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Wi-Fiルーターの寿命を見極める!買い替え時と必須機能も解説

Wi-Fiルーターの買い替え時といえるのは、基本的に「実用上の寿命を迎えたとき」です。新しいWi-Fi規格やWi-Fiセキュリティ規格に対応したり、より多くのデバイスを同時接続したりする場合、ハイスペックな機種への乗り換えが求められます。

Wi-Fiルーターの不調に悩んでおり、寿命や買い替え時の判断材料を求めている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、Wi-Fiルーターの寿命の見極め方や買い替えの考え方についてご紹介します。

Wi-Fiルーターの寿命は4種類


Wi-Fiルーターが寿命といえるタイミングはいくつかあります。性能低下や故障の他、Wi-Fi規格が古くなったケースがその代表です。問題なく使えているようでも、メーカーのサポート終了により、新しいファームウェアが提供されなくなることもあります。

性能低下や故障による寿命

Wi-Fiルーターにはハードウェアの寿命があります。PCやスマホでも使われるCPUなどの他、電波の送受信に関わるアンテナなども搭載するため、使用するほど劣化することは避けられません。故障を起こすリスクも高くなっていきます。

「不具合を起こさず使い続けられる期間」という意味での寿命は、5年~10年程度が目安です。機種や使い方によって劣化の進み具合は異なりますが、落雷による過電流や水滴・ほこりの侵入などがあると、より早く寿命を迎える場合もあります。

対応Wi-Fi規格による寿命

Wi-Fi規格は2年~6年程度の間隔で新バージョンがリリースされます。Wi-Fiルーターが対応する規格は、開発時点で規格化されている最新バージョンまでです。

多くのPCやスマホが最新規格に対応するようになると、旧バージョンまでしか対応していないWi-Fiルーターは「旧世代」の機種となり、「実用上は寿命を迎えた」と考えられます。

■これまでの規格とリリース履歴の一部

規格リリース最大通信速度
IEEE 802.111997年2Mbps(2.4GHz帯)
IEEE 802.11a1999年54Mbps(5GHz帯)
IEEE 802.11b1999年11Mbps(2.4GHz帯)
IEEE 802.11g2003年54Mbps(2.4GHz帯)
Wi-Fi4(IEEE802.11n)2009年600Mbps(2.4GHz帯/5GHz帯)
Wi-Fi5(IEEE802.11ac)2013年6.9Gbps(5GHz帯)
Wi-Fi6(IEEE802.11ax)2019年9.6Gbps(2.4GHz帯/5GHz帯)
Wi-Fi6E(IEEE802.11ax)2022年9.6Gbps(2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯)
Wi-Fi7(IEEE802.11be)2024年予定46Gbps(2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯)

【関連記事:Wi-Fi6とは?5Gとの違いやメリット、おすすめ機器をわかりやすく解説

対応Wi-Fiセキュリティ規格による寿命

Wi-Fiルーターには「Wi-Fi通信の安全性を担保できるかどうか」という意味での寿命もあります。

Wi-Fiの電波は360°方向に拡散するため、通信傍受が容易です。また電波の届く範囲内から、無関係な第三者もWi-Fiルーターに接続要求できます。このためWi-Fiセキュリティとして、「暗号化による通信データの秘匿」「認証による不正アクセスの防止」の2点が必須です。

Wi-Fiセキュリティ規格にもバージョンの変遷があり、古いWi-Fiルーターは安全性の低い旧バージョンの規格にしか対応していません。古いWi-Fiルーターは、「使い続けること自体がセキュリティリスク」になり得ます。2023年6月時点で使用を推奨されるのは「WPA3」のみです。

・WEP:1999年リリース
・WPA:2002年リリース
・WPA2:2004年リリース
・WPA3:2018年リリース

【関連記事:WEPとは?Wi-Fi暗号化の仕組みや脆弱性、改良の歴史を解説

メーカーのサポート終了による寿命

Wi-Fiセキュリティ規格の他に、Wi-Fiルーター本体のセキュリティレベルにも寿命があります。メーカーはサポート期間について明示しない場合が多いものの、リリースから5年未満でサポート終了となる機種は珍しくありません。

サポート終了後は、新しいバージョンのファームウェアが提供されなくなります。機能上の不具合や重大な脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が発見されても、古い機種は放置されたままです。こういったセキュリティに問題のある機種は、メーカーがリストアップして情報開示し、使用停止を訴えている場合があります。

Wi-Fiルーターの寿命のサインや症状


Wi-Fi・インターネット通信が遅い・途切れる・つながらないといった場合、Wi-Fiルーターの寿命のサインかもしれません。古いWi-Fiルーターを使い続けると、「デバイスを買い替えても通信速度が変わらない」「充電ができない」といった問題も生じます。

通信が遅い・途切れる・つながらない

Wi-Fiルーターが劣化・故障すると、「性能低下により通信速度が遅くなる」「誤動作や機能停止を起こす」という症状が出ます。

通信速度の低下や途切れる・つながらないという問題の原因は、近隣のWi-Fi機器の増加やソフトウェアの不具合などさまざまです。とはいえWi-Fiルーターを長年使い続けていたり、クラッシュした経験があったりする場合、ハードウェアの劣化・故障も原因として考えられるでしょう。

デバイスを買い替えても通信速度が変わらない

ネットワーク技術の発展やデバイスの高性能化などに伴い、Wi-Fi規格は高速化を続けています。例えば2019年リリースのWi-Fi6は、最大9.6Gbpsの通信速度が強みの1つです。新規リリースされるPCやスマホは、Wi-Fi6など新しい規格に対応しています。

一方、2010年当時の最新Wi-Fiルーターであれば、対応規格はWi-Fi4(最大通信速度600Mbps)までです。Wi-Fiルーターが古いままだと旧バージョンのWi-Fi規格で接続することになり、デバイスを買い替えても通信速度の向上は望めません。

電源トラブルが起こる

Wi-Fiルーターが劣化すると電源トラブルを起こす場合もあります。据え置き型のWi-FiルーターはACアダプター、モバイルWi-Fiルーターはバッテリーで電源供給しますが、どちらも経年劣化する機器です。

ACアダプターは10年程度使える場合もありますが、使用状況によっては寿命が短くなります。またバッテリーの寿命は一般的に2年程度です。電源トラブルが起こるときには機器本体の劣化も進んでいるため、「そろそろ寿命かも」と考えるタイミングといえます。

Wi-Fiルーターの不具合の対処法


Wi-Fiルーターは、寿命といえるほど劣化していなくても、不具合を起こす場合があります。一時的な不具合なら、機器の再起動やファームウェアのアップデートで解決可能です。

また古いWi-Fiルーターに複数のデバイスを接続すると、通信速度の遅さや不安定さが問題になることもあるでしょう。この問題をなるべく起こさない対処法もあります。

デバイスやWi-Fiルーター・ONUを再起動

Wi-Fiルーターの調子がおかしいと感じたら、デバイスやWi-Fiルーター、ONU(光回線終端装置)の再起動を試しましょう。

問題がPCやスマホの一時的な不具合なら、Wi-Fiの再接続やデバイスの再起動だけで解決できる場合もあります。解決できない場合、原因はネットワーク機器の設定不備かもしれません。この場合はデバイス・Wi-Fiルーター・ONUを全て再起動しましょう。

まずデバイス側からWi-Fiルーター・ONUを電源オフにしていき、2~3分程待ってからONU・Wi-Fiルーター・デバイスの順に電源を入れます。ステータスランプに問題がないことを確認し、Wi-Fiを再接続しましょう。

ファームウェアのアップデート

機器の再起動による設定リセットで問題が解決しない場合、モバイルWi-Fiルーターのファームウェアが原因かもしれません。Wi-Fiルーターのメーカーは、不具合や脆弱性を解消するために、随時新しいバージョンのファームウェアをリリースしています。

専用アプリやWebブラウザからWi-Fiルーターの管理画面にアクセスし、ファームウェアをアップデートしましょう(更新方法はメーカーや機種によって異なります)。なお、サポートが終了した機種は、重大な不具合や脆弱性に対応したバージョンを利用できない場合があります。

同時接続時に接続先SSIDを振り分ける

Wi-Fiルーターの調子がおかしいと感じる原因は、同時接続台数が多いからかもしれません。同時接続時には1台当たりに割り当てられる通信帯域は少なくなり、古いWi-Fi規格だと通信の順番待ちも発生します。「低スペックな古いWi-Fiルーターは、同時接続時に速度低下や通信のタイムアウトを起こしやすい」と考えましょう。

また2.4GHz帯は電波干渉を起こしやすい周波数帯です。近隣にWi-Fi機器が増えたことで通信トラブルを起こしやすくなっている場合もあるでしょう。

2.4GHz帯・5GHz帯の両方に対応したWi-Fiルーターなら、5GHz帯のSSIDに接続デバイスを振り分けることで、通信速度を改善できます。ただしSSIDを1つしか設定できない古い機種は、この方法を選択できません。

Wi-Fiルーターの買い替え時の目安


Wi-Fiルーターは、故障を起こさず使い続けられても、いずれ実用上の寿命を迎えます。Wi-Fiルーターの買い替え時といえるのは、新しいWi-Fi規格・Wi-Fiセキュリティ規格を利用する必要が生じたときや、同時接続台数が増えたときなどです。ここでは、Wi-Fiルーターの買い替え時の目安を詳しく解説します。

PCやスマホを買い替えたとき

2023年6月時点、新しいPCやスマホの多くはWi-Fi6に対応しています。PCやスマホを買い替えたとき、「デバイスはWi-Fi6対応なのにWi-Fiルーターは非対応」ということに気付いたら、Wi-Fiルーターの買い替え時です。

Wi-Fi6対応ルーターに買い替えることで、ハイスペックなデバイスを快適にWi-Fi接続できます。ただし、機種によって性能差があることは注意点です。また5GHz帯と2.4GHz帯でも最大通信速度は異なります。Wi-Fi6対応ルーターの5GHz帯・2.4GHz帯の最大通信速度例は以下の通りです。

・エントリーモデル:1,201Mbps+574Mbps
・ミドルレンジモデル:2,402Mbps+574Mbps
・ハイエンドモデル:4,804Mbps+1,147Mbps

Wi-Fiセキュリティを強化したいとき

古いWi-Fiルーターを使い続けると、認証や暗号化の仕組みも古いままです。デバイスがWPA3などの新しいセキュリティ技術に対応していても、Wi-Fiルーターが非対応ならその恩恵を享受できません。「Wi-Fiセキュリティを強化したい」と思ったら、Wi-Fiルーターの買い替え時です。

Wi-Fi6はWPA3に標準対応します。Wi-Fiセキュリティの強化という意味でも、「Wi-Fi CERTIFIED 6」の認証を受けた機種を選びましょう。

同時接続台数が増えたとき

Wi-Fiルーターは機種によって性能差があり、安定して同時接続できるデバイス数にも違いがあります。古く安価な家庭用Wi-Fiルーターは、推奨同時接続台数が10台未満のものも珍しくありません。こういった機種で同時接続台数を増やすと、「頻繁に通信が途切れる」「新しいデバイスが接続できない」といった問題も生じます。

Wi-Fi接続をするデバイスが増えた場合、同時接続台数の多いWi-Fiルーターに買い替えることは必須です。将来的な拡張性も踏まえ、50台~100台程度の同時接続に対応するハイスペックな機種をおすすめします。なお、Wi-Fi6は「OFDMA」という技術の採用により、同時接続時に通信の順番待ちが発生しないことも利点です。

高速回線やIPv6 IPoE対応プロバイダを契約したとき

高速な光回線や「IPv6 IPoE」対応のプロバイダを契約した際も、Wi-Fiルーターの買い替え時です。インターネット区間の通信速度が上がっても、Wi-Fi区間の通信速度が遅ければ、高速回線へ乗り換えた恩恵を享受できません。また、従来のインターネット接続方式「IPv4 PPPoE」は、以下2点の問題があります。

・インターネット接続端末に割り当てられるIPアドレス数が枯渇
・プロバイダによるユーザー認証が必須であるためトラフィック渋滞を起こしやすい

これらの問題を解決できるIPv6 IPoEへの移行が全世界で進んでいます。しかし古いWi-FiルーターはIPv6 IPoEに対応していません。最大通信速度だけでなく、IPv6 IPoE対応の有無もチェックしましょう。

【関連記事:Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説

フリーWi-Fiを提供したいとき

オフィスや店舗で「来客向けにフリーWi-Fiを提供したい」という際も、Wi-Fiルーターの買い替え時です。多数のユーザーに快適かつ安全なWi-Fiを提供するには、最大同時接続台数が多く、Wi-Fi6・WPA3対応であることなどが求められます。

また「ゲストWi-Fi機能」に対応していることも重要です。ゲスト用のSSIDを設定することで、従業員用のネットワークとゲスト用のネットワークを分離できます。従業員はWi-Fi経由でLAN内のデバイスにアクセスできますが、ゲストはインターネット接続ができるだけです。

フリーWi-Fiを提供するなら、ゲストWi-Fi機能のあるハイスペックな機種への乗り換えを検討しましょう。

【関連記事:店舗にWi-Fi導入するメリットは?導入時のポイントや事例も紹介

Wi-Fiの悩みは「かんたんWi-Fi」でスマートに解決!


古いWi-Fiルーターで問題になるのは、多くの場合Wi-Fi機能です。ルーター機能に問題がない場合、Wi-Fi機能に特化した「Wi-Fiアクセスポイント(AP)」を増設するという方法もあります。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」なら、高性能APを簡単に増設可能です。設定済みのAPが届いたら、LANケーブルと電源ケーブルを接続するだけで使い始められます。既存のネットワーク設定を変える必要はありません。

「ハイエンド6」プランのAPはWi-Fi6に対応し、Wi-Fi区間の最大通信速度は2.4Gbpsを誇ります。最大同時接続台数は1AP当たり100台で、通信の順番待ちも発生しません。ゲストWi-Fi機能も搭載するため、「快適なフリーWi-Fiを提供したい」というニーズにも柔軟に対応できます。

まとめ

Wi-Fiルーターは経年劣化という意味では5年~10年程度は使い続けられます。ただし、対応するWi-Fi規格やWi-Fiセキュリティ規格が「時代遅れ」になったら買い替え時です。「Wi-Fi機能に問題があってもルーター機能に問題はない」という場合、Wi-Fiアクセスポイント(AP)を増設することも考えられます。

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