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BYODとは?メリット・デメリットや導入時の環境整備を分かりやすく解説

一般ユーザー向けデバイスの高性能化やクラウドサービスの台頭を受け、あえて私用デバイス業務利用を許可するBYODが注目されています。BYODの採用を検討しており、メリットや環境整備などに理解を深めたい企業担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

BYODの活用が求められる背景や運用時の注意点、安全な運用に必要な環境整備を理解することで、BYODをスマートに活用できます。法人向けモバイルデータ通信サービスとクラウドストレージの組み合わせにも目を向け、BYODの活用を成功させましょう。

そこでこの記事では、BYODの概要やメリット・デメリット、必要な環境整備についてご紹介します。

BYODとは?


BYODは私用デバイスを業務利用することを指します。日本ではそれほど一般化していませんが、私用デバイスの高性能化やクラウドサービスの台頭などを受け、活用を検討する企業も増えている状況です。まずはBYODとはどのようなものなのかという点を確認していきましょう。

私用デバイスを業務利用するBYOD

BYODとは、Bring Your Own Deviceの頭文字を取った略語で、「私用デバイスの業務利用」などと訳されます。企業の許可を取った上で、私物のスマホ・タブレット・ノートPCなどを用いて、デジタルデバイスの必要な業務をこなす仕組みです。

日本企業ではまだそれほど多く採用されているわけではありませんが、従業員の業務効率化や企業のコスト削減など多くのメリットがあり、世界的に普及が進んでいます。

BYODの活用が求められる背景

BYODを活用する背景には、高性能なスマホやタブレットを所有する個人や、マルチデバイス対応のクラウドサービスが増えていることを挙げられます。

私用デバイスが業務用デバイスよりも高性能で、業務遂行は私物のスマホやノートPCで事足りるようなケースは珍しくありません。この流れを受け、あえて私用デバイスの業務利用を認めるのがBYODです。

BYODを許可するメリット


BYODを許可すると、企業も従業員もさまざまなメリットを享受できます。例えば業務用デバイスを使う必要がなくなることによるコスト削減や業務効率化、柔軟な働き方の促進です。対策の難しいシャドーITの抑制を目的として、あえてBYODを許可する企業もあります。ここでは、これらのメリットについて詳しく見ていきましょう。

端末購入などのコストを削減できる

企業にとってBYODを採用する大きなメリットは、端末購入にかかるコストを削減できることです。企業がノートPCやスマホなどの業務デバイスを整備すると、従業員1人当たり数十万円のコスト投下となる場合もあります。

BYODを許可した従業員については、端末購入費がかからず、数年置きの機器更新も必要ありません。また従業員は使い慣れたデバイスを使用するため、教育コストもかけずに済みます。オフィス内のデバイスの購入費を削減すると、テレワーカー向けの機器整備などに費用を回しやすくなるのもポイントです。

業務効率化を促進できる

BYODは業務効率化にも効果的です。BYODを許可すると、業務用・私用のデバイスを2台持ちする必要がありません。2種類のデバイスに同じスケジュールを登録するなど、非効率な情報管理をしなくて済みます。

従業員は私用デバイスの使用方法に習熟しているため、スムーズに仕事を進められる他、トラブル解決も容易です。社内ヘルプデスクへの問い合わせも減り、職場の業務効率化を促進できます。

柔軟な働き方を促進できる

BYODを許可するだけで、いつでもどこでも仕事ができる体制に移行しやすくなるのもメリットです。業務デバイスを購入・貸与することなく、普段持ち歩く私用スマホで移動中にタスクをこなしたり、自宅のPCで集中して長時間作業に打ち込んだりできます。

これにより満員電車の回避や余暇時間の増加、ひいてはワークライフバランスの向上などさまざまなメリットを享受できるでしょう。このようにBYODはテレワークなどの柔軟な働き方の推進にも効果的です。

シャドーITを抑制できる

BYODの許可はシャドーITの抑制にも効果的です。シャドーITとは、業務利用されるデバイスやソフトウェアのうち、企業が関知していないものを指します。

例えば、企業の許可を受けずに私用デバイスを業務利用し、機密情報や顧客情報を保存している状況です。こういったデバイスがマルウェア感染や不正アクセスを被害に遭うと、企業が適切に対応できず、深刻な情報漏えいを起こすリスクがあります。

そこでBYODをあえて認め、利用状況を企業が管理することで、シャドーITによるセキュリティリスクの軽減が可能です。

【関連記事:『シャドーITとは?リスクとセキュリティ対策、導入管理すべきサービスを解説』

BYODを許可するデメリット


BYODにはコスト削減・業務効率化や柔軟な働き方の促進など、さまざまなメリットがあります。シャドーITの抑制にも効果的ですが、別のセキュリティリスクが増大することは懸念点です。また本来私用のデバイスを業務利用することから、プライバシー保護との両立も問題になります。ここでは、これらのデメリットについて詳しく確認していきましょう。

セキュリティリスクが増大する

BYODの採用はシャドーITの抑制には効果的ですが、別のセキュリティリスクを増大させる懸念もあります。私用デバイスの設定や利用するアプリの種類、業務時間外の利用範囲まで、企業が完全にコントロールすることは困難です。

BYODには、私的利用下でのフィッシング詐欺被害で情報漏えいを起こしたり、マルウェアに感染したまま業務利用したりするリスクがあります。私用デバイスが紛失や盗難に遭った場合、対応が複雑になる場合もあるでしょう。

【関連記事:『ゼロトラストとは?クラウド時代のセキュリティ対策をわかりやすく解説』

プライバシーとの両立が難しい

BYODのセキュリティリスクを軽減するために、管理用のセキュリティソリューションを活用する場合があります。しかしBYOD機器は本来私用のデバイスです。

業務中に利用できる機能をどこまで制限してよいのか、アクセス履歴や保存データなどを完全に把握してよいのかなど、プライバシー保護の課題があります。従業員のプライバシーを守りつつ、セキュリティ対策をし、効率的に私的デバイスを業務利用させるための仕組み作りが必要です。

BYOD採用に必要な環境整備


BYODの採用は企業による業務用デバイスの調達を不要とする一方で、通信環境の整備や運用ポリシーの策定など、新たな仕組み作りが必要です。また安全なファイル共有の仕組みとして、MCMや高機能なクラウドストレージの導入も求められます。

モバイルデータ通信サービスの整備

BYODをうまく取り入れるには、モバイルデバイスを活用しやすくするための通信環境整備が必須です。企業がモバイルデータ通信サービスを整備することで、プライベートと仕事を切り分け、いつでもどこでも私用デバイスを業務利用できるようになります。

例えば法人向けのデータSIMサービスとモバイルWi-Fiルーターとの組み合わせなら、私用デバイスのSIMカードを差し替える必要はありません。業務時間内のみ専用SIMを挿入したモバイルWi-Fiルーターを利用し、スマホやタブレットでも快適にインターネット接続ができます。

トラフィック管理の仕組み作り

モバイルデータ通信サービスを整備した上でトラフィック管理をすることも重要です。業務時間内はさまざまなICTツールを利用し、社内ネットワークにアクセスしたり、インターネット接続したりします。

一般的なトラフィック管理の方法は、ネットワーク接続の際に社内LANを経由する仕組みの、VPNサービスを利用するものです。これにより業務時間内のみアクセス履歴などの通信状況を管理でき、セキュリティ対策とプライバシー保護の両立ができます。

【関連記事:『企業向けVPNサービスとは?仕組みや無料・有料の違い、比較ポイントを解説』

運用ポリシーやセキュリティポリシーの策定

BYODの運用ポリシーやセキュリティポリシーを策定・周知徹底することも重要です。業務利用するアプリの種類や使用方法、企業が監視・制御する範囲など、BYODの運用体制のルールを設定します。情報の取り扱いについてのルールを統一しつつ、通信料金の計算方法やトラブル発生時の対処方法なども決めておきましょう。

MDM・MAM・MCMによる管理・統制

BYODのセキュリティソリューションの代表格はMDM(モバイルデバイス管理)です。MDMは全従業員のモバイルデバイスの設定・使用アプリなどの一元管理ができる他、端末紛失時のセキュリティ機能として遠隔でのロックやデータ消去にも対応します。

しかしMDMの管理対象はデバイス全体(ハード・ソフト・データ)に及ぶため、プライバシー保護との両立はネックです。ソフトとデータを対象としたMAM(モバイルアプリケーション管理)や、データのみを対象としたMCM(モバイルコンテンツ管理)なら、プライバシー保護と両立できます。

クラウドストレージによるファイル共有

BYODを採用するなら、安全なファイル共有の仕組みは必須です。クラウドストレージはインターネット経由でいつでもどこからでもアクセスできるため、BYODと組み合わせれば、業務デバイスに加えてファイルサーバ関連のコストも削減できます。

ただし一般的なクラウドストレージはアクセスログを追うことが困難です。通信・保存データの暗号化やログ監視などのセキュリティ機能を備えた「Box」なら、一般的なMCMツールと同等以上のモバイルセキュリティを提供できます。

【関連記事:『データ共有の方法を徹底解説!クワウドストレージがおすすめの理由とは?』

BYODの活用を成功させる環境整備はイッツコム!


イッツコムはコンテンツの利用状況を総合的に管理できる「Box」、シェアプランで低コストに通信環境整備ができる「法人データSIM」、より安全なネットワーク接続とトラフィック管理に対応する「モバイル閉域接続」を提供しています。ここでは、BYODの活用を成功させる3つのサービスの魅力を見ていきましょう。

コンテンツの利用状況を総合的に管理できる「Box」

BYODをうまく取り入れるにはいつでもどこからでもアクセスできるファイル共有システムは必須です。しかし一般的なクラウドストレージはコンテンツ管理の機能が不足しており、追加のセキュリティソリューションが求められます。

そこで導入したいのが、コンテンツ管理に特化した法人向けクラウドストレージ「Box」です。容量無制限のクラウドストレージであらゆるファイルを一元管理できる上、通信・保存データの強力な暗号化や7段階のアクセス権限設定などに対応し、安全なファイル保存・共有ができます。

130種類以上のファイル形式のオンラインプレビューに対応し、専用アプリがなくてもBoxのアプリやブラウザ上でプレビューが可能です。Officeファイルなどのオンライン共同編集にも対応するため、ファイルのダウンロードが必要ありません。このように端末にデータを残さずファイル操作ができるBoxは、BYOD機器の情報漏えいリスク軽減にも最適です。

また1,500種類以上のアプリと連携でき、70種類以上のログ監視にも対応するため、Box単体でコンテンツの利用状況を総合的に管理できます。

イッツコムは無償のユーザーサポートやカスタマーサクセス、有償の運用設計やデータ移行に対応し、Boxの導入から運用までトータルサポートが可能です。

シェアプランで低コストに通信環境整備「法人データSIM」

BYODでモバイルデバイスの活用を促進するなら、モバイルデータ通信サービスの整備が求められます。

そこで導入したいのが、イッツコムの「法人データSIM」です。安心のNTTドコモ回線を使用するため、NTTドコモのサービスエリア内のならどこからでも快適に利用できます。

モバイルWi-Fiルーターとのセット契約もできるため、私用デバイスのSIMカードを差し替える必要はありません。「シェアプラン」を選択すれば複数SIMでデータ容量をシェアでき、社員間で利用頻度に差があってもコストの無駄を抑えられます。

より安全なネットワーク接続とトラフィック管理「モバイル閉域接続」

Boxと法人データSIMを組み合わせると安全なファイル共有の仕組みは整います。さらに、社内LANへのアクセスやインターネット接続のセキュリティを高めるなら、法人データSIMと閉域網接続を組み合わせた「モバイル閉域接続」がおすすめです。

モバイルデバイスに専用SIMを挿入するだけの簡単設定で、インターネットを経由せず、NTTドコモ網・イッツコム網による閉域網を経由して社内LANへアクセスできます。専用SIMで経路判別する仕組みのため、一般的なVPNサービスとは異なり、ユーザーそれぞれで面倒なVPN設定や利用者ID・パスワードの管理は不要です。

インターネット接続の際は社内LANを経由し、企業側で通信ログも取得できるため、社内セキュリティポリシーの保持にも役立ちます。

まとめ


一般ユーザー向けデバイスの高性能化やクラウドサービスの台頭を受け、あえて私用デバイスの業務利用を許可するBYODが注目されています。BYODはシャドーITのリスク低減の他に、コスト削減や業務効率化、柔軟な働き方の促進にも有効です。

ただしBYODを安全かつ効率的に運用するには、運用・セキュリティポリシーを策定・周知徹底した上で、モバイルデータ通信サービスやファイル共有システムの整備が求められます。

イッツコムならクラウドストレージ「Box」と、「法人データSIM」または「モバイル閉域接続」の組み合わせにより、BYODを運用する仕組み作りをサポートできます。BYODの活用を成功させるなら、必要な環境を一括整備できるイッツコムにご相談ください。