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閉域網とVPNを比較解説!最適な回線選びのポイントとは

社内ネットワークの構築を検討する際、「閉域網」や「VPN」といった選択肢に悩む担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、それぞれの特性やメリット・デメリットを詳しく解説し、セキュリティ、通信品質、コストなどの観点から最適な選択を見つけるヒントをご提供します。また、効率的かつ柔軟な運用を可能にする「モバイル閉域接続」の活用法も紹介します。

閉域網とは?

閉域網は、外部の不特定多数がアクセスできるインターネットとは異なり、限定された利用者だけがアクセス可能な専用ネットワークです。物理的な専用回線や、仮想的に隔離された閉域VPNを使用することで、インターネットからの完全な分離を実現します。これにより、外部からの不正アクセスや情報漏洩といったリスクを大幅に軽減できます。

閉域網を導入するメリット

閉域網は、高いセキュリティと安定した通信品質を提供する専用ネットワークとして、多くの企業や組織で採用されています。外部のインターネットから隔離された環境により、重要なデータの安全性を確保しつつ、業務の効率化や柔軟なネットワーク構築を実現します。本章では、閉域網を導入することで得られる具体的なメリットについて解説します。

高いセキュリティ

閉域網は、外部のインターネットと物理的または論理的に分離されているため、セキュリティが非常に高いのが特徴です。特に金融機関や医療機関、防災システムなど、機密性の高い情報を扱う業務において、その信頼性が評価されています。

安定した通信品質

専用回線や通信事業者の閉域網を利用するため、通信品質が安定しています。これにより、大容量データのやり取りやリアルタイム性が求められる業務にも対応可能です。また、他の利用者による影響を受けにくいため、企業が求める高品質な通信環境を提供します。

柔軟なネットワーク構築

閉域網は、企業のニーズに応じた柔軟なネットワーク構築が可能で、拠点間接続やモバイル端末の利用など、さまざまな利用シーンに適応できます。テレワーク環境の整備もスムーズに行えるため、現代の働き方にも対応しやすいといえます。

閉域網のデメリット

閉域網の主なデメリットとして、コスト面の課題が挙げられます。専用線の敷設や機器の導入には高額な初期投資が必要で、運用や保守にも継続的なコストがかかります。一方、大規模なネットワーク運用ではコスト効率が高まる場合もあります。

また、拡張性の面でも制約があり、条件によってはネットワークの規模拡大や変更に多くの時間と労力を要することがあります。さらに、構築や運用には高度な技術力が求められるため、専門知識を持つ人材の確保や育成が重要となる場合もあります。

一方で、クラウドサービスを活用することで、構築や運用の負担を軽減できるケースもあります。こうしたコスト面や運用面の負担が、閉域網の導入を躊躇させる要因となるケースも少なくありません。

閉域網の種類

閉域網は、専用線とVPNに大別できます。専用線は物理的に隔離された高セキュリティのネットワークを提供する一方、VPNは仮想的な専用ネットワークを構築する技術で、コスト効率や柔軟性が求められる場合に適しています。それぞれの特性や利点、課題を理解することで、自社のニーズに合った最適な閉域網を選ぶことができます。

専用線

専用線は、特定の拠点間を直接接続する専用回線を使用する閉域網です。高いセキュリティと通信速度の安定性が特徴であり、金融機関や医療機関のように機密性が求められるデータ通信に適しています。また、通信が外部に漏れるリスクがほとんどないため、非常に信頼性が高いネットワーク環境を提供します。

しかし、物理的な専用回線を確保する必要があるため、導入コストや運用コストが他の方法に比べて高くなる点がデメリットです。また、設置場所や回線提供事業者によって利用可能性が制限される場合があります。

VPN

VPN(Virtual Private Network)は、仮想的な専用ネットワークを構築する技術です。閉域網として利用されるVPNには、インターネットVPN、エントリーVPN、IP-VPN、広域イーサネットといった種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。

インターネットVPN

既存のインターネット回線を利用して仮想的な専用ネットワークを構築する方式です。通信データは暗号化され、比較的低コストで導入可能です。

■メリット

  • コスト効率が良い
  • 拠点数の少ない企業やテレワーク環境に適している

■デメリット

  • 通信品質がインターネット回線の状況に依存するため、安定性に欠ける場合がある
  • セキュリティが暗号化方式に依存する

エントリーVPN

主に通信事業者が提供する閉域VPNサービスで、インターネットVPNよりもセキュリティが高く、企業間通信に適しています。

■メリット

  • 専用ネットワークを利用するため、通信品質がインターネットVPNよりも安定している。
  • 導入が比較的容易で、中小規模の企業向けに適している。

■デメリット

  • 通信事業者の提供範囲に依存する。

IP-VPN(閉域VPN)

MPLS(Multi-Protocol Label Switching)技術を利用して、通信事業者の専用ネットワーク内に仮想的な閉域網を構築する方式です。

■メリット

  • インターネットを使用せず、通信事業者の閉域環境で運用されるため、セキュリティが高い
  • 大規模な企業や多拠点の接続に適している

■デメリット

  • 導入コストが高い場合がある
  • 通信事業者のエリアやサービス内容に依存する

広域イーサネット

通信事業者が提供する専用の広域ネットワークで、企業のLAN環境を広域に拡張する方式です。

■メリット

  • 高速通信が可能で、大容量データのやり取りに適している
  • 通信品質が安定しており、リアルタイム性が求められる業務に適している。

■デメリット

  • 初期導入コストが高い場合がある
  • サービス提供エリアの制限がある

【関連記事:【VPNとは?テレワークに必要な理由や課題を知ってセキュリティを守ろう!

閉域網を導入するなら専用線?VPN?

閉域網を導入する際、専用線とVPNのどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。それぞれに異なる特徴があり、セキュリティ、通信品質、コスト、構築・運用の難易度や柔軟性といった観点から比較することで、自社のニーズに最適な選択が可能になります。

セキュリティ面の違い – 閉域網の優位性

専用線は、物理的に隔離された専用回線を使用するため、外部からの不正アクセスや情報漏洩のリスクが非常に低いのが特徴です。セキュリティ面では最高レベルの信頼性を提供し、金融機関や医療機関のように機密性が特に重視される環境に最適です。

インターネットVPNは暗号化技術を用いて通信を保護しますが、通信経路にインターネットを利用するため、専用線ほどの安全性は確保できません。ただし、最新の暗号化技術や強力な認証プロトコル(例: IPsecやSSL/TLS)を採用することで、一定のセキュリティを確保することは可能です。

閉域VPNは、通信事業者の専用ネットワークを利用して仮想的な専用回線を構築するため、インターネットを経由しません。このため、外部からの脅威に対して非常に強いセキュリティを提供します。専用線と同等のセキュリティが期待できる一方で、運用管理や構成次第では内部リスクを完全に排除することは難しい場合もあります。

通信品質とコストの違い – トレードオフの関係

専用線は、通信事業者が提供する専用回線を利用するため、通信品質が非常に高く、安定しています。大容量データの転送やリアルタイム性が求められる業務にも適していますが、初期導入費用や運用コストが高額になる点がデメリットです。

一方、インターネットVPNは既存のインターネット回線を利用するため、導入や運用コストが低く、特に小規模ネットワークやテレワーク環境の構築に適しています。ただし、通信品質はインターネット回線の状況に依存することから、速度の変動やレイテンシーが発生する場合があります。

閉域VPNであれば、通信事業者の専用ネットワークを利用することで、安定した通信品質を確保できます。専用線ほど高コストではありませんが、インターネットVPNよりも高額になる場合が多いです。通信品質とコストのバランスが取れており、多拠点間通信を必要とする企業に適しています。

構築・運用の難易度と柔軟性の違い

専用線は物理的な回線敷設が必要であるため、構築には時間とコストがかかり、高度な技術力を要します。一度構築すれば、運用は比較的安定していますが、ネットワークの拡張や変更には追加の時間と費用が必要となるため、柔軟性には制約があります。

インターネットVPNは既存のインターネット回線を利用できるため、構築が比較的容易で、初期費用や時間を抑えることができます。また、拠点の追加やネットワークの構成変更が簡単に行えるため、柔軟性に優れています。ただし、前述のように、セキュリティや通信品質の管理には注意が必要です。

閉域VPNは通信事業者の専用ネットワークを活用するため、専用線ほどの手間やコストをかけずに、高度なセキュリティと安定性を確保できます。拠点の追加やネットワーク構成の変更にも柔軟に対応でき、運用効率が高い一方、利用するサービス内容や提供エリアによって制約が生じる場合があります。

閉域網のセキュリティリスクと対策

閉域網は高いセキュリティを確保できる一方で、内部からのリスクや運用面での課題も存在します。ここでは、閉域網特有のセキュリティリスクとその対策について、内部脅威と外部脅威、マルウェア対策、異常検知、アップデート管理、クラウドサービスとの連携における注意点など、重要なポイントを詳しく解説します。

内部脅威と外部脅威

閉域網は外部からの脅威に強い反面、内部からのリスクも無視できません。例えば、業務外で使用したUSBメモリの接続や、一時的なインターネット接続を介したマルウェア感染が挙げられます。また、インターネットに依存しない運用特性から、セキュリティパッチの適用が遅れるケースも課題となります。

さらに、内部不正やヒューマンエラーといった人的脅威への対策も重要です。アクセス制御やログ監視、多層的なセキュリティ対策を講じることで、閉域網の安全性をさらに高めることが可能です。

マルウェア対策、異常検知、アップデート管理が重要

閉域網は外部からのアクセスを遮断したセキュアなネットワークですが、内部からのリスクにも注意が必要です。例えば、マルウェア感染したデバイスの接続や、外部業者が持ち込むUSBメモリなどの外部デバイスを介した感染リスクが挙げられます。

これらのリスクに対応するためには、EDR(Endpoint Detection and Response)による端末の異常検知や、NDR(Network Detection and Response)を用いたネットワークの監視・自動遮断が有効です。また、インターネット経由の自動更新ができない環境下でのセキュリティパッチやソフトウェアアップデートの適切な管理も重要です。

さらに、アクセス権限の最小化やログの定期的なチェックといった人的脅威への備え、そして物理的なセキュリティの確保も欠かせません。これらの多層防御の考え方に基づく対策を実施することで、閉域網の安全性をより高めることができます。

閉域網の構築を成功させるためのポイント

閉域網を導入する際には、セキュリティ、通信品質、コストだけでなく、運用管理の効率や将来の拡張性にも注目することが重要です。また、業務に適したソリューションを選ぶためには、自社のニーズに最適なサービスを提供するパートナーの選定が鍵となります。

要件に合ったサービス選定の重要性

企業が閉域網を構築する目的は多岐にわたり、特定の要件を満たすことが必要です。例えば、業務のリアルタイム性が重視される場合は、低遅延かつ高品質な通信が可能なサービスが求められます。一方、多拠点間のコスト効率を重視する場合は、閉域VPNのようなバランスの取れた選択肢が適しています。

また、構築後の運用負荷やトラブル対応も重要なポイントです。専任の技術スタッフがいない場合、運用をサポートしてくれるプロバイダーのサービスを選ぶことで、負担を軽減できます。

将来の拡張性と柔軟性を考慮した設計

閉域網の設計段階で将来的な拡張や拠点の追加を見据えておくことは、運用効率を高めるために重要です。例えば、拠点数が増えた際のネットワーク構成変更に迅速に対応できる閉域VPNを活用すれば、柔軟な運用が可能となります。また、クラウドサービスやモバイル接続を活用することで、業務のデジタル化を推進しながらセキュリティを維持できます。

イッツコムの「モバイル閉域接続」が選ばれる理由

イッツコムが提供するモバイル閉域接続は、セキュリティと通信品質を両立させた優れたソリューションです。特に、多拠点間通信やモバイルデバイスを活用した業務環境において、その利便性が評価されています。

高度なセキュリティと安定性

モバイル閉域接続を活用すれば、安全な通信環境を維持しながら外部からLAN環境へアクセスできます。通信経路は、NTTドコモ網とイッツコム網の閉域網を使用しており、高いセキュリティが確保されています。

また、インターネット網を利用しないため、ネットワークの存在が外部に知られるリスクがありません。存在が認識されなければ、不正アクセスや情報漏洩の心配がなく、インターネットVPNよりも安全性の高い通信を実現します。

手軽な導入と柔軟な運用

モバイル閉域接続は、既存のインフラに依存せず導入できるため、初期費用を抑えつつ迅速に運用を開始できます。さらに、拠点の追加やネットワーク構成の変更が簡単で、事業規模の拡大に応じた柔軟な対応が可能です。

利用方法もシンプルで、事前に登録したデバイスに専用SIMを挿入するだけで接続が完了します。デバイスへの複雑な設定やアプリのインストールが不要な点も大きな利点です。

また、モバイルネットワークを利用することで、リモートワークや外出先からの安全なアクセスが簡単に実現可能です。社外での通信もすべて社内ネットワークを経由するため、ログ管理が容易になり、セキュリティの向上にもつながるでしょう。

充実したサポート体制

イッツコムでは、専門スタッフが導入から運用まで一貫してサポートを提供します。トラブル時の迅速な対応や、ネットワーク最適化の提案など、運用における安心感を提供する体制が整っています。

まとめ

閉域網は高いセキュリティや安定した通信品質を提供する一方で、コストや拡張性に課題があります。一方、VPNは柔軟性やコスト効率に優れるものの、セキュリティや通信品質では閉域網に及ばない点が見受けられます。

企業がネットワークを構築する際は、セキュリティ、通信品質、コストのバランスを考慮しながら、自社のニーズに最適なソリューションを選択することが重要です。

イッツコムの「モバイル閉域接続」は、セキュリティの高さ、導入の手軽さ、運用の柔軟性を兼ね備えた優れた選択肢です。リモートワークや拠点間通信のニーズが高まる中、安心して利用できるネットワーク環境を提供します。社内のネットワーク環境を強化したい方は、ぜひイッツコムのモバイル閉域接続をご検討ください。