。朝礼看板の中央部分などを、大型・高輝度の屋外対応LEDビジョンに置き換えることで、遠くからでも視認しやすい大画面にて、数十人や数百人に向けて各種情報を一斉に配信できるようになります。

朝礼の時間が近づくと集合案内を表示し、朝礼中には当日の作業行程や進捗目標、注意事項などを分かりやすく伝達できます。ラジオ体操のお手本動画を流すことで、現場の一体感を高める演出も可能です。

朝礼時や終礼時だけでなく、作業時間中や休憩時間中にも全体向けの情報共有に活用できます。気温や風速・風向き・雨量、熱中症への注意喚起、現場のルールなど、さまざまな情報を常時配信することができます。

仮囲い

近隣住民向けの情報提供として、これまで施工体系図や建設業許可を掲示していた仮囲いに、高輝度で防塵・防水仕様の液晶ディスプレイを設置することも効果的です。掲示義務のある標識に加えて、コーポレートカラーを取り入れた週間工程表や騒音・振動計など、各種情報を分かりやすく発信できます。

施設の完成イメージを画像や動画で放映すれば、工事現場に対する不透明感を払拭し、期待を持って受け入れられやすくなるでしょう。さらに、天気予報や時事ニュース、熱中症・防災・災害関連など、近隣住民に役立つ情報を提供することも有効です。

また、工事に関する情報を近隣住民や通行人がより確実に得られるようにするため、タッチパネルや人感センサーへの対応も適切です。画面の消灯が必要な場合には、Webサイトで施工体系図などを閲覧できることを掲示しておくと良いでしょう。

仮設の詰所

仮設の事務所・会議室・休憩所でも、デジタルサイネージは有効に活用できます。ミーティングや新規入場者教育の際、口頭や書面では伝えきれない情報も、ディスプレイを通じて効率よく共有できるようになります。工程表や図面の急な変更・修正が発生しても、資料の再配付や張り替え作業に追われることなく、迅速に最新情報を周知することが可能です。

さらに、外国人作業員向けに多言語表示の注意喚起動画を放映することもできます。安全・健康管理に関する情報のほか、職長・職員の紹介や忘れ物の案内など、さまざまな情報を1つの画面で提供できます。

デジタルサイネージのコンテンツ配信方法

工事現場にサイネージ端末を設置したら、画像や動画を何らかの方法で表示させることになります。常時配信するコンテンツは、クラウド型の配信システムで管理するのが得策です。現場の判断で即時共有したい情報は、デバイス画面のミラーリングで対応できます。常時配信するコンテンツが多くなる場合、タッチ操作で任意のコンテンツを選択表示させる運用も可能です。

クラウド型の配信システム

デジタルサイネージは、USBメモリなどに保存したコンテンツを放映することもできますが、情報の即時性が求められる工事現場では、遠隔でコンテンツ更新が可能なクラウド型の配信システムが有利です。インターネット環境さえあれば、任意のPCを使って、どこからでも更新作業を行えます。本社・支社からの一斉配信はもちろん、現場の仮設事務所からでも、必要な情報を適宜更新することが可能です。

ディスプレイには外付けのSTB(セットトップボックス)を接続し、ネットワーク経由で配信管理用サーバからデータをダウンロードします。クラウド型の配信システムでは、専門事業者のクラウドサーバを利用するため、サーバの調達や保守管理は不要です。また、専用の管理用ソフトウェアや運用サポートも提供されるため、技術的な専門知識がなくても、最低限の自社リソースで運用を開始できる点も強みです。

【関連記事:クラウド型デジタルサイネージとは?配信方式別メリットや導入の流れ

デバイス画面のミラーリング

工事現場での朝礼やミーティングの際には、PC・スマホ・タブレットの表示画面をミラーリングできる機能が重宝します。例えば、ノートPCとサイネージ端末をHDMIケーブルで接続すれば、ノートPCで表示しているWebサイトやPDFファイルなどを、そのまま大画面に表示できます。

Apple TVとサイネージ端末をHDMIケーブルで接続することで、iPadやiPhoneの画面も手軽にミラーリング可能です。アプリ内で管理されているデータなどを即時に共有したい場面で便利な配信方法です。

タッチ操作で任意のコンテンツを選択表示

タッチ操作に対応したデジタルサイネージなら、事前設定したスケジュール通りにスライドショーを表示しながら、必要に応じてタッチ操作で任意のコンテンツを選んで表示させることができます。詰所や仮囲いでの運用に適しており、これまで一方的な情報提供しかできなかった掲示板に代わって、インタラクティブなコミュニケーションツールとして活用できます。

タッチパネル式デジタルサイネージを導入するには、ディスプレイがタッチ操作に対応していることに加え、STBや管理用ソフトウェアもタッチコンテンツに対応している必要があります。機種選びや運用方法については、専門事業者のサポートを受けることも可能です。

【関連記事:タッチパネル式デジタルサイネージとは?活用事例や導入のコツを解説

工事現場に最適なクラウド型デジタルサイネージの導入ならイッツコム!

工事現場に導入するデジタルサイネージは、クラウド型の配信システムで運用するのが便利です。イッツコムは、コストを抑えた運用に最適なクラウド型デジタルサイネージを提供しています。

これまで紙の掲示物で利用していたデザインデータも、そのまま配信コンテンツとして流用できます。現場の事務所からでもリモートワーカーの自宅からでも、Webブラウザを通じて手軽に配信管理ができます。朝礼看板や仮囲いなど複数サイネージの運用でも、1台のノートPCから一括で更新・管理できるため、少人数の運用体制にも最適です。ニーズに合ったディスプレイとSTBの組み合わせなどもお任せください。

まとめ

工事現場は施工体系図・建設業許可の他に、図面や施工スケジュールなど、さまざまな情報を常時掲示する必要があります。デジタルサイネージはこれらの情報を一括で配信できる上、朝礼時・ミーティング時の全体向け情報共有や、近隣住民向けの情報提供にも活用できます。

サイネージ端末の設置場所が多くなるとコンテンツ更新が難しくなる恐れもありますが、クラウド型の配信システムなら、遠隔で効率的な配信管理が可能です。工事現場でのデジタルサイネージ活用をお考えなら、ニーズに合ったシステム構築や運用をサポートできるイッツコムにご相談ください。