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開業費とは?費用範囲や繰延資産・任意償却の仕訳方法と開業準備のコツ

開業に当たって店舗・事務所の環境整備などにかかるさまざまな費用は、開業費(繰延資産)として資産計上し、任意の年度・金額で償却(経費計上)できます。課税所得の圧縮に役立ちますが、会計処理の方法はやや特殊なため、開業費の考え方を理解し、正しく記帳することが必須です。

そこでこの記事では、開業費に含められる費用の範囲、具体的な仕訳方法や注意点を解説します。開業費の任意償却を活用し、環境整備などにかかった費用を事業運営に役立てましょう。

開業費とは?基礎知識を整理

開業準備にかかった費用は繰延資産(開業費)として計上でき、事業主の判断で償却(経費計上)の方法や年度・金額を選べます。個人事業の開業ではなく法人の設立の場合、創立費と開業費を区別して資産計上・償却を行います。まずは開業費の基礎知識を解説します。

繰延資産として償却(経費計上)できる開業費

開業費とは、事業を本格的に開始するためにかかった準備費用です。開業費は「繰延資産」に該当し、仕訳の際は勘定科目を「開業費」として資産計上します。繰延資産とは、本来は費用として処理される支出のうち、その支出の効果が1年以上に及ぶため、一時的に資産として計上できるものです。

開業費(繰延資産)の償却(経費計上)の方法は、60か月(5年)の均等償却、または任意償却のいずれかを選択できます。個人事業主でも法人でも開業費(繰延資産)は資産計上できますが、対象となる費用の範囲・時期に違いがあります。

法人は「創立費」と「開業費」を区別する

個人事業主の場合は開業準備に要した費用を「開業費」として扱い資産計上しますが、法人の場合は「創立費」と「開業費」を区別して資産計上します。創立費は法人のみ使用する勘定科目です。

  • 創立費:法人設立登記が完了するまでに、法人格の取得や設立準備に要した費用
  • 開業費:法人設立登記の完了後、事業開始までの準備期間に要した特別な費用

法人における創立費と開業費はどちらも繰延資産に該当し、60か月(5年)の均等償却、または任意償却のいずれかを選んで償却(経費計上)できます。

開業費の償却方法「均等償却」と「任意償却」の違い

均等償却は、開業費を60か月で割り、開業日から5年間にわたって経費計上していく償却方法です。利益の多い年度でも少ない年度でも、また赤字の年度でも、経費計上できる金額は開業(営業開始)時点であらかじめ決まっています。

一方、任意償却は、任意の年度に任意の金額を必要経費として算入できます。開業初年度から数年間にわたって全く償却せず、任意の年度に全額償却することも可能です。利益が多く出た年度に多額の償却費を計上することで、その年の課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

費用を開業費に含められる期間

開業費に含められる費用は、法人の場合は法人設立から営業開始までに要した費用に限定されます。一方、個人事業主は過去・いつからの費用を開業費に含めるかについては法律上の定めはなく、開業準備に数年かかった場合でも数年分の費用を開業費として計上可能です。

ただし一般的に妥当と考えられるのは、開業日の半年前から1年前程度でしょう。1年以上さかのぼると税務署の目が厳しくなる可能性もあるため、開業準備にかかった費用の内容・金額などに関して証拠を残しておくことが必要です。

開業費の仕訳日付は開業日で統一する

開業費には、開業準備に要したさまざまな費目の支出を計上できますが、実際の支出日は費目ごとにばらばらになるでしょう。

開業費の計上に当たっては、支出年度にかかわらず、全ての項目について帳簿上の仕訳日付を開業日の日付に統一する必要があります。開業日の日付とは、個人事業主の場合は開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)に記載した「開業日」の日付です。

例えば開業日が4月1日の場合、開業費の仕訳の日付は4月1日とします。明細ごとに記帳する場合は、摘要欄にそれぞれの支出の日付や購入品の概要を記入するとよいでしょう。

【関連記事:開業届とは?書き方・提出方法・メリデメから開業準備まで一挙解説】

開業費に含められる費用・含められない費用まとめ

個人事業主は開業準備にかかったさまざまな費用を開業費として資産計上できるものの、開業費に含められない費用もあります。法人の場合は事業開始までにかかった費用を創立費・開業費に区別することにも注意が必要です。ここでは、具体的にどういった費用を開業費・創立費に含められるかを解説します。

個人事業主が開業費として認められる費用

個人事業主は法人より開業費として認められる範囲が広く、開業準備中の事務所賃借料などの経常的な支出も資産計上できます。例えば以下のような費用が対象です。

  • 市場調査費:事業開始に向けた調査費
  • 広告宣伝費:チラシ・看板・Webサイト制作・Web広告など
  • 研修・セミナー費:必要な知識や技能習得のための費用
  • 図書購入費:専門書籍や雑誌の購入費
  • 旅費交通費:打ち合わせや仕入れ先探しに伴う交通費(ガソリン代含む)
  • 打ち合わせ費:取引先との会食代・会場費
  • 事務用品費:文房具、帳簿、名刺・印鑑の作成費
  • 10万円未満の備品:PC、ルーター、プリンター、机・椅子など
  • 通信費:光回線工事費、準備期間中の電話代・ネット利用料
  • 賃借料:事務所・店舗の家賃、仲介手数料、レンタカー・駐車場代など

法人が創立費・開業費として認められる費用

法人の場合、創立費と開業費を区別し、開業のために特別に支出した費用のみを開業費として計上できます。法人が創立費・開業費として計上できる費用の例は以下の通りです。

【創立費の例】

  • 発起人の報酬
  • 定款その他諸規則の作成費用
  • 設立登記の登録免許税
  • 士業に支払う報酬
  • 法人設立のために雇った使用人の給与
  • 法人設立のための会議費
  • 法人設立に要した交通費

【開業費の例】

  • チラシ・看板などの広告宣伝費
  • 事務用消耗品費(文房具やソフトウェアの購入費)
  • 営業開始に関わる研修費用
  • 市場調査費用
  • 印鑑や名刺の作成費用
  • 打ち合わせに要した交際費・接待費・旅費交通費

開業費として認められない費用

個人事業主・法人ともに、以下のような費用は開業費に計上できません。

  • 敷金:解約時に返還されるため費用にならない
  • 10万円以上の固定資産:資産の構造・用途や細目に応じた耐用年数で減価償却する
  • 商品の仕入代金:商品が売れた際に売上原価として計上する

法人の場合はこれらに加え、事務所の賃借料・水道光熱費など、経常的な費用は開業費に計上できません。経常的な費用を開業費にできるのは個人事業主の場合のみです。開業費の適用範囲に迷ったら、所轄の税務署や税理士に相談するとよいでしょう。

開業費を間違いなく申告するためのポイント

開業費(繰延資産)の会計処理はやや特殊です。開業準備にかかった費用を開業費として間違いなく申告するには、領収書や支払明細書を確実に保管しておくことが必須です。合計金額が少額で資産計上・償却の効果が限定的な場合などは、通常の経費計上と同様に記帳しても構いません。

領収書や支払明細書を確実に保管する

開業費は明細ごとに計上することもできますが、詳細な内訳を別途まとめて集計しておけば、一括して計上しても構いません。どちらにしろ、帳簿上の経費が実際に支払われたことを証明する手段として、領収書や支払明細書(レシートなど)を残すことは必須です。

少額の交通費や慶弔費などに関しては、出金伝票を作成・保存して領収書や支払明細書に代えることもできます。開業費に関する書類は、開業後の書類と分けて管理するのがよいでしょう。

合計金額が少額なら「開業費」を使わずに経費計上する

開業費を資産計上すると任意償却により節税効果を期待できますが、会計処理の手間はかかります。開業準備に要した経費を「開業費(繰延資産)」として記帳するかどうかは任意です。開業費の合計金額が10万円未満のような少額の場合、通常の経費計上と同様に記帳して問題ありません。開業日の日付で、費用内容に該当する勘定科目を記入し、経費に繰り入れます。

例えば、合計10万円未満の開業準備費のうち、2,000円の交通費を支払った場合、以下のように記帳します。

借方貸方
旅費交通費 2,000円元入金 2,000円

個人事業主の場合、貸方勘定科目は会社の資本金に当たる「元入金」を使用します。

開業費と均等償却・任意償却の仕訳方法

開業準備期間にかかった費用は、開業費(繰延資産)に含めるもの・含めないものどちらも、開業日の日付で仕訳します。開業費の償却処理は決算日の日付で行います。ここでは、開業日の日付の仕訳方法と、均等償却・任意償却の仕訳方法を具体的に解説します。

【開業時】開業費に含めるものの仕訳方法

開業費は1つの項目にまとめて仕訳することもできますが、内訳を分かりやすくするために、明細ごとに仕訳することが推奨されます。

例えば4月1日が開業日で、3月3日に3万円の事業用デスクを購入し、3月10日に2万円分の文房具を購入した場合、4月1日の日付で以下のように仕訳します。

借方貸方
開業費 30,000円元入金 30,000円
開業費 20,000円元入金 20,000円

摘要欄には、支払いの日付やどこで何を購入したかなどを分かりやすく記入しましょう。
別途詳細な内訳を集計しているなら、1項目にまとめて記帳しても構いません。例えば、開業費に当たる費用の合計が60万円だった場合、以下のように仕訳します。

借方貸方
開業費 600,000円元入金 600,000円

この場合、摘要欄には「開業準備 別紙明細」などと記入しましょう。

【開業時】開業費に含めないものの仕訳方法

開業前に支払った費用のうち、店舗・事務所の敷金や1つ当たり10万円以上の備品、販売用の商品(仕入代金)などは、開業費に含まれません。こういった費用は、通常通りの借方勘定科目にて、開業日の日付で仕訳します。

例えば開業日(4月1日)の前に、敷金15万円の事務所を契約し、16万円の事業用PCを購入し、50万円分の販売用商品を仕入れた場合、4月1日付けで以下のように仕訳します。

借方貸方
敷金 150,000円元入金 150,000円
工具器具備品 160,000円元入金 160,000円
仕入高 500,000円元入金 500,000円

【決算時】開業費を償却(経費計上)する仕訳方法

開業費の償却(経費計上)は、決算日の日付で行います。個人事業主の場合、事業年度は毎年1月1日〜12月31日まで、決算日は12月31日で固定です。

開業費の合計が60万円の場合、均等償却をするなら、1か月当たりの償却費は「60万円÷60か月=1万円」です。開業日が4月1日であれば、初年度は4月〜12月の9か月分(9万円)を償却することになります。次年度の償却費は12万円です。この例の場合、開業初年度の決算時の仕訳は以下の通りです。

借方貸方
開業費償却 90,000円開業費 90,000円

以降は残り51か月分の未償却残高がなくなるまで、毎年均等償却を続けていきます。

一方、任意償却を選択する場合、どの年度にいくら償却するかは自由です。例えば、赤字が続いた5年間は一切償却せず、6年目に半額を償却する際の仕訳例は以下の通りです。

借方貸方
開業費償却 300,000円開業費 300,000円

開業準備で活用したい資金調達方法や開業支援サービス

開業準備には出費がかさむため、資金調達が必要になることも多いでしょう。資金調達の方法としては、助成金・補助金の他に、創業融資や制度融資が挙げられます。またオフィスや店舗の開設には多くの作業が必要になるため、開業支援サービスでプロのサポートを受けることも検討しましょう。

助成金・補助金で資金調達

政府や自治体は多種多様な助成金・補助金を運営しています。助成金・補助金は原則として返済不要のため、開業時の資金調達方法として有用です。開業に役立つ助成金・補助金制度には以下のようなものを挙げられます。

  • 経済産業省系:ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金など
  • 厚生労働省系:キャリアアップ助成金、人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)など
  • 自治体系:創業助成事業(東京都)、大阪起業家グローイングアップ事業(大阪府)など

創業融資や制度融資で資金調達

開業資金を調達する方法として融資も考えられます。しかし開業時には売上実績がないため、大手銀行などから融資を受けるのが難しいことも多いでしょう。

開業時に融資を受けやすい融資元として、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関が提供する創業融資、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して提供する制度融資が挙げられます。いずれも事業計画書を作成して融資審査をクリアする必要はありますが、中小企業や小規模事業者の資金調達を支援する融資制度のため、利用を検討してみるとよいでしょう。

開業支援サービスでプロのサポートを受ける

開業準備から営業開始までには事業計画の策定や資金調達、開業手続き・Web戦略・販売促進など、さまざまな作業が必要です。開業支援サービスを利用すると、これらの作業についてプロによるサポートを受けられます。

店舗の内装や設備などをまとめてサポートしてくれる、店舗開設型のサービスも有用です。サービス内容は多種多様で、事業者によっては並走サポートも受けられます。苦手分野を経験豊富なプロに支援してもらうことで、事業の成功を目指しやすくなるでしょう。

開業準備に必須となるICT環境整備はイッツコム!

新規事業の開始に当たって事務所や店舗を構える場合、快適な通信環境や使いやすいクラウドサービスの整備は必須です。イッツコムは高速光回線・Wi-Fiサービスの他、日本語サポート込みの「Zoom Workplace」や「Box」を提供しており、事業運営の基盤となる各種サービスの契約・問い合わせを一本化できます。

契約・問い合わせを一本化できる高速光回線「イッツコム光接続サービス」

自宅兼事務所で事業を営む場合でも、新たに店舗などを構える場合でも、快適なインターネット回線は必須です。

「イッツコム光接続サービス」は家庭用光回線並みの低コストにて、下り最大2Gbpsの法人向け光回線を提供します。高速なインターネット接続方式IPv6 IPoEに標準対応し、通信速度が低下しやすい夜間や休日でも安定したインターネット接続ができます。

イッツコム独自の光回線網とプロバイダサービスを一括提供するため、契約・問い合わせの窓口を一本化できることも利点です。固定IPアドレスの払い出しにも対応し、自前のWebサーバなどを運用したいニーズにも最適です。

「かんたんWi-Fi」で高性能APを手間なく低コストで導入

オフィスでも店舗でも、PC・タブレット・スマホや各種IoT機器を業務利用するなら、快適なWi-Fi環境を整備することは重要です。特に飲食店など来客の多い店舗の場合、フリーWi-Fiを提供するためのWi-Fi環境は必須といえます。

イッツコムの「かんたんWi-Fi」は、小型かつ高性能な業務用Wi-Fiアクセスポイント(AP)を、初期費用無料・月額2,000円/1APの低コストでレンタルできるサービスです。設定済みのAPが届いたらケーブルを差すだけで使い始められ、プロによる年中無休のサポート窓口も利用できます。

「ハイエンド6」プランのAPは、高速・安全なWi-Fi6対応の上、最大同時接続台数は1AP当たり100台です。安全なフリーWi-Fiを提供するためのゲストWi-Fi機能も充実しており、オフィス・店舗のWi-Fiニーズに漏れなく対応できます。

【関連記事:アクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説】

「Zoom Workplace」で社内外コミュニケーションツールを一本化

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ただし、無料版ユーザーが主催するミーティングには、40分の時間制限があります。有料ライセンスを取得すれば実質無制限(30分/1回)でミーティングを開催でき、クラウドレコーディングや各種管理機能も使えるようになる他、ウェビナーアドオンを購入するとZoomウェビナーによる集客施策の展開も可能です。

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【関連記事:Zoom有料版「プロプラン」を利用すべき理由とは?無料版との比較を解説】

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Boxは日米の政府機関や各国のリーダー企業など、最高峰のセキュリティが求められる組織で多数の導入実績を誇ります。安価な月額料金であらゆるファイルを安全に一元管理でき、オンライン共同編集や1,500以上の業務アプリとの連携、ワークフロー自動化など、生産性向上に役立つ機能も豊富に搭載しています。

改正電子帳簿保存法に対応する方法で、契約関係書類などを適切に管理できることも利点です。さらに、「Box AI」がファイルの検索・管理やデータ活用をサポートすることで、情報資産から価値を引き出しやすくなります。

【関連記事:Boxで電子帳簿保存法に対応する具体的な方法を徹底解説】

まとめ

新規事業の開始に当たって、店舗や事務所の環境整備は必須です。開業準備期間にかかったさまざまな費用は、開業日の日付で開業費(繰延資産)として資産計上できます。任意の年度・金額で償却し、課税所得を圧縮できるため、正しく記帳して事業運営に役立てましょう。

イッツコムなら通信・クラウドサービスを一括整備でき、契約・問い合わせの窓口を一本化できます。事業の成長に合わせた拡張にも柔軟に対応でき、環境整備のパートナーとして最適です。

開業に伴う環境整備をお考えなら、情報通信事業者としての豊富なノウハウを生かして並走サポートができるイッツコムにご相談ください。