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Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説

Wi-Fiの新バージョンWi-Fi6とインターネット通信規格の新バージョンIPv6には、どちらも「6」が付いています。Wi-Fi6やIPv6というワードを見聞きし、関係性や意味について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。

Wi-Fi6と旧バージョンの違いや、IPv6 IPoEとIPv4 PPPoEの違いを理解することで、これからの通信環境整備を具体的に検討できます。ネットワーク社会の変化に追い付き、Wi-Fi機器やインターネット回線をアップグレードしましょう。

そこでこの記事では、Wi-Fi6とIPv6の違いやメリット、利用に当たって必要なものについてご紹介します。

Wi-Fi6とIPv6の違いとは?


Wi-Fi6は最新の無線LAN規格で、IPv6はインターネット通信の新しい規格です。ここでは、偶然にも同じ「6(どちらもバージョン)」が付く、Wi-Fi6とIPv6の違いを解説します。また、IPv6で利用できる新しいインターネット通信方式「IPv6 IPoE」についても見ておきましょう。

Wi-Fiの最新バージョン「Wi-Fi6」とは?

Wi-Fiは電波を使って無線LANを構築するための技術規格で、数年置きにバージョンアップを続けています。Wi-Fi6とは、Wi-Fiの最新バージョン「IEEE 802.11ax」の愛称です。

Wi-Fi規格は「IEEE 802.11○」と表記しますが、バージョンの新旧が分かりにくいため、最新バージョンをWi-Fi6と呼ぶようになりました。これに合わせ、1世代前のIEEE 802.11acをWi-Fi5、2世代前のIEEE 802.11nをWi-Fi4と呼びます。

新しいインターネット通信規格「IPv6」とは?

IPv6(Internet Protocol Version 6)とは、インターネット通信規格の最新バージョンです。これまでのインターネットは、全世界でIPv4という規格の下にプロトコル(通信規約)を定め、共通ルールとしていました。

しかし、IPv4はインターネット上の住所であるIPアドレスを32ビットで表現するため、全世界で割り当てられるIPアドレスは約42億台分です。ネットワーク機器が急増する中、IPアドレスは枯渇しており、このままでは新しいデバイスがインターネットに接続できない状況にもなりかねません。

そこで急務となっているのが、IPv6への移行です。IPv6はIPアドレスを128ビットで表現するため、ほぼ無限(2の128乗台分)のデバイスをインターネットに接続できます。

新しいインターネット通信方式「IPv6 IPoE」とは?

IPv6 IPoEとIPv4 PPPoEの違いの違いも知っておきましょう。インターネット接続の仕様は、IPv4はPPPoE(PPP over Ethernet)、IPv6はIPoE(IP over Ethernet)を利用します。

PPPoEはインターネット接続時にプロバイダの設備でユーザー認証をする方式ですが、IPoEにはこのプロセスがありません。

IPv4はIPoEをサポートしないためPPPoEでインターネット接続します。IPv6はIPoEとPPPoEの両方に対応しており、さまざまなメリットのあるIPv6 IPoEへの移行が進んでいる状況です。

Wi-Fi6のメリット


Wi-Fi6はあらゆる面で過去バージョンより優れています。主な改善点は通信速度・安定性・省エネ性能です。スマホやタブレットで快適にインターネット接続するにはWi-Fi接続が必要です。モバイルデバイスの業務利用が増え、インターネット回線の高速化やデジタルコンテンツの大容量化が進む中、最新のWi-Fi規格に対応する必要性は高まっています。

最も高速なWi-Fi規格

Wi-Fi6のメリットのひとつは、通信速度が非常に高速であることです。理論値はWi-Fi5の1.4倍、Wi-Fi4の16倍に及びます。

・Wi-Fi6:最大9.6Gbps
・Wi-Fi5:最大6.9Gbps
・Wi-Fi4:最大600Mbps

Wi-Fi6は光回線や5G(第5世代移動通信システム)のポテンシャルを発揮できる仕様です。Wi-Fi機器自体の最大通信速度や同時接続台数にもよりますが、インターネット回線が高速になるほど、Wi-Fi6対応のWi-Fi機器を利用する効果は高まります。

安定性も高まったWi-Fi6

Wi-Fi6は通信の安定性も魅力です。Wi-Fi5やWi-Fi4は、複数デバイスを同時接続すると通信の順番待ちが起こります。これが「遅い・つながらない」原因のひとつです。

Wi-Fi6は「OFDMA(直交周波数分割多元接続)」という技術を採用しており、同時接続台数が多くなっても通信の順番待ちを起こしません。同時接続台数が多いほど過去バージョンとの安定性の差は大きいため、大規模なオフィスや店舗ならWi-Fi6が向いています。

省エネ性能も高まったWi-Fi6

Wi-Fi6は過去バージョンより省エネ性能も高くなっています。Wi-Fi機器と接続デバイスは電波で無線通信しますが、通常は接続デバイスの通信機能が常にオンの状態です。

Wi-Fi6が採用する「TWT(Target Wake Time)」という技術は、信号受信待機の必要がないデバイスの通信機能をスリープ状態にし、必要なタイミングで個別にスリープ解除します。

過去バージョンにも省電力機能はありましたが、全ての接続デバイスを一斉にスリープ解除する仕様でした。Wi-Fi6はよりスマートにスリープを制御するため、デバイスのバッテリー節約効果が高まっています。

【関連記事:『Wi-Fi6やWi-Fi6Eはいつから利用できる?特徴やメリット、利用上の注意を解説』

IPv6 IPoEのメリット


IPv6 IPoEには、IPv4とIPv6の違いによるメリットと、PPPoEとIPoEの違いによるメリットがあります。よく強調されるメリットは、後者の違いにより、安定した高速通信が可能なことです。ここでは、IPv6 IPoEの主なメリットを3つ解説します。

IPv4 PPPoEより高速なIPv6 IPoE

IPv6 IPoEのメリットのひとつは、IPv4 PPPoEより高速かつ安定したインターネット通信ができることです。

PPPoEは網終端装置という設備を経由して、プロバイダのユーザー認証を受けます。この仕組みによりトラフィックの渋滞が起こりやすく、通信速度が安定しなかったり、アクセスユーザー数の多い時間帯(夜間や休日)に深刻な速度低下を起こしたりするのがネックです。

この点IPoEは網終端装置を経由せず、プロバイダの認証も受けません。「渋滞するゲートをくぐらなくてもよい高速道路」のようなもので、IPv4 PPPoEよりも快適にインターネット通信ができます。

IPv6対応のWebサービスを利用できる

IPv6対応のWebサイトやWebサービスを利用できることも、IPv6 IPoEを利用するメリットです。これは重要なポイントですが、IPv6とIPv4には互換性がありません。

IPv6 IPoEはIPv4 PPPoEより高速なインターネット通信ができますが、この恩恵を受けられるのは、ユーザーとWebサービスの両方がIPv6に対応している場合のみです。自社がIPv6に対応することで、社内から他社のIPv6対応Webサービスを利用でき、またユーザー(従業員)にIPv6対応Webサービスを提供できます。

ルーターのアカウント設定が不要

IPv6 IPoEを利用するとルーターのアカウント設定が不要になるのもメリットです。IPv4 PPPoEはプロバイダのユーザー認証が必要であるため、ルーターでユーザーIDとパスワードの設定をしてインターネット接続します。

IPv6 IPoEはプロバイダのユーザー認証を受けずにインターネット接続するため、ルーターのアカウント設定は不要です。これにより設定や管理の手間を省き、接続ミスを防止できます。

Wi-Fi6の利用に必要なもの


Wi-Fi規格はバージョンによってハードウェア・ソフトウェア両面で技術規格が異なるため、特定バージョンを利用するにはWi-Fi接続をする両方の機器でバージョン対応が必要です。

バージョン対応は基本的に機器の発売年に依存し、新しい機器には下位互換性が保持される仕様です。より新しい機器は、より新しいバージョンに対応するための機能を追加しつつ、より古いバージョンにも対応します。

Wi-Fi6対応のアクセスポイントとクライアント

Wi-Fi6を利用するには、Wi-Fi6対応の親機(アクセスポイント)と子機(クライアント)が必要です。Wi-FiルーターなどのWi-Fi機器を親機と呼び、スマホやPCなどの接続デバイスを子機と呼びます。

Wi-Fi6は2019年秋に登場したバージョンなので、それ以前に発売されたモデルは一部を除いて非対応です。Wi-Fiには下位互換性があるため、子機がWi-Fi6対応で親機はWi-Fi4まで対応という場合、Wi-Fi4までのバージョンでWi-Fi接続します。

親機がWi-Fi6に対応していない場合は?

買い替え頻度の高いスマホやPCとは異なり、Wi-Fi機器は一度も買い替えたことがないユーザーも多いでしょう。

子機だけがWi-Fi6に対応している場合、Wi-Fiルーターの買い替えか、Wi-Fi6対応のWi-Fiアクセスポイント(AP)の増設が必要です。Wi-Fiルーターの買い替えは小規模オフィスには有効ですが、設定の手間がかかる上、親機の位置を変更できません。

APはルーターとLANケーブルで接続し、簡単な設定で自由な位置にWi-Fi基地局を増設できます。この場合の親機はAPとなるため、ルーターがWi-Fi6に対応している必要はありません。

【関連記事:『Wi-Fiのアクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説』

IPv6 IPoEの利用に必要なもの


IPv6とIPv4には互換性がありません。IPv6 IPoEを利用するには、回線事業者・プロバイダ・ルーターのIPv6 IPoE対応が必要です。インターネット回線やルーターは、IPv6には対応しているものの、回線事業者・プロバイダがIPoEには非対応という場合 に注意しましょう。

1.回線事業者とプロバイダがIPv6 IPoE対応

IPv6 IPoEを利用するために必要なことは、回線事業者とプロバイダがIPv6 IPoE対応であることです。NTT東日本・西日本など主要な回線事業者はIPv6 IPoEに対応済みですが、「IPv6には対応しているがIPoEは非対応」という場合もあります。またプロバイダのIPv6 IPoE対応状況もさまざまです。

対応済みでも自動でIPv6 IPoEに移行せず、有料オプションとしてIPv6 IPoEサービスを提供している場合もあるため、サービス内容をチェックしましょう。

2.ルーターがIPv6 IPoE対応

インターネット回線に加え、ルーターがIPv6 IPoEに対応していることも必要です。機種によってIPv6 IPoEの状況は異なります。

また、「IPv6には対応しているがIPoEは非対応」という製品もあり、プロバイダ独自のIPv6 IPoEサービスもさまざまです。ファームウェアのアップデートで対応できる場合もありますが、まずは製品の対応状況を確認しましょう。

インターネット回線やルーターがIPv6 IPoE非対応の場合は?

インターネット回線がIPv6 IPoEに対応していない場合、回線事業者・プロバイダがIPv6 IPoEに対応するのを待つか、サービスの乗り換えが必要です。ルーターがIPv6 IPoEに非対応の場合、ファームウェアのアップデートでも解決しないなら、対応機種への買い替えが求められます。

Wi-Fi6とIPv6 IPoEに両対応するならイッツコム!


イッツコムなら「かんたんWi-Fi」と「イッツコム光接続サービス」により、Wi-Fi6とIPv6 IPoEに両対応できます。Wi-Fiとインターネット回線の両方を一括整備し、1社でトータルサポートが可能です。

低コストで通信環境を整えるなら、モバイルWi-Fiルーターとセット契約できる「法人データSIM」という選択肢もあります。ここからは、Wi-Fi6を快適に使いこなすためのイッツコムのサービスを紹介いたします。

簡単にWi-Fi6対応のWi-Fiアクセスポイントを増設「かんたんWi-Fi」

Wi-Fi6を利用するなら、Wi-Fiルーターの買い替えか、Wi-Fi6対応のWi-Fiアクセスポイント(AP)の増設が必要です。ただしWi-Fiルーターは光コンセント近くに固定されがちで、電波の死角も生まれやすく、買い替えに当たって機器の再設定も求められます。

そこで導入したいのが、高性能なAPを簡単に増設できる「かんたんWi-Fi」です。届いたAPにLANケーブルと電源ケーブルを接続するだけで、自由なレイアウトでWi-Fi基地局を増設できます。「ハイエンド6」プランならWi-Fi6対応で、同時接続台数は1AP当たり100台、さらにゲストWi-Fi機能によるフリーWi-Fiの提供も可能です。

IPv6 IPoE標準対応の法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」

インターネット接続サービスはオプション構成が複雑でIPv6 IPoEの対応状況や利用方法が分かりにくい場合もあります。

そこで導入したいのが、IPv6 IPoE標準対応の法人向け光回線「イッツコム光接続サービス」です。一般的な光回線を上回る下り2Gbps・上り1Gbpsの高速回線に加え、IPv6 IPoE対応であるため安定性も高く、かんたんWi-Fiと組み合わせればインターネット回線をトータルにアップグレードできます。

プロバイダ・光回線一体型であるため、他社サービスよりランニングコストを抑えられ、トラブルシューティングもスピーディーです。

モバイルWi-Fiルーターとセット契約もできる「法人データSIM」

イベント時や期間限定の店舗、移動販売で一時的なWi-Fi利用をしたかったり、キャンプ場など固定回線が引けない場所もあったりするでしょう。それらの場所に低コストで通信環境を整えるには、モバイルデータ通信サービスを利用する方法があります。

そこでおすすめなのがイッツコムの「法人データSIM」です。安心のNTTドコモ回線を利用するため、NTTドコモのサービスエリア内ならどこからでもアクセスできます。

「シェアプラン」を選択すれば複数SIMで通信容量をシェアできるため、ユーザー間で月間の通信量に差があってもコストの無駄は生じません。SIMとモバイルWi-Fiルーターのセット契約もあるので、PCやスマホなど複数台のデバイスのWi-Fi接続をする場合にも便利です。

まとめ


モバイルデバイスの利用拡大や通信データの大容量化などに伴い、新しいWi-Fi規格やインターネット通信規格への対応が急がれています。ビジネスチャンスを逃さないためにも、Wi-Fi6やIPv6 IPoEに対応できるWi-Fi機器やインターネット回線を整備しましょう。

イッツコムなら「かんたんWi-Fi」と「イッツコム光接続サービス」により、Wi-Fi6とIPv6 IPoEに両対応できます。低コストで通信環境を整備するなら、モバイル Wi-Fiルーターとセット契約できる「法人データSIM」もおすすめです。通信環境のアップグレードをお求めなら、Wi-Fiもインターネット回線も1社でトータルサポートできるイッツコムにご相談ください。