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SIMフリーとは?メリットやロック解除義務化、活用方法を徹底解説

総務省の指導により、かつては携帯電話端末にかかっていた「SIMロック」は原則、解除された状態で発売されています。利用可能な回線へとスムーズに乗り換えられるに伴い、SIMフリー端末の利用範囲が拡大しています。

しかし「SIMフリー」や「SIMロック解除」という言葉は知っているものの、実はきちんと理解できていない方もいるのではないでしょうか。SIMフリー端末の活用を考えている方は、SIMフリーとは何か、どのように活用すべきかを知っておくとよいでしょう。

そこでこの記事では、SIMフリー端末やSIMロック解除について解説します。法人が利用する際の注意点や便利なサービスについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

SIMフリーやSIMロックとは?


現在販売されている多くのモバイル端末は、SIMカードを挿入することで契約中の携帯キャリアの通信サービスが利用可能になります。以前は「SIMロック」の機種も販売されていましたが、現在は法整備により原則「SIMフリー」です。まずはSIMカードやSIMフリー・SIMロックの基礎知識を見ていきましょう。

通信サービスを受けるために必要なSIMカード

SIMカード(Subscriber Identity Module Card)とは、電話番号や加入者の識別情報などを記録した、通信サービスを受けるための小型ICカードです。携帯キャリアが提供するSIMカードをスマホやタブレットなどのスロットに差し込むことで、4G LTEや5Gによるインターネット接続、電話、SMSなどの通信サービスを利用できるようになります。

日本の携帯キャリアは、SIM対応端末にあらかじめ自社のSIMカードを挿入して販売することが一般的です。このため「SIMカードを見たこともない」というユーザーも珍しくないでしょう。

【関連記事:SIM カードとは?基礎知識から企業向け活用術や選び方まで分かりやすく解説

SIMフリーとSIMロックの関係

SIMフリーとは、デバイスに「SIMロック」がかかっていない状態のことです。SIMロックとは、特定の携帯キャリアのSIMカードを挿入した場合のみ、そのデバイスの通信機能が動作するように設定することを指します。

SIMロックは携帯キャリアがデバイスを自社販売する場合に、他社への乗り換えを防ぐために用いられてきた手法です。例えばNTTドコモが販売したSIMロック端末に、ソフトバンクのSIMカードを差し込んでも反応しません。

一方、SIMフリー端末はどの携帯キャリアのSIMカードでも動作するため、生活スタイルや使用目的に応じて好きな携帯キャリアを選べます。

SIMカードを提供するMNOとMVNO

4G LTEや5Gなどの無線通信サービスを、SIMカードを通じて提供する通信事業者は、MNO(Mobile Network Operator)とMVNO(Mobile Virtual Network Operator)に分かれます。

MNOはNTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルで、自社で通信回線網や無線基地局を持ち、移動体通信サービスを提供する事業者です。MVNOはMNOから無線通信インフラを借り受けて、独自の通信サービスを提供する事業者を指します。

MNOとMVNOはどちらもSIMカードやSIM対応端末を提供しますが、MVNOはいわゆる「格安SIM」や、法人向けデータSIMサービスなどを提供しているのが特徴です。

SIMフリー・SIMロック解除は完全義務化へ

以前は携帯キャリアの販売機種にSIMフリー・SIMロックが混在している状況でした。しかし総務省によるガイドライン改訂により、2021年10月1日以降に新たに発売されるスマホやタブレットなどについては原則、SIMフリーとすることが義務付けられています。つまりほとんどの場合、新しく発売される機種にSIMロックはかかっていません。

また、インターネット経由のSIMロック解除手続きは、2022年5月1日から終日(24時間)受け付けることも義務化されています。加えて2023年10月1日からは、店頭や電話受付などを含む全てのSIMロック解除手続きを無料で受け付けるよう義務化しました。

大手携帯キャリアの発売機種は2021年6月~10月以降SIMフリー

NTTドコモ・au・ソフトバンクが発売するiPhone・Androidスマホ・タブレット・モバイルWi-Fiルーターなどは、以下のように、2021年6月~10月以降の発売機種は原則全てSIMフリーであることを発表しています。

・NTTドコモ:2021年8月27日(金)以降に新たに発売された機種はSIMフリー
・au:2021年10月1日以降に新たに発売された機種、2021年9月24日発売のiPhone 13シリーズ及びiPad mini(第6世代)はSIMフリー
・ソフトバンク:2021年6月以降に新たに発売された機種(Xperia 1 III を除く)はSIMフリー

なお、楽天モバイルの販売機種は過去にSIMロックをかけていたことがなく、全てSIMフリーです。

SIMフリー端末で利用するSIMカードの種類


SIMフリー端末は、任意の携帯キャリアのSIMカードに差し替えることで、契約情報を変えられます。SIMカードのサイズは3パターンで、機種によっては内蔵型のeSIMを採用しています。また、契約時に選択できる通信内容も3パターンです。

SIMカードのサイズは3パターン

SIMカードはサイズが3種類あり、機種によって対応サイズが異なります。

・標準SIM(mini SIM):25mm×15mm
・micro SIM:15mm×12mm
・nano SIM:12.3mm×8.8mm

現在は最も小型のnano SIM対応機種が一般的です。MVNOは全機種に対応できるよう、任意のサイズにカットできるマルチタイプのSIMカードを提供する場合があります。また手持ちのSIMカードが小さくて乗り換え先機種のスロットに合わない場合、市販の変換アダプタに乗せてサイズを合わせることも可能です。

なお機種によっては、機器に内蔵された「eSIM」を採用しており、主にインターネット経由で契約情報を書き換えられます。

利用できる通信内容も3パターン

SIMカードは利用できる通信内容の違いで3種類に分けられます。

・データSIM:データ通信機能のみ。通話はIP電話やコミュニケーションアプリの通話機能を使う
・データSIM+SMS:データ通信・SMS機能のみ。WebサービスなどのSMS認証に対応可能
・音声通話SIM:通話もできる一般的なSIMカード

「080」や「090」で始まる携帯電話番号による音声通話が必要ない場合、データSIMやデータSIM+SMSを選択してコストを抑えられます。

SIMフリー端末の入手方法は2パターン


SIMフリー端末の入手方法は、「手持ちのSIMロック端末をロック解除する」もしくは「新たにSIMフリー端末を購入する」の2パターンです。機種変更で使わなくなったスマホも、SIMロックを解除すればSIMフリー端末として利用できます。

手持ちのSIMロック端末をロック解除する

SIMフリー端末を手に入れる方法のひとつは、携帯キャリアで購入したSIMロック端末をロック解除することです。2021年後半に原則SIMフリー化となる前の発売機種は、購入時点でSIMロックがかかっている場合もあります。

SIMロック解除機能が搭載されている機種なら、契約中の携帯キャリアの公式サイトや店頭などでSIMロック解除の手続きが可能です。なお、SIMロック解除は「機種購入から100日以上経過していること」など条件付きとなる場合があります。

新たにSIMフリー端末を購入する

SIMフリー端末は、携帯キャリアと契約することなく、本体だけをさまざまな場所から購入できます。

例えばApple公式サイトからSIMフリーのiPhoneやiPadを購入可能です。同様に、MVNOやメーカーの通販サイト、Amazonなど各種ショッピングサイト、家電量販店でもSIMフリー端末を購入できます。また、4大携帯キャリアの公式サイトや実店舗であっても、SIMフリー端末の機種のみを入手できます。

SIMフリー端末を利用する3つのメリット


SIMフリー端末を利用すれば、大手携帯キャリアもMVNOも選び放題です。機種の選択肢が広がることで2台持ちも可能になり、海外渡航時の一時的なSIMカード差し替えも容易になります。ここでは、SIMフリー端末の利便性の高さを紹介します。

大手携帯キャリアもMVNOも選び放題

SIMフリー端末の最大のメリットといえるのが、大手携帯キャリアでもMVNOでも、好きな通信サービスに自由に乗り換えられることです。

例えば「お得な通信量無制限プランを利用したい」「通信速度は遅くても基本月額料金0円で済ませたい」、また「法人向けのデータSIMサービスを利用したい」といったニーズに、SIMフリー端末なら柔軟に対応できます。

機種の選択肢が広がり2台持ちも

SIMフリー端末なら端末とSIMカードの組み合わせを自由に選べるため、機種の選択肢が広がることもメリットです。

SIMロックが通常だった時代には「気になる機種があるけれど契約中の携帯キャリアでは販売していない」といった状況もありました。現在はSIMフリー義務化により好きな端末を選びやすくなっています。

また、コストを抑えた「2台持ち」が可能になったこともポイントです。例えば、大手携帯キャリア回線で利用していた古い機種にMVNOの格安SIMカードを差し込めば、機種変更で使わなくなったスマホやタブレットを有効活用できます。

海外渡航時の一時的なSIMカード差し替えも容易

国内携帯キャリアの通信プランを契約したまま海外渡航をすると、データ通信料が非常に高額になる恐れもあります。この点SIMフリー端末なら、旅行会社や空港などで現地対応のSIMカードを購入し、海外渡航中のみ一時的に差し替え可能です。

海外SIMカードは基本的にプリペイド型で、帰国後に高額な請求に気付くようなトラブルもありません。

端末の海外対応についてはiPhone・Androidスマホで異なります。現地の通信サービスと相性が悪い場合もあるため、渡航前に下調べしておきましょう。

SIMフリー端末を使う際の注意点


SIMフリー端末は利便性の高さが魅力ですが、いくつかの注意点もあります。例えば、携帯キャリアの乗り換えでサービスの品質が落ちる場合もあるでしょう。また、携帯キャリアと機種の対応周波数帯域が合わない場合も考えられます。ここでは、SIMフリー端末を使う前に留意しておきたいポイントを紹介します。

乗り換えでサービス品質が落ちる場合も

携帯キャリアにはそれぞれ独自のサービス仕様があるため、キャリア乗り換え時に機能制限を受ける場合があります。原則として、携帯キャリアは他社SIMカードを使った場合の動作保証は行わず、SIMフリー端末による乗り換えは自己責任です。

サービス・機能・アプリの機能が制限されることもあるため、SIMフリー端末と携帯キャリアの相性は事前にチェックしておきましょう。

中古のSIMフリー端末には「赤ロム」もある

SIMフリー端末は中古品も出回っており、ECショップなどで新品より安く購入できます。しかし中古品には「赤ロム」と呼ばれるSIMフリー端末が混ざっている恐れもあることは注意点です。

赤ロムとは、不正契約(端末代金未払い)・不正取得(盗難)などの経歴がありながら売却され、携帯キャリアからネットワーク利用制限をかけられた端末を指します。

赤ロムのSIMフリー端末にSIMカードを差しても、通信サービスは利用できません。また赤ロムのSIMロック端末はロック解除の受付も拒否されます。

携帯キャリアと機種の対応周波数帯域が合わない可能性

携帯キャリアは4G LTEや5Gなどの提供に複数の周波数帯域を使い分けており、機種によって対応状況が異なることは注意点です。例えばNTTドコモは、LTEの通信を行う周波数帯域に、800MHz帯(バンド19)・1.7GHz帯(バンド3)・2.1GHz(バンド1)帯などを使用します。

周波数帯域によって電波の届きやすさや通信速度に違いがあり、地方や都市部などで使い分けがある仕組みです。つまりSIMフリー端末の相性によっては、想定通りの通信速度や通信エリアの恩恵を受けられません。

仮に800MHz帯に非対応のSIMフリー端末を使い、NTTドコモ回線を契約した場合、地方では全く電波が入らないというケースも想定できます。

法人利用はサービス形態やセキュリティに注意

SIMカードには個人向けのものと法人向けのものがあります。一般的な個人向けSIMカードは1回線ごとの契約を前提とするため、複数回線を契約すると費用の無駄が大きくなりがちです。

この点、法人向けSIMカードは、複数回線の一括契約でお得になるプランやIoT機器にも対応するプランなど、ビジネスユースを想定したサービスを提供します。

また、セキュリティ機能としてVPN接続と組み合わせたプランも利用可能です。ただし格安SIMはインターネットを経由するタイプのVPNが多く、通信事業者の閉域網を経由するVPNよりセキュリティレベルは劣ります。

【関連記事:専用SIMで外出先でも閉域網を使える?情報セキュリティを重視するなら必見

SIMフリー端末をフル活用!法人向け通信サービスはイッツコム!


イッツコムは複数回線の一括契約やIoT機器に最適な高コスパの「法人データSIM」、オフィス内の快適なWi-Fi環境整備に便利な「かんたんWi-Fi」、社内ネットワークへの安全なアクセスに活用したい「モバイル閉域接続」を提供しています。それぞれのサービスの魅力を見ていきましょう。

複数回線の一括契約やIoT機器には高コスパの「法人データSIM」

SIMカードを法人利用する場合、「複数回線をお得に一括契約したい」「ビジネスでIoT機器を活用したい」というニーズもあるでしょう。

そこで導入したいのが、イッツコムの「法人データSIM」です。NTTドコモ回線を利用するため、NTTドコモのサービスエリア内ならどこからでも快適に利用できます。

モバイルWi-Fiルーターとのセット契約もでき、SIMカードを直接挿入できないPCや差し替えたくない私物端末、工事現場の事務所やイベント会場などのチーム利用にも最適です。決済端末やネットワークカメラなどのIoT機器にも適用できます。

また「シェアプラン」を選択すれば、複数SIMカードで通信容量をシェアできるため、SIMカード間で月間通信量に差があっても費用の無駄は生じません。

社内ネットワークへの安全なアクセスなら「モバイル閉域接続」

テレワーク環境などで社外から社内ネットワークへ安全にアクセスしたい場合、VPNサービスを利用するのが一般的です。しかし一般的なVPNサービスは、インターネットを経由することによる通信傍受やVPNサーバのハッキングといった懸念点があります。

そこで導入したいのが、法人データSIMと閉域網接続を組み合わせた「モバイル閉域接続」です。インターネットを経由せず 、NTTドコモ網・イッツコム網による閉域網を経由して、社内LANへダイレクト接続ができます。

専用SIMカードのみで経路判別することも特徴です。ユーザーは専用SIMカードを挿入するだけで簡単接続でき、管理者はID・パスワードの管理が不要になる上、登録外デバイスからのアクセスやVPNハッキングの恐れ を軽減することができます。

インターネット接続の際は社内LANを経由するため、オフィス内でトラフィック管理ができ、社内セキュリティポリシーの運用も容易になります。

またイッツコムでは個人向けの格安SIMカードも提供しています。月額550円(税込)からのお得な料金で、NTTドコモ回線を使用する音声通話SIMカードを利用可能です。

オフィス内の快適なWi-Fi環境整備なら「かんたんWi-Fi」

業務上、モバイルデバイスを使うことが多い場合、オフィス内の安定したWi-Fi環境が欠かせません。とはいえ、Wi-Fi環境の整備は通信カバーエリアが広くなるほど難しくなり、ネットワークの構築も煩雑になりやすいのが懸念点です。

そこで導入したいのが、高性能なWi-Fiアクセスポイント(AP)を簡単に増設できる「かんたんWi-Fi」です。届いたAPにLANケーブルと電源ケーブルを差し込むだけの簡単設定で、自由なレイアウトでWi-Fi基地局を増設できます。

「ハイエンド6」プランなら最速のWi-Fi規格「Wi-Fi6」に標準対応し、最大同時接続台数は1AP当たり余裕の100台で、多大数接続でも遅延のない高速通信が可能です。社内では快適なWi-Fi接続を利用することで、法人データSIMの通信量も抑えられます。

まとめ


携帯キャリアが販売するSIM対応端末は原則としてSIMフリーで、好きな通信事業者のサービスに乗り換えができます。SIMロック端末でも、ロック解除の手続きをすればSIMフリー端末化が可能です。法人利用の場合は通信事業者のサービス形態やセキュリティに注意しましょう。

イッツコムは「法人データSIM」「モバイル閉域接続」「かんたんWi-Fi」により、SIMフリー端末のさまざまな利用ニーズに対応できます。SIMフリー端末の法人利用なら、利便性とセキュリティを両立できるイッツコムにご相談ください。